こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
2023読書、年間ベスト5。
昨日、下半期ベスト5を出しましたので、
この流れに乗って、年間ベスト5まで出してみます。
1位『私はスカーレット 上・下』(小学館)林真理子著
林真理子氏のすごみを感じた上下巻でした。本書とアレクサンドラ・リプリー著『スカーレット』で、今年下半期はスカーレットの魅力にすっかり取り込まれました。来年はマーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ』の再読を企んでいます。
2位『罪の轍』奥田英朗著
本書が「奥田英朗」ワールドに引き込まれた最初の一冊。今年5月からはじまり、たくさん読みました。著者を教えてくれた方が、「この人は、腹抱えて転げまわるほど面白い小説と、とんでもなくシリアスな小説の両方書くので毎回楽しみ」とおっしゃっていたのですが、ほんとうにその通りでした。
3位『名画の生まれるとき 美術の力Ⅱ』宮下喜久朗著
本書より先に出版されていた『美術の力』と並び、これから先、何度も読み返すことになることが確実な一冊です。「通常の展覧会であれば、作品群が撤去された後の展示室は、そこにあった絵画や彫刻の気配や、展示風景の記憶を濃厚に留めている」「作品のある空間に身を置いて作品と対面する体験がどれほど大切か」など、言葉が重く響きます。
4位『フローリングのお手入れ方法』ウィル・ワイルズ著
本書に続いて読んだ『時間のないホテル』も面白かったウィル・ワイルズ。「SF小説」のイメージが変わりました。出版社(東京創元社)のサイトで本書紹介に「恐ろしくもおかしいカフカ的不条理世界」と書いてありましたが、その通り、中毒性のある怖さと可笑しさの絶妙の組み合わせでした。新作が楽しみな作家さんです。
5位『休館日の彼女たち』(筑摩書房)八木詠美 著
設定はかなり突飛ですが、それに反して、とても静かな筆致で、独特の世界観が広がっていました。現実的には「ありえない」突飛さでしたので、ある意味「SF」と呼べるのかもしれません。本書の前に出ている『空芯手帳』は、現実的にじゅうぶん有り得る突飛さ(怖さ)で相当面白く、追っかけたい作家さんの一人となりました。
振り返ってみれば、上半期から3冊、下半期から2冊とバランスよく。「初めまして」の作家さんにたくさん出会えているのは、いつものご近所カメリアステージ図書館のおかげです。しかし年間通しても、5位内のうち4つまでが小説でした。いかに逃避先を確保していたか、ですね(笑)
来年もたくさんの良書(わたしにとっての!)に出会えますように♪