読書『チャップリン自伝 若き日々』(新潮文庫)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『チャップリン自伝 若き日々』(新潮文庫)

チャールズ・チャップリン著。写真は、昨年ロンドンに行ったときのもの。

読みはじめてまず「そういえばチャップリンは英国人で、ロンドン生まれだったのだ!」と、衝撃を受けました。なにを今更と、チャップリンファンから怒られてしまいそうですね。ハリウッドの印象はありましたが、かといって米国人だとは思わず…つまり「よく知らなかった」ということです。

なにげなく図書館で手にした本書。このところ英国の階級・格差を扱った本を読むことが多かったのですが、図らずもそのことを一番考えさせられる本となりました。

「若き日々」と「栄光と波瀾の日々」の二巻からなる自伝。分量的には、幼少期から米国に渡るまでの「若き日々」が全体の三分の一で、米国で成功を手にしてからの「栄光と波瀾の日々」が三分の二というところです。

さてチャップリン。名前はもちろん知っているし、映画は子どものころにテレビ放送されたものを何回か見たことはありましたから、チャップリンと聞いてぱっと頭に浮かぶ映画のシーンはいくつかあります。でも、ちゃんと腰を据えて観たことが無かったな…と思い至りました。

彼に対してわたしがずっと抱いていた印象は、「目が悲しそう」というもので、「喜劇王」の呼称がしっくり来ていませんでした。今回「若き日々」を読んで、その印象の理由がわかったような気がしています。小さなチャップリンが置かれた厳しい現実を読んでいくのは、苦しさを伴うものでした。「お話」ではなく、当事者の言葉で綴られた自伝だからこそ、ですね。

「若き日々」は、ディケンズの少し後で、シャーロックホームズのブーム到来とほぼ同時代。これらの本を読んでいたことが、時代背景への理解に多少なりとも役立ったように思います。