太鼓の音が聞こえてくる一週間。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

太鼓の音が聞こえてくる一週間。

秋季大祭の続く、ここ津屋崎界隈。9月一番手の金毘羅さんにはじまり、お彼岸の頃には宮地嶽神社のお祭りと花火が盛大に開催され、と、ようやく「いつもの秋」の行事が粛々と復活し、嬉しい今日この頃です。

そして今週末は、地元の波折神社のおくんちです。4年ぶりに子どもたちの太鼓を含めた行列やら、神社境内での子ども相撲が開催されるとあり、ワクワクしています。それはわたしだけでなかったようで、山笠(7月)頃から、ご近所のおじさんたちに「息子さん、太鼓の練習指導に来てくれんかな。忙しいやろうけど、一日でもいいから」と、声をかけられておりました。

そしてこの1週間、日が暮れた頃になると太鼓の音が響いてきています。最初は小さな音がとぎれとぎれに。そのうち力強い太鼓の音が連続的に。練習開始時間より早く来てたたき始める子、学校や部活帰りに急いでやってくる子、何人もの小中学生が集まってきている様子が、音から感じられます。

練習が始まった最初のうちはバラバラとしていた太鼓の音も、日が経つにつれて少しづつまとまりが感じられるようになってきました。何年もその音を聞いてきていたので、わたしもリズムを覚えており、音が間違えたり止まったりすると、その都度「がんばれ!」という思いで笑顔になります。練習が始まる前は「1日でも教えに行けたらいいな」と言っていた息子も、蓋を開けてみればほぼ毎晩、小中学生の指導に出かけています。

思えば、もともとおくんちの太鼓は小学校高学年の子どもから叩けるようになっていたのが、人数が足りなくて低学年の息子に声がかかり、境内でお兄ちゃんたちにやさしく教えてもらったのが10年以上前のこと。当時背が小さい方だった息子に合わせて、おじさんたちが懸命に太鼓の高さを調節してくれていたことなども思い出します。その時親切にしてもらった嬉しい思いが、ずっと残っているのでしょう。

また、中学生の時まで一緒に太鼓をたたいていた同級生数人が、やはり指導に来てくれていて、再開の機会にもなっているようです。近所に住んでいても、学校が離れ離れになると、なかなか顔を合わせないもの。数年ぶりに会って近況を知ることが出来たと、とても嬉しそうでした。地域のお祭りの良さですね。

秋の夜の太鼓の楽しみも、今週末のお祭りでひと段落です。当日みんなが無事に務められますように!

読書『TRANSIT』No.60、No.61(講談社MOOK)ユーフォリアファクトリー

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『TRANSIT』No.60、No.61(講談社MOOK)ユーフォリアファクトリー

2023年の、花祭窯の年間定期購読紙『TRASIT』。雑誌ですが「読書」と言ってよいのではないかというボリュームです…と、ご紹介したのは今年の春のことでした。

No.59「東インド・バングラディシュ」のあとに、No.60「メキシコ」、No.61「イタリア」と続いています。最初に手にしたのが「バングラディシュ」でしたので、なかなか手強いぞ!と構えておりましたが、メキシコ、イタリアと、次第に馴染みのある国名になって参りました。

まずは、No.60メキシコ。メキシコ=サボテンブラザーズ、タコス、フリーダ・カーロ(フリーダ・カーロの自画像に似ているね、と言われたことが少なからずなので、彼女には親近感を持っています)…ぐらいのイメージしか持ち合わせていなかったわたしにとって、色鮮やかな写真の数々は、とても刺激的でした。マヤ文明をはじめとした古代メキシコ世界、多神教世界の魅力的な偶像の数々、現代にも続く季節ごとの多様な祭礼儀式、カルト信仰にシャーマニズム…。消化しきれない大量の情報が一冊に込められています。

九州国立博物館ではこの10月から特別展「古代メキシコ」が開催中。もともと「観に行かねば!」の展覧会ではありますが、グッドタイミングに本誌を手にすることが出来ましたので、ますます楽しみになって参りました。

続いては、No.61イタリア。イタリアの特集号が手元に届いたのは、ちょうどダンナ・藤吉憲典をイタリアに送り出してホッとした翌日のことでした。個人的に、これまたグッドタイミング♪どうやら引き寄せの法則が働いているようです。

巻頭特集が、バレーボール日本代表でイタリアリーグに所属している高橋藍選手のインタビューだったのは、まったくもって意表を突かれました。小中高とバレーボール漬けだったわたしとしては、飛びつきましたが(笑)。もちろん、古代ローマに始まる栄枯盛衰の物語、芸術の話、デザインの話など、これぞイタリアという興味をそそる記事が深堀りされています。

いずれも「雑誌をパラパラとめくる」というスタンスでは、読み込み不可能な圧巻のボリューム。完全に保存版です。年4回=3か月ごとの発刊ですが、その間に少しづつ読み消化していくと思えば、ちょうど良いペースかもしれません。

『TRANSIT』ユーフォリアファクトリーの公式サイトTRANSIT Webはこちら。

ウェブサイトも写真が美しく、魅力的なコンテンツ満載です。わたし個人的には、本誌に限らず紙媒体派ですが。次号が届くのがとっても楽しみです♪

KENSUKE FUJIYOSHI 公式サイトプチリニューアル。

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KENSUKE FUJIYOSHI 公式サイトプチリニューアル。

藤吉憲典の公式サイトを前回リニューアルしたのは2020年夏から秋のことでした。

ちょうど3年ぶりとなる今回も、夏から作業に入っていただき、先月アップしたのでした。

今回も、ウェブ制作を担当してくださったのは、福岡を拠点にご活躍のウェブデザイナー・ハラプロ原田大輔さん。そして、いつも作品を撮ってくださるabc pictures 赤司憲壕さんの写真に、今回も大いに助けていただきました。おかげさまで、格好良いサイトが出来上がりました。

リニューアルの主目的は、藤吉憲典の新しい作品群である「書画(Ink Drawing)」を、サイトでもご紹介すること。

藤吉憲典公式サイト Ink Drawingページ

更新が滞っていた藤吉憲典の略歴書(最新のレジュメ)も、日本語版・英語版ともに2023年度版に更新することが出来ました。PDFになっていますので、ダウンロードしてご覧いただくことが出来ます。

藤吉憲典の最新陶歴(The latest profile of Kensuke FUJIYOSHI)

こちらは今後、年に1回のペースで定期更新していこうと考えていますが、ご必要なタイミングでの「最新版レジュメ」が必要な場合は、その都度ご連絡を頂ければご提供することが可能です。

陶芸家・磁器彫刻家・書画家として活動の幅を広げていく藤吉憲典について、わかりやすく情報提供ができるよう、今後も心掛けて参ります。

KENSUKE FUJIYOSHI 公式サイト

読書『犬は「びよ」と鳴いていた』(光文社未来ライブラリー)山口仲美著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『犬は「びよ」と鳴いていた 日本語は擬音語・擬態語が面白い』(光文社未来ライブラリー)山口仲美著

サブタイトルにある「日本語は擬音語・擬態語が面白い」そのままの内容です。文学博士・日本語学者であり、日本語の「名脇役」の歴史と謎を研究する第一人者である著者の、光文社新書のロングセラーの文庫化版。このようなマニアックな本がロングセラーになり文庫化されることが、個人的にはとても嬉しいです。そして遡っては、このような本を新書として発刊してくれた光文社新書の編集者の方々の意欲に脱帽します。本書のエピローグで、新書の発刊と文庫化への経緯が書かれていますので、興味のある方は、ぜひ。

英語の3倍から5倍以上もあるといわれる、日本語の擬音語擬態語。わたしたちはふだん当然のように会話で使っていて、当然のようにお互いに意味を理解しています(と思っています)が、日本語が母国語ではない方々にとっては、とても理解しにくく困るものだということで、日本語の大きな特色であるということが、あらためてわかりました。

それにしても、面白いです。時代時代によって音の表現がことなることや、その変化のなかにも変わらないものや、規則性が見つけられること。読むほどに「なるほどなぁ」と納得したり、「そんなことが!」と驚いたり。文字・言葉を仕事にする人たちの、擬音語擬態語に向き合う態度の違いにも、面白さを感じます。これでもかというように例示と検証が登場してきます。言葉や文字を生業にする方には、ぜひ読んで欲しい一冊です。

顧みて自分自身がこのブログひとつとっても、「書く」作業のなかで、擬音語・擬態語をどのように位置づけていたかしらと、省みる機会にもなりました。一時期、できるだけ使わないようにと意識していたこともありましたが、ここ数年はまったく意識していませんでした。放っておくと、ふだんの会話では「擬音語擬態語」をかなり多用しているわたし。本書を読んで、さて今後のブログではこの魅力的な日本語表現をどのように扱っていこうかと考え中です。

『犬は「びよ」と鳴いていた 日本語は擬音語・擬態語が面白い』(光文社未来ライブラリー)山口仲美著

アーティスト・藤吉憲典のイタリア短期研修報告、その2。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

アーティスト・藤吉憲典のイタリア短期研修報告、その2。

トスカーナ州カッラーラでの約2週間の大理石彫刻の研修。カッラーラは大理石の世界的な産地であり、ミケランジェロはじめ、ルネッサンスの偉人たちがここに通い詰めて彫刻を制作した、まさに「聖地」です。

大理石の山に囲まれた研修場所は、工房(作業場)と寮があり、寮にはWi-Fiが通っていますがラジオやテレビはなく、まさに大理石彫刻のほかにするべきことがない=そこに集中できる環境だったそうです。周囲には飲食店はなく、キッチンがついているので、近くのスーパーに買い出しに行って自炊をする前提です。同じタイミングで参加していたフランスから来たジャン・ピエール氏が、彼は何度目かの研修だったということで、買い物や料理その他、なにかと気を使って助けてくださったとのこと。ありがたいですね。

大理石を彫る作業は、ふだんの磁器制作とは使う筋肉がまったく違ったということで、毎日体力を使い果たして一日を終えたようでした。マエストロが指導してくださるのをはじめ、近所に工房を持つ大理石作家の方々が、ちょこちょことのぞきにいらっしゃるようで、たくさん声をかけていただきながらの研修となったようです。周囲にある作家の工房には、どの工房にもミケランジェロのダヴィデ像の「写し」が、大小さまざまなサイズで作られていたそうで、それがその彫刻家の「これだけの腕がありますよ」を保証するものとなっていたようです。

そんな環境のなか、藤吉憲典が研修中に一番言われた言葉は「ゆっくりゆっくり」だったと。研修期間が2週間という短期でもあり、そのなかで作品をひとつ完成させようと、大理石を彫るスピードが知らず知らず、速くなっていたようです。アーティストならではの、初めてで自分にどれぐらいできるものかを見てみたいという自負もあったでしょう。「もっとゆっくりじっくり取り組みなさい」ということを、ことあるごとに声掛けしていただいていたとのことでした。

イタリア語はまったくわからず、英語もほとんどしゃべることのできない藤吉憲典ですが、無事研修期間を楽しんできたことがわかるのは、上の写真の笑顔が物語っています。イタリア語、英語、フランス語、スペイン語の飛び交う空間で、モノづくりという一点でつながっているからこそ言語外に通じるものがあるというのは、モノづくりのできないわたしにとってはなんともうらやましいことでもあります。週末にはマエストロはじめ皆で、ピエトラサンタに出かけ晩餐を楽しんだり、カッラーラの中心地に出かけて古い街並みを歩いたりもできたと。さりげなくサポートしてくださったのであろう皆さんに、心より感謝です。

そうして出来上がった作品を、手荷物で大事に大事に抱えて持って帰ってきました。ルネサンス時代・マニエリズム美術の起点になったと言われる「セルぺンティナータ(螺旋状の/蛇がとぐろを巻いたような)」が思い浮かぶ、ドラゴンが柱に巻き付いている、の図です。最初にデッサンを描いて見せたときには、マエストロに「初めてなのにこれにチャレンジするのか?難しいぞ!」と言われたそうですが、そのマエストロの技術指導のもと、ここまで形になったようです。

藤吉憲典カッラーラ大理石彫刻研修

ふだんの磁器彫刻作品の完成度の高さを見慣れているワタシや息子としては、「初めてにしてはすごいんだろうね」というぐらいの感想でしたが、ミラノマルペンサ空港の出国手続きで「この大理石彫刻は高価なものだろう!?」と止められたのだと、武勇伝(笑)。何人も駆けつけてきた空港スタッフに、スマホで撮っていた作業中の写真を見せて「自分が研修で作った習作である」ことを納得してもらい、「お前はアーティストなのか?」という問いに「そうだ!」と返事して無事ゲートを通過できたのだそうで、なによりでした。

これからさらに細かいところを彫り込み、やすりで磨いていき、仕上げていくようです。研修中は、彫刻に使う道具はすべて研修所が貸してくれていましたので、道具を買う必要があるのかなと思いましたが、ダンナのお父さんが篆刻をしていたため、うちには石を彫る道具があり、それがそのまま使えるということに気づきました。書に端を発する篆刻が大理石彫刻と結びつくなんて、まったく思ってもみなかったことであり、思いがけずつながっている不思議を感じました。

現地での様子(写真)は、藤吉憲典の公式フェイスブックページでご紹介しています。

藤吉憲典公式フェイスブックページ イタリアカッラーラ研修2023