こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
九州産業大学の公開講座―実証実験「『博物館浴』でリラックスしませんか」に参加して参りました。
博物館学芸員の技術研修で毎年お世話になっている、九州産業大学特任教授・緒方泉先生からのご案内をいただき、「博物館浴」の実証実験に参加して参りました。美術館博物館がウェルビーイングに果たせる役割として、2020年から全国各地で実証実験を重ねてきておられる緒方先生。わたしもこれまでにも参加したことがありましたが、今回、久しぶりに福岡近隣で一般参加できる実証実験の機会とあって、足を運んで参りました。
アートエデュケーターふじゆりのブログ「博物館浴」に関する記事
実証に使用するデータは「血圧(最高血圧・最低血圧)、心拍数、心理測定(POMS)」です。「測定→美術鑑賞→再測定」によって、その変化を記録し、集まったデータから傾向や特徴を読みとります。二回目の測定が終わった後に、参加者に向けてのレクチャーがあります。
以下、備忘。
- 「黙々鑑賞」と「おしゃべり鑑賞」
- 「社会とのつながり」は、健康を考えるときに、食事や運動と並んで重要な要素の一つ。
- 美術館博物館は日本全国に5700館以上あるのに、日本人の訪問回数平均は1.2回。
- 博物館の社会的役割。
- ロンドン大学研究グループによる2019年の論文で「文化芸術を鑑賞する習慣のある人は、そうでない人よりも、死亡率が有意に低い」。
- 博物館美術館の新たな価値=知的・創造的役割+Well Beingへの寄与。
- 10分の美術鑑賞でも、リラックス効果が認められる。
- →「年間パスポート」サービス拡充・有効活用の必要性。
- 「血圧・心拍数。心理測定」による実証実験は、「森林浴」において30年以上のエビデンスがある。
- リラックス効果=血圧も心拍数も、正常値に戻ろうとする(高い人は下がり、低い人は上がる)。
- 体調・状態により作品を選ぶ必要もあり。
- 今後の動きとして「処方箋に『博物館』と書く」を目指したアプリ開発:このような体調のときは、このような作品を見ることがおススメ、を提案できるアプリ。
ちなみにわたし自身のデータとしては、「血圧」は美術鑑賞前後でほとんど変わりませんでした。これは、そもそも自律神経(交感神経・副交感神経)のバランスが安定している状態であったことを示しているようです。それに対して「心拍数」は鑑賞後で下がっており、リラックスして呼吸が深くなった状態に変化したらしいことがわかりました。
被験者としての体験もまた、今後提供していくアートエデュケーションに大きく役立ちそうです。機会をくださいました緒方先生に心より感謝いたします。