博物館学芸員技術研修会

2024年度の文化庁「大学における文化芸術推進事業」連続講座・オンライン語り場がスタートしました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

2024年度の文化庁「大学における文化芸術推進事業」連続講座・オンライン語り場がスタートしました。

2016年からお世話になっている、九州産業大学の緒方先生が責任者を務める博物館学芸員のための技術研修会。コロナ禍を経てここ数年は、Zoomを活用した「博物館リンクワーカー養成講座」のプログラムが定着してきています。その結果、全国各地の博物館施設から参加する学芸員さんが、ますます増えています。そうした成果を受けてでしょう、2024年度は昨年度までからの倍の数のプログラムが組まれています。

前半は「ミュージアムと地域住民とのつなぎ方を考える」後半は「地域の子ども、若者を支えるミュージアム活動」ということで、各6回=6施設×2テーマ、つまり12もの事例について、実際に携わった方から取り組み報告を聞くことが出来ます。その報告を受けて、学芸員をはじめとした専門職の皆さんとグループワークでの意見交換。この時間がまた、とても貴重です。

第一回目の九州国立博物館の教育普及担当学芸員さんからの報告は、視覚障がい者のかたとの美術鑑賞プログラム開発の取り組みでした。タイトルは「さわる、歩く、なりきる」。そのなかで、最も強調されていたのが「当事者に聞く」「当事者からフィードバックを受ける」ことの重要性でした。「たくさん失敗して、たくさんお叱りを受けながらやってきました」とおっしゃりながら、より意味のあるプログラムを開発するために、「聞く」「フィードバックを受ける」ための土台をしっかり築いてこられた、担当学芸員さんの地道な力を感じました。

緒方先生が責任者を務める博物館学芸員研修会の根本にあるテーマは、わたしが初めて参加した2016年から変わらず「ミュージアムとウェルビーイング」です。スタート当時は「ウェルビーイング」という言葉こそ使われていませんでしたが、「LIFE」すなわち生きること・命との関りに博物館施設が果たせる役割をずっと探求し続けていて、この核はずっと変わっていないと感じます。

連続講座は12月まで続きます。ひとつでも多くの事例から、自分の取り組みに生かせるものを学びとりたいと思います。

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。