読書:瀬尾まいこ

読書『強運の持ち主』(文春文庫) 『天国はまだ遠く』(新潮文庫)瀬尾まいこ著 の中編ふたつ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『強運の持ち主』(文春文庫) 『天国はまだ遠く』(新潮文庫)瀬尾まいこ著 の中編ふたつ。

いつものカメリアステージ図書館より。先日久しぶりに読んだ瀬尾まいこさんの文体が、とっても優しくて心にしみるような感じで嬉しかったので、目に入ってきた著者名に、迷わず手が伸びました。

『強運の持ち主』は、占い師になった主人公のもとに訪れる相談者の相談内容と、主人公自身の日々の生活とが淡々と描かれています。公式サイトに「“小さな世界”へのこだわり」というタイトルで書評が載っていますが、その「小さな世界=日々の生活」と結びついた喜怒哀楽が、どれだけ大切なものか、が、じんわりと伝わってきます。

『天国はまだ遠く』では、自殺未遂をした主人公が死にきれず、自然に囲まれた山奥で毎日を過ごしていくうちに、「自分の居場所」について気付いていく物語。こちらも、スタートは「自殺未遂」という、ある種事件でありながら、穏やかに毎日を積み重ねることで自分を取り戻していく様子は、事件とはかけ離れています。

両方とも、さもない日々の生活こそが人生なのだと思わせてくれる物語。読後感がとにかく「やさしい」の一言です。きっと著者の瀬尾まいこさんのお人柄が、書くものににじみ出るのだろうなぁと勝手に思いつつ。

『強運の持ち主』(文春文庫) 『天国はまだ遠く』(新潮文庫)瀬尾まいこ著

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。