読書『仁義ある戦い アフガン用水路建設 まかないボランティア日記』(忘羊社)杉山大二朗 文・漫画

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『仁義ある戦い アフガン用水路建設 まかないボランティア日記』(忘羊社)杉山大二朗 文・漫画

アフガニスタンで用水路建設を続けた医師・中村哲先生と、それを支えるペシャワール会の活動を垣間見ることのできる本が、また一冊世に出ました。このブログで本書をご紹介できる嬉しさ。著者の杉山大二朗氏は、彼がアフガニスタンから日本に帰国して少し経った頃からの友人です。「やっと上梓しました!」と、喜びと安堵の混ざった顔で本書を届けてくれました。

中村哲医師がアフガニスタンで凶弾に倒れてから三年が経ちました。中村医師の葬儀の後に、魂の抜けたような、心ここにあらずの状態で、著者が我が家にいらっしゃったときのことを、はっきりと覚えています。そこから本書上梓に至るまでに、どんな経緯や葛藤があったのかは、容易にすべてを量り知ることはできません。けれども本書を手に、出版の報告にいらした表情を見て、わたしたちもまた、とても安心したのでした。

中村医師に関する書籍は、ご存命中から多数出ていましたが、お亡くなりになってからもなお、次々に出版されています。そんななかでの、ペシャワール会から派遣された現地ワーカーの一人であった著者による本書は、エッセイであり、漫画であり。これまでにないアプローチで、アフガニスタンでの中村医師の姿を垣間見ることのできる一冊です。

漫画という手法を取り入れることで、より読みやすくわかりやすく、一人でも多くの人たちに伝えたいという気持ちが伝わって参ります。読み終わってまず思ったのは、子どもたちにも是非読んで欲しいということ、そして、たくさんの言語に翻訳されて世界中に届けばいいな、ということ。国・宗教・文化を越えて大切なことが、中村医師の姿(行動)を通して伝わってくる本です。

本書を書き上げたことで、さらに書くべきテーマがあることに気がついたという著者の、次作も楽しみです。

『仁義ある戦い アフガン用水路建設 まかないボランティア日記』(忘羊社)杉山大二朗 文・漫画

読書『しゃべる からだ』(サンマーク出版)トルステン・ハーフェナー著/柴田さとみ訳

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読書『しゃべる からだ』(サンマーク出版)トルステン・ハーフェナー著/柴田さとみ訳

こちらも昨日ご紹介の本と同様、メールマガジン「ビジネスブックマラソン」で紹介されていた本のなかで、昨年気になりながらそのままになっていたものの1冊。

↓昨日ご紹介したのはこちらでした↓

さて『しゃべる からだ』。著者の肩書を見ると「マインドリーダー、メンタリスト、マジシャン」とあります。いずれの肩書も、怪しげな匂いがしないこともありません。が、書いてあることは、至極真っ当です。心理学をかじったことのある人ならば、ふつうに「そうだよね、そうだろうね」とうなずける内容なのではないかと思います。「身体言語、知覚、行動心理学、錯覚」などをとことん勉強・実践(実験)なさった専門家、という方が、ぴったり合うような気がします。わたし個人的には、昔から行動心理学に興味があり、本書を読みたいと思ったのでした。

まず最初に書かれていたこの文章に、大きくうなずきました。

『「体」と「心」、「行動」と「思考」の間には、境界など存在しない。すべては関連し合い、つながり合い、互いに影響をおよぼし合っている。』

「境界など存在しない」。当たり前で、わかっていたつもりなのに、無意識のうちに別々のものとして考え語る自分がいたことに気づかされました。このことに気づき、意識し直すだけでも、ものの見方が変わるような気がします。

そしてもうひとつ、本書にある行動心理学を生かすために、大前提とされるのが「観察力」でした。相手のことをどれだけ観察できるか=相手にいかにしっかりと向き合うか。同時に、相手への観察とともに、自分自身への観察も大切でもあると感じました。観察についての記述では、わたしがアートエデュケータとして取り組んでいる「鑑賞教育」に通じるものがたくさんあり、思いがけずつながったことが、読んでいて嬉しくなりました。

サブタイトルに『よりよく生きるための「身体言語」の本』とあります。ノウハウ本として読む方もあると思いますが、もっと深いところで大切なことが書かれていると思いました。昨日は「ラテン語」という言語を通して、今日は「身体」という言語を通して、思考・表現・行動を考える機会となった読書でした。

『しゃべる からだ』(サンマーク出版)トルステン・ハーフェナー著/柴田さとみ訳

読書『教養としてのラテン語の授業』(ダイヤモンド社)ハン・ドンイル著/本村凌二監訳・岡崎暢子訳

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読書『教養としてのラテン語の授業』(ダイヤモンド社)ハン・ドンイル著/本村凌二監訳・岡崎暢子訳

わたしが新刊書評を確認する場所として主に使っているのは、新聞とメールマガジンと、ときどき雑誌です。そういえば書評サイトはほとんど見ていません。メールマガジンは、出版コンサルタント・土井英司氏の「ビジネスブックマラソン」略して「BBM」を購読(無料です)しています。

BBMで紹介されていた本のなかで、昨年気になりながらそのままになっていたものがありましたので、お正月に数冊まとめて手に入れたのでした。そのなかの一冊が本書『教養としてのラテン語の授業』。タイトルの「教養としての」に、またか…の気持ちもありつつ(笑)、メルマガで内容が気になっていたところに、哲学に造詣の深いお友だちが読んで「良かった!」という感想をSNSに上げていたのを見て、買わねば!と思ったのでした。

ラテン語の授業を書き起こしたような章立てになっています。語学の授業というよりは、ラテン語の背景にある文化を覗き込むことのできる授業だと感じました。著者のやさしい語り口が聞こえてくるような文体でした。本を開く前に少し懸念していた「難解さ」はまったく無く、とても読みやすかったです。読後、すっかりやさしい気持ちになりました。

以下備忘。


  • 人は教えている間に、学ぶ(哲学者・セネカの『倫理書簡集』より)
  • ラテン語の「丁寧さ」が地中海の平和を生んだ
  • 言語は思考の枠組みです。相手についての尊重や配慮、公平性を持つラテン語が、ローマ人たちの思考と態度の寄り拠になっていたはずです。
  • 正しい用法がすべての表現の礎となり、それが真の知的体系を形成する
  • みなさんの言葉の中に、典雅は発見できますか?
  • 言語が、(中略)たゆまぬ習慣を通して身につけていく性質を持っている
  • 言語は自分を表現するための手段であり、世界を理解するための枠組みです。
  • 川を渡り終えたら、舟は川に置いていかなければならない。
  • 私たちは自分自身の、そして何かにおいての「スムマ・クム・ラウデ(最優秀)」
  • 周囲の問題は深く考えず、自分が出来ることをやればいい
  • あなたなら、他者に何を与えられますか?どんなものを準備すればいいですか?
  • 自分がどういう人間で、何に喜び、悲しむのか、自分には何が必要なのかも、走ってみた人にしかわかりません。
  • 「一緒に、ともに」の価値が失われてはいけない
  • フラットな言語体系が発達すれば、(中略)嗜好や社会構造も柔軟になる
  • 「私を上に引っ張り上げる」ティラミス
  • 我々は自分が知っているものしか、目に入らない。
  • スピノザにとって欲望とは、それ自体が善や悪ではなく、天地万物すべてに共通する自然法則から生まれた本質に過ぎません。
  • 真理はそれ以外の何物でもなく当然受け止めるべきものであり、外部の力によるものは真理ではない
  • 賽は投げられた
  • これもまた過ぎゆく。

『教養としてのラテン語の授業』(ダイヤモンド社)ハン・ドンイル著より


サブタイトルに「古代ローマに学ぶリベラルアーツの源流」とついているのを、読み終わってから見つけました。本書を読んで、ラテン語を学んだとは言えるものではありませんが、繰り返し読みたくなる本だと思いました。

『教養としてのラテン語の授業』(ダイヤモンド社)ハン・ドンイル著/本村凌二監訳・岡崎暢子訳

やっと博多座、やっとエリザベート。

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やっと博多座、やっとエリザベート。

ずいぶん観劇に行くことが出来ていなかった博多座に、ようやく行って参りました。コロナ禍下で、チケットを取ったもののあきらめたものもあり、ほんとうに久しぶりでした。そんな2023年初観劇は『エリザベート』。2016年チケットを撮り損ね、2020年リベンジ!と思っていたら全公演中止となり…のあとの、2023年です。

博多座 ミュージカル『エリザベート』

満席の観客席の9割方は女性だったと思います。開演前から会場ではすごいエネルギーを感じました。競争の激しいチケットをゲットした皆さんの想いがあふれていたのかもしれませんね。わたしが観た回のキャストは、花總まりさん、井上芳雄さん、涼風真世さんで、ずっと見たいと思っていた方々の舞台を観ることが出来ました。

井上芳雄さん、すごい存在感でした。歌声も身のこなしも美しく、目の保養になりました。トート(黄泉の帝王)という役柄もあったのかもしれませんが、オーラがすごかった。花總まりさんもすごいですね。わたしのお友だちがこの人の追っかけを宝塚時代から続けているのですが、その気持ちがわかったような気がしました。そして一番楽しみにしていた涼風真世さん。もとはといえば『エリザベート』を観たいと最初に思ったのは、彼女がシシィを演じたころだったのです。今回、役は異なれど、その舞台上にいらっしゃるのを拝見できたのは、とても嬉しいことでした。

ミュージカル『エリザベート』を観ることが出来なかった間に、藤本ひとみさんの『皇妃エリザベート』を読んでいたので、大まかな時代背景や人物相関を少しでも知ることが出来ていたのは、良かったです。もちろんそのような予備知識無しでも、ミュージカルそのものが素晴らしいので問題ありませんが、ちょっとだけ自己満足。

カーテンコールは拍手が鳴りやまず、結局5回も出てきてくれました。終了・退場案内の館内アナウンスがはじまっても拍手が止まずに、緞帳が上がったときは、観客総立ちでした。素晴らしい世界観のなかに居ることが出来た幸せ。幸先の良い観劇スタートを切ることが出来ました。今年はあと何回か、博多座に足を運べるといいな、と思います。

基礎研修最終日:JETRO「中小企業海外ビジネス人材育成塾」

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基礎研修最終日:JETRO「中小企業海外ビジネス人材育成塾」

昨年11月21日からスタートしたJETRO「中小企業海外ビジネス人材育成塾」。

あっという間に年が明け、昨日は基礎研修の最終日でした。前回までのようなワークショップ中心の研修ではなく、久しぶりにみっちり座学の5時間半。とはいえ、パリ・ミラノからの現地情報など、机上ではない内容もかなり充実し、終了の頃には、心はワクワク、頭はパンパンになりました。以下備忘。


【デジタル商談】

バイヤーからよく出る、事前に答えを準備しておくべき(即答できるようにしておくべき)質問7。

  1. 商品開発ストーリーは?
    →なぜその商品を売りたいのか、なぜ海外(対象国)に出したいのか、ポジティブな理由。
  2. 他とのどんな違いがありますか?
    →5つ以上。3つまでならどの会社も出してくる。
  3. お客さまはどんな方たちですか?
    →そのお客様たちがどのように評価しているか=お客さまの声。
  4. どこで、どのような環境で作られていますか?どこで、どんな場所で売られていますか?
    →必然性。ブランディング。
  5. 創業何年ですか?会社の歴史は?
    →たとえ2~3年短くても、語れるものを用意する。
  6. どのように作られていますか?どのように使われていますか?
    →写真、動画によるビジュアル的な解説の重要性。
  7. 価格は?発注ロットは?
【現地事情 イタリア】
  • 売り手(小売店・専門店)のコンセプトが明確。
  • 装飾品市場規模60億ユーロ。
  • 居住環境(インテリア)を充実させたい願望。
  • 購入場所は45%以上がデザイン・家具の専門店。
  • オンラインショップと実店舗、両方チェックして購入する人が70%以上。
  • 商流として現実的に有望なのは「現地代理人」方式。
    →言葉の問題が解決でき、現地にすぐに問合せできる人がいることは、取引先の安心につながり、大きな価値。通常(月額基本料+コミッション)で契約。
  • インスタ・フェイスブックのショッピング機能SHOP NOWの活用、利用が急激に伸びている。
  • ハイレベルの伝統工芸品、高価格帯の一点ものの取り扱い先(=ギャラリー)は極めて狭くなる。
  • ミラネーゼは「ストーリー」よりも、直感的に「美しい」「格好いい」に反応する。
  • イタリアの従来のライフスタイルに取り入れることで、ちょっと豊かになるものが好まれる=生活空間での商品イメージの可視化が必要。
    →写真やショート動画。
  • ハイエンドギャラリーへのアプローチは、あきらめず何度も手を変え品を変えトライ!
  • サステナビリティは、今や欧州全体で外せないテーマ。
    →自社の考え方や取り組み、貢献について語れるようにしておく必要性。

この研修を受講しているメンバー15社のなかには、1月19日~23日パリで開催される見本市「メゾン・エ・オブジェ」に出展なさる方も数名あります。直前のあわただしい時期であろうなか、きっちりと受講なさっている意欲的な姿勢に、とても刺激を受けました。中小企業海外ビジネス人材育成塾は、このあと実践に向けて3月まで、現地専門家による個別指導、仕上げ研修、事後評価、フォローアップ研修と続きます。学んできた内容を自分のものにできるよう、ひとつひとつ落とし込んで参ります。

読書『すずりくん 書道具のおはなし』(あかね書房)青柳貴史 作/中川学 絵

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『すずりくん 書道具のおはなし』(あかね書房)青柳貴史 作/中川学 絵

友人がお年始に送ってくれた一冊です。出版元のあかね書房さんは、サイトに「子どもの本のあかね書房」と書いてある通り、児童書の専門出版社。1949年創立だそうです。

作者は硯(すずり)をつくる職人「整硯師(せいけんし)」。我が家には、ダンナのお父さんが遺してくださったたくさんの硯がありますが、わたしは整硯師という言葉を初めて知りました。「墨を磨って書く」ことがどんどん「昔のこと」となり、学校教育での書道の時間も「墨液とプラスチック硯」にすっかり変わっている昨今の状況を危惧して本書を制作したそうです。あとがきで『「道具たちの本来の姿」にふれる機会がなくなってしまっていいのでしょうか?』と問いかけています。

そういえば息子が小学校低学年の時だったと思います、書道の授業が始まる際に「書道具セット」購入案内が学校から届いたのでした。その時に初めて「プラスチック硯」なるものが存在することを知り、ダンナともども「いやいや、硯がプラスチックではイカンでしょう」と思ったのでした。結果、息子はダンナのお父さんが遺してくれた硯と、筆と文鎮をセットにして箱に入れ、学校に持って行って使いました。どれも昔ながらのものでしたので(筆は未使用のものでしたが)新品のぴかぴかではありませんし、持ち運びも重かっただろうな、と思います。それでも「じいじが遺してくれた本物だからね、上等だからね」という親の言葉を素直に受け入れ、嬉々として使ってくれたことを、あらためて嬉しく思います。

さて『すずりくん 書道具のおはなし』。文房具の四つの宝物「筆・墨・硯・紙」を「文房四宝」とし、文字のなりたちや道具の歴史を絵と文でやさしく紐解いています。子ども向けに制作されていますので、平易にコンパクトにまとまっていますし、文章には「かな」が付いて読みやすいです。でもその中身は、大人が読んでも知的好奇心がくすぐられるもの。わたしは書道には比較的親しんでいる方だと思いますが、知らないことがたくさんで、「ほぉ~!」と言いながら読みました。

毎年恒例の花祭窯での書き初めや書道部では、硯も墨も用意しますが、わたしもふくめ墨液を使うことがほとんどであるのも確か。上の写真は2年前2021年の書き初めのもの。たまにはゆっくり墨をすってみようかな、と思いました。

『すずりくん 書道具のおはなし』(あかね書房)青柳貴史 作/中川学 絵

読書『100万円で家を買い、週3日働く』(光文社新書)三浦展著

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読書『100万円で家を買い、週3日働く』(光文社新書)三浦展著

新年最初の読書は光文社新書。先日『おとなのOFF 2023年 絶対に見逃せない美術展』を読書記録に上げていましたが、文章を読んだという意味ではこちらが初読書ということで。

お正月をはさんで1月5日にご近所カメリアステージ図書館が開きましたので、冬休み中に借りていたたくさんの本を返却しに足を運びました。今年もたくさんお世話になります♪

さて『100万円で家を買い、週3日働く』。社会デザイン研究者・三浦展(あつし)氏による著書です。2012年に刊行された同著者による『第四の消費』の実例集と称されている本書では、現代を生きる世代の価値観が体現された、いくつもの生き方・生活を垣間見ることが出来ます。わたしは『第四の消費』を読んでいませんでしたので、これから遡って読んでみようと思いました。

第四の消費とは、「1.物の豊かさ志向から人間関係の豊かさ志向へ 2.私有志向からシェア志向へ 3.ゴージャス・ブランド志向からシンプル・ナチュラル・手作り志向へ 4.欧米・都会志向から日本・地方志向へ」という4つ特徴を持ち、「高度経済成長期以前の日本人の一般的な暮らし、生活を、もう一度見直し、再評価し、部分的にではあってもそれを現代の生活に取り入れようとする動き」である「再・生活化」という共通の軸がある(『100万円で家を買い、週3日働く』「序」より引用)ものだそうです。

窯を開くために佐賀の山里に移住して生活をスタートしたときのことを思い出しました。近所のおばちゃんたちに教えてもらいながら、梅を摘み梅干を漬け、味噌を手作りし、山菜を採りに行き、白菜や高菜の漬物を仕込み、小さな畑を作り…と、まさに田舎ではあたりまえに続いてきた生活のあれやこれやを、生まれて初めて自分の生活に取り入れたのでした。

2018年初版でしたので、5年ほど前ですね。いくつか知っている事例が載っていて、この流れが大きくなりつつあることを感じます。本書で描かれているさまざまな生き方を読んで、とても心強い気持ちになりました。実践している当事者の一人が「生活実験」と言っているように、手探りで取り組み進んでいる様子は、「より自分達らしい生き方」を求めていく道の途中を思わせましたが、そこには先々への不安よりも期待が満ちているように感じました。

花祭窯の創業地・花祭は、自然豊かな里山。この場所が、わたしたちにとって心のセイフティゾーンになることを、その可能性とともに嬉しく実感した読書でした。

『100万円で家を買い、週3日働く』(光文社新書)三浦展著

読書『おとなのOFF 2023年 絶対見逃せない美術展』(日経トレンディ)

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読書『おとなのOFF 2023年 絶対見逃せない美術展』(日経トレンディ)

年初の恒例となりました、美術展チェック。今年もいくつもの出版社から、2023年の美術展を特集する特集号が出ています。それぞれに特徴があって面白く、昨年は『美術展ぴあ2022』を使いましたが、今年はまた『おとなのOFF』に戻ってきました。上の写真は福岡市美術館。

例年、実際に足を運んでいる展覧会は年間で両手におさまる程度ですから、美術展をチェックしたからと言って、観に行けていないものの方が圧倒的に多いのですが、「こんな展覧会があるんだ」と知るだけでも嬉しいのです。チャンスがあれば観に行こう!という楽しみがあります。

さっそく、掲載されていたもののなかから「これは観たい!」ベスト5。

  1. 没後190年 木米(サントリー美術館)
  2. ルーヴル美術館展 愛を描く(国立新美術館)
  3. 古代エジプト美術館展(福岡アジア美術館)
  4. 幕末土佐の天才絵師 絵金(あべのハルカス美術館)
  5. 特別展「古代メキシコ-マヤ、アステカ、テオティワカン」(九州国立博物館)

木米とルーヴル美術館は、東京出張のタイミングで観に行けるかも、と期待しているところです。また古代エジプトと古代メキシコは、それぞれ福岡アジア美術館、九州国立博物館と、地元福岡での開催になりますので、必ず行きたいですね。あべのハルカス美術館は、オープン後まだ一度も足を運べていませんので、こちらも気になります。

今年も「これを観ることが出来て良かった!」という場面に出会えることを愉しみに、仕事に励みます!

読書『その昔、N市では』(東京創元社)マリー・ルイーゼ・カシュニッツ著/酒寄進一編訳

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読書『その昔、N市では』(東京創元社)マリー・ルイーゼ・カシュニッツ著/酒寄進一編訳

2022年末の読書はドイツ人作家による短編集。サブタイトルに「カシュニッツ短編傑作選」とあります。いつものカメリアステージ図書館新刊棚でゲットしました。海外作家による短編集といえば、少し前に読んだのが英国生まれの著者による短編集、原題『The People in the Castle:Selected Strange Stories』でした。

本書『その昔、N市では』もまた、ホラーではないものの、ちょっとゾッとするところのあるストーリーが多く、出版元のサイトで「日常に忍びこむ奇妙な幻想と背筋を震わせる人間心理の闇」の紹介文を見て、ぴったり!と思ったのでした。かなり短い物語もありましたが、どれを読んでも、とにかく不思議な読後感が続きました。上の写真は目次=短編集のタイトル。なんとなく雰囲気が伝わるでしょうか。

戦後ドイツを代表する作家のひとりということで、戦中(ナチスの時代)を思わせる物語もいくつか。短編集として選び並べたのは、翻訳者である酒寄進一氏であり、編者の思いも感じられる一冊となっていました。現代ものの海外書籍を読むときは、翻訳者の作家への思いを強く感じることが多いのですが、本書も例に洩れずでした。

図書館の新刊棚のおかげで、読むジャンルの幅が広がってきたように思います。タイトルと表紙の雰囲気だけで選ぶと、思いがけない出会いがあっておもろいですね。

『その昔、N市では』(東京創元社)マリー・ルイーゼ・カシュニッツ著/酒寄進一編訳

映画「ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE with SOMEBODY」を観てきました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

映画「ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE with SOMEBODY」を観てきました。

今年の目標「月に1本は(映画館で)映画を観る!」のラストは、ホイットニー・ヒューストン。

ホイットニーのデビューは1985年。1980年代の洋楽にまみれて中高生時代を過ごしたわたしにとっては、ど真ん中なのです。熱烈なファンだったわけではありませんでしたが、ラジオから彼女の歌声が聞こえてくると、無条件に涙が出てくることがありました。彼女が亡くなったというニュースは、なんだかわけがわからなくてショックでした。映画を通して、そこに至る彼女の苦しみを、ほんの少し知ることが出来たように思いました。

映画は冒頭からホイットニーの美しい歌声がたっぷりで、歌声を聴くたびに涙が出てきました。ストーリーが悲しいとか切ないとか、そういうこととは関係なく、です。陳腐な言い方ですが、音楽の力を体感する約2時間半でした。そして、いつまでも、もっと彼女の歌声を聴いていたいと感じた2時間半でした。80年代から90年代、歌詞の意味などまったく考えずに、ただメロディーと声の美しさに惹かれていましたが、今回映画の中であらためて歌詞の内容を知ることになり、それも新鮮でした。彼女の歌・歌声に救われた人はたくさんいただろうな、と思うと同時に、歌っている本人が救われなかったことが切なく迫ってきました。

実は上映前に、音響設備の不具合で、映写の際の機械音が通常より大きく聞こえてしまうということで、上映開始時間ギリギリまで映画館の方が調整をなさっていました。席に入るときも、スタッフの方が入り口でその旨を一人一人に説明してくださり、機械音が気になった方にはチケットの払い戻しに応じるとおっしゃっていました。映画の予告編を見ているときは、「あ、この音のことだな」とわかりましたが、本編の上映がはじまったら、まったく気にならず。映画に没入していたようです。

「月に1本は(映画館で)映画を観る!」、2022年ラスト「ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE with SOMEBODY」大満足でした!