読書『AI時代の知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク』(SB Creative)永田豊志著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書AI時代の知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク』(SB Creative)永田豊志著

いつものカメリアステージ図書館から。「このテーマの本が必要」と目的がはっきりしているときは、まず図書館の蔵書検索です。福津市の図書館のサイトで、キーワードを打ち込んで簡易検索すれば、候補が上がってきます。リストにざっと目を通して、よほど中身が外れていると思うものを除いて片っ端から予約を入れます。福津市には図書館が2館あって、蔵書も分かれていますが、どちらにも予約を入れることが可能です。開館日であれば、そして該当する本が貸出可能な状態であれば、だいたい午前中に予約を入れれば午後3時過ぎごろには、カメリアステージ図書館のカウンターでまとめて受け取ることができます。便利の一言。

先日のブログ「サッシン・ベースの宿題…」にも書きましたが、「ピッチ資料」を書き上げるために、たくさんの本を予約して借りてきました。久しぶりにガッツリとビジネス書を借りて参りましたが、おかげさまでピッチ資料は無事完成しました。本書はその立役者ともいえる一冊です。SB Creativeの公式サイトでの紹介によると「6万部突破のロングセラー『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』が大幅アップデート!」だそうで、人気の高いシリーズなのですね。

そもそも、融資や補助金申請などでプレゼン資料として「事業計画書」を作ることはあっても、「ピッチ資料」なるものを作る機会がこれまでほとんどありませんでした。プレゼン資料ももちろんそうなのですが、ピッチではなおのこと図表や写真やグラフなどを使いこなしてビジュアルに訴えることが必要!というイメージがあります。放っておくと説明・解説はすべて「文章」になりがちなわたしにとって、フレームワークを使いこなした資料は憧れです。その第一歩を踏み出すためにも、この本は「買い」だと思いました。

読んでまずわかったのは、様々なパターンのフレームワークを、目的に応じていかに使い分けるかが大切だということ。もちろん本文中には、どのような目的でどのように活用できるかが例示されていますが、そのまま使っても、わけがわからないことになりかねません。自分の事業に置き換えたときに、どう表すのが効果的なのか。本書で紹介されているたくさんのフレームワーク、そのどれを、何を伝えるために、どのように使うか、センスが問われます。これもきっと数こなすとコツがつかめてくるはず、と思いつつ、ともあれ強い味方になってくれました。

AI時代の知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク』(SB Creative)永田豊志著

サッシン・ベースの宿題「7分間のピッチ資料をつくる」にチャレンジ中。

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サッシン・ベースの宿題「7分間のピッチ資料をつくる」にチャレンジ中。

福岡県の商工部スタートアップ推進課からご案内をいただき、8月からスタートした支援事業「サッシン・ベース」。10月に開催されるワークショップ第2回目を控えて、宿題が出ました。「新規事業について、7分間のピッチ資料を作る」というもの。さっそく、週末から祝日にかけての時間を使って、取り組んでみました。

ピッチ資料には下記の内容を含めて!ということで

  1. どんな問題を解決するのか?(背景や課題)
  2. どんな商品やサービスを提供するのか?(解決策)
  3. 誰に向けたビジネスなのか?(市場)
  4. どうやって利益を出すのか?(収益モデル)
  5. 競争相手は?(競合分析)
  6. どのように事業を大きくしていくのか?(成長戦略)

1.から3.まではサクサクと進んだものの、「4.収益モデル、5.競合分析、6.成長戦略」という段になって、はて?と手が止まり。ふだん事業計画を考えるときに、わたしの頭は後半3つを(前半3つほどには)重視していないらしい…と判明しました。こういう発見があるのも、ありがたいことですね。

これではイカン、ということで、さっそく参考書を求めてまずは図書館検索。思いつくキーワードを入れては出てくるビジネス書をチェックして、できるだけ最近発刊されたものをいくつか選びました。ビジネス書、あるかなぁ…と心配していたのですが、とりあえず今回のピッチ資料に活用できそうなものを数冊見つけることができて一安心。本屋さんに行けばもっと選び放題であろうことはわかっているものの、一番近いのが図書館なもので、急いでいるときほどまず図書館で探してしまいます。

で、今のところ今回のピッチ資料制作で一番役に立っているのが、次の2冊です。

AI時代の知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク』(SB Creative)永田豊志著

SB Creativeの公式サイトでの紹介によると「6万部突破のロングセラー『知的生産力が劇的に高まる最強フレームワーク100』が大幅アップデート!」だそうで、人気の高いシリーズなのですね。説明・解説はすべて「文章」になりがちなわたしにとって、フレームワークを使いこなした資料は憧れであり、その第一歩を踏み出すためにも、この本は「買い」です。本書で紹介されているたくさんのフレームワーク、そのどれを、何を伝えるために、どのように使うか、センスが問われると思いました。

『新しい「価格」の教科書 値づけの基本からプライステックの最前線まで』(ダイヤモンド社)松村大貴著

こちらは上述の「フレームワーク」に比べると、資料作りにそのまま具体的に役立つというよりは、「4.収益モデル、5.競合分析、6.成長戦略」を言語化(あるいは図解化)するために、その前提として知っておくべき考え方が書いてありました。「そもそも」とでもいいましょうか。タイトルを見て、即物的な値付けの方法論を説いた本なのかと思って借りたのでしたが、もっと骨太な本でした。

ということで、学習したことを下敷きにして、引き続きピッチ資料作り。頑張ります^^

読書『知の編集術 発想・思考を生み出す技術』(講談社現代新書)松岡正剛著

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読書『知の編集術 発想・思考を生み出す技術』(講談社現代新書)松岡正剛著

少し前にお友だちとおしゃべりしていたときに名前が出てきた「知の巨人・松岡正剛」氏。お名前はどこかで聞いたことあるけれど、どこでだったかしら、と思いながら、松岡正剛氏の概略を教えてもらっていたのでした。解説を聴きながら、同様の内容をどこかで聞いたことがあったような、と思ったまま数か月。実は「読んで」いたことが判明。

先般「再読書」でとりあげた、田中優子先生の『蔦屋重三郎 江戸を編集した男』の文中にちらほら、そして巻末あとがきにがっつりと、松岡正剛氏のお名前が出てきていました。あらまあ、こんなところで目にしていたのね!です。俄然興味がわいてきましたので、本屋さんで探してみたところ、著者名で蔵書検索すると大量に出てきました。初心者であるわたしには、まずは軽めに新書版が良いかなと思い、本書をチョイス。

で、読み始めたのですが…まったく軽くありませんでした。難しい、いえ、書いてある内容はそんなに難しくはないのかもしれませんが、語り口が哲学的というのでしょうか、読み進めるのに、ずいぶんと時間を要しました。なんだか試されている感じです。そして時間を要しても、なかなか頭に入ってこない。文中にしばしば「編集稽古」なるものが挿入されていて、実際に自分で「編集作業」をやってみながら体感するようになっています。が、やってみてもわかったようなわからないような、ということはわかっていないのだな…という状況です(笑)。

ただ、本書で言う「編集」が、一般的に使われる「本や雑誌の編集」的なニュアンスにとどまらない、少々乱暴な言い方をすれば、生きることそれ自体が「編集」という言葉で説明できるのかも…ということだけはわかりました。そして誰もが日々無意識に「編集」を積み重ねているということも。たぶん、そんなことが書いてあるのだと思います。だからどうなの?というところまでは、本書を一回読んだだけではわたしには難しく。突き詰めて考える気持ちがないと、本書に書いてあることをしっかり飲み込むことはできないだろうな、という読後感です。

氏はイシス編集学校なるものを立ち上げており、ご本人が亡くなった後も続いています。そしてなんと、田中優子先生は、ここの学長でいらっしゃいました。ともあれ、ちゃんと読んだ!と言える状態ではありませんので、少し時間をおいて再読したいと思います。その時は「そうそう!」と腹落ちできることを期待して。

『知の編集術 発想・思考を生み出す技術』(講談社現代新書)松岡正剛著

「私は誰か」「私は何を知っているか」「私は誰を知っているか」。

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「私は誰か」「私は何を知っているか」「私は誰を知っているか」。

今年四月に読んだ本『Effectuation エフェクチュエーション』。つい先日、友人とやりとりしていて、あの本のタイトルは「エフェクチュエーション」のあとに『優れた起業家が実践する「5つの原則」』と続くけれど、起業家とかビジネス分野に限らず、ふつうに個人の生き方・考え方に置き換えても、当てはまるところがあるよね、という話になりました。

「エフェクチュエーション」という耳慣れない名前で「5つの原則」をまとめて差し出してくださったから、なんだか新しい考え方のように見えましたが、そこに書いてあることは、実はずっとなんとなく「心当たりがある」ものでした。道理で、最初に読んだ時から「腑に落ちることだらけ」という感覚が付いて回ったのですね。

なかでも、ひとつ目の原則として挙げられている「手中の鳥の原則」は、たとえば「(自分資産の)棚卸し」と言い変えたら「ああ!それならやったことある!」という人も多いのではないでしょうか。おそらくビジネスパーソンには馴染みのある考え方かな、と。かくいうわたしも、花祭窯を創業する際に、自分たち(ダンナとわたし)について、まずこれを書きだす作業を何度もしたなぁと、思い出しました。本日のブログタイトル「私は誰か(Who I am)」「私は何を知っているか(What I know)」「私は誰を知っているか(Whom I know)」です。「私」は場合によって「私たち」にもなります^^

日々の仕事のなかで、わたしたちはおそらく無意識に「手中の鳥の原則」を使いまわしているのだと思います。が、きちんと意識して書きだすことは、ここ何年もしていない!ということに気が付きました。というわけで、久々にさっそくやってみることに。年齢を重ねている=経験・体験を積んできた分、書き出せる内容はずいぶん増えています。もちろん、なかには失ったものもあります。取り掛かったは良いけれど、思いがけず膨大な作業になりつつあり、内心ちょっぴり「しまった!」という気もしないではありません(笑)。ともあれ、どんな鳥が何羽ほどいるのか、楽しみながら見つけたいと思います。

『Effectuation エフェクチュエーション 優れた起業家が実践する「5つの原則」』(ダイヤモンド社)吉田満梨・中村龍太著

再読書『蔦屋重三郎 江戸を編集した男』(文春新書)田中優子著

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再読書『蔦屋重三郎 江戸を編集した男』(文春新書)田中優子著

NHK大河のおかげで一躍有名人になりつつある、蔦屋重三郎。かくいうわたしは、こんな人がいるとは、数年前までまったく知りませんでした(笑)。急に関連本が目につくようになって、昨年までに何冊か読んだ関連本のなかで、個人的に一番「彼がやったこと=江戸文化の編集・キュレーション」を考える糸口になったのが、本書でした。江戸時代といえばこの方!な、田中優子先生の著書です。

もう今から8年も前のことになりますが、当時法政大学総長であった田中優子氏の講演会「グローバリゼーションと江戸時代」が福岡のオータニで開催されて、法政大学の公開講座で誰でも聴講できるとあって、そのテーマに惹かれてそそくさと出かけてきたのでした。1時間と、さほど長くない時間ではありましたが、お話の面白さと語りの格好良さにファンになりました。

今まさに、シルクスクリーン作品という「版画作品」に取り組むにあたり、「版画作品ならではの価値」を突き詰めるヒントを得るべく、読み直しです。


  • 集め、結合し、見立て、競わせ、俳諧化する
  • 絵画の媒体(メディア)が大きく変わったのだ。絵画は屏風や襖や掛け軸といったインテリアに使われるものから、本や一枚絵や組絵になった。
  • 大きな家に暮らしていなくとも、たとえ長屋住まいであっても、手元に置いて眺められる絵になった
  • 複製芸術であるから値段も安くなった。つまりは芸術が庶民のものになった
  • 技術(わざ)と編集
  • 極めて微細で微妙な線で描くので、高度な技術の絵師と彫師と摺師が必要になった。
  • 色を使わない空摺り
  • 絵画に引けを取らない上質の分野
  • 単に絵が繊細で上手いだけではなく、彫り、摺りという版画技術への限りない敬意
  • その経緯とは、自分の筆で描いたその極めて繊細な線を、必ず実現してくれるという信頼
  • 「編集」とは(中略)単に、売れることだけを計算して企画することでもない。
  • 「何を世に出したいか」
  • 編集者は自分が何を見たいか、何を読みたいか、の視線が明確でなければならない。
  • 蔦屋重三郎が江戸文化を編集する手際は、その知識に人々を導くことではなく、その核心に触れてもらい、楽しみ、それぞれの想像力に火をつけること
  • 編集の究極がディレクション、つまり方向を指し示し、ヴィジョンを見せることである

再読は「何に目を向けて読むか」によって、得られるものが変わってくることを認識する機会になります。欲しい答えや、欲しい答えにたどり着くためのヒントがたくさんの読書となりました。

九月の九響定期演奏会「太田弦、薫り高い英国の音」に行ってきました。

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九月の九響定期演奏会「太田弦、薫り高い英国の音」に行ってきました。

前回足を運んだ九州交響楽団の定期演奏会は北九州でしたので、久しぶりのアクロス福岡シンフォニーホール。祝日の午後を贅沢に過ごしてまいりました。

九響の定演では、ときどき開演10分前から「プレトーク」があり、クラシック素人のわたしにとっては、これが楽しみの一つでもあります。演奏会がはじまる直前に、指揮者自ら舞台に出てきて、マイク片手にこれから始まる演奏に関連するお話を、簡潔にレクチャーしてくださる。お話してくださる内容もさることながら、指揮者の方が観客に対してそのようなサービス精神を発揮してくださるということ自体が、すごいことだと毎回感じます。

今回の、九響首席指揮者・太田弦さんのお話は、なるほど演奏する側の方々はそういうことも考えなければならないのかと、新鮮なものでした。どうやら「英国の音」であるブリテンやエドガーの音楽が、太田氏は大好きなのだけれど、これらを演奏会で特集することはマニアックな選択であり、「お客さんが来てくれなかったらどうしよう!」と思っていらっしゃったとか。ベンジャミン・ブリテンなる作曲家がいかなる人物かを熱く語り、そして「わたしの選曲についてきてくださって、ありがとうございます」と、観客に向かって頭をおさげになる姿を見て、ほんとうに好きなんだなぁと思いました。

なるほど、わたしはクラシックについて「何も知らない」状態で臨んでいるので、作曲家が誰か、演奏される曲目が何かで、聴きに行くかどうかを決めるという選択肢がまったくありませんでした。けれども、知識のある方・何度もたくさん聴きに行っている方には、そのような選択方法があるのですね。そんなことも感じたプレトークでした。

指揮者の心配をよそに、観客席は今期の定期演奏会で一番の入りだったようです。たしかにパッと見た感じでも、かなり埋まっていました。祝日のお昼ということもあってか、高校生らしき若い方々の姿が、いつもより多く見えたように思います。わたしの席があった列も、わたし以外はみんな若者でした(笑)。横に座ったのは部活帰りらしき体操服姿の高校生男子数名で、前傾姿勢で前のめりに舞台を見つめ、大きな拍手を送っている姿に、素晴らしいなぁ、と嬉しくなりました。

さて演奏会は、今回もとっても満ち足りた気持ちで終わりました。「知らなくても楽しめる」のは、音楽でも美術でも同じだなぁとつくづく思います。

2025年の映画6本目は、カズオ・イシグロ原作の映画『遠い山なみの光』。

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2025年の映画6本目は、カズオ・イシグロ原作の映画『遠い山なみの光』

年初の1本目に見た『ゆきてかへらぬ』で「すごい!」と思った広瀬すずちゃんが主演だというのと、カズオ・イシグロ原作というので、楽しみにしていた1本です。わたしが原作の『遠い山なみの光』を読んだのは、2018年の8月末のことでしたので、約7年前。本書を皮切りに、カズオ・イシグロワールドに入り込み、読みまくったのでした。上の写真は、2023年春刊行の季刊誌『kotoba(ことば)』カズオ・イシグロ特集の中の一ページ。

映画館、まず観客の多さに驚きました(笑)。これまで「ほぼ貸し切り状態」で観ることが少なくありませんでしたので、観客が10名以上いると驚いてしまいます。7月に観た『国宝』のときも、人が多くて「おお~!」となったのですが、これは予想の範囲内。が、今回は予想外。わたしも含めて、カズオ・イシグロファンがたくさん来ていたのでしょうね。定員125名に対して半分近く席が埋まっていたように思います。そういえば、数年前にカズオ・イシグロ氏が脚本を書いた映画『生きる LIVING』のときも、まあまあ人が入っていたことを思い出しました。嬉しいですね。

さて映画『遠い山なみの光』。長崎のお話です。「長崎原爆、戦後、女性の語り」という点で、少し前に読んだ吉田修一さん著の『ミス・サンシャイン』は、テーマに類似したものを感じます。『遠い山なみの光』原作をもう一度読み直してから映画に行こうかとも考えたのですが、そうすると原作との違いにばかり目が行ってしまうかもしれないと思い、曖昧な記憶のままに映画を観ました。広瀬すずちゃんも良かったですが、今回わたしの目を引いたのは、二階堂ふみさん。佇まいに脆さと凄みを感じました。ストーリーの展開は、「ああ、そうだった」というところと「あれ、そんなふうだったっけ」というところと。やはり原作を読み直さずに観てよかったと思います。

観終わってから思い出したのが「そういえば、カズオ・イシグロの本に出てくる語り手(登場人物)は、信用してはいけないのだった」ということ。その特徴を、映画の脚本は上手に取り入れていたように思いました。鑑賞後に、想像力を働かせることを要求される映画でした。

それにしても、このところ邦画が続きます。わたしがふだん足を運ぶのがイオンモール内にあるTOHOシネマだから、というのも大いにあると思いますが、邦画人気の高さを肌で感じる今日この頃。そろそろ洋画も観たいところです。

もう9月ですが…2025上半期読書ベスト5。

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もう9月ですが…2025上半期読書ベスト5。

『くまのプーさん』の誕生秘話を描いた本を読みながら、唐突に思い出しました。そういえば、上半期のベスト5を出していない…ということで、遅ればせながら2025年上半期(1月1日~6月30日)読書のベスト5。

と、文章にすると簡単な感じがしますが、この上半期もおかげさまでたくさん良い本に出合うことができていて、このなかから5冊を選ぶというのは至難の業…ぜいたくな悩みというやつですね。ともあれブログ記事から抜き出してきた「これは!」という本が、数えたらちょうど10冊ありましたので、急遽ベスト10にすることにしました(笑)。

順位をつけるのがまた難しい。仕方がないので、2025年1月以降読んだ順に並べています。上の写真は、唯一ランクインしたビジネス書『エフェクチュエーション』の、ポップでかわいらしい表紙。


『モナ・リザのニスを剝ぐ』(新潮社)ポール・サン・ブリス著/吉田洋之訳
『美学への招待 増補版』(中央公論新社)佐々木健一著
『降りていこう』(作品社)ジェスミン・ウォード著/石川由美子訳
『血の魔術書と姉妹たち』(早川書房)エマ・トルジュ著/田辺千幸訳
『Effectuation エフェクチュエーション』(ダイヤモンド社)吉田満梨・中村龍太著
『パンダパシフィカ』(朝日新聞出版)高山羽根子著
『天までのぼれ』(ポプラ社)中脇初枝 著
『六条御息所 源氏がたり』(小学館)林真理子著
『そこに工場があるかぎり』(集英社文庫)小川洋子著
『帰れない山』(新潮社)パオロ・コニェッティ著/関口英子訳

ここ数年の傾向と変わらず「小説」の数が多くなっています。読む冊数が多ければ、ランクインする数もおのずと多くなりますね。そのなかに、ビジネス書『エフェクチュエーション』、学術書『美学への招待 増補版』、ルポエッセイ『そこに工場があるかぎり』が入ったのも嬉しいです。邦書洋書の区別はほぼ半々。長年気になっていた「林真理子版源氏物語」を読破することができたのは、大きな成果でした。

いやぁ、あらためて、良書との出会いに感謝!という並びです。お友だちからのおススメや、本屋さんでの偶然の出会い、メディアでの書評からの選書などがありますが、一番多いのは「いつものカメリアステージ図書館新刊棚」で手に取ったものです。このような環境が身近にあるということは、とても恵まれていることだと思います。

読書『土偶を読む図鑑』(小学館)竹倉史人著

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読書『土偶を読む図鑑』(小学館)竹倉史人著

いつものカメリアステージ図書館新刊棚から借りてきたのは『世界の土偶を読む』(晶文社)でした。借りてきて読んで、気に入って、これは買わねば!というパターンで手に入れました。昨日ブログにアップした『せかいのカワセミ』と同じ流れ(笑)。ちょっと違うのは、実際に買ってきた本は、同著者による同じ説を説いたものではあるものの、まったく同じ本ではなかったところ。というのも、博多の丸善さんで『世界の土偶を読む』を探したところ、その前に出版されていた『土偶を読む』(竹倉史人著・晶文社)と本書『土偶を読む図鑑』の三冊が揃い踏み。最初の一冊としてどれを手に入れるべきかと迷い、カラー写真満載の「図鑑」にしたのでした。

これまでの土偶解釈を、まったく新しい視点で展開した「土偶の解読方法」は、『世界の土偶を読む』の最初の数ページを読んだだけで「おお~!」となりました。本書は、いまや「竹倉新説」と呼ばれているらしいその解読方法を、図説で学ぶことができる本です。それにしても、考えてもみなかった解釈。研究者の方々にとっても、これまでの諸説をあらためて検討し直す大きな機会になったのではないかしらと思いました。「はじめに」には「縄文人を神秘化して、土偶に勝手な幻想を投影するのはもうやめよう。土偶は縄文人の生業と結びついた、生活の道具である」とあります。土偶好きの方、縄文好きの方は、すでに読んでいらっしゃることだと思いますが、『土偶を読む』シリーズ、おススメです^^

『土偶を読む図鑑』(小学館)竹倉史人著

読書『せかいのカワセミ』(KANZEN)小宮輝之監・ポンプラボ編

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『せかいのカワセミ』(KANZEN)小宮輝之監・ポンプラボ編

いつものカメリアステージ図書館新刊棚で発見。あまりにも美しい表紙に手が伸びました。ちょうどAnimal Boxesシリーズの制作をしているダンナの資料としても最適♪ということで借りて帰ってページをめくり、これは保存版!ということで即購入した1冊です。「図書館で借りる→気に入る→購入する」は、よくあるパターンで、いつも素晴らしい新刊書を紹介してくださる図書館スタッフの皆さんに感謝です^^

花祭窯の創業地である佐賀県・花祭に住んでいたときは、愛犬の散歩コースにある溜池で、よくカワセミを見かけていました。色が美しくて、パっと目につきます。が、すぐに飛び立ってしまって近くに寄ることが難しく、ふつうのデジカメではぜんぜん撮れなかったのを思い出します。本書では、さすがプロですね。素晴らしく美しい写真が、これでもかというほどにてんこ盛りです。

それにしても「カワセミ」の種類が、世界中にこんなにもたくさんいるということに驚きました。そしてそれぞれに美しいこと。英語名は「Kingfisher」で、藤吉憲典のカワセミ陶箱も「Kingfisher」のタイトルで出しているのですが、それが「魚捕りの名手」であることを語源としたものだとは、本書の公式サイトでの解説で知りました。そんな名手の「捕食の瞬間」をとらえた写真もたくさんです。良い資料を手に入れることができました^^

『せかいのカワセミ』(KANZEN)小宮輝之監・ポンプラボ編