こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
足したり、引いたり。
花祭窯の建物は、昭和元年(1926年)に建てられた商家。もうすぐ築100年というところです。当時栄えていた津屋崎千軒のなかにあって、商いをしているお宅ゆえの粋がちりばめられた建物です。堅実なつくりで、建築士さんが「これだけ時間が経っているのに、歪みが少ないのがすごい」とおっしゃっていました。わたしたちがここに入った11年前には、途中で入った方々が住みやすいようにリフォームした跡があちらこちらに残っていましたので、できる限り古い状態に戻す方向で「引き算」の修繕を施したのでした。
入居の際の「やや大規模な修繕」から10年以上が経ちましたが、古民家にはその維持がテーマとしてついてくるもので、常に「ここはそろそろ直さねば」のメンテナンス箇所との追いかけっこです。むやみに近代化することなく、古い状態(材料)をできる限りそのまま生かすことを心がけて…というと格好いいですが、実際には、ぜんぶ完璧に修繕するのには莫大なお金がかかる…という側面があるのも確かです。花祭窯の佐賀時代も築80年を超える古民家でしたので、「古い木造日本家屋」の不便さには慣れていて、不便だからこその良さも楽しんでいます。
ちょっとした不具合は、手先の器用なダンナが治せることもあります。なかでも一番多いのは、建具の不具合。その修正作業を見ていると、基本は表からは見えない部分での「足したり、引いたり」の微調整で解決しているようです。もちろん、根本的な解決にはならないことも多いのですが、上手に付き合っていくことが肝要かな、と。
そうはいいつつ、ご近所の古民家住まいのお友だちと会えば、日々どんな困りごとがあるか、どうやって維持する方向に考えるか、修理をどこの大工さんに頼んだか等々、おしゃべり&情報交換に花が咲く今日この頃。ご近所にそのように雑談できる人があるというのもまた、ありがたいことですね。