年の初めの恒例仕事「花祭窯2024経営指針書」作成。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

年の初めの恒例仕事「花祭窯2024経営指針書」作成。

2024年のテーマは、藤吉憲典が「レリーフ(平面立体)作品と、獣人(fantastical human hybrid)シリーズ」、わたしは「増殖と拡散」です。

毎年変わる「テーマ」は、今まではやや漠然としていました。昨年が「表現の多角化」「奥行きのある仕事」、その前が「威風堂々」「自由な展開」、さらにその前は「超えて行く」…こう見てみると、年々少~しづつ具体性が出てきて、今年はかなりピンポイントになっています。上の写真は毎回一番上に掲げるもので、毎年決めるテーマと、「志(ビジョン)」「使命(ミッション)」「大切にすること」。「志」以下の三つは、言い方が少しづつ変わったことはありますが、基本的にはずっと変わっていません。

今回指針書を作るにあたり、記録を保存している2014年からのものを、久しぶりに(もしかしたら初めて!?)振り返ってみました。この10年で指針に掲げてうまく行っていること、思いがけず新たに生まれた方向性、やむを得ず見直したことなどが一目瞭然で、今年どう動いていくのかを考えるのに、最適の反省材料となりました。あらためてはっきり見えたことは、目標に掲げて、口に出して、実際に動いてみないことには、何もはじまらないし、何もわからないということ。動いたものに対しては、良きにつけ悪しきにつけ結果が出るので、次に進むことが出来ています。

また10年分の経営指針書を振り返ってわかったもう一つのことは、変化のスピードがどんどん速くなっているということ。じっくり取り組むべきことはじっくり取り組むこととして、他方でどんどん試してどんどん見極めていくことが増えていると感じました。特にオンラインでの情報発信に関しては、「何を使って、どのような情報を発信し、なにを期待するのか」が、猛スピードで変わっていることを、あらためて実感。その変化についていこうと頑張るよりは、振り回されることのないスタンス・仕組みを作り上げることに重点を置くべく舵を切っているここ数年の動きは、自分たちにとっては正解なのだと思います。

今年もこの経営指針書を真ん中において、修正を重ねながら取り組んでまいります。一年後にどれだけ変化しているか、楽しみです^^

読書『マルナータ 不幸を呼ぶ子』(河出書房新社)ベアトリーチェ・サルヴィオーニ著/関口英子訳

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読書『マルナータ 不幸を呼ぶ子』(河出書房新社)ベアトリーチェ・サルヴィオーニ著/関口英子訳

2023年末ラストの読書は、イタリアの作家さん。いつものカメリアステージ図書館で、年末年始用に多めに借りていた中の一冊です。これまでにヒトラー下のドイツを舞台とした小説は何度も読んだことがありましたが、ムッソリーニ政権下のイタリアを舞台にした小説は、記憶している限り初めてかな?と。訳者の関口英子さんのお名前に見覚えがあるなぁと思ったら、その1年ちょっと前に読んでいました。

こちらも河出書房新社から出ていました。『「幸せの列車」に乗せられた少年』の時代背景は第二次世界大戦後でしたので、ムッソリーニ政権のファシズムの影響が色濃く残っていたころですね。『マルナータ 不幸を呼ぶ子』の方が少し前の時代になります。

さて『マルナータ 不幸を呼ぶ子』。労働者階級で貧しく、周囲から忌み嫌われながらも人の目を気にせず自分の意志のままに行動するマッダレーナと、ブルジョワ階級で世間体を気にする母親のもと厳しくしつけられて育ったフランチェスカという、性格も家庭環境もまったく異なる二人の思春期の女の子の物語です。二人の少女の関係性は、どの時代にも有り得る話でありながら、ムッソリーニ政権下という時代背景が、二人の生きづらさを、より際立たせる役割を果たしていることが、読んでいてひしひしと伝わってきます。

この時代がどのようなものであったのかと、そこを舞台に設定した著者の意図については、「訳者あとがき」でわかりやすくまとめられています。この訳者あとがき内にある、著者が言ったという「性差別と人種差別が横行し、好戦的な男社会の典型であるファシズムの時代」「女性や、社会の枠組みからはみ出す者たちが声を上げることの難しかった時代」「ファシズム政権下のイタリア社会は、むろん過去のものではあるのですが、現代社会との危うい類似性も感じられる」「彼女たちの生きづらさは、いまの私たちと決して無縁ではない」の言葉たちが、刺さりました。

「言葉の力」=「言葉の大切さ」と「言葉の恐ろしさ」を考えさせられるセリフが物語の随所に出てきて、ひとつの大きなテーマになっています。これはきっと、言葉を生業とする著者にとっての大きなテーマなのだろうと思いました。

個人的には、これまでほとんど知らなかったイタリアのムッソリーニ政権下がどのような社会であったのか、どのように市民が扇動され、戦争につき進んで行ったのか、その一片をうかがい知る貴重な機会にもなりました。そしてその日本との類似性が恐ろしくもありました。そういえば先日読んだ『戦争は女の顔をしていない』はスターリンのソ連でした。そこにも類似性は多々見られ、つまり「国民性」とか「民族性」ということでは無く、「人間」としての本質なのだということか、と考えさせられました。

1995年生まれの著者、本書は初の長編作品だったということ。『マルナータ 不幸を呼ぶ子』では、欲を言えば、ラストシーンがあまりにもよくできすぎていて違和感が残ったので、著者の別の本も読んでみたいと思いました。日本語版がまた出ることを期待しています。

2024 辰年 よろしくお願い申し上げます!

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

2024 辰年 よろしくお願い申し上げます!

本日から仕事始めです。年末にダンナが花祭から飾り用の草木を採ってきてくれて、このお正月もお花を飾ることが出来ました。

正月

辰年=龍。この一年は、龍の子たちに、玄関を飾って(護って)もらうことにいたします。

龍の子 藤吉憲典

客間の床の間には、昇龍。

昇龍 藤吉憲典

ご近所さんから見事な赤と黄の千両をいただきましたので、龍の花器へ。

染付龍文花器 藤吉憲典

肥前山口駅改め江北駅にて、「車窓から花祭詣で」ミッションも完了。

江北駅

書き初めには、ご近所のお友だち25名以上がご参加くださいました。下の字は、ダンナ、藤吉憲典の今年の抱負。

書き初め2024

2024年も、良い仕事をお届けすべく、精進してまいります。よろしくお願い申し上げます。

2023ふじゆり的映画ベスト3。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

2023ふじゆり的映画ベスト3。

と、たいそうに言うほど今年は観ていないかも…と確認したところ、9本でした。ラストにもう1本観る予定にしていたのですが、ちょっぴり風邪をひいてしまい、年末年始に備えてもうやめておこうかな、というところで。まあでも12カ月のうちに9本ですから、わたしとしてはまあまあです。

1位『バービー』

マーゴット・ロビーの美しさと、風刺に込められた棘と、映画内で使われた音楽がとっても秀逸な1本でした。ライアン・ゴズリングをはじめとした「ケンたち」も素晴らしかった。『バービー』のタイトルとポスターのイメージを、いい意味で裏切った作品でした。

2位『生きる LIVING』

脚本がカズオ・イシグロだったので、絶対に観ようと博多まで足を運んだのでした。全編にただよう静かさと、主人公の抑制された雰囲気がとっても良かったです。黒澤監督の『生きる』をオマージュしたものということですが、そちらを観ていませんので、いずれ観てみたいと思いました。

3位『レナードの朝』

「午前10時の映画祭」のおかげで観ることが出来た、1990年の映画です。ロビン・ウィリアムズが、とても良かったです。実は出演作を見たことはほとんどありませんでした。もっと見ておけばよかったな、と。

今年は実は「あまり観たいもの、気になるものがない」という現象が発生していました。ひとつには最寄りのTOHOシネマで「午前10時の映画祭」の上映が今年度から無くなってしまったことがあります。まあ近所で観ようとこだわるからそうなってしまうことはわかっているのですが。足を運ばないと、どんどん観たい映画が来なくなる(ひいては映画館自体の存続にかかわる!)という悪循環にならないよう、できるだけ地元で鑑賞しつつ、福岡市内まで足を延ばせば、キノシネマ天神KBCシネマといったミニシアターがありますので、来年はこちらにも足を延ばすことを考えようと思います。

2023読書、年間ベスト5。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

2023読書、年間ベスト5。

昨日、下半期ベスト5を出しましたので、

この流れに乗って、年間ベスト5まで出してみます。

1位『私はスカーレット 上・下』(小学館)林真理子著

林真理子氏のすごみを感じた上下巻でした。本書とアレクサンドラ・リプリー著『スカーレット』で、今年下半期はスカーレットの魅力にすっかり取り込まれました。来年はマーガレット・ミッチェル『風と共に去りぬ』の再読を企んでいます。

2位『罪の轍』奥田英朗著

本書が「奥田英朗」ワールドに引き込まれた最初の一冊。今年5月からはじまり、たくさん読みました。著者を教えてくれた方が、「この人は、腹抱えて転げまわるほど面白い小説と、とんでもなくシリアスな小説の両方書くので毎回楽しみ」とおっしゃっていたのですが、ほんとうにその通りでした。

3位『名画の生まれるとき 美術の力Ⅱ』宮下喜久朗著

本書より先に出版されていた『美術の力』と並び、これから先、何度も読み返すことになることが確実な一冊です。「通常の展覧会であれば、作品群が撤去された後の展示室は、そこにあった絵画や彫刻の気配や、展示風景の記憶を濃厚に留めている」「作品のある空間に身を置いて作品と対面する体験がどれほど大切か」など、言葉が重く響きます。

4位『フローリングのお手入れ方法』ウィル・ワイルズ著

本書に続いて読んだ『時間のないホテル』も面白かったウィル・ワイルズ。「SF小説」のイメージが変わりました。出版社(東京創元社)のサイトで本書紹介に「恐ろしくもおかしいカフカ的不条理世界」と書いてありましたが、その通り、中毒性のある怖さと可笑しさの絶妙の組み合わせでした。新作が楽しみな作家さんです。

5位『休館日の彼女たち』(筑摩書房)八木詠美 著

設定はかなり突飛ですが、それに反して、とても静かな筆致で、独特の世界観が広がっていました。現実的には「ありえない」突飛さでしたので、ある意味「SF」と呼べるのかもしれません。本書の前に出ている『空芯手帳』は、現実的にじゅうぶん有り得る突飛さ(怖さ)で相当面白く、追っかけたい作家さんの一人となりました。

振り返ってみれば、上半期から3冊、下半期から2冊とバランスよく。「初めまして」の作家さんにたくさん出会えているのは、いつものご近所カメリアステージ図書館のおかげです。しかし年間通しても、5位内のうち4つまでが小説でした。いかに逃避先を確保していたか、ですね(笑)

来年もたくさんの良書(わたしにとっての!)に出会えますように♪

2023読書、下半期ベスト5。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

2023読書、下半期ベスト5。

例年よりもかなり早いですが、2023年下半期(7月~12月)読書のベスト5です。今年上半期のベスト5を出すのが遅れてしまった反省を生かして。

ふじゆり的、2023年下半期(7月~12月)読書のベスト5は、以下の通り。


1位 『私はスカーレット 上・下』(小学館)林真理子著

2位 『スカーレット』(新潮社)アレクサンドラ・リプリー著/森瑤子訳

3位 『口訳 古事記』(講談社)町田康著

4位 『戦争は女の顔をしていない』(岩波現代文庫)スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ著/三浦みどり訳

5位 『休館日の彼女たち』(筑摩書房)八木詠美 著

5位 『絵師金蔵赤色浄土』(祥伝社)藤原緋沙子著


いやぁ、振り返るとよく分かりますが、ありがたいことに、下半期もたくさんの良書に出会っていました。そして、すっかり内容を忘れてしまった本もある一方で、心に深く残っているものが何冊も。そんなわけで、5位、5位って、なんだ!?という声が聞えてきそうですが、これはどうしてもどちらも入れたかったので、こうなりました。あと、この下半期に特徴的だったのが、少し前に読んだ本の「再読」が何冊もあったこと。個人的に学び直しというか、再確認したいことがいくつもあったことがわかります。

さてこうして並べてまず気がついたのは、町田康氏以外は、すべて女性作家の著作だったということ。あたりまえですが、本を選ぶときに、その著者が男性か女性かなんて気にしたことはありませんでしたので、結果的にそうであったということが、個人的な感想として、なんだか嬉しいことでした。

6冊中4冊が小説。『口訳 古事記』も、古典とはいえストーリー的には(というか、読み手の受け取り方的には)小説のようなものですので、これも含めると6分の5が小説。ビジネス書や実用書がひとつも入らなかったというのが、ちょっと驚きでした。読んではいるのですが、結局心に残るのは小説だったということでしょう。

下半期ベスト5が出ましたので、次は年間ベスト5です。上半期に何を読んだか、すでに忘却の彼方ですので、振り返りが楽しみです^^

大掃除を少しづつ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

大掃除を少しづつ。

花祭窯は「窓」が多いので、まずはガラスを拭きあげることが、一番の年末仕事になります。そういえば、以前にもこのようなことを書いたな、と調べてみると、2017年。この時は12月28日にアップしていますので、今年の方が少し早めに、大掃除に取り掛かれていることがわかります。ちょっとしたことですが、なにげに嬉しい^^

というわけで、先週末。いつも後回しになっていた2階の窓を拭くことからスタート!しました。バケツにぬるま湯を用意して、ガラス拭き用の雑巾を数枚用意して、準備万端。「この冬一番の寒波」が緩んだあとでしたので、そんなに寒くないと思っていたのですが、かといって暖かくもない天気で、最初はぬるま湯だったバケツの中も冷たい水に早変わり。窓の内側と外側を吹くので、どうしても「開けっ放し」の状態が発生します。というか、ほぼ外仕事。

寒風に吹かれつつほぼ半日がかりで拭き上げ、それでもまだ2階の半分(道路側)しか終わっていないのですが…でもクリアになった窓を見れば、達成感!です。この「わかりやすさ」大事ですね。このあとは順番に、1階の玄関側➜1階の中庭側➜2階の中庭側の優先順位で進みます。さて年内あと1週間でどこまでできるか…いえ、ぜんぶやるつもりで取り組みますが。

年内の「To Do」リストには、あと「餅つき」と飾りつけがあります。年末年始のお買い物リストもそろそろ作らねばなりません。そのあとに控えるお節料理づくりは、もう余力の範囲で(笑)。それでも今年は、ダンナが早くも年賀状のデザインを仕上げてくれて、あとは宛名書きをするばかりですから、だいぶ良いペースと言えます。このところ年明け投函となっていた年賀状が、年内に出せるかもしれません。

師走のバタバタを楽しむ今日この頃です^^

ラジオからクリスマスソングばかり流れてくるので。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ラジオからクリスマスソングばかり流れてくるので。

仕事中はパソコンでラジオをつけっぱなしにしています。福岡ローカルのFM局か、BBC。この時期はFM局はもとよりBBCもクリスマスソングの大盤振る舞い。同じ曲が何度もかかり、またか!と言いつつも嬉しかったり楽しかったりします。思うに、毎年誰か(ミュージシャン)がこの時期にクリスマスソングをリリースしているのでしょうけれど、自分の耳に届くクリスマスソングは、定番化して来ているような気がします。

そこで、個人的クリスマスソングベスト5を考察してみることに。とりあえず、頭に浮かんだ順にタイトルを並べてみると、以下のようになりました。

  1. バンド・エイド 「Do They Know It’s Christmas」(1984年)
  2. ワム! 「ラスト・クリスマス」(1984年)
  3. マライア・キャリー 「恋人たちのクリスマス」(1994年)
  4. 佐野元春 「CHRISTMAS TIME IN BLUE 聖なる夜に口笛吹いて」(1985年)
  5. クリス・レア 「ドライヴィング・ホーム・フォー・クリスマス」(1987年)

まあ、みごとに1980年代の中盤に固まっておりました。マライア・ギャリーだけが少し後ですが、それでも94年。このころに、クリスマスソングの名盤がたくさん誕生したということかもしれませんし、単純に自分の感度がこのころ、中学から高校卒業ぐらいまで、に聴いたものに向いているということかもしれません。たしかにラジオを一番聴いていたのはそのころです。

冷静にあらためて考えてみると、邦楽なら例えば山下達郎の「クリスマス・イブ」もあるし、洋楽ならジャクソン5の「ママがサンタにキスをした」も名盤です。「クリスマスソング」で検索をかければ、ずらっと出てくるのだろうな、と思いつつ。ちなみに映画では、ダントツで『ホーム・アローン』(一番最初の!)が、藤吉家的にはクリスマス映画の定番。この映画のなかで使われている曲の数々も、素敵ですよね。

ともあれ、「ラスト・クリスマス」を聴けば、あの頃はまだジョージ・マイケルのソロではなくワム!だったんだなぁと感慨深く、「恋人たちのクリスマス」を聴けば、その後かなりたくさんのシンガーがこの曲カバーをしているけれど、やはりあの頃のマライアの歌声が一番だわ、と思い。音楽のちからってすごいなぁと、今更ながらに思ったのでした。そして、おのれの80年代びいきを目の当たりにするベスト5となりました。

上の写真は、ご近所民泊「王丸屋」さんのクリスマスツリー。

読書『ザ・シット・ジョブ 私労働小説』(角川書店)ブレイディみかこ著

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読書『ザ・シット・ジョブ 私労働小説』(角川書店)ブレイディみかこ著

ブレイディみかこさんといえば、著書『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』。ところが、読もう読もうと思いつつ、読まないままに新刊を発見。こちらを先に読むことになりました。ブレイディみかこさんは福岡出身なので、地元ローカル紙「西日本新聞」にもコーナーを持っておられます。英国の労働者階級に身を置いたなかから発せられる声は、かの国のみならず日本にも共通の社会課題を捉えていて、記事を拝読するたびに、いろいろなことを考えさせられています。

さて『ザ・シット・ジョブ 私労働小説』。「自伝的短編小説」の形を借りて、出版社曰く「魂の階級闘争」を描き出した一冊は、とても力強く響いてきました。階級制度が色濃く残る英国の、学術的に見た実態はこれまでに本でも読んできましたが、生の声(フィクション化されていてはいても)に勝るものはないと感じました。

水商売(日本)からはじまり、英国に渡ってのナニー(ベビーシッター兼家庭教師)、クリーニング工場、洋服のショップ店員、慈善センターでのボランティア活動、保育士、まかない食堂料理人、ケア仕事…。さまざまな労働の現場から、魂の叫びが聞こえてきました。読みながら一緒になって腹を立て、理不尽を憎み、負けてたまるかという気持になるものでした。軽快な文章が心地よく、一気に読みました。『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』も、ますます楽しみになってきました^^

『ザ・シット・ジョブ 私労働小説』(角川書店)ブレイディみかこ著

読書『喜ばれるおせち料理とごちそうレシピ』(朝日新聞出版)牛尾理恵著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『喜ばれるおせち料理とごちそうレシピ』(朝日新聞出版)牛尾理恵著

いつものカメリアステージ図書館の「特集棚」で発見。お節料理のレシピ本は、長年使っている手持ちのものが気に入っているので、なかなか新しい本を追加することがないのですが、毎年この季節になると、図書館で借りてきてお節料理のイメージトレーニングをするのが楽しみになっています。

本書は大判で144ページオールカラー。眺めるだけでも楽しい一冊ですが、内容の充実度合いがすごいです。サブタイトルに「作りやすくておいしい おせち&ごちそう料理148レシピ」とあり、読後の印象は、まさにそのサブタイトル通り。基本のおせちからアレンジまで、作り方だけでなく、盛り付け、シーン別のおススメなど、幅広く網羅していて、しかも「わたしでも出来そう!」がたくさんみつかりました。

レベル別のアレンジレシピは、特に便利に使えそうです。初級者向けには「盛り付けるだけプレート」やら「詰めるだけおせち」やら、「簡単だけど豪華」を謳ったレシピは、パパッと何か用意しなければならないときに役立ちそうです。また本の後半では、年末年始に喜ばれる鍋料理や持ち寄り料理、おつまみレシピもあります。「おせち」を超えて、かゆいところに手が届く一冊です。久しぶりに「おせち本」を購入リストに追加しました^^

『喜ばれるおせち料理とごちそうレシピ』(朝日新聞出版)牛尾理恵著

毎年、器に助けられている我が家のお節料理。本書が力強い味方になってくれそうです。