ご質問をいただいたので、あらためて龍の文様(特に爪の数)について調べてみました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ご質問をいただいたので、あらためて龍の文様(特に爪の数)について調べてみました。

やきものに描かれる龍の絵(文様)には、三本爪、四本爪、五本爪と、爪の数の描かれ方がさまざまです。「五本爪は中国皇帝への献上品だった」(けれど、現代では中国でも日本でもあまり関係なく描かれている)というのは、この業界ではあたりまえに言われていることでしたので、その認識でずっと仕事をしてまいりました。作品に描かれた龍の爪について説明をするときも、そのように申し上げておりました。

今回、龍の掛け軸をお届けしたお客さまから「龍の爪は五本爪が本物なのでは無いでしょうか」というお問い合わせがありました。どうやら少し知識のある方が、そのような話をしたようです。その掛軸に描いていたのは四本爪の龍でしたので、お客さまのご心配を取り除くためにも、この機会にあらためて文献に当たったうえで、ご説明することに。

龍の掛け軸 藤吉憲典

中国の古いやきものの資料も、花祭窯にはたくさんありますが、ちょうどタイミングよく、つい先日中国上海から帰国した友人から『中国文様全集』の贈り物をいただいたところでした。年代別に描かれた中国の文様事典です。やきものに限らず、さまざまな場面で描かれてきた文様、造形されてきたデザインが、膨大な資料として編纂されていて、日本ではなかなか手に入らないであろう貴重な資料です。

『中国文様全集』

この全集の背表紙に描かれているのも龍で、こちらの爪は四本。資料を開くより先に「五本爪ではないからと言って、ほんものではないという言い方はできない」ことが真っ先に証明されました。本資料と、その他の資料をあたって、お客さまにご説明差し上げた「龍の爪問題」への回答は次の通りです。


  • 龍の爪の本数については、中国では、歴史的に皇帝への献上品(すなわち皇帝に認められた官窯で作られるもの)だけに許されるものとして、5本爪が描かれてきました。
  • 龍は霊獣のひとつ、そもそも想像上の存在なので、何が正しいというものはありません。猛禽類の足の鉤爪を模して龍の爪であるとする解釈があります。猛禽類の爪(足)は、前に 3 本、 後ろに 1 本の合計4本です。
  • 日本では、水墨画などにおいても、歴史的に見ても3本爪か4本爪で描かれているのが一般的です。
  • 5本爪だけが「本物」とする説は、中国の骨董品を見極めるときに、それがきちんと官窯(皇帝のお抱え窯)で作られたものかどうか、という点で語られる視点としては、ありえます。 が、これも当時からたくさんの模造品が作られていますし、現代では誰でも自由に描いています。
  • 5本爪で皇帝の権威を示すようになったのは、明時代からのようです。それ以前の時代は、3本爪か4本爪で描かれているのが一般的です。

このような回答となりました。お客さまからのおたずねで、あらためて調べ直す機会を得たおかげで、今後同様のご質問をいただいた場合にも、またきちんとご説明できそうです。

十五夜―お月さまが明るいなと思っていたら、中秋の名月なのでした。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

十五夜―お月さまが明るいなと思っていたら、中秋の名月なのでした。

最近お気に入りの和菓子屋さんは、JR久留米駅から徒歩圏にある「和菓子処とらや」さん。

和菓子処とらや

お気に入りとはいえ、近所ではないので、久留米に行く用事があるときに寄る、という感じなのですが。定番の日常のおやつ的和菓子から、季節の上生菓子まで、種類もたくさん。初めてお店に行ったときには、朝一番にもかかわらず、地元の常連さんと思しきお客さまが次々にいらっしゃって、気がつけば行列が出来ており、びっくりしたのでした。

そして本日いただいたのが、こちら。

中秋の名月 久留米とらやの月見饅頭

写真がピンボケですが…^^;

紅白の兎さんは、あんこがたっぷりの上用饅頭、満月は栗が一粒入った外郎製の生菓子で、毎年人気の「十五夜セット」とのこと。その姿の可愛らしさに、すっかり嬉しくなってしまいました。味が美味しいのはもちろんです。

本日は快晴なので、この感じだと明るいお月さまを拝むことが出来そうです^^

【第110回九州EC勉強会】『商品特性、経営資源別越境ECの勝ち方』に参加して参りました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

【第110回九州EC勉強会】『商品特性、経営資源別越境ECの勝ち方』に参加して参りました。

九州EC(九州ECミーティング)は、経営者・ECに取り組む方々が幹事となり、事業運営に役立つ情報交換・提供を行う会です。現在も完全ボランティアで続いている、稀有な勉強会組織です。今回の講師は、世界へボカン株式会社代表取締役の徳田祐希氏。九州ECでは初めての本格的な「越境」のお話で、そこに越境ECのコンサルとして、今真っ先にお名前の挙がる専門家の徳田祐希氏がいらっしゃるあたりが、この勉強会の凄さだと思います。

花祭窯としては、これまでにも徳田氏には勝手にお世話になっておりました。著書やYouTube(このYouTubeチャンネルが、すごいノウハウの宝庫です)で学んだり、

YouTubeチャンネル:越境EC・海外WEBマーケティング_世界へボカン

中小機構の専門家相談で面談の時間を取っていただいたり。

というわけで、今回初めて「生の徳田さん」のお話を聞けるとあり、一も二もなくセミナーに申し込んだのでした。以下備忘。


  • あたりまえのことをコツコツ。
  • 調査→戦略立案、が先。
  • (参考)https://www.sazentea.com/en/
  • クライアントの要望と、それを解決する商品を、紐づけする商品説明。
  • Shopifyのアプリ活用:Omnisend
  • Keep in touch
  • メルマガによる信頼構築は今も有効。
  • 海外のお客さまが「買える場所」を作る。
  • ロイヤルカスタマーを大切にする。
  • 「買う理由」を直接聞く。
  • お客さまは「見たい情報」しか見ていない。
  • オムニハブ:インバウンド観光と連動する。
  • 顧客との接点を「実店舗」で持つ。
  • インバウンド向けの接客ツールとして、インスタのリールは使える。
  • 卸売ページの作り方(参考)kakuritools.com
  • 絵画や高級品にはDHLがおススメ。
  • コミュニケーションツールをできるだけ一本化する。
  • ペイパル=購入者保護の仕組みがあるため信頼性が高い。
  • 顧客との最初の接点をどこでもつか。

【第110回九州EC勉強会】『商品特性、経営資源別越境ECの勝ち方』より


徳田さんがすごいな、と思うのは、必要以上の期待を抱かせず、本音で冷静に助言をくださること。たくさんの事例をお話下さるなかで、花祭窯としてはどのような方法が考えられるかを、じっくり考える機会になりました。また個人的には、これまで他の機関での海外進出サポートをしておられて、花祭窯の海外展開の初期の頃にたいへんお世話になった方が、世界ヘボカンさんに転職しておられて、思いがけず久しぶりにお会いできたのが、嬉しかったです。

お忙しいなか九州ECでの講師を引き受け、福岡にいらしてくださった世界へボカンの徳田さんとスタッフの皆さま、勉強会を企画運営してくださる九州EC幹事の皆さまに、心より感謝です。

2024年度の中学生職場体験学習を受け入れました@花祭窯。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

2024年度の中学生職場体験学習を受け入れました@花祭窯。

ここ津屋崎に花祭窯の工房を移転してきたのが2012年。翌2013年からコロナ禍に入る前はまで、毎年中学生の職場体験学習を受け入れてきました。上の写真は2015年の時のものです。「職場体験受け入れ中」のシールを学校が作ってくださり、期間中、玄関先に貼っていたのでした。これはとても良い案だったと思います。また復活したら良いのに(笑)。

さてコロナ禍でしばらく職場体験学習自体が取りやめとなっていたのが、昨年から復活したと、市の教育委員会からご連絡をいただいていました。昨年は残念ながらダンナの日程が合わず受け入れできませんでしたので、花祭窯としては今年が復活第一弾となりました。中学生の職場体験。かつては5日間の受け入れ期間であったのが、3日間に短縮となっていました。3日間で何をやってもらおうか。お互いの時間を無駄にしないためにも、ある程度考えてから受け入れねばなりません。

今年花祭窯に来てくれたのは、津屋崎中学校二年生の女子二人。3日間のうち、最終日の一日は「陶芸(絵付)体験」にして、最初の二日間のメイン仕事には「図書館での資料集め」をお願いすることにしました。ちょうど作家(ダンナ)が、年末のロンドンでのクリスマス・ショウ向けに、「Animal Boxes」シリーズの制作に入っているところですので、その資料集めです。

福津市には二つの市立図書館があります。わたしがふだん使っているのは「カメリアステージ図書館」ですが、それぞれに強みがあるため、目的がはっきりしているときには、もう一つの「福津市立図書館」に優先的に足を運ぶことも多々あります。そして動物の写真データがたくさん載っている資料本となると、実は福間にある福津市立図書館の蔵書の方が豊富です。

福津市の図書館

まずは福津市立図書館で資料を集め、ダンナにチェックしてもらって不足しているものを、次はカメリアステージ図書館に行って探す、という手順。25冊もの資料を借りてくることが出来ました。福津市の図書館は、現在のところ貸し出し冊数の制限が無いので、こういうときありがたいです。

そのほかの時間には、梱包材となる「薄葉紙」や「ぷちぷち」を適度な大きさにカットしてもらう作業や、封筒や伝票にゴム印や落款を押してもらう作業などをお願いしました。どの仕事も、わたしが「時間があるときにやろう」と後回しにしてしまっていた作業です。この機会にすっかり片付けてもらうことが出来て、とっても助かりました。

最終日には、絵付け体験。これは一日がかりになるだろうと思っていたところが、中学生二人とも「絵を描く」が好きで、絵を描くことに慣れていたため、思いがけず半日で絵付を完成させることが出来ました。余った時間は、せっかく津屋崎千軒に来たのだから、ということで、ご近所の登録有形文化財「藍の家」に行って、伝統的な建築物の見学をすることに。藍の家保存会の方にガイドをしていただき、ちょっとした社会科見学ができました。

おかげさまで、無事三日間の職場体験学習が終了しました。あとは、中学生が絵付をした蕎麦猪口が焼き上がったら、連絡して取りに来てもらって、完了です。上手く焼き上がりますように。ともあれ、やはり他所のお子様を預かるというのは責任感を伴うもので、今はホッとしているところです。

福岡市美術館の教育普及プログラムを活用した「知識要らずの美術鑑賞」―講座受講生の声。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

福岡市美術館の教育普及プログラムを活用した「知識要らずの美術鑑賞」―講座受講生の声。

福津市民のための生涯学習システム「郷育カレッジ」で、今年も「知識要らずの美術鑑賞」講座を開催いたしました―とお伝えしたのは、つい先日のことでした。

当日参加してくださった受講生の皆さまからの声が届きました。郷育カレッジでは、講座の品質向上のために、それぞれの講座の後に、必ず受講生にアンケートの記入をお願いしています。そのアンケート結果が、講師にフィードバックされます。実は今回、そのアンケートだけでなく、わざわざ個別にメールでご感想を送ってくださった受講生の方がいらっしゃいました。とても嬉しかったので、それもあわせて、こちらに備忘。


  • いろんな角度から美術品を見学できて面白かった。
  • 何もわからない展示物を前にして、ボランティアの方がいろいろ質問で意見を引き出してくださって、わかりやすくて楽しかった。
  • 新発見があり面白かった。もっとたくさんの作品を見たかった。
  • 美術館に行ってもなかなかじっくり見ることがなかったので、いい経験になった。
  • ひとつの作品をゆっくり見ることができてよかった。
  • ボランティアの方や学芸員の方に説明していただき、とても良かった。
  • 美術館はだまって見ないといけないと思っていたが、皆さんと話したり、ガイドさんのお話で理解が深まった。
  • またゆっくり美術館に来たいと思う。
  • おしゃべりしながらの鑑賞は、本当に楽しかった。
  • 今まで美術館は一人で出かけることにしていたけれ度、これからは気の合う人と一緒に出かけたいと思った。
  • 楽しい時間でした!

「知識要らずの美術鑑賞」2024年9月6日開催分アンケートより抜粋


「ゆっくりみることができた」「時間がもっとあったらよかった」というご意見が、何人もの方から複数ありました。今までとは違った美術鑑賞が出来たこと、もっとたくさん鑑賞したい!と思っていただけたことが伝わってきて、とても嬉しいです。

参加してくださった受講生の皆さま、ご協力いただいた福岡市美術館の教育普及担当の皆さま、いつも講座運営を支えてくださる福津市郷育推進課の職員さんに、心より感謝申し上げます。今年もありがとうございました!

某所より「花祭窯」についてのインタビューのご依頼をいただきましたので、下準備。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

某所より「花祭窯」についてのインタビューのご依頼をいただきましたので、下準備。

「藤吉憲典/Kensuke Fujiyoshi」についてのインタビューは、これまでにも何回もあったのですが、「花祭窯」ということになると、久しぶりのような気がします。上の写真は、昨年受けた、Kensuke Fujiyoshiのインタビュー記事。「花祭窯≒藤吉憲典」ですので、大差ないだろうと思う方もあるかもしれませんが、やはり「作家(アーティスト)」への質問と、「事業」に対する質問は、少し異なるように思います。いずれにしても、ありがたく貴重な機会であることには変わり有りません。幸い「インタビューではこんなことを質問しようと思っています」と事前にいただきましたので、きちんとお伝えできるよう、こちらで下準備。


  • 花祭窯と藤吉憲典の概要

花祭窯は、陶芸家・磁器彫刻家・書画家として活動する藤吉憲典の工房です。藤吉憲典は1966年熊本生まれ。幼少期より「画家になる」と決めており、佐賀県立有田工業高等学校デザイン科を卒業後、グラフィックデザイナー/イラストレーターとして東京のデザイン事務所で3年ほどの経験を積みました。佐賀に帰省後、「磁器に絵をつける仕事」でやきものの世界へ。複数の窯元で商品開発(プロダクトデザイン)の仕事を約10年経験後、1997年に佐賀県江北町花祭で作家として独立、2012年福岡県福津市津屋崎に工房を移転し、現在に至っています。

  • 花祭窯「おかみ」の主な仕事の内容・難しさ

おかみの仕事は「作品をつくる」ことと「顔役」以外ほぼすべて。経営判断をするための「選択肢」と「判断材料」を調べ集め並べること。その難しさ(=面白さ)は、いかに「作家がほんとうにやりたいこと」に気づき、方向づけ、マネジメントすることができるか。それをやっても良いと言える根拠を並べることができるか。作家の熱狂的ファンでありながら、状況をどれだけ冷静に客観的に眺めることができるか。

  • ブランディングを上げることへの成功要因

(まだまだ成功と言える状態ではまったく無いけれど)多少なりともうまく行っている要因があるとしたら、まず第一に作家の信念(自分たちが大切にするもの)を曲げず、王道でコツコツとやってきたことが大きいと思います。そして、そこ(作家)を信頼してくださるギャラリーオーナーさんたちと出会えたこと、その先にいらっしゃる、自分の審美眼を信じてモノを見ることのできる客様たちの存在こそが、事業が継続できている要因です。

また仕事を、「伝統工芸」や「アート」だと特別視するのではなく、ふつうの事業(ビジネス)として動いてきたことが、様々な業界・分野の方々に学ぶ機会につながり、継続の力になっています。

  • 海外進出成功への要因

(これもまだ成功と言える状態ではまったく無いけれど)海外の取引先を作ることが出来たのは、国内同様コツコツと新規開拓のアプローチを続けてきた結果だと思います。様々な形で力になってくださる方々との出会いも重要でした。かかる時間や費用をコストととらえず、あくまでも投資と位置付けて考えることができるかどうかも大切なように思います。

  • 今後の展開

藤吉憲典の仕事を、世界中の「眼の力」がある人たちの視界に届かせることが、花祭窯としてこれから最優先でやっていくべきことと考えています。そのためにどうしたらよいかを、日々模索しています。これまで以上に「人の手を借りる」を仕事に取り入れ、自分達二人だけではできないこと(時間がかかり過ぎたり難しかったりすること)に挑戦していきたいと思っています。


このように準備をしておくと、まずは心構えが出来ますし、自らを振り返る貴重な機会にもなりました。花祭窯のこと、藤吉憲典のことを「知りたい」「知らせたい」と考えてくださるメディアの方々に、少しでもきちんと伝わるように、その機会をちゃんと活かせるように、というのも「花祭窯おかみ」の大切な仕事のひとつです。いつどこでこの下準備が生かされるのかは、告知解禁してからのお知らせとなります。どうぞお楽しみに。

ご近所秋祭りシーズン到来―例年通り「在自(あらじ)の金毘羅さん」でスタート。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ご近所秋祭りシーズン到来―例年通り「在自(あらじ)の金毘羅さん」でスタート。

豊穣の秋を祝い感謝する「おくんち」。今年もその先陣を切ったのは、金毘羅さんの行列です。午後三時、出立を告げる花火の音が聞こえて、金毘羅さんの大名行列が無事歩きだしことがわかります。熱中症アラートの出た暑い午後でしたので、さまざまな装束をまとった皆さんはたいへんだろうな、と思いつつ。

あちらこちらの「接待所」に立ち寄りながら進む行列は、毎年のことながらゆっくりの歩みです。そろそろ来るかな、太鼓の音が聞こえてきたなと思うと、そわそわして外に出て待つのですが、そこから、我が町・津屋崎千軒の接待所に辿り着くまでが長い。行列の姿が見えてからも、手前の接待所で止まるので、なかなか待ち長いのです。

金毘羅さん

接待所ではビールやらジュースやらを用意して行列を待っています。ほんの十年前は、ここにたどり着くまでに、既に酔っぱらってふらふらしながら歩いてくる人も少なくありませんでした。が、時代でしょうね、今はアルコールよりもジュースやお茶をお飲みになる方が増えたので、酔っ払いの行列にはならないようです。

行列の中ほどを進むお賽銭箱にチャリンと投げ入れて低頭すれば、神主さんが頭の上でお祓いをしてくださいます。今年もミッションコンプリート。

9月―九響の定期プログラム「名曲・午後のオーケストラ」を聴いて参りました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

9月―九響の定期プログラム「名曲・午後のオーケストラ」を聴いて参りました。

今年度、初めて定期会員となった九州交響楽団(九響)、アクロス福岡シンフォニーホールの「年間マイシート」を確保しての、第二回目の演奏会に行って参りました。舞台正面3階の最後尾席端っこの「マイシート」は、高い位置から舞台全体が見える、気持ちの良い席です。どうもわたしは高い場所が好きなようです(笑)。

今回のプログラムは、前半にリヒャルト・シュトラウスによる交響詩「ドン・ファン」作品20 Trv156、オーボエ協奏曲ニ長調の2曲に加え、アンコールにオーボエ奏者佐藤太一さんのソロが1曲。「オーボエ」という楽器にはわたしは馴染みがありませんでしたので、新鮮な気持ちで耳を傾けました。ピアノやヴァイオリンといった素人にわかりやすい楽器だけでなく、オーケストラを構成する一つ一つの楽器に対して、そのための協奏曲が作られているのだな、ということを体験的に理解することが出来たのは、大きかったです。

休憩をはさんで後半はヨハネス・ブラームスの「交響曲第4番ホ短調作品98」。こちらは第1楽章から第4楽章まで約1時間をかけての演奏でした。このように時間をかけて紡がれる曲を自分のものとして演奏できる演者の方々の凄さを、あらためて思いました。クラシックの「交響曲」と名のつくものだけでもいくつあるのやら。それらを聴き、練習し、演じるに至るまでにかかる膨大な時間と努力をの凄まじさは、素人には想像の及ばない世界だと感じました。

年四回、あらかじめスケジュールも内容も席も用意された演奏会に出かけるというのは、少し不思議な感じがしています。「この人のこの演奏が聴きたい」と頑張ってチケットを取る過程が省かれている分、コンサートに向かう熱量はどちらかといえばさほど高くありません。ところが期待値は、回を増すごとに高まっています。わたしは音楽素人なので、知らないことばかりであるというのが、期待値の高さにつながっているのかもしれません。次の演奏会は11月。前回今回とはまたかなりプログラム構成が変わるようで、とても楽しみです。

郷育カレッジ「知識要らずの美術鑑賞」講座を開催いたしました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

郷育カレッジ「知識要らずの美術鑑賞」講座を開催いたしました。

福津市民のための生涯学習システム「郷育カレッジ」で、今年も「知識要らずの美術鑑賞」講座を開催いたしました。2021年の第一回目から、4年目となった今年も、たくさんの受講希望者の方が集まってくださいました。

昨年に引き続き今回も、福岡市美術館の教育普及プログラムにお世話になりました。福岡市美術館の常設展示を活用し、美術館ボランティアの方々が「対話型鑑賞」をナビゲートする、というものです。福岡市美術館の教育普及プログラムのなかでも「アウトリーチ」と呼ばれる、いわば「出前美術館」は、どうしても福岡市内での提供が原則優先となりますが(福岡市の公立美術館なので)、こちらから館に出向く分には、福岡市内外からの訪問に関わらず、充実したプログラムサービスを享受することが出来ます。

まずは福岡市美術館まで皆でバス移動です。移動時間が1時間ちょっとありますので、その時間を使って、ウォーミングアップです。「美術とウェルビーイング(心身の健康)」の最新の知見を、いくつかご紹介。参加者の皆さんの、日頃の「美術」「芸術」との関りについてご意見を聞きながら、日常的にできる美術の楽しみ方を共有いたしました。

美術館に到着後は、福岡市美術館の教育普及担当学芸員さんにバトンタッチ。そこからさらに、美術館ボランティアさんにバトンが渡されます。3つのグループに分かれて、それぞれに対話型鑑賞スタート。対話型鑑賞の「肝」は共有されていますが、各グループで進行を担当するボランティアさんによって進め方は少しづつ異なり、それもまた面白いところです。

約1時間かけて3つの作品を鑑賞。どのグループからも楽しそうな声が聞えてきました。最初は遠慮しがちだったのが、時間が経つにつれ、積極的に自由な会話が発生するようになります。鑑賞している皆さんの表情も生き生きしてきます。そういう変化を拝見していると、美術の力をつくづくと感じます。

グループワークが終わったら、30分の自由鑑賞時間。福岡市美術館の常設展のチケットは当日再入場が可能ですので、めいめいに「もう一度見たい」と思ったものを観に行ったり、ミュージアムグッズのショップを見たり、「美術館そのもの」を楽しむ時間です。キース・へリングの特別展もまだ期間中でしたので、30分で特別展に足を運んだ受講生の方もいらっしゃいました。

自由にアクティブに楽しむ美術館。受講生の方々からは「もっと時間があったら」というお声も聞こえましたが、帰りのバスでは皆さんの満足そうな表情を拝見して、ほっと安心いたしました。

今回もお世話になりました福岡市美術館の皆さまに、心より感謝申し上げます!

できることを少しづつ:花祭窯は福津市カメリアステージ図書館の雑誌スポンサーになりました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

できることを少しづつ:花祭窯は福津市カメリアステージ図書館の雑誌スポンサーになりました。

「雑誌スポンサー制度」を導入している図書館は多いと思います。雑誌スポンサーとなった会社や個人が、寄贈(購入代金を負担)した雑誌や新聞の最新号のカバーに広告を表示することができる、というのがよくあるパターン。1年ごとの契約が多いようです。図書資料を充実させたいけれども、図書購入予算は年々減少傾向にある、というのが全国的な公立図書館の課題となって久しいなか、編み出された方法の一つでしょう。

新聞や雑誌を図書館で閲覧したいという要望は高く、雑誌のタイトルが一つでも増えることは、図書館にとっても利用者にとっても魅力的なことだと思います。わたしは今「福津市立図書館協議会委員」の末席におり、図書館運営の実際を数値データで拝見する機会があるのですが、そのなかで、わたしがいつもお世話になっているカメリアステージ図書館では、雑誌スポンサー制度をやろうとしているものの、まだ1社(者)も契約が出来ていないということを知ったのでした。

図書館常連(自称)のわたしが、制度を導入していること自体知りませんでしたので、それは告知不足に他ならないでしょう!ということで、まずは最初の1件目に名乗りを上げることに。タイトル選定の方法や基準をどうするか、図書館内での決裁ルート・手順はどうなっているか、まずは1軒目をモデルとしてその道筋を付ければ、広く告知をしてスポンサー募集をかけることが出来ます。

寄贈額としては、スポンサーとなる雑誌の年間購読料ですから、負担が大きすぎるものではありません。それに対して、雑誌カバーに会社名や事業内容のコピーを入れることで、地域の方々に知ってもらえる機会となります。ただ、わたしたちとしては、花祭窯の名前を知って欲しいというよりも、「こういう分野に興味を持ってくれる人が一人でも増えたら嬉しい」という、ちょっとした布教活動的な要素に、雑誌スポンサーのやりがいを見出しています。というわけで、スポンサーとなる雑誌のジャンルは、アート・デザイン・建築に関連するクリエイティブ系のものを選びました。

これまで花祭窯では、寄付や寄贈という形での貢献は、単発では行ったことはあるものの、継続的な取り組みをしたことはありませんでした。いつも使っている図書館の「雑誌スポンサー」になることは、とても身近で継続しやすく、わたしたちらしい方法だと思います。何か取り組みたいけど、思いつかない!という皆さまには、ぜひ地元の図書館に走っていただき、雑誌スポンサーの募集があれば手を上げてみることをお勧めいたします^^

福津市立図書館(福津市立図書館、カメリアステージ図書館)雑誌スポンサー募集