中原中也「ゆきてかへらぬ」

2025年の1本目-映画『ゆきてかへらぬ』を観てきました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

2025年の1本目-映画『ゆきてかへらぬ』を観てきました。

わたしにとっての毎年この時期の一大イベント(!?)「確定申告」が提出できたので、映画館に足を運んできました。2025年の1本目は、邦画『ゆきてかへらぬ』です。

「ゆきてかへらぬ」は、中也の詩のひとつに付けられたタイトル。

中原中也「ゆきてかへらぬ」

「中原中也」と聞いて、映画の中身をよく確認せずに観に行きました。ふたを開けてみれば、主役は中原中也ではなく、その恋人であった女優・長谷川泰子だったのかな、と。とはいえ、詩人・中原中也と、女優・長谷川泰子と、評論家・小林秀雄、ほぼこの三人による「三人芝居」でした。三人の熱量がそれぞれに素敵で、実に見応えがありました。なかでも泰子を演じた広瀬すずさんが、ものすごくよかったです。わたしはこれまで広瀬姉妹ではどちらかといえば「広瀬アリス派」だったのですが、この映画を見て「広瀬すず」の凄さに目を開かされました。

そして、画がとても美しかったです。京都の景色も東京の景色も、全編通して時代の空気感が漂うセピア調の色彩で、どっぷりとその世界観に浸ることが出来ました。登場人物三人の芝居がかった物言いも、いかにも時代を感じさせるもので良かったです。草刈民代、トータス松本、柄本佑ら、脇の名優たちが、「え?それだけ?」というような短い時間での登場であるのも面白く。深い余韻が残り、期待を大きく上回る素晴らしさでした。帰宅後はさっそく、中也の詩を本棚から引っ張り出し(笑)。

↑この詩集の帯の裏側に、角川ソフィア文庫から、長谷川泰子本人による『中原中也との愛 ゆきてかへらぬ』なる本が出ているのを発見。今まで、まったく目に入っていませんでした(汗)。そのうち気が向いたら読んでみようと思います^^

まずは今年の映画1本目。もともと映画館では洋画ばかり観ていたのですが、昨年あたりから邦画を観る機会が増えています。最寄りの映画館で上映される本数自体も、邦画>洋画という感じで、きっとハリウッドでのストの影響が続いているのだろうな、と思いつつ。おかげで邦画にも目が向いたので、これはこれで良いことですね。次はもう観たいものが決まっているので、封切りが楽しみです^^

映画『ゆきてかへらぬ』

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。