続・「天氣晩来秋」北京の喜水ギャラリーさんで藤吉憲典個展。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

続・「天氣晩来秋」北京の喜水ギャラリーさんで藤吉憲典個展。

8月29日(土)~9月2日(水)開催の、北京・喜水ギャラリーさんでの個展。

喜水のオーナーさんが、個展タイトルの「天氣晩来秋」について、解説をしてくださっていましたので、こちらでもご紹介をいたします。中国語で書いてくださっていたものを、AI翻訳したものです。


前回は、「空山新雨後」と題し、藤吉憲典の陶芸の世界を初めてご紹介しました。そのときの青花染付は、まるで新しい雨に洗われた遠山のように、また赤絵は、雨上がりのやわらかな日差しのように、静けさの中に生き生きとした息吹を感じさせるものでした。

今回は、詩の続きをたどり、「天気晩来秋(天気は晩来、秋となる)」という一節へと進みます。「新雨の後」から「晩来秋」へ――雨上がりの清々しさから、夕暮れとともに静けさが深まっていく情景へと移ろいます。藤吉先生の作品は、まさにこの詩情と見事に響き合っています。

青花の青は、秋の夕暮れにゆっくりと色を深めていく空のようであり、赤絵の赤は、霜を迎えようとする草木の葉の、まだ鮮やかさを残したあたたかな色合いを思わせます。

藤吉先生が描く唐草や流水、祥雲、楼閣などはいずれも古典に由来する意匠ですが、その線は洗練され、色彩は典雅。華やかさや喧騒とは無縁の、静かで落ち着いた趣をたたえています。そこには、古い和陶にも通じる穏やかさとともに、漢詩に宿る抑制の美と悠遠な趣が感じられます。


晩秋の訪れとは、雨が上がり雲が晴れたあとの静けさであり、暑さが和らいだあとの涼やかさであり、また、時を重ねるなかで器物にゆっくりと宿っていく、あたたかな艶でもあります。

藤吉先生の筆先と磁器の上には、数多くの古典的な文様が描かれています。中国に伝わる唐草、流水、祥雲、山水を一筆一筆丁寧に描き込む一方で、日本の市松、青海波、麻の葉、桜なども、互いに競い合うことなく、華美に走ることなく、静かに配されています。

そこには、中国と日本、二つの文化が響き合う独自の世界があります。その出会いは、遠い時代から受け継がれてきた美意識が、今によみがえるような趣を感じさせます。

青花は、夜の景色や遠くに連なる山々。赤絵は、夕日のぬくもりや秋の情景を奏でる色彩。冷たさと温かさ、そのあわいにこそ、東洋の美に通じる慎ましさと静けさが宿っています。

(喜水ギャラリーのインスタグラムより)

※「青花」とは染付(そめつけ)のことで、呉須(ごす)の青色で描かれた文様を指します。


前回の喜水ギャラリーさんでの個展は、ちょうど二年前のやはり8月でしたが、今回の方が少し季節が下っています。漢詩でご紹介いただくと、なんだかとても洗練されたような感じがして、嬉しいですね。

読書『上流階級 富久丸百貨店外商部』(光文社)高殿円著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『上流階級 富久丸百貨店外商部』(光文社)高殿円著

いつものカメリアステージ図書館から借りてきました。お盆休み中に久しぶりに読んだ、高殿円さんの『せどりの女王』がものすごく面白かったので、著者名検索で追っかけです。ありました、ありました。毎度のことながら、図書館ありがとう!ですね。

さて本書『上流階級 富久丸百貨店外商部』は、百貨店の年間売り上げの3割以上を稼ぎ出すという外商部に、初の女性外商員として配属された主人公の成長物語。本書の刊行が2013年であり、ほぼ同時代のストーリーとして書き上げられたのかな、と思います。主に関西を本拠とする百貨店をいくつも取材して書かれたということ。わたしは東京本拠地の百貨店で外商員をしている女性とお会いしたことがあり、それが2021年頃のことだったと思いますので、おそらく本書が出たころは、リアルに百貨店外商部で「女性の登用」が課題になってきていたところなのかもしれないな、と思いながら読みました。

いやぁ、面白かったです。百貨店外商部は言わずもがな富裕層相手の商売であり、そういう方々の生活や行動を、小説のなかででもうかがい知ることは、花祭窯おかみにとっては非常に勉強になります。「ほぉ~そうなのかぁ…」と未知の世界を面白がりつつも、様々な(ときに無謀な)要望を出すお客さまに対する外商仕事の幅広さに、驚きました。本書では、外商だけでなく、お店の売り場における百貨店員の方々の生態も垣間見ることができます。なるほどなるほどと思いつつ、今度百貨店に出かけたら、ちょっと観察してみようかな、という気になりました。

本書には続編があります。こちらも読むのが楽しみです^^

『上流階級 富久丸百貨店外商部』(光文社)高殿円著

「天氣晩来秋」北京の喜水ギャラリーさんで藤吉憲典個展。

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「天氣晩来秋」北京の喜水ギャラリーさんで藤吉憲典個展。

当初2026年春節に予定をしていた北京での個展が、諸事情で延期になっていました。ようやく会期が決定、8月29日(土)初日です。

個展タイトルは「天氣晩来秋」。喜水ギャラリーでの個展は、毎回オーナーがタイトルをつけてくださいます。「天氣晩来秋」は古典漢詩に含まれる一節のようです。雨上がりの夕方に、気がつけば秋の気配がする、というところで、詩全体としては景色の美しさを詠んだもの。

北京喜水ギャラリーで藤吉憲典個展「天気晩来秋」

今、北京では特に赤絵の器が人気だということで、喜水ギャラリーのオーナーさんから、赤絵の器、特に中国茶器をたくさん並べたいとご要望いただいておりました。

北京の喜水ギャラリーさんで藤吉憲典個展

DMができました!と送っていただいたのが、この三枚。

北京の喜水ギャラリーさんで藤吉憲典個展

オーナーさんが喜んでくださったことが、とっても伝わってくる三枚で、こちらも嬉しくなりました。

今回は残念ながら作家在廊がありませんが、北京の皆さんに楽しんでいただけることを願っております♪

久しぶりの野球観戦は、いろんなことが進化していて、とっても面白かった。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

久しぶりの野球観戦は、いろんなことが進化していて、とっても面白かった。

週末、ご近所さんからお誘いいただいて、20年以上ぶり!?の野球観戦へ。福岡は百道にあるソフトバンク・ホークスの本拠地・ペイペイドームまで出かけて参りました。ホークスはダイエー時代から応援していますが、球場に足を運ぶことがすっかりなくなっていましたので、めちゃめちゃ楽しみにしていました。

隔世の感というのは、こういうことですね。いたるところで「おお~!」という景色を発見し、とっても面白い1日となりました。デイゲームでしたのでお昼前に、現地に入りました。まずは腹ごしらえ。どこも混んでいるだろうと覚悟していましたが、ドームからつながってすぐの商業施設に歩いていけば、飲食店がたくさんあって、思いのほかスムーズにお昼ご飯を食べることができました。

周囲はホークスグッズを身に着けた人たちで大賑わい。一大イベントですね。夏休みの週末とあって家族連れやカップルも多く、全体的に華やいだ雰囲気がするのが、わたしの知っていた野球観戦とはだいぶ違っていました。荷物チェックがあるにもかかわらず入場口での過度な混雑や混乱は無く、入場口から自分の座席までの動線のわかりやすさにも、「前からこんなにスムーズだったっけ」と思いました。そして今は、特別なチケットを持っていなくても、ほぼ毎回なにかお土産をもらえるようですね。映画の宣伝に来ていたクレヨンしんちゃんのタオルをいただきました^^

そう、このスポンサーの多さもまた、隔世の感があります。ホークスは福岡に拠点を持ってきたときから、市民球団としていかに地域に根付くかに力を注いできてはいましたが、球場内に入って、ぐるりと囲むおびただしいスポンサー広告を目にして、そのすごさをあらためて思いました。目にする広告だけでなく、アナウンスにより耳に届く告知もたくさんです。この日も満員御礼。広告価値の大きさを、身をもって感じました。その価値をまた高めるべく、試合開始前から試合終了後に至るまでの、球場でのエンタメにまた、感嘆。来場客に楽しんでもらうべく、あれやこれやの方法がとられていることに、すごいなぁと思いました。

さて試合は、大津投手がナイスピッチングで10勝目を挙げ、ホームランも何本も飛び出し、観ていて最高に楽しいゲームでした。球場での観戦は、あたりまえですがテレビ中継で見る視野とはまったく異なり、ふだんは見えないところがたくさん見えました。選手のちょっとした動きやしぐさなどで、人となりが伝わってきたり、球の動きに対して全体ではどう動いているのかを観ることが出来たり。俯瞰で観えてくるものがありました。

いやぁ、楽しかったです!お誘いくださいましたご近所さんに、心より感謝^^

最近のお気に入りは、蕎麦猪口に粉ゼラチンで簡単ゼリー。

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最近のお気に入りは、蕎麦猪口に粉ゼラチンで簡単ゼリー。

少し前に、ご近所の豊村酒造さんの前を通ったら「甘酒シャーベットあります」のポップが目に入りました。数年前に、酒造だけどノンアルコールの甘酒を新商品として販売なさったのは知っていましたが、シャーベットは初耳。旧知のスタッフさんに尋ねたところ、この夏から売り出したとのことで、津屋崎千軒散策のお客さまにご好評とのこと。なるほど、冷たいから暑気払いになるし、甘くて美味しいし、夏バテや熱中症予防点滴的な効果もありそうだし、これはいいですね~!ということで、さっそくいただきました。

これがとても手軽で美味しく、「甘酒冷やして固めただけですよー!」とおっしゃるので、うちでも作れるのではないかしらと思ったのでした。わたしは冷たすぎるのが苦手なので、シャーベットほどキンキンに冷えてなくていいんだよな~…と考えたところに思い出したのが、ゼラチンの存在。そういえば、以前にも作ったことが…と、記憶がよみがえってきました。さっそく粉ゼラチンをゲットし、甘酒ゼリー作りにトライ。作る、というほどのことも無く、蕎麦猪口に粉ゼラチンを入れて少量のお湯でよく溶かし、そこに市販の甘酒を追加してスプーンで混ぜ、粗熱が取れたらラップをして冷蔵庫に入れてお終いです。

うん、美味しくできました♪こういう時に我が家の蕎麦猪口はとっても便利で、小分けパックされたゼラチン5gに対して、ちょうど良いサイズです。蕎麦猪口の大きさに合わせて甘酒を投入すれば、分量を量らなくても失敗することはほぼありません。固めに仕上がるか、やわらかめに仕上がるか、という違いがあるぐらいです。これに気を良くして、朝入れたコーヒーが余ったらコーヒーゼリーに、紅茶を入れて茶葉がまだ出そうだったら紅茶ゼリーに、と片手間に作っています。おかげで「蕎麦猪口ゼリー」が冷蔵庫に鎮座している今日この頃。冷たくておいしい、ちょっとした楽しみです^^

読書『国宝(上・下)』(朝日新聞社)吉田修一著

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読書『国宝(上・下)』(朝日新聞社)吉田修一著

映画『国宝』を観たのは、昨年7月のことでしたので、約一年前ですね。なんだかもっと前だったような気もします。映画が公開されてすぐのころに、まずは本を読もうかしらと図書館で調べたら、もちろん蔵書としてあるのだけれど「予約待ち」が大人数になっていて、そりゃそうよね、と諦めたのでした。

先日、いつものカメリアステージ図書館で、「戻ってきた本」が載っているブックトラックのなかに『国宝』発見。上下巻ともありましたので、ラッキー♪とばかりにまとめて借りて参りました。映画も3時間近くでしたので、その元になっている小説のボリュームやいかに、です。分厚い2冊組、さぞかし読むのに時間がかかるだろうな、と覚悟しておりましたが、まあ引き込まれて、思いのほか早く読了。

読みながらまず思ったのは、映画を先に観ていて良かった!でした。というのも、文中に歌舞伎の演目に関する解説などが随所にあり、まあまあのボリュームでしたので、映画を観ていなかったら、読むのに一苦労、という感じになっていたかもしれません。わたしが歌舞伎を劇場で観たことがあるのはほんの数回ですので、舞台のイメージも限られていて、演目を言われてもわかりません。でも映画でばっちり取り上げられていた藤娘や曽根崎心中をはじめとした演目は、観ていたおかげで美しいイメージが思い出され、本を読むのに助けになりました。

映画の脚本には入っていなかったエピソードや、書き換えられているもののなかに、小説で読み直すことで無理なく繋がるものがいくつもありました。「あのシーンは、原作ではこうだったのね」というところを知ることができたのは、良かったです。わたし個人的には、小説のほうが良い、映画のほうが良い、というようなものではなく、映画を観た後に小説で答え合わせというか、間違い探しというか、補完することができてよかったな、と。

特にラストに向かって、小説と映画とのギャップを面白く感じました。実は映画を観た後に、わたしは個人的には、国宝受賞後のインタビューシーン(娘による)は、あれは要らなかったよなぁ、と感じていました。あまりにも俗っぽ過ぎるなぁ、と。でもあのシーンは映画用に作られたものだったのですね。小説では「国宝受賞」の事実は語られていますが、あくまでも周りの人の間で語られるばかりで、当の主人公はその事実にかかわらないままに終わります。うん、この方が自然よね、と感じました。一方、小説でのラストシーンがあまりにも劇的な感じで、これはこれでちょっとやりすぎ!?と思ったり。

ともあれ、原作小説読んで良かったです。すごい本でした。

『国宝』(朝日新聞社)吉田修一著

第118回九州EC勉強会「越境ECの始め方・勝ち方」。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

第118回九州EC勉強会「越境ECの始め方・勝ち方」。

九州EC(九州ECミーティング)は、経営者やECに取り組む方々が幹事となり、事業運営に役立つ情報交換・提供を行う会です。完全ボランティアで続いている、稀有な勉強会組織。毎回、充実したテーマと講師による勉強会を博多で開催してくれる、とてもありがたい存在です。

第118回目となった今回のテーマは越境ECで、講師は、この分野ではわたしが一番尊敬している世界へボカン株式会社代表取締役の徳田祐希氏。そしてグーグルからも講師の方がいらっしゃって、AIと検索についての最新情報をお聞きすることができました。グーグルさんの方は、話した内容は録音・撮影等厳禁ということでしたので、秘密ということで。

以下、備忘。


  • ほんとうの価値を言語化し、海外のお客さまに伝わる形にする。
  • 認知低・昨日ではなく情緒的価値→共感価値。
  • 売りたいものを売る、ビジネス。
  • 成長に必要なのは、商品を変えることではなく、価値の伝え方を変えること。
  • 誰に選ばれているのか。「人」で見る。
  • 顧客の解像度を上げる。
  • 選ばれている理由を明確にする。
  • 何を売るか、入り口を決める。
  • サイトにちゃんと情報を載せないとAIに情報を拾ってもらえない。
  • そのものを作っている人の、個人的な考え、意見、やり方をきちんと発信する。

九州EC勉強会「越境ECの始め方・勝ち方」より。


花祭窯としては、カートによるショッピングのシステムとしてのECは国内外問わず今後行わない予定です。が、リアルでの海外ビジネスにおいても重要な、根本的な考えと、今取り組むべきことを確認することができました。

九州ECの勉強会は、やっぱりいつも素晴らしい。次回も楽しみです^^

郷育カレッジ講座「戦時下のくらし」を受講して参りました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

郷育カレッジ講座「戦時下のくらし」を受講して参りました。

福津市民のための生涯学習システム「郷育カレッジ」。8月の講座として定着してきている一つが、津屋崎千軒民俗館・藍の家で開催される「戦時下のくらし」です。藍の家保存会でここ数年毎年開催なさる企画展示に合わせて、講座を開催しています。講師は保存会代表の古閑由美さん。8月になると、日本各地で戦争関連の企画展示が行われますが、ここ津屋崎千軒の藍の家で開催されるようになったのは、古閑さんが代表をなさるようになってからです。

地域に根付いた戦争体験を、生の声を拾って受け継いでいくスタンスが、戦争を自分事として考えることを促すアプローチになっています。初めて展示を拝見した時に、今住んでいる場所、ご近所の人につながる話であることの意味を強く感じ、ぜひ郷育カレッジ講座をお願いしたいと思ったのでした。幸い快く引き受けてくださり、今年も開催となりました。常に新しい資料を調べ、聞き取りをなさっているので、毎年新しい切り口での資料や情報が増えています。「戦争は一度はじまってしまうと止めるのが難しい。だから絶対にはじめてはいけない」展示に対する使命感がひしひしと伝わってきます。

20名の参加枠は、今回も満員御礼。展示している場所での講座なので、受講人数を増やせないのが悩ましいところではありますが、この場所でやることに意味があると感じます。参加者の皆さんが時折深くうなずきながら、熱心に話に聞き入っておられる様子が印象的でした。講座は終了しましたが、展示は8月26日(水)まで行われていますので、お近くの方には、ぜひご覧いただけると嬉しいです。上の写真は、ちょうどこの日に西日本新聞に掲載された、展示の紹介記事。

藍の家「戦時下のくらし」展 ~2026年8月26日(水)まで。

読書『赤く染まる木々』(早川書房)パーシヴァル・エヴェレット著/上野元美訳

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『赤く染まる木々』(早川書房)パーシヴァル・エヴェレット著/上野元美訳

いつものカメリアステージ図書館新刊棚から、著者名借りです。『ジェイムズ』(河出書房新社)『消失』(集英社)、『消失』を映画化した『アメリカン・フィクション』と、パーシヴァル・エヴェレットの名前は、わたしの記憶にインパクトを残していたようです。名前の既視感で本書を手に取り、表紙を眺めているうちに「あ!『ジェイムズ』の人だ!」と思い出しました。

本作もまた、わたしが読んだ前2作に引き続きのテーマです。『ジェイムズ』が皮肉を最大限に込めたパロディの形を借り、『消失』がブラックコメディの形を借りていたのに対して、本書『赤く染まる木々』は、実にストレートでした。アメリカの黒人リンチの歴史に迫るミステリーは、次々に起こる事件に、根本にある動機以外は何の解決も解明も見いだせないままにストーリーが終わり、読み手に「考える」ことを促します。この「なにも解決していない、なにも終わっていない」というのが、著者の一番言いたいことなのかもしれない、と思いました。

読み始めてまず思い出したのは、ビリー・ホリデイの歌『奇妙な果実』にまつわるストーリーでした。本書の中にも、その歌詞(日本語訳)が載っています。アメリカの公民権運動が活発化したのは、1950年代後半から60年代中頃とのこと。第二次世界大戦の敗戦国である日本の民主化を推し進めた、となっている米国が、自らの足元ではまだまだこのような状態であったことに、あらためて大きな矛盾と衝撃を感じました。

本書では、米国の現在と、現在の権力者に対する風刺的な描写もあります。読み終わった今、切に思うことは、パーシヴァル・エヴェレット氏が、このまま本を書き続けることができますように、ということ。そして、日本にも届きますように、ということです。

『赤く染まる木々』(早川書房)パーシヴァル・エヴェレット著/上野元美訳

お盆が終わって、8月も後半。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

お盆が終わって、8月も後半。

世間のお盆休み中は、ふだん後回しになっている仕事をすすめる絶好の機会だと思うので、張り切ってやることリストをつくるのですが、まあ、思うようには進みませんね(笑)。取り組み順位をつけずに、手近でやりやすいところから手をつけましたら、いろいろと中途半端。こんなことなら、例えば「仕事環境整備」とか、何か一つに絞った方が良かったかしら???と思いつつ、それでもオフィスチェアの入れ替えが出来たのと、ダンナのインド出張の手配がこのお盆期間中にほぼめどがついたので、まあ良しとしましょう。

8月後半。ダンナ・藤吉憲典は、まずロンドンSladmoreギャラリーでのクリスマス・ショウに向けた作品作りが大詰めになります。食器の制作とアート作品の制作とでは、使う脳が違うらしく、切り替えて集中した時間をとることが必要なようです。この切り替えがあるからこそ、どちらの仕事もますます面白くなるというのが、作り手の弁。

一方、北京の喜水ギャラリーさんでは、今年1月の予定から延期になっていた藤吉憲典の個展が、いよいよ開催されます。

喜水ギャラリーのインスタ https://www.instagram.com/xishuigallery/

見どころは、今回の個展用に制作した赤絵の中国茶器。会期が延期になっている間に、喜水のオーナーさんから追加で入ったご注文にお応えしています。前回2024年8月の北京個展からテーマにしてきた茶器の制作ですので、力入ってます^^。そしてたいへん残念なのですが、今回は作家在廊ができません。日程調整がうまくいかず、申し訳ありません。全体的に、スケジュールにもう少し余裕を持たせるようにせねばと反省。

というわけで、作家はしばらくはガッツリ制作モード。その後、国内では11月に南青山・百福さんでの個展がございます^^