こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
読書『ドロレス・クレイボーン』(文藝春秋)スティーヴン・キング著/矢野浩三郎訳
いつものカメリアステージ図書館から借りてきた一冊。キングの新作を続けて読んでいたので、たまには旧作にも手を伸ばしてみようかな、というところでした。実のところ、キングの大量の著作に対して、わたしが読んだことのあるものといったら、ほんとうにちょっぴりです。キングの棚に並んでいるなかで、比較的薄いものを手に取りました。それでも上下二段組の構成でしたので、けっこうなボリュームでしたが。
タイトルの『ドロレス・クレイボーン』は主人公の名前であり、彼女の一人語りでストーリーは進みます。へぇ~こういうスタイルで書くこともあったのね、と、なんとなく意外な感じがしました。文芸春秋サイトでの本書の紹介でも「キングにしてはめずらしい手法」と書いてありました。ともあれどんなスタイルで書いていても、気がつけばストーリーにすっぽりと引き込まれ、やっぱりキングはすごい!と思うのです。
ドロレスは、夫殺しとお屋敷の女主人殺しの二つの嫌疑をかけられているのですが、その供述を聞くほどに(読むほどに)、その供述内容がどのようなものであれ、彼女をかばいたい気持ちが高まっていきます。あとがきで、キングが本書を亡きお母様に捧げていることを知り、なんとなく腑に落ちました。主人公に対する筆者の愛情が深く感じられる本でした。
本書は『黙秘』のタイトルで映画になっていたようです。主人公を演じたのはキャシー・ベイツ。映画は観ていませんでしたが、ポスターに見覚えがありました。『ミザリー』の印象がありますから、キング作品でキャシー・ベイツといわれたら、これは怖いに違いないと思い込んでしまいますが、本書のストーリーを考えたら、サイコでもホラーでもありません。ストーリーを知った今なら、キャシー・ベイツのドロレス・クレイボーンを安心して観ることが出来るはずです。




