読書『シェフ』(東京創元社)ゴーティエ・バティステッラ著/田中裕子訳

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『シェフ』(東京創元社)ゴーティエ・バティステッラ著/田中裕子訳

著者のゴーティエ・バティステッラさん(声に出して読むのがとても難しい^^;)は1976年生まれ。ミシュランガイドの編集部員として働いた経歴をお餅ということで、そのキャリアが存分に生きている一冊です。

主人公は三ツ星シェフ。作中での呼び方は違うものが使われていますが、それがミシュランガイドの星を巡る物語であることは、本書のあらすじを知らないまま読みはじめても、容易に想い至るものでした。華やかでシビアでドロドロとしたフランス料理界のお話には、実在した人物の名前も頻繁に登場し、舞台裏をのぞき見しているような気分で読み進めました。

パリと地方都市の格差、料理の格付けによる差別、星を獲得した者とそうでない者との間にある明確な境界線、力を持ちすぎるメディア、厨房でのパワハラセクハラ、名声を得たがために起こる親子間夫婦間の確執…。星を維持していくことがどんなに大変なことか、星を獲得することによってがんじがらめになってしまう恐ろしさが、これでもかというほどに伝わってきました。

自分の舞台をどこに設定するのか、何を評価基準とするのか。周囲の声や風潮に惑わされずに、自分の選んだステージで道を究めようとすることは、ことフレンチシェフに限らず、重大かつ悩ましいことだよなぁと、あらためて考えさせられました。どんな分野においても、たとえ崇高な目標を掲げていても、職人(あるいはアーティスト)のプライドや承認されたいという欲求は簡単に消せるものではなく、そこに葛藤が生まれるのはあたりまえ。その苦しさが、痛いように伝わってくる読書でした。

本書は著者の三作目ということで、他の著作も読んでみたいと思います。

『シェフ』(東京創元社)ゴーティエ・バティステッラ著/田中裕子訳

九州EC勉強会で「ネットショップの動画・SNS・LINEの活用法」を学ぶ。

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九州EC勉強会で「ネットショップの動画・SNS・LINEの活用法」を学ぶ。

九州EC(九州ECミーティング)は、経営者・ECに取り組む方々が幹事となり、事業運営に役立つ情報交換・提供を行う会です。現在も完全ボランティアで続いている、稀有な勉強会組織です。今回の講師は、マーケティングコンサルタントの竹内謙礼氏。ネットショッピング黎明期から20年以上走り続け、日経MJ新聞への連載も10年以上という、経営コンサルタントさんです。

今回のテーマは「動画・SNS・LINEの活用法」でした。上の写真は藤吉憲典公式インスタグラムより。何をどう使うべきか、実践とデータに基づいた説得力のあるお話で、2時間あっという間でした。セミナーが終わったときには、何を止め、何を続け、何を始めるのか、はっきりと意思決定が出来ていました。

以下備忘。


  • 独自ドメインの存在意義←調べもの半分、買いたい気持ち半分。
  • SNS・動画の目指すゴール=「有名」にする。「ファン」をつくる。「商品力」の高さを理解してもらう。
  • 購買行動は、「知っているものを買う」or「知っている人から買う」のいずれか→お客さまにとって「知っている人」になることが大切。
  • SNS・動画を使ってできること=商品への理解度を上げる。コアなお客様を増やす。好感度を上げる。
  • FB→昔からのファンへの情報提供(現状維持)。
  • X→要らない。
  • インスタ→ファンづくり、露出、わかりやすさ。
  • YouTube→ファンづくり、わかりやすさ。
  • メルマガ→SNSからの落とし先。長くお付き合いしていくお客様のためのツール。
  • いかにプロフィールを読んでもらうか→いかにサイトに飛んでもらうか。
  • インスタ→エンゲージメント率のアップを狙う。
  • =役に立つ・ためになるコンテンツを制作。
  • =飽きさせないコンテンツを継続発信。
  • =「保存」「シェア」「滞在時間」をアップするコンテンツ作り。
  • =滞在時間アップ=例えば、1つの投稿に写真を最大(10枚)入れる。
  • =インスタを問合せの入り口に。
  • YouTube→商品の良さ・売り手の良さが伝わるコンテンツをつくる。
  • =サムネイルは重要。
  • =作家の個性をアピール。
  • =商品の特徴・他との違いをアピール。
  • =再生回数よりも、リアクション数。
  • =お客さまに理解してもらうための動画づくり。
  • SNSのノウハウは積み重ねていくことに意味が出てくるので、社外発注はNG。
  • 好きな人が専業でやるのが一番→インスタを好きになろう。
  • どれか一つに特化して取り組む=インスタ。動画→インスタ。
  • 誰かが勝手に紹介したくなるようなもの。
  • お客さまにいかに価値ある情報・経験を提供できるか。

笑いっぱなしの2時間でした。そういえば前回の九州ECも笑ってばかりだったような気がします。活気のある勉強会は、にぎやかで陽の気が会場に溢れますね。講師の方の力量に加えて、参加者の皆さんのモチベーションの高さ故でしょう。素晴らしい勉強会を企画運営してくださる九州EC幹事の皆さまに、心より感謝です。

【第108回九州EC】ネットショップの動画・SNS・LINEの活用法

再読『書くことについて』(小学館文庫)スティーヴン・キング著、田村義進訳

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

再読『書くことについて』(小学館文庫)スティーヴン・キング著、田村義進訳

4月に入ってしばらく図書館に行く余裕が無く、目新しい本が手元にありませんでした。隙間時間に読む本を求めて、自分の本棚のなかから手に取った既読本がこちら。たまたま手に取ったものですが、こういうときの「たまたま」には、天の意図を感じます。スティーヴン・キングの著作ですが、ホラーとかではありません。実用書と言いましょうか、ノンフィクションと言いましょうか、です。読んだのはつい最近だと思っていましたが、もう4年以上前のことでした。

タイトルの意味する文章術の本である以上に、スティーヴン・キングがいかにして「スティーヴン・キング」になったかという自伝的な物語がまず描かれています。その人生の物語から読みとれる示唆が、とても心に響きました。

以下備忘。

  • 無駄な言葉は省け。
  • われわれがしなければならないのは、そういったものを見つけ出すことではない。そういったものがふと目の前に現れたときに、それに気づくことである。
  • ドアを閉めて書け。ドアをあけて書き直せ。
  • 信じてくれる者がいるといないとでは、ぜんぜんちがう。
  • 言葉はあくまで意味を伝えるためのものだ。
  • これからとりかかろうとしている仕事にもっとも適した道具を選ぶことだ。
  • 懸命に努力し、研鑽を積み、しかるべき時にしかるべき助力を得られたら、二流が一流になることは可能
  • 読みたいから読むのであって、何かを学ぶためではない。
  • たくさん読み、たくさん書け
  • 毎日根気よく仕事を続けるには、何よりもまわりが平穏でなくてはならない。
  • 知っていることをみんなに話せ。
  • 直感に頼る
  • 何を切り捨てるのかという選択
  • 見せることができるなら語るな

『書くことについて』(小学館文庫)スティーヴン・キング より

『書くことについて』(小学館文庫)スティーヴン・キング著、田村義進訳

ウィーン・プレミアム・コンサートで、至福の時間♪

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ウィーン・プレミアム・コンサートで、至福の時間♪

久しぶりのアクロス福岡シンフォニーホール。シューボックス型で、音響が素晴らしいと言われている、本格的音楽ホールです。前回足を運んだのは「カルメン」で初オペラを観に行った時でした。なんとそれから5年以上も経っているということがわかり、びっくり。

春になったらクラシックを聴きに行きたいな、と思っていたところに飛び込んできたのが、トヨタのメセナ(芸術文化振興事業)のひとつ、この「トヨタ・マスター・プレイヤーズ、ウィーン」でした。ウィーン国立歌劇場の協力で特別に編成された30名による室内オーケストラの演奏会です。

観劇のときは、できるだけ正面、できるだけ前の席を取りたいのですが、音楽のときはこだわりがありません。今回は、初めてこのホールに来た時(20年近く前)から、いつか座ってみたいと思っていた三階のサイドバルコニー席を取ることが出来ました。テレビで国内外のホールでの演奏会の様子を観たときに、上階のサイド席に座っている人たちがなんとなく格好よく見える、という理由で、あこがれておりました(笑)

さて演奏会。モーツァルト「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」からはじまり、アンコールのポルカまで大満足の2時間でした。しっかり聞かせる前半の2曲に、休憩をはさんで、ワルツやポルカで楽しく盛り上がる8曲、そしてアンコール。やっぱり生演奏はいいですね。なんども目頭が熱くなりました。時代を超えて演奏され続ける曲を生み出した作曲家の凄さと、それを現代のわたしたちに届けてくれる演奏家の方々の凄さ。

音楽を聞くのは好きでも知識的にはまったくの素人のわたくしは、拍手のタイミングなどは周りの皆さんに倣いつつ楽しみました。あこがれだった三階のサイドバルコニー席からは、舞台の中央にまとまっている30名編成のオーケストラの皆さんの演奏の様子は、残念ながらほとんど見えませんでした。が、席が一列しかないこと、階下を広く見渡せることが、贅沢な気持ちにさせてくれました。そんな初体験も含めて、とても良い演奏会でした。

再読書ふたつ『暦と行事の民俗誌』(八坂書房)、『和のしきたり』(日本文芸社)

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再読書ふたつ『暦と行事の民俗誌』(八坂書房)、『和のしきたり』(日本文芸社)

仕事で必要のある本は、ことあるごとに何度も読み直すことが多いです。この2冊も繰り返し開き、使ってきた本。先日、藤吉憲典の器の常連さんから特注のご相談があり、久しぶりに本書を引っ張り出してきました。

江戸時代に広がった肥前磁器に描かれた文様は、朝鮮半島や中国大陸の文化の影響のうえに日本の季節の風物・風俗が反映されて、独自の魅力を創り出しました。それらの文様は肥前磁器のはじまりから400年以上を経た今もなお、描き継がれ高い人気を博しています。文様の背景や由来を知り、意味を考えてあらたに文様を紡ぎ出すことは、現代肥前磁器作家の使命であり、それをサポートするのがわたしの仕事でもあります。

『暦と行事の民俗誌』(八坂書房)佐藤健一郎・田村善次郎著/工藤員功写真

「暦と日本人」「行事十二カ月」「祭事の民俗」の三つの章立てです。最初に「暦とは」を知る手掛かりとなる解説があり、そのうえで十二カ月の行事・祭事を読むことが出来ます。モノクロながら資料写真も豊富で楽しい本です。

◆『和のしきたり 日本の暦と年中行事』(日本文芸社)国立歴史民俗博物館教授・新谷尚紀監修

監修者が「はじめに」で、「「しきたり」や「習わし」には、世代を超えた生活の知恵や技の結晶が詰まっています。」と書いておられます。そのような視点で読むと、尚深みを感じる本。「しきたりの背景」「年中行事のしきたり」「正月のしきたり」「人生儀礼のしきたり」の4章立て。こちらも理解を促すイラストや写真がちりばめられています。

日本文芸社のサイトを見てみたら、書籍検索で出てきませんでしたので、廃刊になっているのかもしれません。同監修者による別の本が電子書籍でありましたので、ご参考まで。

絵でつづるやさしい暮らし歳時記 (電子書籍)新谷尚紀監修

これら二冊に加えて、講談社の『日本歳時記』が手元にあれば、日本の季節の行事や祭事についてサッと知りたいおおよそのことは事足ります。好い本は長く使えますね♪

「デザイン開発ワークショップ」最終日。

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「デザイン開発ワークショップ」最終日。

福岡県商工部新事業支援課さんからのご案内で、年初1月からスタートした「デザイン開発ワークショップ」。四回の連続講座も無事最終日を迎えました。会場の西日本工業大学地域連携センターは、JR西小倉駅から歩いて3分ほど。開始時間より少し早く着きましたので、小倉城周りをちょっぴりお散歩することが出来ました。思えば第1回目のときは、まだ日が短くて辺りが暗く散歩しようという気になりませんでしたから、季節の流れを感じます。

さて最終回。これまでの3回で積み上げてきたことを、いかに実現して商売として成果=売上に結びつけていくかという今後の計画の確認と、決意表明の時間となりました。花祭窯を含めた受講3社とも、第一回目のワークショップの時点でイメージしていた成果とは少々(あるいはかなり)異なる方向に目標が変化しましたが、そのこと自体がワークショップの一つの成果であったと言えそうです。

講座タイトルこそ「デザイン開発」となっておりましたが、一般的な意味での物理的デザインを本格的に検討する機会は、結局三社ともありませんでした。思考のデザインを学ぶこと、「何をどう売っていくか」「その方法をどうデザインするか」という部分に注力した4回8時間でした。

最後にアドバイザーのお一人が「三社ともぜんぜん違う業種で、ばらばらの方向性を持っていたので、最初はどうなるかと思っていましたが、それぞれに成果に結びつけることが出来そうで、良かったです」と安堵の表情をなさっていたのが印象的でした。なるほど、ワークショップの成果を求められるアドバイザーなる立場に置かれた方々にとっては、かなりプレッシャーがあったのだろうなぁと。そんなアドバイザーの方がたとの出会いも嬉しいワークショップでした。

デザイン開発ワークショップは、福岡県の事業として毎年開催されています。福岡県内の事業者さんで興味のある方は、来年度以降の機会に参加なさってみてはいかがでしょうか。

読書『そして誰もいなくなった』(早川書房)アガサ・クリスティー著/青木久惠訳

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読書『そして誰もいなくなった』(早川書房)アガサ・クリスティー著/青木久惠訳

このところ年度末のバタバタで(事業年度は1月-12月ですが)、図書館に行く暇がありませんでした。気がつけば「隙間時間で読む新刊本」が手元に無い事態。このような事態は久しぶりで、実際のところ読む暇もあまり無かったのではありますが、ふと手が空いたときに「読む本が無い!」と思わず叫んでしまいました。

そこに息子が差し出してくれたのが本書。2010年刊行の新訳版です。わたしが読んだのは、たしか小学校高学年の頃、アガサ・クリスティーの著書で最初に読んだのがこれだったと思います。時代が異なりますので、異なる訳者のものを読んでいるはずですし、なによりストーリーをすっかり忘れてしまっていますので、借りることに。

さて『そして誰もいなくなった』。こんなストーリーだったのね…と、ほぼ初めての感覚で読みました。個性の強い登場人物の描かれ方が面白く、このような「職業と性格」の結び付け方も、もしかしたら彼女が始めたことなのかもしれないな、などと思いました。最後の最後に謎解きを読みながら、ようやく「そういえばそうだった!」とようやく既視感を覚え、読了。

先に読んでいた息子の感想が「このストーリーのパターンって、いろんな本で繰り返し使われているよね。これが一番最初だったんだね」でした。「人里離れた場所」「集められた人が一人づつ亡くなっていく」のパターンは、つい最近映画が公開されていた『ある閉ざされた雪の山荘で』(東野圭吾原作)が、まさにそうだったようですね。わたしはこちらはまだ読んでいませんが、後世のミステリー作家諸氏にとって、アガサ・クリスティーはずっと偉大な存在なのだろうと思います。本書のあとがきに、赤川次郎氏が「永遠の目標」とタイトルする文章を寄せていて、そこからもリスペクトが伝わってきました。

ところでわたし自身は、このところアガサ・クリスティーといえば、『オリエント急行殺人事件』『ナイル殺人事件』『名探偵ポアロ ベネチアの亡霊』と、すっかり映画で観るばかりになっていました。試しにググってみたところ、『そして誰もいなくなった』は1945年に最初の映画化されていたようですね。今作ったらどうなるか、映画を観てみたいという気がします。ポアロが出てこないので、ケネス・ブラナーによる映画化は無理かもしれませんが。

『そして誰もいなくなった』(早川書房)アガサ・クリスティー著/青木久惠訳

読書『告白』(双葉文庫)湊かなえ著

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読書『告白』(双葉文庫)湊かなえ著

湊かなえさんのお名前は知っていましたし、『告白』は松たか子さんの主演で映画になっていたことも知っていましたが、湊かなえさんの著書を読むのは今回が初めてでした。なんとデビュー作だったのですね。そして、本屋大賞受賞作。

最初からぐいぐいと引き込まれました。語り手(告白する人)が章替わりで登場し、終章でまた最初の人物に戻ります。最初の人物がおそらく主人公ということになるのかもしれませんが、各章で告白するそれぞれもまた主人公のようでした。それぞれの言葉を読みながら、事件の全体像がだんだんと明らかになってゆく仕組みです。

わたしが読んだ文庫版では、本書を映画化した中島哲也監督が「あとがき」を書いています。それを読みながら、なるほどと思ったのが、「それぞれが、告白内容のどこかで嘘をついている」という指摘でした。だから「告白内容をそのまま鵜呑みにしてはいけない」と。自分のしたことを美化したり正当化したりする気持ちが意識的にあるいは無意識的に働いて、「嘘」とまで言わずとも表現方法が変わることは、自分自身心あたることです。カズオ・イシグロの著書でしばしば登場する、「信用できない語り手」を使ったストーリー展開を思い出しました。

先に読み終えていた息子から「これって、結局誰が悪かったんだと思う?」と問われ、考えました。たしかに本書の中では、皆が「○○が悪い=だから自分は悪くない」という思いを抱えながら言葉を発していることが感じられました。でも実際は、そんなに単純なものではない。悪いか悪くないか、はっきりと線が引けるということでは無いのだということを、強く感じさせられた読書でした。読書のあとに映画も観てみる、という選択肢もありますが、今回は自分の頭のなかで鮮明にイメージができあがりましたので、映画は観ないことといたします。湊かなえさんの本、少しづつ読んでみたいと思います。

『告白』(双葉文庫)湊かなえ著

英語でアート!マンツーマンレッスン最終回。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

英語でアート!マンツーマンレッスン最終回。

昨年11月からスタートした『英語でアート!』(マール社/佐藤実・宮本由紀共著宮本由紀さんによる期間限定のマンツーマンレッスン。最終回の四回目が終わりました。展覧会の際にギャラリーでクライアントから聞かれやすいことや、アーティストトークなどの機会に寄せられる質問項目などを想定して、それらに対する受け答えをブラッシュアップすることを目的としたレッスンでした。

その最後は、キュレーター、マネージャー、エージェント的な立場にある「わたし」への質問でした。質問項目は、先日ブログでご紹介しておりました。

レッスン前にこれらの質問に対する回答を考えていたのですが、まず自分自身について英語で語ることがほとんどなかったことを、あらためて痛感しました。特に難しかったのは「How has your role evolved over time, and what have you learned from the experience?」に対する答えで、これはまず日本語できちんと文字にしたこともありませんでしたので、そこからのスタートとなりました。わたしにとっては、自分自身を説明する方法を考える、良い機会となりました。

今後は、この4回(4時間)で学んだことを、自分の言葉として落とし込めるように、練習します。すらすらと口から出てくるように、繰り返し声に出していくのが一番ですね。レッスン中のおしゃべりでもアドバイスいただいたのですが、想定される質問に対して、あらかじめ英文章を作って答えを準備しておくことは、とっても良いこと。準備しておくことで、想定外の質問があったときにも、準備していたなかから組み合わせて回答をすることも出来る場合がありそうです。

宮本由紀さんのアート英語講座 アートを通して英語を学ぶ Art Alliance

再々読書『色の秘密』(文春文庫PLUS)野村順一 著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

再々読書『色の秘密』(文春文庫PLUS)野村順一 著

文春文庫のサイトに「色彩学のバイブル的著書」と書いてあります。わたしが持っているのは「文春文庫PLUS」ですが、文春文庫PLUSのロングセラーが文春文庫版として再び刊行されていましたので、リンク先は「文春文庫版」となっています。なるほど名著ということですね。

藤吉憲典の創作活動において、書画を含めた壁面作品が増えてきたことに伴い、空間装飾について考えることが多くなってきています。久しぶりに手に取りました。わたしが前回読んだのが2020年のことで、そのときも再読でしたので、一番最初に本書を読んだのはいつだったことやら。単行本は1994年刊行となっていましたので、30年前の本ですが、今読んでもなお学びの大きい本です。

文春文庫版の紹介ページに「現代人への快適色彩生活のすすめ」とあります。わたしが今回本書を開いたのも、まさに「生活空間における色彩」について学び直しをしたかったから。本書をヒントに、色の心身への影響を配慮した室内のカラーコーディネートと、差し色としてのアート作品の組み合わせを考えることが出来ます。

わたしたちはふだんから、色に対して無意識かつ直感的・感覚的に反応しています。もとから好きな色、嫌いな色がある人もいらっしゃると思いますが、多くの場合では、状況や環境によって、心地よく感じたり居心地悪く感じたり。本書はそこに論理的(科学的)な理由付けを与えてくれるものです。

これから生活空間におけるアートの提案をしていく際に、これらの知識的な裏付けがあることで、お客さまの生活空間をより心地よいものにするお手伝いができると思います。これからもことあるごとに読み直す本になりそうです。

『色の秘密』(文春文庫PLUS)野村順一 著 ※文春文庫版のリンクに飛びます。