某所より「花祭窯」についてのインタビューのご依頼をいただきましたので、下準備。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

某所より「花祭窯」についてのインタビューのご依頼をいただきましたので、下準備。

「藤吉憲典/Kensuke Fujiyoshi」についてのインタビューは、これまでにも何回もあったのですが、「花祭窯」ということになると、久しぶりのような気がします。上の写真は、昨年受けた、Kensuke Fujiyoshiのインタビュー記事。「花祭窯≒藤吉憲典」ですので、大差ないだろうと思う方もあるかもしれませんが、やはり「作家(アーティスト)」への質問と、「事業」に対する質問は、少し異なるように思います。いずれにしても、ありがたく貴重な機会であることには変わり有りません。幸い「インタビューではこんなことを質問しようと思っています」と事前にいただきましたので、きちんとお伝えできるよう、こちらで下準備。


  • 花祭窯と藤吉憲典の概要

花祭窯は、陶芸家・磁器彫刻家・書画家として活動する藤吉憲典の工房です。藤吉憲典は1966年熊本生まれ。幼少期より「画家になる」と決めており、佐賀県立有田工業高等学校デザイン科を卒業後、グラフィックデザイナー/イラストレーターとして東京のデザイン事務所で3年ほどの経験を積みました。佐賀に帰省後、「磁器に絵をつける仕事」でやきものの世界へ。複数の窯元で商品開発(プロダクトデザイン)の仕事を約10年経験後、1997年に佐賀県江北町花祭で作家として独立、2012年福岡県福津市津屋崎に工房を移転し、現在に至っています。

  • 花祭窯「おかみ」の主な仕事の内容・難しさ

おかみの仕事は「作品をつくる」ことと「顔役」以外ほぼすべて。経営判断をするための「選択肢」と「判断材料」を調べ集め並べること。その難しさ(=面白さ)は、いかに「作家がほんとうにやりたいこと」に気づき、方向づけ、マネジメントすることができるか。それをやっても良いと言える根拠を並べることができるか。作家の熱狂的ファンでありながら、状況をどれだけ冷静に客観的に眺めることができるか。

  • ブランディングを上げることへの成功要因

(まだまだ成功と言える状態ではまったく無いけれど)多少なりともうまく行っている要因があるとしたら、まず第一に作家の信念(自分たちが大切にするもの)を曲げず、王道でコツコツとやってきたことが大きいと思います。そして、そこ(作家)を信頼してくださるギャラリーオーナーさんたちと出会えたこと、その先にいらっしゃる、自分の審美眼を信じてモノを見ることのできる客様たちの存在こそが、事業が継続できている要因です。

また仕事を、「伝統工芸」や「アート」だと特別視するのではなく、ふつうの事業(ビジネス)として動いてきたことが、様々な業界・分野の方々に学ぶ機会につながり、継続の力になっています。

  • 海外進出成功への要因

(これもまだ成功と言える状態ではまったく無いけれど)海外の取引先を作ることが出来たのは、国内同様コツコツと新規開拓のアプローチを続けてきた結果だと思います。様々な形で力になってくださる方々との出会いも重要でした。かかる時間や費用をコストととらえず、あくまでも投資と位置付けて考えることができるかどうかも大切なように思います。

  • 今後の展開

藤吉憲典の仕事を、世界中の「眼の力」がある人たちの視界に届かせることが、花祭窯としてこれから最優先でやっていくべきことと考えています。そのためにどうしたらよいかを、日々模索しています。これまで以上に「人の手を借りる」を仕事に取り入れ、自分達二人だけではできないこと(時間がかかり過ぎたり難しかったりすること)に挑戦していきたいと思っています。


このように準備をしておくと、まずは心構えが出来ますし、自らを振り返る貴重な機会にもなりました。花祭窯のこと、藤吉憲典のことを「知りたい」「知らせたい」と考えてくださるメディアの方々に、少しでもきちんと伝わるように、その機会をちゃんと活かせるように、というのも「花祭窯おかみ」の大切な仕事のひとつです。いつどこでこの下準備が生かされるのかは、告知解禁してからのお知らせとなります。どうぞお楽しみに。

ご近所秋祭りシーズン到来―例年通り「在自(あらじ)の金毘羅さん」でスタート。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ご近所秋祭りシーズン到来―例年通り「在自(あらじ)の金毘羅さん」でスタート。

豊穣の秋を祝い感謝する「おくんち」。今年もその先陣を切ったのは、金毘羅さんの行列です。午後三時、出立を告げる花火の音が聞こえて、金毘羅さんの大名行列が無事歩きだしことがわかります。熱中症アラートの出た暑い午後でしたので、さまざまな装束をまとった皆さんはたいへんだろうな、と思いつつ。

あちらこちらの「接待所」に立ち寄りながら進む行列は、毎年のことながらゆっくりの歩みです。そろそろ来るかな、太鼓の音が聞こえてきたなと思うと、そわそわして外に出て待つのですが、そこから、我が町・津屋崎千軒の接待所に辿り着くまでが長い。行列の姿が見えてからも、手前の接待所で止まるので、なかなか待ち長いのです。

金毘羅さん

接待所ではビールやらジュースやらを用意して行列を待っています。ほんの十年前は、ここにたどり着くまでに、既に酔っぱらってふらふらしながら歩いてくる人も少なくありませんでした。が、時代でしょうね、今はアルコールよりもジュースやお茶をお飲みになる方が増えたので、酔っ払いの行列にはならないようです。

行列の中ほどを進むお賽銭箱にチャリンと投げ入れて低頭すれば、神主さんが頭の上でお祓いをしてくださいます。今年もミッションコンプリート。

9月―九響の定期プログラム「名曲・午後のオーケストラ」を聴いて参りました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

9月―九響の定期プログラム「名曲・午後のオーケストラ」を聴いて参りました。

今年度、初めて定期会員となった九州交響楽団(九響)、アクロス福岡シンフォニーホールの「年間マイシート」を確保しての、第二回目の演奏会に行って参りました。舞台正面3階の最後尾席端っこの「マイシート」は、高い位置から舞台全体が見える、気持ちの良い席です。どうもわたしは高い場所が好きなようです(笑)。

今回のプログラムは、前半にリヒャルト・シュトラウスによる交響詩「ドン・ファン」作品20 Trv156、オーボエ協奏曲ニ長調の2曲に加え、アンコールにオーボエ奏者佐藤太一さんのソロが1曲。「オーボエ」という楽器にはわたしは馴染みがありませんでしたので、新鮮な気持ちで耳を傾けました。ピアノやヴァイオリンといった素人にわかりやすい楽器だけでなく、オーケストラを構成する一つ一つの楽器に対して、そのための協奏曲が作られているのだな、ということを体験的に理解することが出来たのは、大きかったです。

休憩をはさんで後半はヨハネス・ブラームスの「交響曲第4番ホ短調作品98」。こちらは第1楽章から第4楽章まで約1時間をかけての演奏でした。このように時間をかけて紡がれる曲を自分のものとして演奏できる演者の方々の凄さを、あらためて思いました。クラシックの「交響曲」と名のつくものだけでもいくつあるのやら。それらを聴き、練習し、演じるに至るまでにかかる膨大な時間と努力をの凄まじさは、素人には想像の及ばない世界だと感じました。

年四回、あらかじめスケジュールも内容も席も用意された演奏会に出かけるというのは、少し不思議な感じがしています。「この人のこの演奏が聴きたい」と頑張ってチケットを取る過程が省かれている分、コンサートに向かう熱量はどちらかといえばさほど高くありません。ところが期待値は、回を増すごとに高まっています。わたしは音楽素人なので、知らないことばかりであるというのが、期待値の高さにつながっているのかもしれません。次の演奏会は11月。前回今回とはまたかなりプログラム構成が変わるようで、とても楽しみです。

郷育カレッジ「知識要らずの美術鑑賞」講座を開催いたしました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

郷育カレッジ「知識要らずの美術鑑賞」講座を開催いたしました。

福津市民のための生涯学習システム「郷育カレッジ」で、今年も「知識要らずの美術鑑賞」講座を開催いたしました。2021年の第一回目から、4年目となった今年も、たくさんの受講希望者の方が集まってくださいました。

昨年に引き続き今回も、福岡市美術館の教育普及プログラムにお世話になりました。福岡市美術館の常設展示を活用し、美術館ボランティアの方々が「対話型鑑賞」をナビゲートする、というものです。福岡市美術館の教育普及プログラムのなかでも「アウトリーチ」と呼ばれる、いわば「出前美術館」は、どうしても福岡市内での提供が原則優先となりますが(福岡市の公立美術館なので)、こちらから館に出向く分には、福岡市内外からの訪問に関わらず、充実したプログラムサービスを享受することが出来ます。

まずは福岡市美術館まで皆でバス移動です。移動時間が1時間ちょっとありますので、その時間を使って、ウォーミングアップです。「美術とウェルビーイング(心身の健康)」の最新の知見を、いくつかご紹介。参加者の皆さんの、日頃の「美術」「芸術」との関りについてご意見を聞きながら、日常的にできる美術の楽しみ方を共有いたしました。

美術館に到着後は、福岡市美術館の教育普及担当学芸員さんにバトンタッチ。そこからさらに、美術館ボランティアさんにバトンが渡されます。3つのグループに分かれて、それぞれに対話型鑑賞スタート。対話型鑑賞の「肝」は共有されていますが、各グループで進行を担当するボランティアさんによって進め方は少しづつ異なり、それもまた面白いところです。

約1時間かけて3つの作品を鑑賞。どのグループからも楽しそうな声が聞えてきました。最初は遠慮しがちだったのが、時間が経つにつれ、積極的に自由な会話が発生するようになります。鑑賞している皆さんの表情も生き生きしてきます。そういう変化を拝見していると、美術の力をつくづくと感じます。

グループワークが終わったら、30分の自由鑑賞時間。福岡市美術館の常設展のチケットは当日再入場が可能ですので、めいめいに「もう一度見たい」と思ったものを観に行ったり、ミュージアムグッズのショップを見たり、「美術館そのもの」を楽しむ時間です。キース・へリングの特別展もまだ期間中でしたので、30分で特別展に足を運んだ受講生の方もいらっしゃいました。

自由にアクティブに楽しむ美術館。受講生の方々からは「もっと時間があったら」というお声も聞こえましたが、帰りのバスでは皆さんの満足そうな表情を拝見して、ほっと安心いたしました。

今回もお世話になりました福岡市美術館の皆さまに、心より感謝申し上げます!

できることを少しづつ:花祭窯は福津市カメリアステージ図書館の雑誌スポンサーになりました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

できることを少しづつ:花祭窯は福津市カメリアステージ図書館の雑誌スポンサーになりました。

「雑誌スポンサー制度」を導入している図書館は多いと思います。雑誌スポンサーとなった会社や個人が、寄贈(購入代金を負担)した雑誌や新聞の最新号のカバーに広告を表示することができる、というのがよくあるパターン。1年ごとの契約が多いようです。図書資料を充実させたいけれども、図書購入予算は年々減少傾向にある、というのが全国的な公立図書館の課題となって久しいなか、編み出された方法の一つでしょう。

新聞や雑誌を図書館で閲覧したいという要望は高く、雑誌のタイトルが一つでも増えることは、図書館にとっても利用者にとっても魅力的なことだと思います。わたしは今「福津市立図書館協議会委員」の末席におり、図書館運営の実際を数値データで拝見する機会があるのですが、そのなかで、わたしがいつもお世話になっているカメリアステージ図書館では、雑誌スポンサー制度をやろうとしているものの、まだ1社(者)も契約が出来ていないということを知ったのでした。

図書館常連(自称)のわたしが、制度を導入していること自体知りませんでしたので、それは告知不足に他ならないでしょう!ということで、まずは最初の1件目に名乗りを上げることに。タイトル選定の方法や基準をどうするか、図書館内での決裁ルート・手順はどうなっているか、まずは1軒目をモデルとしてその道筋を付ければ、広く告知をしてスポンサー募集をかけることが出来ます。

寄贈額としては、スポンサーとなる雑誌の年間購読料ですから、負担が大きすぎるものではありません。それに対して、雑誌カバーに会社名や事業内容のコピーを入れることで、地域の方々に知ってもらえる機会となります。ただ、わたしたちとしては、花祭窯の名前を知って欲しいというよりも、「こういう分野に興味を持ってくれる人が一人でも増えたら嬉しい」という、ちょっとした布教活動的な要素に、雑誌スポンサーのやりがいを見出しています。というわけで、スポンサーとなる雑誌のジャンルは、アート・デザイン・建築に関連するクリエイティブ系のものを選びました。

これまで花祭窯では、寄付や寄贈という形での貢献は、単発では行ったことはあるものの、継続的な取り組みをしたことはありませんでした。いつも使っている図書館の「雑誌スポンサー」になることは、とても身近で継続しやすく、わたしたちらしい方法だと思います。何か取り組みたいけど、思いつかない!という皆さまには、ぜひ地元の図書館に走っていただき、雑誌スポンサーの募集があれば手を上げてみることをお勧めいたします^^

福津市立図書館(福津市立図書館、カメリアステージ図書館)雑誌スポンサー募集

お茶のお稽古も夏休み明け―「聖福寺開山忌前晩献茶式」のお手伝いに行って参りました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

お茶のお稽古も夏休み明け―「聖福寺開山忌前晩献茶式」のお手伝いに行って参りました。

9月5日は栄西禅師の命日です。日本最初の禅寺と言われる聖福寺開祖の栄西禅師は、日本に「茶」をもたらした人物だと言われ、毎年、命日の前日9月4日に、聖福寺の開山忌・栄西禅師の供養が行われています。わたしが入門している茶道南方流・円覚寺は、聖福寺さんの塔頭であり、毎年円覚寺の和尚様が法要の献茶を差し上げています。

聖福寺開山忌前晩献茶式

早めに準備が整いましたので、写真など撮る余裕がありました。毎年のことながら、外の強い日差しと、本堂内の暗さ、はためく布の色彩が、なんとも言えず美しい空間です。「陰影礼賛」というのは、こういう空間に向けられる言葉なのだろうなぁと、一人満足に浸りました。

聖福寺開山忌前晩献茶式

お献茶とお坊様の読経による法要の儀式は、視覚的にも聴覚的にも、荘厳で素晴らしい体験となりました。ここ数年、毎年お世話になっていますが、何度味わっても特別です。

昨年の献茶の際に課題となった「お湯の加減」も、今年はばっちり良かったとのことで、炭起こしを担当なさる先生の、ご経験に基づくご判断と細やかな気配りに、深く感嘆いたしました。わたしは荷物を運んだり動かしたり、という、単純な仕事のお手伝いしかできませんが、それでも先生・先輩方の一番後ろでほんの少しでも役に立っているかと思うと、とても嬉しくなります。

9月に入り、8月は夏休みだったお茶のお稽古もそろそろ再開です。

うっかりパスポートの有効期限を切らしてしまっていたので、取り直し。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

うっかりパスポートの有効期限を切らしてしまっていたので、取り直し。

いや、うっかりしておりました。気が付いたのは、北京個展に先立ち中国渡航ビザを取得しようとしていた頃。コロナ禍が落ち着いて以降、ダンナはロンドン、ミラノ、カッラーラ、北京と海外出張しておりましたが、ふと気がつけばわたしのパスポート、有効期限切れてるじゃん…ということで。前回の海外渡航からずいぶん時間が空きましたので、こういうことがありますね。上の写真は、KLMが福岡空港に就航していた頃ですから、もう8-9年前のもの。

パスポートの申請も取得も、昔に比べたらずいぶんやりやすくなりましたが、発行に1週間ほどかかるのは変わらないので、いざという時に慌てないよう、早め早めに手配です。まずは戸籍謄本。昔は戸籍地の役所まで行かねばならず、学生の頃に親に電話をして取ってもらい、郵送してもらったことを思い出しました。「広域申請」なるものが可能になって、居住地で謄本をゲットできるようになったのは、ありがたいことです。パスポート申請用紙は外務省サイトからダウンロード。あらかじめ記入をしておけるので、これも落ち着いて記入が出来ます。電子申請も可能なのはわかっているのですが、博多への用事ついでに天神にある窓口へ。パスポートセンターの手前にあるお店で証明写真をゲット。毎回「後悔先に立たず」な証明写真ですが、これはもうそういうものだとあきらめれば、さほど気にならなくなります(笑)。

パスポートセンターにはたくさんの方がいました。年齢も格好もさまざまで、あらゆる世代の、いろいろな立場の人が、ふつうに海外渡航する時代なのだなぁと、今更ながらに感じました。たくさんの方がいらっしゃいましたが、受付をしてからは思ったほど待たされることなく、サクサクと進みました。窓口のお姉さんたちの、にこやかでテキパキとした様子はとても安心感がありました。

更新を失念していたのは「しまった!」ではありましたが、最初から申請し直すにあたり、非常時の連絡先の見直しなどが出来たのは、良かったです。うっかりも悪いことばかりではなく(笑)。

肥前磁器作家・藤吉憲典の、2024年秋冬予定。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

肥前磁器作家・藤吉憲典の、2024年秋冬予定。

9月になりましたね。先月末の台風の後、日中はまだ気温が高くなるものの、朝晩だいぶ過ごしやすくなりました。怒涛の夏、おかげさまで藤吉憲典の銀座・博多・北京の個展を無事納めることが出来ました。力を貸してくださった皆さま、個展にご来場くださいました皆さまに、心より感謝申し上げます。ありがとうございました。

つい先日、関連記事『「いつ、どこに行けば(藤吉憲典の)作品を見ることが出来ますか?」へのお返事。』を上げたばかりではありましたが、そこでは具体的な予定を掲載しておりませんでしたので、あらためて展覧会予定等お知らせいたします。

この8月から9月そして10月と、藤吉憲典は制作に集中する時間となっています。ご注文品の制作と、これからの個展用の作品制作と。ご注文品をお待たせしている皆さまには、今まさに制作中で、これから少しづつお届けできる予定ですので、何卒ご了承ください。


藤吉憲典2024秋冬展覧会予定

★11月9日(土)~11月15日(金)百福(東京・南青山)

藤吉憲典の個展を、隔年で開催してくださっている百福さん。町田から南青山に移転なさってから二回目となる今年の個展は、11月の開催です。定番の蕎麦猪口、ご飯茶碗、マグカップなど、ふだん使いの器を中心に、年末年始に嬉しいハレの器も取り揃える予定です。できれば来年の干支・巳の盃も並べることができるといいな、と思っています。

百福(ももふく)

東京都港区南青山2-11-6 1F
TEL:03-6447-0952
営業時間:12:00~18:00
不定休
https://www.momofuku.jp/

★12月4日~ Sladmore Gallery クリスマス・ショウ(英国・ロンドン)

ロンドンSladmoreでのクリスマス・ショウに、今年も参加いたします。人気のAnimal Boxesシリーズの新作を中心に、Kensuke FujiyoshiならではのColored Porcelain Sculpture(彩色磁器彫刻)作品をお届けいたします。

Sladmore

ロンドン セントジェームズ ジャルミンストリート 57
Tel. +44 (0)20 7499 0365
営業時間:月~木 10:00~18:00、金 10:00~17:00
定休日:土・日
https://sladmore.com


展覧会以外の予定としては、9月は地元の中学校二年生の職場体験学習を受け入れたり、10月には長年のお付き合いのある料理人さんの新店舗オープンがあったり。

この秋冬も、どうぞよろしくお願いいたします!

読書『デヴィッド・ボウイ読本 完全保存版 2017 EDITION』別冊ステレオサウンド

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『デヴィッド・ボウイ読本 完全保存版 2017 EDITION』別冊ステレオサウンド

いつものカメリアステージ図書館、貸出カウンター横の特集コーナー。今回の特集は、どうやら音楽関係。音楽の秋、というところでしょうか。2017年版ですので、7年前のものです。棚を見て真っ先に目に留まり、迷わず手に取りました。横に同発行元による『大瀧詠一読本』も並んでおりましたので、一緒に借りようかとも思いましたが、いっぺんに借りてしまっては棚が寂しくなりますので、まずはデヴィッド・ボウイから。

さてデヴィッド・ボウイ。わたしのスタートは1983年のアルバム「Let’s Dance」でした。そこから70年代に遡り大好きになった、という感じです。新婚旅行でロンドンに行ったときには、マダムタッソーで蝋人形のボウイとツーショットを撮りました(笑)。ずっと私のヒーローで、その死は早すぎました。

本書では、ボウイの歴史を読むことが出来ます。なかでも関係者のインタビューが一番の読みどころでした。トップは写真家の鋤田正義氏。これは当然ですね。鋤田さんのお仕事を、直方谷尾美術館での展覧会で拝見したのは、2018年4月のことでしたので、本書が発刊されたのとほぼ同時期ということになります。ボウイが亡くなったのが2016年でしたので、そのすぐ後に、このような動きがあったのだなぁということが、わかります。

そしてインタビューの二番手を飾っているのは、ファッションデザイナーの山本寛斎氏。これまた深くうなずくところであります。直方谷尾美術館での展覧会でも、KANSAI YAMAMOTOを着たボウイを鋤田正義氏が撮った写真のインパクトは感動的でした。

山本寛斎氏がインタビューの中に、当時のクリエイティブのエネルギーの凄さを物語るものがありました。曰く、

「この時期(1970年代初頭)のボウイにはとても深く関わったけれど、それが当時ビジネスとして成立していたかと言われると返事に窮します(笑)。よく憶えていませんが、採算度外視てやっていたことは確かです。」(『デヴィッド・ボウイ読本 完全保存版 2017 EDITION』より)

一番上の写真はレコードジャケット。このなかに、キース・へリングを発見。先日観に行ったキース・へリングの展覧会のなかでも、音楽・ミュージシャンとの関係が特集された展示がありました。

『デヴィッド・ボウイ読本 完全保存版 2017 EDITION』。「完全保存版」を名乗るだけあって、何度も繰り返し読み、確認したくなる内容がてんこ盛りでした。今更ながら買おうかな。

現代美術家との縁側おしゃべり―美術・芸術を仕事(生業)にして、続けていくことの方法について。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

現代美術家との縁側おしゃべり―美術・芸術を仕事(生業)にして、続けていくことの方法について。

現代美術家の徳重秀樹さんとは、藤吉憲典の10年来のお友だちです。二人が出会ったときは、うちは佐賀、徳重さんは東京で制作活動を行っていて、藤吉が東京で個展をするときには見に来てくださっていました。その後、うちは福岡に移転し、徳重さんも郷里の鹿児島に戻られて、たまにここ津屋崎に遊びにいらっしゃるようになりました。今回は台風一過の晴れの日の訪問でした。

芸術家は(美術家でもアーティストでも陶芸家でも)、名乗ればその日から芸術家、なので、誰でもなれると言えます。ただ、その作品で食べていくとなると、それが出来ているのは、ほんの一握り。芸術の世界だけではありませんが、いいものをつくれば売れるというものではなく、商才と運も必要だというのは、現実問題として立ちはだかってくるところです。いかに作り、いかに発表し、いかに人に見てもらい、いかに生業とする(生活のためのお金に変える)か。

アーティストという括りでは同じですが、藤吉と徳重さんとでは、作品を世に出すアプローチはまったく異なります。それぞれに、それぞれの方法を、キャリアを通じて試行錯誤してきています。だからこそ、お互いの近況を聞き、語るのはとても面白く刺激的な時間です。気づかされることも数多く、今回もいろいろと考えさせられました。