こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
講演会『経営者のためのアートセミナー』-「教養」「投資」としてのアート-に参加して参りました。
アジアをコンセプトとした唯一のアートフェア「アートフェアアジア福岡2023」が、いよいよ来週に迫って参りました。そのプレイベントとして、今年はスペシャルアドバイザーに就任しておられる宮津大輔氏の講演会が、9月に入ってから福岡市内で開催されています。わたしは福岡商工会議所が主催となった掲題の講演会に、参加して参りました。
もともと「サラリーマンコレクター」として有名だった宮津さんは、その後芸術系大学の修士・博士課程で学び直しをされ、現在は横浜美術大学の教授でいらっしゃいます。前回宮津さんの講演をお聞きしたのは、やはりアートフェアアジア福岡の関連イベントで、2019年のことでした。
4年前の講演備忘録を読み返しても、当時のワクワクした気持ちが蘇りますが、今回の講座はさらに「経営者に向けて」とのタイトルに寄せた、独特の面白さがありました。
以下備忘。
- アカデミック&実践知としてのアート教養。
- 「資産」であり「ファミリープライド」としてのアート。
- コンテンポラリーアートとは「同時代性を持ち」「(西洋)美術史上の文脈で語ることが出来る」もの。
- アート市場において、現代アートは53%の市場占有率を持ち、年々上がっている。←古い良品がほとんど市場に出なくなっているため。*公的美術館に入ったものは、余程の事情がない限りまず市場に出てこない。
- オークション市場における国別占有率:米国42%、英国18%、中国17%。日本は1%。
- 未だ日本人にとって美術は「観に行くもの」であり、「購入して手に入れるもの」になっていない。
- アートの価格形成は、「ローカル」「ドメスティック」「グローバル」×「古美術」「近代美術」「現代美術」の掛け合わせによる。
- 「現代アート」の台頭:Visual Art(目を楽しませるアート)からConceptual Art(社会課題を表現するアート)へ。
- 第二次大戦後美術の中心は、パリ→NYへ/具象の時代→抽象の時代へ。
- 1980年代~新自由主義。重厚長大のものづくりの時代から金融・ITの時代へ。
- コロナ禍後の今は、中世の価値観がペストにより砕かれたルネッサンスの時代と似ている。*生き残ったモノだけが「古典」となる。
- アートに描かれる、呪術・ローカル・民俗・宗教。
- Look Back。世間一般の価値は、後からついてくる。
- 優れたアーティストだけでは、価値創造・歴史化は不可能。
- 「アートでありビジネス」は、成り立つ。例えば「チームラボ」。
- ポーラ美術館・アルティゾン美術館:財団として本業の筆頭または上位株主となる=買収防衛となり、配当による利益を高額な作品購入に充てることが可能。
- フランスー中東。アート輸出による資源確保(仏)/資源立国から観光立国への脱却(中東)。
- 書道の起源は「彫ること」にあり。
講演会『経営者のためのアートセミナー』-「教養」「投資」としてのアート(宮津大輔氏)より
とても楽しく学びの多い1時間半でした。現代アート市場に挑戦していく側として、これまでのスタンスが間違っていないことを、再確認することのできる内容でした。この機会を作ってくださった、福岡市商工会議所とアートフェアアジア福岡実行委員会に心より感謝です。