『BRUTUS Casa BANKSY バンクシーとは誰か?』(March, 2020 マガジンハウス)

読書『BRUTUS Casa BANKSY バンクシーとは誰か?』

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『BRUTUS Casa BANKSY バンクシーとは誰か?』(March, 2020 マガジンハウス)

ブルータスカーサ最新号の特集はバンクシー。サザビーズオークションでのシュレッダー事件や、サルの議会の絵(正式タイトル:Developed Parliament)、覆面性・神出鬼没性など、面白い人だなぁと思ってはいましたが、ほぼ知りませんでした。

ダンナが買ってきたこの特集号。試しにページをめくっていたら、すっかり引き込まれてしまいました。彼の作品・行動が現す、社会問題へのアプローチ、現代アート市場への批判、そしてアーティストとしての信念。

それにしても日本はいろいろな意味でアート後進国なのだと、あらためて思いました。村上隆さんの『芸術起業論』(幻冬舎)で「現代アート市場の世界標準」で対等足りえるために日本のアーティストに必要なことを考えさせられたのは、もう十数年前のことではありますが、バンクシーは既にその「現代アート市場」という前提を否定する立ち位置でものを言い、行動を起こしている。その行動がまた市場に反映されて作品の高値を呼ぶという矛盾が起こっているのも事実ですが。

昨今の日本で流行りつつある、現代アートへのアプローチがあまりにも小手先に過ぎないと、突きつけられた感じがしました。これは、アーティストも、アーティストを取り巻くアート業界の人々も同じこと。そろそろ、追いかけるだけではなく、独自の価値観で世界市場に対等足りえるアート市場の在り方を実現できたらいいのかもしれませんね。

ともあれ、バンクシー。次に何をするのか、気になります。また、彼に関する本はいくつも出ているようなので、少し遡って読んでみようかな、という気になりました。

それにしても、ほぼ一冊丸ごとバンクシー特集とは。BRUTUS Casa、すごいです。

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。