こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
肥前磁器の美:藤吉憲典の器「錦百合文食籠(じきろう)」
磁器作家・藤吉憲典がつくる肥前磁器の美しさを伝えるシリーズをスタートします。「美しさ」と書きましたが、ここには「用途の美」を含みます。つまり、使い勝手の良さも含めて「美しい」と言えるもの。そこにこそ、江戸時代から400年続く肥前磁器の価値があると思っています。
磁器作家・藤吉憲典がつくるモダンな食籠(じきろう)です。茶道でお菓子を入れる菓子器として使われる容器を指して食籠(じきろう)と呼ぶことが多いですが、茶道具に限りません。字の通り「食」の「籠(かご)」として使えばよいと思います。もっといえば、「食」に限らず。
昔ながらの道具ですが、丸みを帯びつつもシャープな姿に仕上げれば、古臭さをまったく感じません。カタチが美しいと、あとは絵付によって自在に雰囲気を変えることができます。古典的な形に、オリジナル文様の組み合わせ。
描かれた百合は「カノコユリ」という、日本に自生する希少種。絶滅危惧種にも指定されています。隣町の宗像にカノコユリの自生地があり、種の保存活動をしているお友だちに教えてもらったのが、この花との出会いでした。
サイズは径が9cmの円型で、高さは約7cm。ほぼ半分の位置から身と蓋に分かれています。