こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
読書『ある晴れたXデイに カシュニッツ短編傑作選』(東京創元社)マリー・ルイーゼ・カシュニッツ著/酒寄進一 編訳
いつものカメリアステージ図書館新刊棚。既視感のあるタイトルに吸い寄せられました。ブログでセルフ検索をかけて納得、2年ほど前に同著者の、やはり短編集『その昔、N市では』を読んでおりました。せっかくなら本書のタイトルにも「、」を付けて、『ある晴れた、Xデイに』にしたらより既視感が増したのに、などとどうでもよいことを思いつつ(笑)
さて『ある晴れたXデイに』。いずれの物語も、読み終わった後になんとも「わけの分からない感じ」が残ります。東京創元社での本書の紹介ページに「日常に忍びこむ幻想」という言葉があるのですが、まさにそれ。ありえなさそうで、ありえそう、の怖さ。読んでいる自分にもイメージできるからこそ、の怖さです。少ない文章のなかで、過剰に説明することなく、でもその光景をありありとイメージさせる、著者の凄みを感じる一冊です。
著者は1974年に亡くなっていますので、あらたな作品が生まれることはありませんが、既に出ていて日本にまだ紹介されていないものがたくさんあるはずです。出版社や訳者の方の熱意で、また短編集を作って出してくれないかな、と期待しています。
東京創元社さんは「ミステリー・SF・ファンタジー・ホラーの専門出版」なのですね。わたし自身は、あまりSFやファンタジーやホラーにあまり興味が無いと思っていましたが、試しに調べてみたところ、このブログに読書記録を残しているぶんだけでも、ここ数年で10冊以上、東京創元社から出ている本を読んでいました。そういえば子どもの頃は星新一の短編集が大好きだったことを思い出し。