こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
読書『水棲生物 水の底のアフリカ』(講談社)オズヴァルド・ルワット著/大林薫訳
いつものカメリアステージ図書館新刊棚より。アフリカ・カメルーン生まれの著者による物語。アフリカのどこかの国が舞台になっているのだろうな、と思いつつ、読了しても舞台となっている場所がよくわからなかったので、講談社の公式サイトを覗いたところ「家父長制と因習に縛られ、権力闘争が渦巻く国ザンブエナ」とありました。ところがアフリカの地図をさがしても「ザンブエナ」の国名を見つけられず…どうやら架空の国名のようです。
貧富の格差、階級差別、女性差別、家父長制と因習、性的マイノリティへの弾圧、その背景にある宗教の教え。様々な要因が「差別のもと」となって、人々をがんじがらめにしていく様子が、寒々しく伝わってきました。著者はジャーナリズムを学び、新聞社に勤めたのちに、ドキュメンタリーの監督や写真家として活動しているとのこと。このような本を書かなければと、著者をかきたてるものがあったと思うと、息苦しさを感じます。架空の国名であったのは、そうでなければ本書を世に出すことができなかったということかしらと、頭をよぎります。
最近、思いがけずアフリカテーマの本をたびたび手に取ります。図書館の司書さんが、アフリカ関連の良書を蔵書に選んでくれているから、ということですね。自分のもともとも興味の範囲外にあるものも、「新刊書」というくくりで選択肢として目の前に提示してもらえるおかげで、こうして手に取る機会が増えて視野を広げることができます。ありがたいことです。