書画陶芸。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

書画陶芸。

「書画陶芸」とネットで検索したところ、出てきたのは、細川護熙氏のお名前。現代のお殿様の趣味というか、たしなみというか、いわゆる「文人趣味」のイメージですね。

もうずいぶん前ですが、その細川護熙氏が政治家を引退なさってから、初めての陶芸作品の個展をなさったのを拝見する機会がありました。氏が陶芸を本格的にはじめてから、まだそれほど時間が経っていなかった頃だったのだと思います。いくつも並んだお抹茶碗は、どれも手に持ったらとても重たくて使いにくいだろうと思える姿(失礼!)ながら、全体から醸し出される雰囲気の良さに感嘆。なるほど「良いもの」に囲まれて育ち、ふだんからそのような環境で生活している人には、そういうものが自然と身に付くのかもしれないな、と思わされた出来事でした。

さて「書画陶芸」。今年7月に開催される銀座黒田陶苑さんでの藤吉憲典の個展では、文字通り「書」と「画」と「陶芸」を御覧に入れる予定です。そもそも仕事として発表していなかっただけで、書も画も長年のキャリアを持つ藤吉憲典。その腕前に、「作品として出さないのですか?」という声はずっと頂いておりました。

実は、コロナ禍に入る前の2019年のロンドンSladmore Contemporaryでの個展や、

2019年から2020年にかけて黒田陶苑さんが主催した上海での陶芸展では、ファンサービスとして個展会場でスケッチや書画を描いて(書いて)差し上げる、ということをいたしました。その場でさらっと描いたのでしたが、これが大好評。

そのたしかな感触を得た後、コロナ禍下の2年間は作家が自分自身と向き合う時間となり、「自分にできる、自分がやりたい表現方法を全て出す」今回の意思決定につながりました。もちろん、書画についても、プロとしての質を担保した作品をご覧いただきます。

その最初の機会となるのが、銀座の黒田陶苑さん。黒田陶苑さんは、北大路魯山人の鑑定人としても有名です。北大路魯山人といえば、もちろん陶芸作品を多数残していますが、書画も残している、まさに文人的な作家。そんな所縁ある場所で、藤吉憲典の新たなチャレンジをさせていただけることとなり、とてもありがたくワクワクしています。

銀座黒田陶苑さんと北大路魯山人のつながりは、黒田さんの社史にまとめられています。https://kurodatouen.com/history

銀座の黒田陶苑さんでの個展は2020年の予定がコロナで延期になりましたので、久しぶりとなります。ご来場の皆さまに、これまで以上に大いに楽しんでいただけますように。わたしも今年あたりは会場入りしたいところです。