こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
BIZCOLI10周年記念イベント「届きにくいものの伝え方」にZoom参加。
BIZCOLIは、公益財団法人九州経済調査協会が運営する「九州における知の集積・交流・創造拠点」で、大人の会員制ライブラリー。図書館、書斎的個室を施設として持つほか、セミナーや勉強会を定期的に開催しています。福岡天神の南側にあり、わたしは現時点では定期的な利用を見込めないので会員にはなっていませんが、オープン開催のセミナーにたびたび参加しています。
今回のセミナー「届きにくいものの伝え方」、サブタイトルは「ブックディレクターが語る、本と人が出会う仕掛けづくり」。講師は有限会社BACH(バッハ)代表でブックディレクターの幅允孝(はばよしたか)氏。書店や図書館での選書や書棚づくりのディレクションをなさっている方です。上の写真は、現在わたしが読書中の諸々。
以下、備忘。
- 本、書店、図書館=知らないモノに偶然出くわすセレンディピティ。
- 現在の「本」の意味。
- 本は「没入」に時間を要する→忙しい日常とは「別の時間の流れ」をいかにフレーミングして差し出すか。
- ほんとうに何か知りたいときは(インターネットではなく)紙の本に立ち返る。
- 紙の本は書き直しが出来ない(とってもたいへん)=責任が生ずる=いい加減なものは世に出難い。
- 本と接している時間は、自分でコントロールできる。読む・止まる・戻るがしやすい。
- インターネットは(自分で決めているように見えて)アルゴリズムに支配されている。
- 現代は、人間の意志よりもシステムが上位に来ている社会=受動。
- 自分の意見は自分で決める。「本」はそのための役目を担うことが出来る。
- 「シェア」優位の世のなかで、本は「一人(孤独)」の貴重な時間を持てる=深く潜り込める=1対1の精神の受け渡し。
- 世界が変われば、本の立ち位置も変わる。本は、読者がいてこそ、本であり得る。
- 本も眠っているだけでは意味がない→どうやって表舞台に出すか?
- 昔は、図書館の価値=蔵書数。
- 現在リアルに存在する図書館(書店、本)は、意味があって存在している=選択の結果。
- 本の提案方法=なぜその本が、今ここにあるのか?を説明する方法。
- 本を選ぶ=自分の好きな本を共有したいと願うこと。
- 1996年を頂点に、本の売り上げは減少←→1996年以降、タイトル数(新刊の出版数)は増大。
- 商品としての本=書店/人にどのように影響を与えるか、としての本=図書館。
- 本を読む時間へのフレーミング。ブックカフェ、ブックホテルなど。
- いかに時間を本に振り向けさせるか?
- 「ジム=運動する場所」と同様に「図書館=本を読む場所」として、足を運ぶことでモチベーションと時間を確保。
- 昔は生活のいろいろな場所に本を読む隙間があった。今は残念ながら無いので、本を読む意識を発揮できる場所が必要。
- その場所ならではの最適な本の分類、選書、配架。
- その人が両手を伸ばした範囲、の外側にある本を手に取ってもらうための、結び目づくり(共通点の提示)。
- 前に進むだけが善ではない。
- 編集型本棚=NDC分類ではない並べ方の本棚にすることで、未知の本に偶然出くわす可能性を高める。
- 「○○本」なぜこの本がここにあるか、の解説を添えて。
- まず1人が反応する1冊、を、大切に選ぶ。
- (冊数は少なくても)コンセプトを決め、すべてそこに合わせていく=予約システム、本、分類、什器…
- 最初にその館ならではの「選書テーマ」をつくる。
- 本を届かせるための「サイン」をいかに作っていくか。
- いろいろな文脈を考慮し始めるようになる前に、子どもに「本物」をたくさん見せる重要性。
- 現在、絵本だけは売れている→幼年童話・児童書へのジャンプが少ないのが課題。
- 読んでもらう(受動)→自分で読む(能動)へのジャンプ。
- 「文章を読む」への耐性・筋力を鍛える。読書の筋力は、あらゆるテキストとの向かい合い方に通じる。
- 選んだ本をどう差し出すか、も重要。
- 本を贈るときは複数冊。
- 選書のコツ:テーマを先に(複数)つくる→そのテーマに入るものを選んでいく。
- 選書のコツ:具体的な相手を決めて、その人に届けたいものを選ぶ。
- ナナメの視点も大切。
「届きにくいものの伝え方~ブックディレクターが語る、本と人が出会う仕掛けづくり」より
楽しく学びが盛りだくさんで、あっという間の1時間半でした。このような機会を提供してくださったBIZCOLIさんに感謝。ありがとうございました。