学芸員技術研修会「博物館教育」2019。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

学芸員技術研修会「博物館教育」2019。

毎年楽しみな齋正弘先生の博物館教育。今年度は、春にリニューアルオープンした福岡市美術館での開催でした。「教育普及学芸員」としての在り方を考える研修会。毎回楽しいながらも、気がついたらエネルギーを消耗しています(笑)写真は、今回の研修内で実施した「見る」を知るための作業の、わたしの成果物。

以下、備忘。


  • 図工≠美術。
  • 自立した美意識がはじまると「美術」が可能になる。
  • 美意識が始まるのは、自分で選択ができるようになってから。
  • その境目が、おおよそ10歳ごろ。
  • 世界の見え方:どこから見る?どう見る?何を見ている?
  • 好きなものしか描け(か)ない・作れ(ら)ない。
  • 運動神経。
  • ひとつの絵から、見た人がそれぞれ別の方向に広がっていけるのが「良い鑑賞」。
  • 例えばうちの例(磁器の芸術)で考えたとき「400年前→200年前→現代」で、どう進歩しているか。
  • 建物、環境、展示作品(美術)。
  • 美術館・博物館は「これが宝物だ」を教える場所。
  • 「その前」に思いを至してみる。
  • その作品が出来上がる前/その作品が出来上がるまで。
  • 絵を描く前には必ず「見る」。
  • 知っていることしか使えない。知っていることからいかに多方面に拡大していくか。
  • ピクセルを上げる。
  • キャパシティ。
  • 鑑賞教育≠解説。
  • 社会教育は、学校教育ではできないことをするのが使命。
  • そもそも博物館・美術館は社会教育の担い手である。
  • ワークショップの肝は「準備しない」「成就を目指さない」。
  • リソースの確認→スコアの作成→実行→リソースの確認→…の繰り返し。


あいにくの雨となり、楽しみにしていた美術館探検は屋外が使えず、屋内でのワークショップに変更。わたしにとっては、これが思いがけず貴重な時間となりました。「見る」ことの確認、「準備しない」ワークショップなど、あらためて実体験を通して得るものが大きかったです。

毎年この機会をつくってくださる九州産業大学の緒方泉先生に、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

南方流流祖実山居士献茶式。

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南方流流祖実山居士献茶式。

毎年この季節は、入門している茶道南方流の流祖である、立花実山居士を祀る献茶会でした。昨年の実山忌のレポートでは、由来について少し書いていました。写真は、待合から眺めた円覚寺のお庭。

今年も、献茶の儀式が済んだのちに、和尚さまが南方流の根拠となる書物「南方録」を読み解いてくださいました。原本のままでは難解なので、熊倉功夫先生解説の『南方録を読む』(淡交社)を教科書としています。今回学んだのは「曲尺割(かねわり)とは何か。」。

和尚さまによる解説で、特に心にのこったのは、次の五つでした。


七五三」「守破離」「草庵」「心と技術」「道具」

  • 曲尺割の基本にどのような根拠があるか。
  • 肝は陰陽五行の陽数の五。
  • 茶の湯の深味は草庵の茶にある。
  • 人によって修行の方法もかわるべき。
  • はいるところはかわっても、そのもっとも深い真実は同じである。
  • 一貫した根本の法を一通り習いおぼえ、道具も一つか二つに決め、自分が持つにふさわしい道具を師と相談して組合せ、置き合せのかねの具合、取扱い方など一通りおぼえる。
  • 草の小座敷、露路の茶風は本格のかねを基本とするとはいっても、最後にはかねを離れ、技術を忘れ、心味が無味にきわまる出世間の法である。
  • 真実というものは事実と理論と別々につかめるものではなく、知識が身についてくれば茶のこころもわかってくる。そうすると技術もそれに伴って熟達してくる。
  • 技術はよいけれども精神的な深味がないというのは、技術もまだ十分深奥に達していないからである。

※熊倉功夫先生解説の『南方録を読む』(淡交社)から、補足抜粋しています。


最後の方は特に、茶道だけでなく、日々の仕事にも同じことが言えるとしみじみ思いました。同様に「精神的にはすぐれているけれども、技術が不十分」ということも決して無くて、精神的な深味は、その技術や知識もしっかりと身に付けた熟達してこそ伴ってくるということですね。

学ぶほどに己の未熟さがますます見えてくる今日この頃。茶道も仕事も、大切なことは同じだと、あらためて思いました。

I love them

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I love them

昨日に引き続き、ロンドン個展への作品輸送について。ロンドン個展用の荷物が予定通り到着し、次に気になるのは「中身が無事かどうか」です。「到着したよ!」に続く「中身も全部無事だったよ!」のメッセージが届くまで、ドキドキは続きます。

なにせ、素材は磁器=ワレモノ。国内輸送でも破損のリスクはつきものなので、毎回、梱包は「段ボールを投げられても割れないレベル」を目指しています。あたりまえですが、作品の破損は、金銭的な補償で済むことではありません。なによりも、自分たち自身が悔やまなくてよいように、万全を期しています。

写真の作品「ツワブキにカエル」は、今回もっとも心配したひとつ。

ともあれロンドンからのメール、We have opened and checked all the pieces now. で無事を確認し、一安心です。それに続く“They are absolutely wonderful”、“I love them”に、ギャラリーの、つくり手をねぎらう気持ちが伝わってきます。「よかった!」としみじみ感じる瞬間です。

ロンドンでの藤吉憲典個展は、12月4日オープンです。

https://www.sladmorecontemporary.com/contemporary

through Tennessee

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through Tennessee

ロンドン個展用の作品を出荷したのが先週末。毎回、ギャラリーから「無事到着したよ」のメッセージがくるまで、緊張が続きます。わたしが緊張しても仕方がないとはわかっているのですが、万一トラブルがあった時に、すぐ頭を働かせられるよう、臨戦態勢を持続しているような感じです。

到着の一日前、ロンドンのギャラリーからメッセージ。それが上の「through Tennessee」を含んだ一文で、「今日、無事テネシーを通過したね。同じ便で出たいくつかがテネシーに取り残されたようだけど、わたしたちの荷物はちゃんと経由地を出発したよ!」というものでした。

ん?テネシー?テムズではなく?と、思いつつ、トラフィックレポートを確認したところ「アメリカ合衆国テネシー州メンフィス」通過しておりました!恥ずかしながら、今まで、経由地をちゃんと把握していなかったわけです。

ちなみに今回の荷物の動き方は、次の通りでした。


  • 集荷完了:木曜日 , 07/11/2019 21:31 (実際の出荷は日本時間で11/8金曜日)
  • 出荷地のFedEx営業所を出発:10:54KADOMA-SHI JP
  • 輸送中/処理中:13:57KADOMA-SHI JP
  • FedEx経由地に到着:21:01SENNAN-SHI JP(関西空港)
  • 輸送中/処理中:土曜日 , 09/11/201923:18MEMPHIS, TN(USテネシー州)
  • 仕向国仕分け場所:00:48MEMPHIS, TN
  • FedEx経由地を出発:日曜日 , 10/11/201923:13MEMPHIS, TN
  • 国際輸送許可 – 輸入:14:02STANSTED GB(ロンドンスタンステッド空港)
  • 通関中:17:30STANSTED GB
  • FedEx 営業所:月曜日 , 11/11/201917:30STANSTED GB
  • 輸送中/処理中:03:25HORNSEY GB
  • FedEx車両搭載:06:29HORNSEY GB
  • 配達完了:火曜日 , 12/11/201910:57LONDON GB

on schedule=予定通りに到着し、まずは一安心でした。ロンドン行きでは毎回お世話になっているFedExさん。今回もきっちり届けてくださり、ありがとうございました。


そろそろ、手帳。

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そろそろ、手帳。

この季節、本屋さんに行くと目につくのが手帳コーナー。最近はスタート月がさまざまの手帳があり、一年中手帳コーナーがあるところも少なくありませんが、わたし自身はやはり11月に入ると意識が向きます。

スマホでスケジュール管理をするのは、どうも苦手というか、上手にできないので、早々に止めました。紙に自分で書くことが、わたしにとっては大切なようです。手帳コーナーにたくさん手帳が並んでいるのを見ると、このジャンルではまだ紙媒体の良さが求められているのだな、と少し安心します(笑)

写真はお気に入りの革の手帳カバー。使い始めてもう5年以上。経年変化で味わい深い色に育ちつつあります。上質な革と丁寧なつくりのおかげで、しっかりしているので、安心して使い込んでいます。

数年前にも書いたのですが、この手帳カバーのおかげで、毎年の手帳選びがスムーズになりました。手帳の中身=機能性だけを求めればよいので、選択基準が明確なのです。

つくってくださったのは、ご近所の革職人cokecoさん。材料にもつくりにも妥協せず、シンプルなものをスタイリッシュに仕上げるセンスと腕の持ち主です。実際に使っていて、「良いものを長く使う」ライフスタイルに欠かせない要素を、しっかり取り込んでおられると感じます。

「マイ手帳カバー」、手帳派の皆さんには、ぜひおすすめです。

久しぶりにお茶のお稽古。

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久しぶりにお茶のお稽古。

写真は、ある日の我が家で点てたお茶。

いつもは月に二回のお茶のお稽古ですが、ひと月以上ぶりのお稽古に行って参りました。その間も「お茶を点てる」という行為は行っているのですが、やはりお稽古に行きたい気持ちが募ります。

円覚寺のお茶室に入ると、ほっとします。設えが「風炉」から「炉」へと変わっているのを拝見し、あらためて、もう11月なのだとつくづく。床の間には、白菊が一輪。

ひと月も間が空くと、真っ白な状態(笑)。お稽古の順番がまわってくるまで、他の皆さんがお稽古なさる様子を拝見しつつ「ああ、そうだった」と少しづつ記憶を呼び覚ますことができるのは、ありがたく貴重な時間です。「頭で覚えるものではなく、体に沁み込ませるもの」と自分に言い聞かせつつも。

久しぶりにお会いした先輩が「やっぱり懐石茶会を経た後は、お点前に落ち着きが感じられますね」と言ってくださり、恥ずかしくもありがたく思いました。作法の手順はすぐ忘れてしまうものの、少しでも所作に落ち着きを感じていただける物が出てきたのだとしたら、わたしにとっては大きな一歩です。

あたたかい先生や同門の皆さんがいて、ほっとする空間がある。だからこそ、お茶のお稽古に行きたくなるのだな、とあらためて感謝の一日でした。

年賀状準備。

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年賀状準備。

写真は藤吉家の年賀状2019年版。

巷では、郵便局員による商品販売や勧誘が問題になっていますが、信頼関係のある郵便局員さんとのおつきあいもあります。

毎年10月下旬になると「いかがですか?」と声をかけてくださるご近所郵便局の職員さん。「ああ、もうそんな季節」と思いつつ、忘れないように予約を入れます。おかげさまで「買い忘れ」の心配がありません。

年賀状はダンナのデザインでゴム版画、というのが藤吉家の定番。年末が近づいてくると「年内にゴム版画は完成するのだろうか!?」の緊張感が走ります(笑)年賀状は早々に準備済みでも、デザインが…ということで、ここ数年は新年になってからポストに投函すること多数。

それでも年賀状を出すことと、ダンナお手製の版画にすることは、たいせつな決まりごとです。メールやSNSでの挨拶が全盛となっても、日ごろ気になりながらご無沙汰してしまっている方々へは、やはり年賀状でご挨拶をしたいのです。それが免罪符になるとは思いませんが、せめてもの気持ちです。

今年もどうやら、年明けの完成が色濃い年賀状デザイン。ゆっくりのんびり待つことにいたします。

ツワブキが咲くと、やっぱり嬉しい。

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ツワブキが咲くと、やっぱり嬉しい。

室内から、花祭窯の小さな茶庭を眺めるのが大好きです。小さなスペースですが、毎日そのなかにちょっとした発見があるのが、嬉しいのです。

石燈籠の後ろに、黄色を発見。

花祭窯ツワブキ

毎年思うのですが、ツワブキの黄色は、葉っぱの緑と相まって力強さを感じます。佐賀に住んでいた時は、山を散歩していると、その黄色が目に飛び込んできて、季節を感じたものでした。

今年は台風の潮害が心配されたナンテンの木も、思い切って選定した後に、きれいな葉っぱが出てきてくれました。さっそく色づきはじめ、こちらも季節を感じさせてくれる景色です。

我が家の味噌の味。

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我が家の味噌の味。

毎日の味噌汁はじめ、味噌消費量の多い我が家。できるだけ自分で仕込もうと思っているものの、昨冬は気がついたら大豆を買い損ねて、仕込めず仕舞いでした。

春先に、北九州にある粷屋さんから「あとは混ぜるだけ」の「味噌仕込みセット」のご案内をいただき、まったく作らないよりはいいよね、と試しに仕込んだものを、この秋から食べ始めています。

いつもは麦麹で麦味噌を仕込むのですが、今回はお試しついでに、米麹と麦麹の合わせ味噌。樽に塩と麹とつぶし大豆を混ぜて詰めていくだけという、とても簡単な仕込み。同じ材料でその麹屋さんが作っていた合わせ味噌を買って、食べて、「なるほどこんな味に仕上がるのね」と思っていました。

さて、初めての合わせ味噌。食べてみての家族の感想は「いつもとそんなに変わらないよね」というもの。「いつもは麦だけど、今回は合わせ味噌」といっても、「んー、食べなれた味って感じだけど」と。逆に、同じ材料で仕込んでいた麹屋さんの味噌には「味がちょっと違うね」と反応。

「何が同じで、何が違うのか」を比べた結果至った結論は、我が家の味噌の味は、わたしの手による菌の味なのかも!、ということ。もしやと思って検索してみたら、出てきました。同じ材料で作っても、家家で味噌の味が変わってくるのは、それぞれが持つ菌の違いによるもので、常在菌と呼ぶそうです。 仕込みの最後に、わたしの手で混ぜ込んだので、我が家仕様の味噌に仕上がったのですね。

二度目の上海。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

二度目の上海。

藤吉憲典の展示会で訪問した上海。今回もまた、空港から展示会場、宿泊先への行ったり来たりで、まったく観光する時間はとれませんでした。が、会場となった「和食くろぎ」さんが入っているホテル・ベラージオ上海のあるエリアは、観光スポットとあって、ちょっぴり観光気分を味わうことができました。

ベラージオ上海

そして、宿泊先からの眺めもまた、新旧入り混じる上海らしさを感じることができました。

国内にしても、海外にしても、旅に出る理由は、ほぼ100%「仕事」の我が家。こうして仕事のおかげでいろいろな場所に赴くことができるのは、ありがたいことだとつくづく感じます。裏を返せば、行きたい場所に仕事をつくればよい、ということになりますね(笑)

写真を撮っていませんでしたが、中国の食事は、どうも体質的に合うようで、何をいただいても美味しかったです。お昼からオープンの展示会の前に、街を少しウロウロすることができました。果物屋さん、テイクアウトできる餃子屋さん、月餅やさんを発見。街中では、日本語はもちろん、ほぼ英語も通じないので、意志疎通がたいへんなのですが、なんとか欲しいものをゲットすることができ、嬉しい時間となりました。