郷育カレッジ講座『知識要らずの美術鑑賞』開催しました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

郷育カレッジ講座『知識要らずの美術鑑賞』開催しました。

福津市民のための生涯学習システム「郷育カレッジ」。担当講座『知識要らずの美術鑑賞』を開催いたしました。この美術鑑賞講座、郷育カレッジのプログラムに入ったのは3年前でしたが、天候不良やコロナ禍で中止が続き、昨年3年目にしてようやく初開催。

受講生と美術館に足を運び、美術鑑賞をすることを目的とした講座ですが、コロナ禍のため研修室で座学での開催となっています。今回も座学ながら、福岡市美術館さんのご協力を得て、ちょっぴり美術館訪問気分を味わっていただくことを目指しました。

学芸員技術研修会などでご一緒した福岡市美術館の学芸員さんにご相談し、福岡市美術館内での協議を経て、試験的に福津市でのアウトリーチ(出張講座)をしていただけることが決定したのは、今年度初めのこと。「福岡市」美術館なので、アウトリーチも福岡市内での対応を想定しているものの、市外からの問い合わせも増えつつあるということで、今後の市外対応可能性を検討するためのテストケースとして、採用していただくことになりました。

ひと月前に詳細打合せを行い、当日は、教育普及担当の学芸員さんがお二人、今回のアウトリーチで使用するシャガールの複製画の解説に、近現代西洋美術専門学芸員さんがお一人、計三名で対応してくださいました。ワークショップあり、鑑賞タイムあり、シンキングタイムありで、密度の濃い1時間半でした。特に、シャガール「空飛ぶアトラージュ」の複製画鑑賞後に意見交換し、専門の学芸員さんからお話を聞くことが出来たのは、受講者の皆さんにとってもとても良い時間になったと思います。

今回も満員御礼、定員いっぱいの皆さんにご参加いただくことが出来ました。福津市内には美術館がありませんが、皆さんの美術的な体験への関心の高さを強く感じた講座となりました。あらためて、講座協力をしてくださった福岡市美術館の皆さまに、心より感謝です。来年はそろそろ美術館訪問での講座ができることを祈りつつ。

読書『さようなら、オレンジ』『サンクチュアリ』(筑摩書房)岩城けい著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『さようなら、オレンジ』『サンクチュアリ』(筑摩書房)岩城けい著

岩城けいさん、二連荘。お盆に読んだ『サウンド・ポスト』が良かったので、デビュー作の『さようなら、オレンジ』(2013年)と、最新作『サウンド・ポスト』のひとつ前の『サンクチュアリ』(2020年)を連続で読みました。

『サウンド・ポスト』読後に書いた「見た目(外見)と、ことば(母語)と、音楽と、人種差別と、偏見と、経済格差。オーストラリア在住という著者の問題提起が芯を貫いているように感じました。」の感想は、「音楽」は除くものの、そのままこの2冊にも通底しました。

ともあれ2冊とも、週末の隙間時間で読了しました。どちらも160ページほど。中編とでも呼ぶべきボリュームでしょうか。短時間で読みましたが、しっかりと心に残ったのは、考えさせられるテーマ故。なかでもデビュー作の『さようなら、オレンジ』が、特に響きました。静かな文体から滲み出る迫力、登場人物の心の悲鳴のようなもの。それでもラストに見えた希望に、ある種の爽やかさのある読後感でした。

同じテーマを、姿を変えて書き続けるというのは、作家にとって難しいことでは無いのだろうか?と思ったり、逆にそのテーマがあるからこそ書き続けることが出来るのかも、と思ったり。立て続けに3冊読んだので、ちょっぴり休憩が必要です。未読の著書がまだありますので、少しおいてから復活予定。著者の、別テーマでの小説も読んでみたいな、と思いました。

『さようなら、オレンジ』岩城けい

『サンクチュアリ』岩城けい著

九州EC勉強会『早和果樹園みかんの6次産業「つくる、育てる、そして発信する」』に参加してまいりました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

九州EC勉強会『早和果樹園みかんの6次産業「つくる、育てる、そして発信する」』に参加してまいりました。

九州EC=九州ECミーティングは、経営者・ECに取り組む方々が幹事となり、事業運営に役立つ情報交換・提供を行う会です。2005年1月に「九州でも東京並みの情報が得られる場」を目的に結成され、現在も完全ボランティアで続いている、稀有な勉強会組織です。

2022年度3回目の九州EC勉強会は、農業の6次産業化事例。とのタイトルでしたが、実際にお話を伺うと、6次産業化はその途上の通過点に過ぎず、事業が今後さらに多角的に広がっていくことをイメージさせるものでした。講師は、早和果樹園の代表取締役・秋竹俊伸氏と、同社EC事業課長の青山航大氏。

九州ECの勉強会に参加するといつも感じることですが、今勢いのある経営者の方の話を聞くと、その会社の業種や事業形態やスタンス(理念)を通して、現在の日本・世界の状況が見えてきます。「今日から使える具体的な改善策」を学ぶのももちろん嬉しいですが、より大きな視点で世の中の状況が見えてくるお話を伺うのも、勉強会の醍醐味。そういう意味でも、第一部では経営のお話を伺い、第二部ではEC事業の実践的なお話を伺うことが出来た今回の勉強会は、両方の視点から学べるありがたい機会でした。

以下、備忘。


  • 果樹農家は規模拡大が難しく、栽培不振の影響は避けられず、法人化率も低い→農産加工からスタート、6次産業化による規模拡大、強い組織づくりのための法人化。
  • 現在売り上げの80%が加工品。
  • 自前=高収益。
  • 国際認証の取得→ヨーロッパへフリーパスで出せる=品質の証。
  • 大切な「みかん」を無駄にしない=みかん農家だからこそできること、大手じゃないからこそできること。
  • BtoB、BtoCともに自社主導の販路開拓。
  • 継続的なファンづくり(年1回のイベント)=地域貢献にもつながっている。
  • 拡大するには「必ず」外部の協力を求める(必要)。
  • 拡大か?自己完結型の6次化か?
  • 小さくも模倣困難性の高いビジネスモデル。
  • 売上を伸ばすには、まず人を採用。
  • ホワイトな就職先としての農家。
  • 独立自営の農家ではなく、「農家に就職する」が一般的になることの意味。
  • 日本国内における農業法人の割合と、農産物生産の割合→食料自給率向上への光。
  • MQ会計。(参『中小企業は「原価計算」で損をしている』(日経BP)古田圡 満氏)。
  • (独立自営の農家としてではなく)「農家に就職する」が一般的になることの意味・効用。

九州EC勉強会『早和果樹園みかんの6次産業「つくる、育てる、そして発信する」』より


日本の農業と食糧自給について、深く考えさせられる内容でもありました。そして、そこに一縷の光があることを確信出来たお話でした。花祭窯の創業地・佐賀花祭も、みかん栽培農家さんが何件かいらっしゃいましたが、どこも後継ぎが無く、年々耕作放棄の農地(果樹園)が増えて行くのを目の当たりにしていました。今回のお話で、方法はあるし、そこに携わろうとしている若い人も居ることがわかり、大きな希望を感じました。受け皿となる早和果樹園さんのような会社が、全国にたくさん生まれることを切に願う勉強会でした。