こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
読書『その昔、N市では』(東京創元社)マリー・ルイーゼ・カシュニッツ著/酒寄進一編訳
2022年末の読書はドイツ人作家による短編集。サブタイトルに「カシュニッツ短編傑作選」とあります。いつものカメリアステージ図書館新刊棚でゲットしました。海外作家による短編集といえば、少し前に読んだのが英国生まれの著者による短編集、原題『The People in the Castle:Selected Strange Stories』でした。
本書『その昔、N市では』もまた、ホラーではないものの、ちょっとゾッとするところのあるストーリーが多く、出版元のサイトで「日常に忍びこむ奇妙な幻想と背筋を震わせる人間心理の闇」の紹介文を見て、ぴったり!と思ったのでした。かなり短い物語もありましたが、どれを読んでも、とにかく不思議な読後感が続きました。上の写真は目次=短編集のタイトル。なんとなく雰囲気が伝わるでしょうか。
戦後ドイツを代表する作家のひとりということで、戦中(ナチスの時代)を思わせる物語もいくつか。短編集として選び並べたのは、翻訳者である酒寄進一氏であり、編者の思いも感じられる一冊となっていました。現代ものの海外書籍を読むときは、翻訳者の作家への思いを強く感じることが多いのですが、本書も例に洩れずでした。
図書館の新刊棚のおかげで、読むジャンルの幅が広がってきたように思います。タイトルと表紙の雰囲気だけで選ぶと、思いがけない出会いがあっておもろいですね。
『その昔、N市では』(東京創元社)マリー・ルイーゼ・カシュニッツ著/酒寄進一編訳