2020上半期読書ベスト3。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

2020上半期読書ベスト3。

少し早いですが、半年振り返り。この上半期は家にいる時間が長かったので、読書数も増えているかもしれないと、数えてみました。写真は図書館が臨時休館する前に本を借りてきたときのもの。

さてブログにあげているだけで15タイトルありました。そのなかに上下巻ものやシリーズものもあったので、冊数で換算したら20冊を超えます。月平均3冊以上ペースは、自分としては十分充実の読書生活と言えます^^


第1位『アンナ・カレーニナ』(新潮文庫)
トルストイ。読んでいなかった名作シリーズです。国も時代も環境も自分とはまったく異なる登場人物の「ダメなところ」に共感しつつ、この年齢だからこそ理解できる機微を楽しむことのできた本でした。

第2位『三銃士』(角川文庫)
アレクサンドル・デュマ。昨年はまった『ハリー・ポッター』同様、登場人物の魅力がそのままストーリーの面白さとなっていました。『ダルタニヤン物語』の続きは是非読みたいと思っています。

第3位『新・リア王』(新潮社)
高村薫さん。『晴子情歌』に続く上下巻で、ボリュームも内容も圧巻でした。現在の日本の状況と合わせて、政治の問題、地域の在り方の問題を考えさせられました。高村薫さんの本、特に2011年以降の既刊でまだ読めていないものがあるので、折を見て読みたいと思います。


顔ぶれからわかるこの上半期の読書傾向の特長は、小説の多さでした。それも、ボリュームのある長編。ベスト3も小説で、いずれも上下巻、あるいは上中下巻でした。小説をたくさん読むのは、現実逃避的傾向とも言えるのですが(笑)、仕事頭からスカッと切り替えることができていた、という前向きな捉え方もできましょう。

最近の本のニュースで嬉しかったのは、カズオ・イシグロ氏の新作ニュース。日本では来年春に刊行される予定ということで、今から楽しみです。

続々・Talking about Art

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続々・Talking about Art

レポートがちょっぴり遅くなりましたが、英語で対話型美術鑑賞のオンラインセッション第3回目。『英語でアート』の宮本由紀先生による「Talking about Art in English」。第1回目第2回目の受講を通して、オンラインセッションを受講するのにも、だいぶ慣れてきました。

さて第1回目の課題は具象画、第2回目は抽象画でしたが、続く第3回目はオブジェクト=立体。毎回頭の切り替えを要求され油断できません(笑)が、それがまた、宮本先生のセッションの魅力。特に連続講座の場合には、こうした新鮮な刺激が、受講生へのさりげない配慮であることを実感しました。

実は「立体での対話型美術鑑賞をどう進めるか」は、個人的な課題でした。自分が対話型鑑賞法をナビゲートするときに、立体でもやりたいと思いつつ、進め方と効果に対する確信が持てず、ついつい絵画をテーマに選んでいました。

もちろんこれまでにも立体作品による対話型美術鑑賞のトレーニングはしてきましたが、なにかがしっくりきていなかったのです。それが、今回のセッションを通して、すっと霧が晴れました。なにがどうスッキリしたのかを言葉で説明するのは難しいのですが、おかげさまで次からは迷いなく立体での対話型美術鑑賞を実践できそうです。

この実感を通して、あらためて学び続けることの大切さを思いました。今回のオンラインセッションは、わたしにとって「通学講座で受講していたものがオンラインに変わった」のではなく、東京まで通学できずに眺めていたものが「オンライン開催に変わったことによって参加できるようになった」もの。まさに「棚からぼたもち」で、ありがたい機会をいただいています。

宮本由紀先生のアートエデュケーションは、こちらから詳細をご覧いただくことができます。「教養」「リベラルアーツ」という言葉に惹かれる方に、おススメです!

読書『三銃士』(角川文庫)

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読書『三銃士』(角川文庫)アレクサンドル・デュマ

「読んでいなかった名作を」シリーズ。今回はデュマの『三銃士』上・中・下巻合わせて約1080ページ。そういえば前回の名作はトルストイ『アンナ・カレーニナ』でした。1870年代ロシアから1600年代フランスへ。時間と空間を軽々と超えるのが読書の楽しみですね。

実はまったく三銃士のストーリーをまったく知らず、「三銃士と言いながら、四人の物語」だということを、読みはじめてから知りました。それも『ダルタニヤン物語』の一部であると。『ダルタニヤン物語』は全11巻なのですね。いずれ続きを読まねばなりません。

さて『三銃士』。読みながらまず思ったのは「この時代の世界史を頭に入れてから読むんだった!」ということでした。でも読みはじめてしまったもので、面白くてページをめくる手を止めることができず。時代背景がきちんと頭に入っている状態で読んだ方が、深読みできただろうなぁ、というのが反省点です。

ストーリーの面白さもさることながら、登場人物の個性が魅力的でした。主役の4人だけでなく、悪役側キャラクターのアクの強さも、漫画でも読んでいるような感じでした。そういえば、NHKで放送されたという、三谷幸喜氏が脚本脚色した「新・三銃士」の人形劇も相当面白かったようですね。

登場人物が魅力的だからこそ、その人物にまつわるストーリーをもっと読みたくなるし、きっと作者もその人物のストーリーを描き続けたくなるのだろうな、と感じました。スティーブンキングが著書『書くことについて』で「登場人物がストーリーを作ってくれる」ということを言っていたことを思い出しました。

ところでわたしは本を読むとき、自然とそのシーンがカラーで頭のなかで再生されています。今回は、全体として薄暗いというか、セピア色のメガネをかけて見たような色合いで再生されました。次に読むときは、この時代の絵画をしっかり目に焼き付けて、もう少し色鮮やかなシーンを見ながらストーリーを追うことにいたします。

読書『<英国紳士>の生態学』(講談社学術文庫)

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読書『<英国紳士>の生態学』(講談社学術文庫)

著者の新井潤美さんは英文学・比較文学を専門とする東大大学院教授。本書は2001年に中公新書の一冊として刊行されたものが、約20年ぶりに復刊したものでした。文庫として復刊されたおかげで、原著が刊行されたときには目に留まらなかった本にも出会うことができる。ありがたいですね。

さて英国の「階級社会」を論じた本は古今いろいろと出ていますが、この本の面白さは、そのなかでも「ロウアー・ミドル・クラス」に的を絞ることで階級の全体が見えてくるところ。階級社会を生きる英国市民の生態が、愛情と可笑しみをもって描かれています。

ロウアー・ミドル・クラス。文字そのままを読むと、中流階級をさらに下級・中級・上級に分けた、その下級、というところでしょうか。英国のようなあからさまな階級意識ではなくても、あらゆる場面でロウアー・ミドル・クラス的な悲喜こもごもがあるのは、日本の社会も同じですね。思い当たること多々で、読んでいて決して他人ごとではないのでした。「身につまされる」という感じ。

この『<英国紳士>の生態学』を読むことによって、本や映画に登場する英国の背景が、もっと色鮮やかになります。シャーロック・ホームズ、ハリー・ポッター、オスカー・ワイルド、メアリー・ポピンズ、ウィニー・ザ・プー、ミスター・ビーン、『日の名残り』(カズオ・イシグロ)、『ハワーズ・エンド』(フォースター)…再度、読み返す(観返す)のが楽しみになってきました。

図書館再開!

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図書館再開!

6月1日から地元のカメリアステージ図書館が再開しました。図書館に行くのに嬉し涙が出そうになるなんて、そんな日が来るとは思いもしませんでした。こんなことでは、コンサートや演劇を観に行くことができたときには、間違いなく泣きますね、わたし(笑)

再開に先立ち、市の図書館のホームページから、キーワード蔵書検索で借りたい本の名前をピックアップ。開館したとはいえ「長時間滞在はしないでくださいね」というスタンスですから、サッと行ってサッと帰れるよう、事前準備です。

借りたい本が具体的にわかっていない時こそ、図書館内をぶらぶらして長居したいのですが、もう少し我慢です。あらかじめ蔵書のキーワード検索をかけておくことは、さしづめ「図書館内をぶらぶらする」の代理行為。

閉まっていた間に図書の整理がされて、新刊も増えていました。またたくさん本を借りることができます。嬉しいなぁ。

続・読書『色の秘密』(文春文庫PLUS)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

続・読書『色の秘密』(文春文庫PLUS)野村順一 著

昨日、読書『色の秘密』(文春文庫PLUS)のブログを書いたところでしたが、本日はその内容備忘メモ。


  • 生命は色彩である
  • 「肌で感じる」
  • 目とか心とかで判断する以前に、皮膚が識別する。
  • 色には感情がある
  • 味は視覚で決まる
  • 色彩呼吸法
  • 色聴
  • 音楽を色彩に翻訳
  • 色をして語らしめよ
  • 何よりも太陽光線
  • (色彩の)面積配分による快い芸術的な効果
  • 私たちの目は無意識のうちに、色彩や形態を単純化して見てとろうとする。
  • 生活空間のリズムを、視空間のなかの五パーセントの小さな面積が作り出す。場所は一か所に限定するものではない。
  • 緑色は名医だ。
  • “皿まで食う”
  • 食器の優劣で料理の味は、ものの見事に大差がついてしまう。
  • (味覚は)自らの視覚経験や味覚記憶によって条件づけられている
  • 成人の視覚は観察と観念の累積
  • 「捨て色」の美学
  • 日本人は色を見るための色を使う。
  • 思考などはこわれやすいのに、シンボルはこわれにくい。
  • 色は形よりもずっと容易に記憶される
  • 生命あるものは震動で形成されている
  • 人間は「見る」ことに慣れるにしたがって、「見えないもの」に対する感覚を鈍らせてしまった。

『色の秘密』(文春文庫PLUS)野村順一 著より


第4章「IV社会を動かす色彩術」で茶道の話が出てきます。今回十数年ぶりに読み直して、そのなかにわたしの入門する南方流の『南方録』からの引用があったことに気づき、思いがけず嬉しかったです。この本を手に入れ最初に読んだときには、南方流の存在も知らず、目に留まらなかったのですから、面白いものです。

読書『色の秘密』(文春文庫PLUS)

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読書『色の秘密』(文春文庫PLUS)

思うところあり、十数年ぶりに読み返した一冊。

著者の商学博士・野村順一氏は「商品学」の草分け的存在だそうです。わたしは学生時代経済学部経営学科で、「商品学」なる学問があることをそのときに知りました。当時、商品学の授業で1年間をかけて「マヨネーズの比較論」をしたのが、とても面白かったのを思い出しました。「商品学の先生が科学的に解明した」というのが本書の売り文句です。

1994年に書かれた単行本の文庫版です。今でこそ「色」をビジネスに生かすことは誰もが知っていて、「カラー○○」などの肩書きでビジネスをする人もたくさんいらっしゃいます。が、執筆当時は、もちろんファッション業界をはじめデザインの世界ではあたりまえでも、今ほど「色」への注目は一般的ではなかったと思います。

約四半世紀前に書かれた本。わたしが初めて読んでからも十数年が経っていますが、やはり面白かったです。中身が濃いのに、文庫なのでさっと読めるのが魅力です。ビジネスに関わる方に、色彩学の最初の一冊としておすすめの本です。

読書『トラベルデイズ ウィーン プラハ・ブダペスト』(昭文社)

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読書『トラベルデイズ ウィーン プラハ・ブダペスト』(昭文社)

旅行ガイド本。図書館が休館に入る前に借りて来ていたなかの1冊。旅行の予定を具体的に立てているわけでもないのに、こんなにしっかりガイド本を読んだのは初めてかも知れません。まさに「読書」しました。

写真はウィーン分離派会館。福岡ACAD.『世界史を建築家の視点で学ぶ!』シリーズでも学んだ、時代を象徴する建物のひとつ。講師の株式会社藤井設計室藤井昌宏氏が現地で撮ってきた写真のなかの一枚です。

まずは地図をチェック。オーストリアのウィーンであり、チェコのプラハであり、ハンガリーのブダペストよね、と広域図で確認しないと、位置関係もよくわかっていないところからスタート。

特に読み応えがあったのは「ハプスブルク家 645年の栄華」とタイトルのついた特集。そもそもガイド本ですから、豊富な写真にわかりやすい地図、建物の見取り図など、ビジュアル的にも充実。家系図や年表までついて、20ページほどの特集ながら、1冊の本を読んでいるかのようでした。

「建築」「アート&カルチャー」「エンターテインメント」の各ジャンルも、読み応え抜群でした。このエリアが「持っている文化」のすごさをひしひしと感じました。ガイドブック1冊を見ただけでも「見たい、知りたい、体感したい」が詰まっていて、まさに芸術の都なのですね。

わたしが読んだのは2013年発行版(写真)。現在は最新版のガイドが出ていると思います。

さて、そろそろ図書館もオープン。思いがけず長く借りることができた旅行ガイド本のおかげで、妄想旅行を楽しむことができました。ウィーン、プラハ、ブダペスト。実際に時間をしっかりとって出かけたい場所です。

本の表紙に着目してみる。

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本の表紙に着目してみる。

フェイスブックなどのSNSで、Stay Homeを楽しむためという呼びかけで、いろいろな流れができています。そんななか、わたしのもとにも「読書文化普及のための BookCoverChallenge」なるものへのお誘いがありました。

友人からまわってきた「ブックカバーチャレンジ」のルールは【好きな本の表紙を1日1冊7日間/内容の説明はしない/都度1名を招待/でもま適当で/スルーも可/ルールもてきとーでよい】というもの。チェーンメール的な要素も感じるルールでしたので、ルールを自分仕様に大幅改編(笑)。誰にも回さず、本の表紙を紹介するだけにしました。

もともとブログで本を随時紹介してはおりますが、ブックカバーすなわち表紙に注目しての紹介はしていなかった!ことに気づいたので、その視点で「これ!」というものを7冊一挙にご紹介。

その顔ぶれがこちら(画像をクリックするとAmazonの本の紹介ページにジャンプします)。

1冊目:Winnie the Pooh 洋書ペーパーバック版。子どものころ、石井桃子さんが翻訳したプーさん本が家にありました。大好きで繰り返し読んでいて、その日本語訳がほぼ頭に入っているから、洋書でも大丈夫!で手に入れた一冊。

2冊目:こちらも頭の中に石井桃子版日本語訳が入っている「プー横町に建った家」。

3冊目:中島らも。20代初期によく読んでいました。ナンセンスな小説やエッセイも面白いのですが、これは、ちょっとガツンとやられた一冊。

4冊目:表紙が気になる…と思っていた時に、友人が「勢いで2冊買っちゃったから」と、プレゼントしてくれた本。大笑いしながらマジメに読む本。暑苦しくて、面白い。

5冊目:しりあがり寿氏と谷川俊太郎氏の贅沢な組み合わせ。シュールです。子どもが小さいときに手に入れたものの、息子はほぼ興味を示さず、わたしのお気に入りに。

6冊目:ギュスターブ君。あちらこちらで絵を見かけて気になっていたヒグチユウコさん。ある日思いがけず絵本の企画展で見つけ、即決で買った本。

7冊目:表紙のインパクトに劣らず、中身もケンカ腰(笑)。でもとても大切なことを言っていて、ずっと大切にしたい本。

本棚を整理していたら。

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本棚を整理していたら。

Stay & Enjoy Home, Stay Safe.

図書館が開いていないのが辛いねとダンナと話しつつ。図書館が大切な存在であることを、あらためて思っています。でも、実は家にある本で、まだ読んでいない本や、ずいぶん前に読んだけれど内容をすっかり忘れてしまった本が、いくらでもあることを思い出し。というわけで、週末は本棚整理。

折を見ては、要らない本はブックオフに出したり、読みたいという方に譲ったりして整頓しているつもりでしたが、増えているものですね。小説などは比較的きれいな状態で読んでいるのですが、仕事に関わる本は書き込みをしながら読む癖がついているので、手元に残りがちです。

本棚に並ぶ顔ぶれを見つめることは、その持ち主の頭のなかを覗くようなもので、思いがけず自分の頭のなかの変遷を見つめなおす機会になっています。ダンナの本とわたしの本、それぞれに特徴を見出すことができるのも、あらためて面白く。

我が家には、お義父さんが遺してくださった「日本文学全集」なるものがあります。1冊1冊が大判のハードカバーでかなりのボリューム。いまだ1冊完読にも至らず、この棚に手を伸ばすのはいつの日か!?という感じで眺めておりましたが、案外近々手に取ることになるかもしれません。

それにしても、本が身近にある安心。手元にしっかりした本がたくさんあるということは、とても贅沢なことだと、あらためて思っています。これらを知的資産に昇華させることができるかどうかは、己にかかっていますね。