2021年度学芸員研修「博物館リンクワーカー人材養成講座」第6回。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

2021年度学芸員研修「博物館リンクワーカー人材養成講座」第6回。

2021年度学芸員研修の6回連続講座の最終回でした。第1回目からの報告は下記の通り。

最終回は、福岡市美術館から「アート活動で高齢者と美術館をつなぐ」と題した発表があり、その後グループに分かれての意見交換。多様な立場の皆さんのお話を伺うことで、気づかされ、励まされました。

以下備忘。


  • 例えば「梅と桜」のように、わかりやすく普遍的なテーマ設定ができれば、いろいろな作品が鑑賞法(回想法を含む)の題材となりえる。
  • 肝はテーマ設定。「どの資料を使うか」よりも「何をテーマとするか」。
  • ギャラリートーク(解説・対話型など)→ブレイクタイム(お茶・おしゃべり)→簡単な制作→制作物を自分に届ける。
  • 制作物を後日(1日後、1週間後、1か月後、1年後など)自分に届ける=今やっていることを未来(の楽しみ)につなげる。
  • どこでも美術館=アウトリーチ。
  • 子ども(学校)向けだけでなく、高齢者(施設)向け、そのほかすべての「美術館に来にくい、来れない人」へ。
  • レプリカ、持ち出し用の(持ち出し可能な)ほんもの。
  • 認知症対応マナー研修。
  • 美術館・博物館→社会教育施設→生涯学習拠点。
  • 文化施設=いかにして社会的に頼られる存在になれるか、その使命。
  • 実物(ほんもの)+オンライン。
  • そのプログラムは、自分が参加して楽しいと思えるプログラムか。自分が作ったプログラムに、将来的に自分が参加することを想定して考える。

アートエデュケーターとしての取り組みに今後取り入れていきたいことが、具体的たくさん出てきた全6回の研修でした。すぐにできること、長期的に周りに働きかけるべきこと、来年度以降に取り入れていけるもの。九州産業大学の緒方先生が中心となって開催してくださる学芸員の研修事業は、学究的である以上に実践的であることが、毎回特徴的です。今年もとても勉強になりました。ありがとうございました!

2021年度学芸員研修「博物館リンクワーカー人材養成講座」第5回。

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2021年度学芸員研修「博物館リンクワーカー人材養成講座」第5回。

2021年度学芸員研修の6回連続講座の5回目でした。「博物館リンクワーカー人材養成講座」第1~3回と、第4回目の報告は↓こちら↓。

今回は「回想法」。わたしが初めて回想法の講座を受講したのは、2018年「博物館で回想法」でのこと。今回は宮崎県総合博物館での取り組みを学びました。これは、前回の講座で同じグループだった福祉施設関係のスタッフの方が宮崎県総合博物館と連携して取り組んでおられる事例であり、継続的な取り組みが発展・進化している様子を拝見することができました。

以下、備忘。



  • 博(博物館)福(福祉)連携。
  • テーマ別回想法(座学)、コース別回想法(展示室観覧)。
  • テーマ別では、一つの題材を中心に、座ったままで回想法を展開することが可能。
  • コース別では、解説委員による解説を入れながら、展示スペースを動きながらの回想法が可能。
  • 昭和時代のモノだけでなく、さまざまな所蔵品や資料が、回想法の題材として使える。
  • 参加者それぞれの思い出話につなげ、話題を盛り上げるには、題材からどのようなテーマを決定し導くかが大切。
  • 各コースは定期的に開催。年度ごとに開催スケジュールを作成→支援団体(サービス利用団体)を公募。
  • 博物館に来れない方に向けては「貸出キット」によるアウトリーチ。
  • 貸出キットの貸出先は、福祉施設・学校・図書館等の社会教育施設が中心。
  • 現状では「貸出キット」は資料・史料のみで、人材(解説委員・学芸員)の派遣は無し。
  • 昔の道具などは参加者である高齢者の方々から用途や使い方を教えてもらうことができる=相互学習。参加者がお互いに「役に立っている」と実感できる。

宮崎県総合博物館では、取り組みのためのマニュアルがすでに出来上がっており、また毎月定例で開かれる福博連携の会議で細かく状況を共有する仕組みができているのが秀逸でした。「連携」のためには、とにかく働きかけ続けることが大事であり、そうしているなかで、志を同じくする方々とつながり、事業を推進していくことができると教えられました。

読書『ミュージアムグッズのチカラ』(国書刊行会)大澤夏美著

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読書『ミュージアムグッズのチカラ』(国書刊行会)大澤夏美著

あちらこちらの美術館・博物館で、ミュージアムショップがどんどん魅力的になっています。正直なところ、わたしはミュージアムグッズをたくさん購入する方ではありませんが、展覧会や常設展示を見たあとに、ついつい立ち寄る場所でもあります。上の写真は、福岡市博物館のミュージアムショップで手に入れた絵葉書。

本書には、グッズの商品開発に関わる学芸員さんや研究員さんデザイナーさんなどへのインタビューが載っていて、そこが一番の読みどころだと思いました。どのような思い・使命感をもって取り組んでおられるのか、並々ならぬ熱量を感じました。本書を読み終わったとき、自分のなかでのミュージアムグッズの位置付けが大きく変わっていました。

ミュージアムショップはミュージアムの入り口であり出口である、ということが、本質的に理解できました。有料の展覧会であっても、ミュージアムショップに入るには入場料はふつう要りません。そういう意味では誰でも入りやすく、敷居の低い入り口です。そして展覧会を観覧した後に、その余韻を持ち帰るひとつの方法としてグッズが並んでいる場所ですから、ある意味展覧会の一番最後の展示スペースであり、出口。

「はじめに」にある一文が、とても響きました。いわく「ミュージアムショップはただの売店ではないですし、ミュージアムグッズはただの雑貨ではありません。博物館での思い出を持ち帰るための大切なツールであり、博物館の社会教育施設としての使命を伝える手段でもあります。」(『ミュージアムグッズのチカラ』大澤夏美)。

とくに「社会教育施設としての使命を伝える手段」であるというところに、ハッとしました。わたしはアートエデュケーターとして「美術の教育普及」を仕事にしていますが、その立場・役割の目線でミュージアムグッズを見たことが、これまでありませんでした。でも、思い返してみれば、たしかに教育普及として活用できる側面がものすごくあることは明らか。「アウトリーチ」の究極の形ともいえるかもしれません。ミュージアムグッズを見る目が、がらりと変わりました。

各館が力を込めた魅力的なミュージアムグッズが、写真と解説入りでたくさん載っています。「このグッズが欲しいからこの美術館に行ってみる」もありですね。それこそ美術館への入り口そのものです。

福津市歴史資料館企画展『埴輪から見た津屋崎古墳群』見て参りました。

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福津市歴史資料館企画展『埴輪から見た津屋崎古墳群』見て参りました。

福津理歴史資料館、正式名称は「福津市複合文化センター歴史資料館」で、歴史資料館・図書館・ホールの複合施設のひとつです。カメリアステージ図書館の1階が歴史資料館で、2階が図書館なので、ふと歴史資料が見たいと思ったときに「ついでに見る」が可能な、素晴らしい立地。企画展は歴史資料館エリアの一角で展示されます。決して広いスペースではありませんが、だからこそ、ピンポイントで学ぶことができます。

令和3年度の企画展テーマが『埴輪から見た津屋崎古墳群』だと聞いて、まず思ったのは「あれ。新原奴山の古墳群からは、埴輪はあんまり出てなかったと思うんだけどな」でした。とはいえ、発掘調査がずっと続いているのも知っていましたので「もしや、新しい発見があったとか!?」と、ワクワク。

展示ケースに寄ってみると、並んでいるのは「円筒埴輪片」ばかり。うん、やっぱりそうよね、と思いつつ、キャプションパネルの解説を拝読。結論としてはやはり、古墳全体として埴輪の出土はとても少なく、出土しているものも小型の円筒片がほとんど。「いかにも埴輪!」という感じのものは見当たりません。これまでにすでに出土しているなかに「馬形」や「人物形」があり、これらは常設展示してありますが、あらたに大きな発見は無いようでした。

それでも、企画展示コーナーの埴輪のひとつに「形象埴輪」と呼ばれる、竹菅の組み合わせによる刺突文様のついたものがあり、思わず「おお!」とテンションが上がりました。文様、絵画的なものが残っている遺物を見ると、ワクワクします。解説に寄れば、熊本県南部にある大型前方後円墳からの出土例にある形象埴輪に、まったく同じ文様があることから、当時の地域間交流が伺えるということでした。

さて『埴輪から見た津屋崎古墳群』企画展資料の解説の結論としては、「宗像地域では埴輪祭祀が流行しなかった!」というものでした。やっぱりそうかぁ…と思いつつ、その結論がわかっていながら、あえてタイトルに『埴輪から見た』と入れるあたり、学芸員さんの「攻める姿勢」が見えて、思わずニンマリ。

15分ほどの短い鑑賞時間でしたが、なんとも充実した時間でした。身近にある世界遺産である古墳について、ゆっくりじっくり思いを馳せることができる、身近な歴史資料館。このコンパクトさが、とっても良いのです。

2021年度学芸員研修「博物館リンクワーカー人材養成講座」第4回。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

2021年度学芸員研修「博物館リンクワーカー人材養成講座」第4回。

2021年度学芸員研修の連続講座4回目。「博物館リンクワーカー人材養成講座」第1~3回の報告は↓こちら↓。

2021年度学芸員研修「博物館リンクワーカー人材養成講座」第1~3回。

第4回目は「認知症高齢者と社会教育施設をつなぐ」のタイトルで、福岡県大牟田市の取り組みを、大牟田市中央地区地域包括支援センターの竹下一樹さんから学びました。地域での連携を考えるうえで、とても心強い取り組み事例。

毎回、各館での取り組みのボトルネックとして出てくる課題に、「横展開」をいかに広げていくかというものがあります。社会教育施設と福祉。それぞれの強みを組み合わせ、連携していく関係性を築いていくには、とにかくコツコツと粘り強く働きかけていくこと。そして人と人とのつながりこそが、キーポイントとなることを確認する時間となりました。

以下、備忘。


  • ○○のために、ではなく、○○とともに。
  • 当事者ミーティング。
  • 本人は、どうしたいのか?どう感じているのか?
  • 横展開。
  • 一人では足を運び難くても、仲間がいることで足を運ぶことができる。
  • 誰かの役に立ちたい、地域のために役立ちたい。
  • 民間との連携=企業戦略としての「高齢者にやさしい街」。
  • 福祉施設側や行政の福祉担当から、受け入れ施設(社会教育施設)に、必要最低限のマニュアル(認知症に対する基礎知識など)を共有する。あるいは研修を受ける。
  • 横のつながり、情報共有。
  • すでにあるそれぞれの活動を、つなげていく。
  • 予防的活用。
  • 誰もがいつかは通る道=当事者。
  • まずは受け入れる。

この連続講座では、毎回講座後半に設けられる「語り場」での意見交換が、とても効いています。昨年の春からZoomを使い始めて、会議や研修など様々な場面で利用してきていますが、この講座でもあらためてその便利さと恩恵を感じています^^

磁器作家 藤吉憲典の挑戦@福岡アジア美術館、まとめ5

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

磁器作家 藤吉憲典の挑戦@福岡アジア美術館、まとめ5

「まとめ4」までで、おおむね完了したつもりでおりましたが、展覧会経費としてなにが必要だったのか、書き留めることを失念していました。今回は「開催する」ありきでしたので、必要経費についてあらかじめ細かい予算を考えるではなく、その都度の対応でしたが、本来は開催検討のスタート時点で把握しておくことが大切な要素のひとつですね。

「磁器作家 藤吉憲典の挑戦@福岡アジア美術館、まとめ1」では、アンケート回収結果などから数字的なまとめ、「まとめ2」ではご来場者様の声を抜粋し、「まとめ3」ではいただいたご来場者様の声からの考察をまとめました。「まとめ4」では、起案から会期終了までの全体の流れと、実務的な反省点。そして、この「まとめ5」では 「何に・幾ら」 を出します。

公の美術館の貸し館を利用して展覧会をする場合に、どのような費用が必要になってくるのか。ざっくりとですが、今後開催を検討している方々にも参考になるかもしれません。もっとも「会場費」は開催する地方・場所により大きく異なりますね。他所でやったことがありませんので比較はできませんが、福岡アジア美術館の貸し館の価格設定は、その場所・空間の価値に対して、良心的だと思います。


  • 会場費(福岡アジア美術館8F交流ギャラリー6日間) 74200円
  • フライヤー1印刷 カラー×モノクロ200枚 4092円
  • フライヤー2印刷 カラー×モノクロ200枚 4092円
  • ポスター印刷 A3 3枚、B2 1枚 10054円
  • パンフレット印刷 全ページカラー A4 24頁 60部34045円
  • 受付事務外注(3時間×2日)4000円×2日=8000円
  • コピー代 
  • 事務用品 アンケート用クリップペンシル
  • コロナ対策費 手指消毒液、物品用消毒液、除菌シート、不織布マスク
  • 交通費 駐車場代、高速代、電車&バス代、
  • お礼状(ハガキ、切手)

今回は使わなかったけれど、発生可能性のある費用としては

  • 印刷物のデザイン:見積段階では、チラシ・ポスター・パンフレットすべて込みで8~10万円。
  • キャプションボード等製作:
  • 搬入運搬:

こんな感じでしょうか。上記以外に、通常業務上の経費と切り離し難いものもありますので、厳密なものではありませんが。大きかったのは、会場費と印刷費。いずれも必須のものです。こうして項目を羅列してみると、準備物のチェックリストや、To Doリストとしても使えそうです^^

読書『ロンドン・ナショナル・ギャラリー・アートコレクション』(COSMIC MOOK)冨田章監修

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

『ロンドン・ナショナル・ギャラリー・アートコレクション』(COSMIC MOOK)冨田章監修

2021年カメリアステージ図書館選書ツアーの選書本から、第一読者としての一冊目は、大好きなロンドンナショナルギャラリーコレクションを紹介・解説したMOOK本。展覧会図録ではありませんが、出版のタイミング的には、2020年から2021年にかけて日本国内で開催された「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」の関連かと。

「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」 は、コロナ禍でなんとも難しいなかでの開催でした。行こうと思っていたけれど行けなかった、自粛した、という方々も少なくなかったのではないかと思います。この本を通して、次回の国内展覧会(あるかはわかりませんが)や、現地への訪問に思いを馳せる時間を楽しむのもおすすめです。そういえば、わたしが前回ロンドン・ナショナル・ギャラリーに行ったのは、2年前の今頃でした。美術館前の広場で高所作業車がクリスマスツリーを設置していたのを思い出します。

さて本書。巻頭で「必見」マークを付けた名作を紹介し、そのあと年代別に5章に分けて、各年代ごとの必見コレクションを並べています。絵画の写真に添えられたそれぞれの作品解説が、長すぎず短すぎず、読みやすいです。一枚の絵のなかでも特に注目すべきポイントは、「クローズアップ」としてアップ写真で解説しています。巻末には掲載されている絵画タイトルのインデックスが載っているので、見たいものから逆引きで見ることもできます。

わたしはふだん美術館で絵を見るときは、キャプションをほとんど読みませんので、この本であらかじめ予習していると、また見え方が異なってきそうです。来年あたりはロンドンに行きたいなぁ、と思いつつ。

本書の監修の冨田章さんは、東京ステーションギャラリーの館長さん。そういえば、東京ステーションギャラリーにはまだ一度も足を運んでおりません。東京駅といえば辰野金吾。次回状況の際には必ず訪問したいと思いました。

磁器作家 藤吉憲典の挑戦@福岡アジア美術館、まとめ4

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

磁器作家 藤吉憲典の挑戦@福岡アジア美術館、まとめ4

「磁器作家 藤吉憲典の挑戦@福岡アジア美術館、まとめ1」では、アンケート回収結果などから数字的なまとめ、「まとめ2」ではご来場者様の声を抜粋し、「まとめ3」ではいただいたご来場者様の声からの考察をまとめました。最終となる「まとめ4」では、起案から会期終了までの全体の流れと、実務的な反省点など。


  • 展覧会計画にあたっての参考書:『THE CURATOR’S HANDBOOK』(フィルムアート社)、『美術館っておもしろい!』(河出書房新社)。この2冊で、必要なことはほぼ網羅出来ていた。
  • スケジュール:
    2020年初夏思い付き
    →10月初旬プランニング本格始動
    →2021年1月アジ美会場申込
    →2月会期・会場等決定
    →8月展覧会タイトル・具体的プラン等決定
    →9月告知・後援・協力依頼、チラシ第1弾制作
    →9月末アジ美事前打ち合わせ(=最終打合せ)
    →10月チラシ第2弾制作、ポスター制作、パンフレット制作
    →11月最終調整。
  • スケジュール的には9月~11月の会期直前までの約2か月で、いろいろなことが進んだ。間に合いはしたものの、もう少し早めだと尚良い。
  • 写真:今回、短期間で制作したものの、写真撮影と印刷物制作(チラシ第1弾→チラシ第2弾→ポスター→パンフレット)がかなりうまくいった。写真さえきちんと揃えておけば、ある程度うまく行く。急なお願いに応えてくださったカメラマンさんのおかげなので、次回以降はもっと早めに準備。
  • 印刷:いつもの印刷WAVEさん。納期スケジュールさえ把握しておけばOK。オンデマンドとオフセット、部数・納期・金額で使い分け。
  • 告知:DMはチラシを封書で送ることにし、DMハガキは作成せず。チラシとインターネットでOK。福博ツナグ文藝社さんのヘルプが大きかった。自分でプレスリリースを打つのをすっかり忘れていた。インターネットはインスタをもっと活用できたはず。
  • 資料展示:解説展示パネルは、もっとサイズを大きく、見やすいものを作るべき。業者さん調べる。
  • 3室分割のプランニング:(第1室)普段の作品展示(第2室)インスタレーション(第3室)補足資料展示・アンケート記入場所。結果として良い使い方ができた。次回以降、映像の活用(第3室)も要検討。
  • アンケート等:「アンケート」は思いがけず回収率の高い結果となり、大成功。質問項目も妥当だった。「入場の際の注意」は、配布しても読まない人がほとんど。紙がもったいないので、次回以降は掲示物に変更。
  • 資料展示:お取引先さんの協力を得られた。今回の成果をもとに、次回以降はもっと早く告知して、より充実した資料提供を求めると尚良い。
  • パンフレット:作品写真データをもっと多く掲載しても良かったかも。展示プランをもう少し早めに決めればできたこと。文章コンテンツは、現段階において最善のものをつくれた。

2021年11月29日現在。


とりあえず、現時点ではこんなところ。また思いついたら追い追い追記。

2021年度学芸員研修「博物館リンクワーカー人材養成講座」第1~3回。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

2021年度学芸員研修「博物館リンクワーカー人材養成講座」第1~3回。

九州産業大学美術館、地域共創学部の緒方泉先生が中心となって開催してくださる、文化庁事業「学芸員技術研修会」。学芸員技術のブラッシュアップの場であり、最新の知見を得ることができる貴重な場です。多様な立場で活動しておられる学芸員の皆さんと、さまざまな課題を考察したり意見交換できる機会でもあります。館に属さずフリーランスで活動しているわたしにとっては、ほんとうにありがたい機会で、2016年から毎年参加しています。

美術館等での研修の現地開催が悩ましい昨年から今年は、講座への参加に地域別の条件が付いたり、講座自体が中止になったりと、運営する事務局の皆様方のご苦労はいかほどかと頭が下がります。そんななか今年度は、オンライン開催による連続講座のご案内をいただきました。

「博物館リンクワーカー人材養成講座」では、美術館博物館をはじめとした社会文化施設が、地域住民の健康・福祉にどのようにかかわっていくことができるか、がメインテーマ。「博物館浴」の実現性と、そのための人材養成を探っていきます。思えば、2018年に受講した連続講座「2025年問題に向けた高齢者の健康と博物館の役割」から、「博物館浴」への動きはスタートしていました。

連続6回で構成される講座の3回目までが終了し、折り返し地点です。前半第1回から第3回までの、備忘的メモ。


第1回「博物館浴研究の最前線」

緒方先生のお話「博物館浴研究の最前線」。自分が漠然と考えていたよりも、ここ数年でエビデンス(医学的根拠)を積み上げていく取り組みが、世界各地でかなり進んでいるということがわかり、嬉しい驚き。英国、カナダなどが先進的なほか、3回目で報告のある台湾の取り組みも要注目。

グループワーク「オンライン語り場」では、全国各地からの参加者の皆さんのこのテーマに対する関心の高さが伝わってくる。どの地域でも同様の課題があることがわかる。またコロナ禍下で、課題の緊急度が高まっていることも伝わってくる。

個人的には「美術(美術館)はもっと使える」を実現する方法のひとつとして、具体的なアプローチが見えてくる予感大。「博物館健康ステーションのリンクワーカーとして働く」ことが、職業選択の際に現実的な選択肢として生まれる場になりそう。

第2回「オンライン博物館浴プログラムの実際」

身体を動かすことの意味・効果を、ふだんとは違った角度から眺める。2018年に参加した音楽療法講座での体験が、そのさらに先の展開につながっていることを理解できた。拝見した高齢者施設での事例はまだまだ発展途上の感があったものの、だからこそ今後どのように展開・進化していくか、期待が膨らむ。

実際にプログラムに合わせて体を動かしてみて、フィジカルなアプローチでの美術鑑賞法の可能性が広がることを実感。これまでは主に子ども向けのプログラムとして考えがちであった、美術と身体的エクササイズの組み合わせは、子どもに限らず楽しめるものであり、かつ心身のリフレッシュに有効であることが体感できた。例えば、エクササイズ×絵画、エクササイズ×仏像、エクササイズ×彫刻、エクササイズ×埴輪…など、組み合わせは資料により無限大。

第3回「台湾の博物館処方箋プログラムの動向」

台湾では既に手引書ができ平準化されつつあることに、嬉しい驚き。「処方箋に博物館と書く」動きがどんどん進んでいる。昨年来読んできた、台湾IT相オードリー・タン氏関連の著書にあったとおり、社会課題に対して国(政治)が真摯に市民の声を聞く仕組みができており、そのうえで官民共同があるからこそ(例えばコロナ対応しかり)、必要な施策をスピード感をもって実行できる。博物館浴への先進的な取り組みもまた、そうした成果のひとつであろうと思えた。

医療(医者)との連携、福祉(施設)との連携、行政の各分野(縦割り)との連携。どこを窓口として、いかに横のつながりを構築していくかが、実務を考えていくうえでの現実的な課題になるであろうとの共通認識。


後半のプログラムは12月。今からとっても楽しみです。

「知識要らずの美術鑑賞」@郷育カレッジ講座、開催しました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「知識要らずの美術鑑賞」@郷育カレッジ講座、開催しました。

福津市民のための生涯学習システム「郷育カレッジ」で、「知識要らずの美術鑑賞」講座を開催してまいりました。

この美術鑑賞講座、最初に郷育カレッジのプログラムに入ったのは2年前でしたが、天候不良やコロナ禍で、中止が続いておりました。3年目にしてようやく初開催。当初は九州産業大学美術館を訪問しての講座を予定していましたが、コロナ禍のため研修室での開催となりました。上の写真はイメージ^^

方法として用いたのは、ビジュアルシンキングという呼ばれ方もする対話型鑑賞法。昨今では一般的な鑑賞法になりつつあります。「対話型」ではありますが、今回はコロナ対策として「参加者同士の対話」の形はとらず、「絵画と私との対話」というアプローチで進めました。

美術館に行くことができませんでしたので、研修室でスライドによる絵画鑑賞を通して、「見る」の確認と実践をしました。そのあと、研修室を出たホールの廊下に飾ってある、実物の絵画(おそらく、絵を描くことを趣味とする地元の方が描いて、市に寄贈したもの)を見ながら、絵画鑑賞の肝をおさらい。座学とワーク(記述作業)との組み合わせで、深めていくことができました。

以下、受講者の方々からのご感想抜粋&まとめ。


  • もっとお話を聞きたいと思いました。美術館での開催を希望します。
  • 絵画を見るポイントがわかったような気がする。
  • 自分の見た目での解釈が重要(近代は主流)であることが、勇気づけられた。
  • 美術展の見方のポイントが良かった。
  • 今後、美術館での見方が変わると思いました。
  • 次回美術展を見に行くときは、今日のお話を覚えておいて、自分の目(で見ること)を大切に、鑑賞を楽しみたいと思います。
  • わかりやすかった。次回はぜひ美術館的なところで講習があったら嬉しい。
  • 絵の鑑賞は、自分自身の目がスタートになるのだと学んだ。
  • コロナで美術館に行けない日が続いて寂しかったので、嬉しかった。美術館で講座を受けて、ディスカッションしたいと思った。
  • もう一度参加したいと思いました。
  • わたしは好きか嫌いで見ているので、これでいいのだとホッとしました。
  • 「見る」ことにいろいろな考え方があることがわかりました。
  • 今までいかにボーっと見ていたかに気づいた。

(2021年11月24日「知識要らずの美術鑑賞」@郷育カレッジ 参加者アンケートより)


スライドでの絵画がやや見難かったにもかかわらず、皆さん、熱心にワークに取り組んでくださり、静かながら熱気を感じる90分でした。また、あとから「実物の絵画」を前にしておさらいをしたことで、コピーやスライドよりも実物の画が持つ力を感じていただけたように思います。

受講者の皆さんのお話を伺って、やはりこの2年間、皆さん「美術館に行く」「絵を見る」ということから少し離れざるを得ず寂しかったのだなぁ、ということをあらためて思いました。今回の講座をきっかけに、また美術館訪問への意欲がわいてきた方々も多かったようで、とても嬉しく思いました。

ふじゆりのアートエデュケーターとしての活動「Meet Me at Art」の美術教育講座は、市民向け、学校向け(先生向け・生徒向け)など、柔軟なプログラム構築が可能です。興味のある方はお気軽にご相談ください。