円覚寺南方流

11月立冬はお茶のお正月―お茶室は風炉から炉へと変わります。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

11月立冬はお茶のお正月―お茶室は風炉から炉へと変わります。

昨日はお茶のお稽古でした。お茶室に入るや、ん?何か景色が違うぞ…と感じました。その正体は、釜の位置。11月はお茶のお正月とも言われ、風炉から炉へと変わります。今年は秋になっても気温の高い日が続きましたので、ああ、もうそんな季節かと思いつつ。設えが変わると、なんとなく背筋も伸びるので、不思議です。

引き続き、奥点前の「天目」をお稽古しています。釜の位置が変わり、棚の種類が変わり、また一からのお稽古です。基本的な動きは同じといわれても、やはり戸惑ってしまい、恐る恐るのお点前になるのが、我ながら滑稽で可笑しく。「自然と体が動く」の境地には程遠いことを、毎度突き付けられます。

14時からスタートしたお稽古、わたしと同じ天目の奥点前をなさる同門の友人のお稽古を拝見し、続いては自分のお稽古です。這う這うの体でお稽古をつけていただいた後は、先生がまた同じお点前を目の前で見せてくださいました。見て予習し、実践して学び、また見て復習し、という、贅沢なお稽古。三人のお点前が終わったときには、間もなく17時というところでした。一席に1時間近くをかけているということですね。

何年もお稽古を続けていて今更ではありますが、あらためて、一服のお茶を差し上げるのに、お片付けを含めてとはいえ一時間かけるというのは、なんと贅沢なことだろうと思いました。ふだんの生活や仕事のなかで、こんなにゆっくりと一つのことに時間をかける機会は、そうそう無いように思います。変化のスピードの速い現代だからこそ、このゆっくり流れる時間は貴重だなぁと、あらためて思ったお稽古でした。

花祭窯でお抹茶

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。