ローマ旅

読書『聖灰の暗号』上・下(新潮社)帚木蓬生著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『聖灰の暗号』上・下(新潮社)帚木蓬生著

知人がSNSで読後の感想を書いているのを見て、気になり、いつものカメリアステージ図書館で検索・発見・予約。いやぁ、ほんとうに便利です、図書館。そして、良い本を読書感想の形で紹介してくださる、本好きのお友だちの皆さんのおかげで、未知の読書領域に踏み込むことができるのが、とてもありがたいことです。上の写真は、若かりし頃に旅行したローマ。このときヴァチカンにも入ることができたのは、貴重な経験でした。

帚木蓬生さんのお名前は、たびたび見かけたことがありましたが、読むのは初めましてでした。本書読後に、新潮社の公式サイトで著者紹介を拝見しましたが、福岡生まれ、九州大学卒のお医者さま(精神科医)でいらっしゃるのですね。医者としての視点を生かして書いていらっしゃる本も、たくさんありそうです。「次は何を読もうか」と興味をそそられるもの多々。

さて『聖灰の暗号』。ヴァチカンから異端として敵視され、十字軍の攻撃を受け、壊滅させられたカタリ派についての真実を追求する物語。古文書を手掛かりに11~14世紀の出来事を調べてくうちに明らかになっていく内容は、日本での16~17世紀のキリシタン弾圧のイメージにもつながります。「歴史ミステリー」ジャンルの、もちろん小説ではありますが、そのもととなっている史実があることを考えると、なんともやりきれない気持ちになりました。そして、少し前に観た映画『教皇選挙』と、その後に実際に行われたローマ法王のコンクラーベを思い返しました。

キリスト教に限らず「宗教がその名のもとに暴力をふるう」事態は、古今東西で起こっているわけで、結局、宗教と政治は結びつきやすいということなのか、宗教に限らず組織あるところには権力闘争が生まれるということなのか、それが人の業ということなのだろうかと考えさせられます。教祖や聖地をつくるから問題が生まれるのならば、いたるところにさまざまな神が宿るとする「八百万の神」的な考え方、自然信仰が一番平和なのではないだろうかと思ったり。

少々、というか、かなり重いテーマでした。少し時間をおいてリフレッシュした後に、帚木蓬生氏の著書を追っかけてみたいと思います。

『聖灰の暗号』上・下(新潮社)帚木蓬生著

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。