こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
九月の九響定期演奏会「太田弦、薫り高い英国の音」に行ってきました。
前回足を運んだ九州交響楽団の定期演奏会は北九州でしたので、久しぶりのアクロス福岡シンフォニーホール。祝日の午後を贅沢に過ごしてまいりました。
九響の定演では、ときどき開演10分前から「プレトーク」があり、クラシック素人のわたしにとっては、これが楽しみの一つでもあります。演奏会がはじまる直前に、指揮者自ら舞台に出てきて、マイク片手にこれから始まる演奏に関連するお話を、簡潔にレクチャーしてくださる。お話してくださる内容もさることながら、指揮者の方が観客に対してそのようなサービス精神を発揮してくださるということ自体が、すごいことだと毎回感じます。
今回の、九響首席指揮者・太田弦さんのお話は、なるほど演奏する側の方々はそういうことも考えなければならないのかと、新鮮なものでした。どうやら「英国の音」であるブリテンやエドガーの音楽が、太田氏は大好きなのだけれど、これらを演奏会で特集することはマニアックな選択であり、「お客さんが来てくれなかったらどうしよう!」と思っていらっしゃったとか。ベンジャミン・ブリテンなる作曲家がいかなる人物かを熱く語り、そして「わたしの選曲についてきてくださって、ありがとうございます」と、観客に向かって頭をおさげになる姿を見て、ほんとうに好きなんだなぁと思いました。
なるほど、わたしはクラシックについて「何も知らない」状態で臨んでいるので、作曲家が誰か、演奏される曲目が何かで、聴きに行くかどうかを決めるという選択肢がまったくありませんでした。けれども、知識のある方・何度もたくさん聴きに行っている方には、そのような選択方法があるのですね。そんなことも感じたプレトークでした。
指揮者の心配をよそに、観客席は今期の定期演奏会で一番の入りだったようです。たしかにパッと見た感じでも、かなり埋まっていました。祝日のお昼ということもあってか、高校生らしき若い方々の姿が、いつもより多く見えたように思います。わたしの席があった列も、わたし以外はみんな若者でした(笑)。横に座ったのは部活帰りらしき体操服姿の高校生男子数名で、前傾姿勢で前のめりに舞台を見つめ、大きな拍手を送っている姿に、素晴らしいなぁ、と嬉しくなりました。
さて演奏会は、今回もとっても満ち足りた気持ちで終わりました。「知らなくても楽しめる」のは、音楽でも美術でも同じだなぁとつくづく思います。