こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
読書『7つの階級 英国階級調査報告』(東洋経済新報社)後半。
マイク・サヴィジ著、舩山むつみ訳。
前半(第1部、第2部)に続き、後半(第3部、第4部)もたくさんになりました。以下、『7つの階級 英国階級調査報告』(東洋経済新報社)より、備忘。
- 競争によって平等であるはずの能力主義の教育制度は、かえって人生のチャンスを不公平なものにし、子どもたちに不平等な未来をもたらしている
- イギリス社会では上向きだけではなく、下向きの社会流動性も大きくない
- 伝統的な職業に就くためには、恵まれた環境に育った人たちが親から受け継ぐ傾向の強い、文化資本、社会関係資本という不明瞭で獲得しがたい資源が今でも重要
- 社会のヒエラルキーの頂点で、その優位性が相互強化されている実態
- 「文化的ホームレス」
- 機会平等は、全体の平等があって初めて実現できる
- 優位性の頂上がますます上昇している
- 大学進学率の伸長は機会平等に寄与しない
- 大学によってもたらす資源には大きな違いがある
- 多くの学生にとって高等教育は階級移動を実現する手段となっている。
- 能力主義による学生の選抜が広がり大学進学者の数は増えたが、それによって機会の平等が確保されたわけでも階級間の格差が解消されたわけでもない。
- 階級と地理は無縁ではない。
- ロンドンに人々の関心が集中しているのは、首都圏以外の地域の魅力が失われつつあることの表れでもある。
- 社会的衰退の姿は、(中略)コミュニティ全体の弱体化の結果でもある。
- 場所や所在地は、美的、社会的、文化的な洗練を表すものとなっている
- 経済資本だけでなく、社会関係資本と文化資本も地理的な格差を暗示している
- 新しいエリートには卓越した地理感覚があり、都市の価値を発見し特徴づけしている。
- そのような資源(リソース)がロンドンとその周辺にどれほど集中しているのかという、際立った状況
- 都市と農村の強力な分断は、(中略)都市の中心部が文化資本(特に新興文化資本)と社会関係資本を集める場として機能するという観点から説明できる
- ロンドン出身者が、地方出身者よりも有利であることを示すデータはない。しかし、インタビュー回答者の証言からは、それが明らかだった。
- 能力主義の階段を上がるには、「生まれつき」与えられた恵まれた場所からスタートする方が楽なのである。
- 英国階級調査では、プレカリアートは「行方不明の人たち」である。
- 英国階級調査自体が社会の最下層の人々を蔑む効果を持つ策略に加担してしまっていた。
- ステレオタイプに分類されることの意味を理解している。そしてこれには差別と道徳上の問題があることを認識している。
- しかし、これら(文化的活動)は大人になってからも続けている活動ではない。子ども時代の(中略)思い出なのだ。
- 社会には分類と序列化の文化がはびこり、それによってエリート主義と負の烙印が作り出され、増殖するのに利用される
- 階級が多くの人々を「締め出している」
- 実際には、(中略)階級の存在をあまりにも強力に証明する新しいスノビズムが働いている
- 階級の概念そのものが、自我、人格に対して根本的な脅威を引き起こすという感覚
- 普通の人々とは
- 階級構造がいかに人間関係と強く結びついているか
- 人々の階級意識は、多くの場合、自分が誰であるかではなく、自分は誰ではないという理解によって認識されている
- 人々が階級という概念を嫌うのは、まさに日常に階級格差が深く刻み込まれているからであり、身の回りに不平等が増殖しているのを知っているからだ。
- 能力主義的な政治の限界
- 資本主義的な、新自由主義の市場システムそのものに疑いの目を向けなければならない。
『7つの階級 英国階級調査報告』(東洋経済新報社)より
階級という言葉・概念を用いるか否かの違いだけであり、日本の現状にも当てはまる実態を垣間見る気がしました。読む前に予想していたよりも、ずっと重い問題提起の本でした。自分の住んでいる国、地域、そして自分自身を省みて、深く考えることを求められる本でした。読んでよかったです。