花祭窯ならびに藤吉憲典、2022年後半の予定。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

※展覧会スケジュールが少々変わりましたので、追記してお知らせいたします!(2022年9月30日)

花祭窯ならびに藤吉憲典、2022年後半の予定。

6月末で半年経過したと分かってはおります(笑)が、今年は7月が最初の個展となり、年の初めからそこに向かって力を込めて参りましたので、銀座黒田陶苑さんでの藤吉憲典展が無事終了して、やっと前半終了の感じがしております。茅の輪くぐりで半年の穢れを落としたのが、つい先日=7月末でしたので、そこで折り返し、という感じがあるのかもしれません。

というわけで、自分の頭のなかの整理を兼ねて、2022年後半の花祭窯ならびに藤吉憲典の予定をご紹介。


百福 藤吉憲典展

2022年11月26日(土)~12月2日(金)
※上記日程に変更になりました。

町田での開業時からずっとお付き合いのある百福(ももふく)さん。十数年営業なさった原町田のお店から、昨年秋に南青山へとギャラリーを移転なさいました。その新しい店舗では初めての藤吉憲典展となります。先日東京出張の折に、百福さんにちょっぴりお邪魔してまいりました。外苑前駅から一本入ったところで、駅近くながら落ち着いた雰囲気の素敵な場所です。藤吉憲典展の季節は秋から冬になろうという頃。赤絵の温かみのある器を中心に、ふだん使いの器とお正月の祝いの器、両方をお楽しみいただける展覧会になると思います。

https://www.momofuku.jp/

SLADMORE CONTEMPORARY KENSUKE FUJIYOSHI solo EXHIBITION

2022年11月16日(水)オープン~クリスマスまで。
※当初予定よりスタートが早くなりました。

ロンドンSLADMORE CONTEMPORARYでのソロエキシビジョン(個展)です。コロナ禍下の2020~2021年も、さまざまな展覧会への参加でSLADMOREギャラリーには作品をその都度送っておりましたが、まとまった形でご覧いただくことが出来るのは、3年ぶり。会期は11月末スタートですが、ロンドンでの写真撮影・カタログ製作などがあるため作品発送は9月末。今まさに制作がどんどん進んでおります。新登場の動物も多く、楽しみがたくさんです。

https://www.sladmorecontemporary.com/contemporary

博多阪急にて「ふくつのね」開催中。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

博多阪急にて「ふくつのね」開催中。

「ライフスタイル提案」として、地域のものづくりの人・モノを紹介するイベント「ふくつのね」に参加します、と書いてから早ひと月。

7月27日(水)無事初日オープンを迎えました。阪急さんと出展者のふくつのメンバーとの初タッグは、手探りで準備が進みましたが、実際にイベントがスタートしてからの微修正も少なからず。そこで感じたのは、阪急側担当者さんと、ふくつ側発起人両者の、「気づいたことがあったらすぐに変更・改善」のできる情報共有力・柔軟さ・実行力の素晴らしさ。若い皆さんの力に感心しながら、前半3日間が終わったところです。

地域振興のPRが主目的とはいえ、商業施設でのイベントですので、売上の結果が求められます。今後もこのイベントを継続していきたいと思えば、「初めてだから仕方がないよね」の言い訳は通りません。そういう意味において、なかなかにシビアな前半を終え、百貨店全体としてはたくさんのご来店が見込まれる今日明日の週末をどう乗り切るかが、各出展者に迫られています。

花祭窯としても、せっかく百貨店の1階というスペースをお借りしているのですから、出品数は少なくても、そこに自分たちが出す意味をしっかり持たせた展示をしたいなと思い、あれこれと口出し(笑)。皆さんが年長者のわがままを聞き入れ、実際に動かしてくださり、おかげさまで、雰囲気の良いスペースが出来上がっています。

博多阪急にて「ふくつのね」開催中

博多阪急にて「ふくつのね」開催中

会期は8月2日(火)まで。花祭窯からは常駐ではありませんが、在店の時間帯もございます。お時間のある方、お近くの方、ぜひ気軽にお立ち寄りご覧くださいませ。


【ふくつのねin 博多阪急】

■期間
令和4年7月27日(水)~8月2日(火)
10:00〜20:00 ※最終日のみ18:00 閉場

■場所
博多阪急1 階メディアステージ

■催事に関する問い合わせ 092-461-1381 (博多阪急 代表)

個展会場にて、お客さまからの宿題。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

個展会場にて、お客さまからの宿題。

先日アップした東京出張報告

その続編です。

個展で在廊するときにいつも意識しているのは、お客さまはやはり作家に会って話を聞いてみたいと思っておられるということ。わたしは作家本人ではありませんので、できることは限られています。それを自覚して個展会場にいることが大切なのではないかと、漠然とですが、強く思っています。

お客さまが作品についての説明を求めておられるとき、特に、作家が作るところを見ているわたしだからこそコメントすべきときには、できる限り丁寧に過不足なくお話するようにと心がけています。これが、心がけてはいるものの、言うは易く行うは難し、で、何年経っても反省しきりだったりするのですが。

さて、タイトル。銀座黒田陶苑さんでの藤吉憲典展、書画をお買い上げのお客さまが、「これ、とっても気に入ったんだけど、この部分が何なのか、よくわからないんだよね」と、画のある部分を差しておっしゃいました。さっそくその部分についての説明を差し上げたところ、とても喜んでくださり、「今の説明を作品と一緒につけてくれる?急がないから」と。

出張から戻ってさっそく紙一枚にまとめ、黒田陶苑さんにお送りしました。そういえば、書画だけでなく器にしても「キャプション」とでもいうべき説明書きを、しようと思えばできるのです。お買い上げのお客さまに、ひとつひとつお付けしたら喜ばれるだろうな、とわかっていながら、これまできちんとしてこなかった部分。もちろん今回のように、ご要望があれば対応してまいりましたが、心のなかで「そういうのがあったらいいな」と思っておられるお客さまはたくさんいらっしゃったはず…。

今回のお客さまからの宿題は、そのお客さまへの対応に限ったことでは無く、今後全般にどのようにしていくべきか、わたしにとって大きな宿題となりました。すべきことははっきりしていますので、それを、どのように始めるか。「当たり前のサービス」として継続できるように、方法を考えて参ります。

今週末7月16日初日です-藤吉憲典個展@銀座黒田陶苑。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

今週末7月16日初日です-藤吉憲典個展@銀座黒田陶苑

個展案内状が届きました!とアップしてから、あっという間に一か月が経過しておりました。久しぶりの銀座黒田陶苑さんでの個展は、今週末が初日です。DMの発送は早めに完了し、先週あたり、お客様のお手元に届いているようです。「〇日におじゃまします」というご連絡もちらほらいただいております。ありがとうございます。

今回の黒田陶苑さんでの個展は、ご来場日時予約制ではありませんので、開催期間中ご都合の良いときに、いつでもご来場ください。

さて花祭窯では、現在まさに本窯焼成中。この窯が上がったら、今回の展示作品がほぼ出そろいます。先々週から、桐箱やさんに来ていただいて作品の採寸と箱発注をしたり、出来上がったものから通し番号をつけて作品リストを作成したり、ざっと写真を撮ったりと、発送準備を少しづつ進めています。明日は桐箱が納品される予定で、一気に梱包作業まで進むはずです。

個展の作品発送準備は確認作業の繰り返し。リストの入力ミスはないか、桐箱の作成漏れは無いか。梱包作業も緊張の連続。包み方のノウハウは25年積み重ねてきたとはいえ、割れ物を扱うのに「慣れる」という感覚はあまり無く、何度やっても神経を使います。ギャラリーさんまで無事に届けることが使命で、「問題なく届きました」のご連絡をいただくまでは、ドキドキです。

すでに作品のいくつかは、藤吉憲典の公式インスタグラムでご紹介をはじめています。お気に入りが見つかりましたら、それをお目当てに、ぜひ会場に足を運んでいただけると嬉しいです。

https://www.instagram.com/ceramicartist_kensukefujiyoshi/


-なつ そめつけ-
藤吉憲典個展

2022年7月16日(土)-7月21日(木)
※18日(月)は定休日。

午前11時-午後7時

銀座黒田陶苑アネックス
東京都中央区銀座6-12-14銀緑館2階

TEL03-3571-3223

銀座黒田陶苑 藤吉憲典個展

MASTERPIECE LONDON RETURNSに、藤吉憲典が作品参加しています。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

MASTERPIECE LONDON RETURNSに、藤吉憲典が作品参加しています。

本日6月30日から1週間、ロンドンのSladmoreから「MASTERPIECE LONDON RETURNS」に藤吉憲典が作品参加しています。上の写真は、SLADMORE CONTEMPORARYのインスタグラムにアップされていた、Sladmoreブースの様子

アンティークから現代ものまで、アート、デザイン、ジュエリーの最高峰の作品を提示する世界有数のアートフェア「MASTERPIECE LONDON ART FAIR」。今年のフェアに「RETURNS」とついているのは、コロナ禍によるアートフェア中止期間を経て復活したことを祝う意図があるのだと思います。

6月29日のプレビューを経て、本日6月30日から1週間の会期です。場所はロイヤル・ホスピタル・チェルシー博物館。英国の退役軍人のための施設であり、世界的な花の祭典チェルシー・フラワー・ショウの開催地としても有名です。

MASTERPIECE LONDON公式インスタグラムより、2022会場入り口
MASTERPIECE LONDON公式インスタグラムより、2022会場入り口

“The Royal Hospital Chelsea becomes the meeting point of creatives and collectors during Masterpiece London. What sets it apart is the juxtaposition of art and design from all periods and origins.”

「会期中、ロイヤル・ホスピタル・チェルシーはクリエイターとコレクターの出会いの場となります。あらゆる時代のあらゆる起源を持つアートやデザインが、並列に展示されることが、このアートフェアの特徴です。」

と、ある通り、時代も国境も超えて素晴らしい作品が集う機会です。古いものであれ新しいものであれ、その起源に関わらず、純粋に「この作品が好きだから手に入れる」という、真に美術を愛するコレクターのためのアートフェア。このような場所に、肥前磁器作家・彫刻家として藤吉憲典が作品参加できるのはほんとうに嬉しいこと。願わくば、現地に行きたかったなぁ、と。

今年は年末にロンドンSladmore Galleryで、KENSUKE FUJIYOSHI(藤吉憲典)の個展があります。こうして世の中が少しづつ動き出しているのを確認しては、嬉しくなる今日この頃です。


MASTERPIECE LONDON RETURNS
30 JUNE – 6 JULY 2022
The Royal Hospital Chelsea, LONDON

日本から海外向けの宅配事情を、海外のお客さまに教えていただいた。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

日本から海外向けの宅配事情を、海外のお客さまに教えていただいた。

花祭窯のオンラインショップ蕎麦猪口倶楽部では、ゴールデンウィーク中の特別企画を開催中です。本日がちょうど折り返し。おかげさまで半分以上が売り切れとなりましたが、まだ少し残っておりますので、興味のある方はぜひ覗いてみてくださいね。

2022GWお家で器選び

さてこのイベントページを作ったときに、国内向けECの予定だったのを、設定を誤って海外向けにも販売できるようにしてしまいました。あ!と気がついたときには、オーストラリアからのご注文が。せっかくでしたし嬉しかったので、この1件だけは海外配送対応することに。

個人向けの海外発送はこのところ控えておりましたので、久しぶりでした。まず郵便局のEMSをあたったところ、コロナの影響で配送できない国が大量にあり、オーストラリアもそのひとつ。郵便局系列で現状使えるのは「船便」のみとあって、これは2-3ヵ月を要し現実的ではありません。次にDHL、FedExをあたるも、スムーズに届けてはくれそうですが配送料が高騰中で商品代金を上回るため、これも非現実的。コロナ禍につづきロシアのウクライナ侵攻もあり、懸念要素がたくさんあることをあらためて突き付けられました。

そのような状態であるということをとりあえずメールでお客さまに相談したところ、すぐにお返事がありました。いわく「クロネコヤマトはどう?わたしは東京のギャラリーからもよく買っているけど、最近は皆クロネコヤマト使ってるよ。受け取りもスムーズだし、オーストラリアでは問題なく使えるよ。検討してみて!」と。

ヤマトさんの国際宅急便の存在をすっかり失念しておりました。そういえばわたしが個人向けの海外発送の情報を集めていたのは、かれこれ5-6年前までだったように思います。浦島太郎。ここ数年、海外向けECを取り巻く環境は大きく様変わり(進歩!)しています。さっそくヤマトさんのサイトを確認したところ、発送書類の作成も、料金も、配送条件も、使い勝手良さそうであることがわかりました。

ヤマト運輸国際宅急便【輸出】

お客さまに教えていただいたおかげで、朝から調べて準備し、お昼前には無事に発送完了。なんともありがたいことです。それにしても、ヤマトさんの国際宅急便とても便利で使いやすかったです。あとは、無事の到着確認ができることを待つばかり。これを機会に、そろそろ海外個人向けのECも広げていこうかな、という気持ちになってきました♪

続・小さくて美しくて精巧で可愛らしいもの=ボンボニエール、増殖中。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

続・小さくて美しくて精巧で可愛らしいもの=ボンボニエール、増殖中。

ゴールデンウィークですね。花祭窯は通常営業でお仕事。ダンナは個展に向けて、新シリーズに向けて、制作のアウトプットが続いています。まずは七月に開催される黒田陶苑さんでの個展案内状用の器をお届けするのが最優先。並行していろいろと制作途中のものがあり、いつにも増してダンナの仕事場は混とんとしてきております。

ところで「小さくて美しくて精巧で可愛らしいものは、コレクションしたくなる。」と書いたのは、2週間ほど前のことでした。

磁器作家・藤吉憲典が次なるコレクションアイテムとして取り組む、手のひらサイズの菓子器・ボンボニエール。その第一弾が出来上がってきました。

藤吉憲典 ボンボニエール

上段左から

  • 染付瓔珞文棗型ボンボニエール
  • 染錦蓮華文ボンボニエール
  • 染錦牡丹唐草文ボンボニエール

下段左から

  • 染錦網桜文ボンボニエール
  • 染錦蛸唐草文平香合型ボンボニエール
  • 染錦柿右衛門調平香合型ボンボニエール

いずれも藤吉憲典作。

第一弾としてあがってきたボンボニエールの形は、ベーシックなドーム型、平香合型、棗型の3種類。同じような形でも、絵付によって表情がまったく変わります。これに陽刻・陰刻や彫塑が加わってきたら、どれほどのバリエーションになるでしょう。「カタチ×絵付」の組み合わせをイメージしただけでワクワクします。まさに可能性無限大です。

続・書画陶芸-書画と陶芸の大きな違い。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

続・書画陶芸-書画と陶芸の大きな違い。

「書画陶芸。」タイトルでブログを上げたのは2週間ほど前のこと。磁器作家・藤吉憲典、銀座黒田陶苑さんでの次回個展に向けて、書も画も陶芸も、鋭意創作制作を進めております。

書画の作品制作の様子を見ていてすぐに、「陶芸」との大きな違いを実感。頭ではわかっていたものの、実際にその進行状況を目の当たりにすると、違いの大きさに驚きます。それは、

書画は、書いたら(描いたら)それがそのまま結果となる。

ということ。あまりにもあたりまえのことではありますが。

磁器の絵付と異なり、墨も岩絵具も、書いたまま(描いたまま)の色がそのまま残ります。「焼成」工程がありませんので、変容する要素が無いということですね。描き終わったらそのままで出来上がり=作品完成となりますから、なんともシンプルです。窯が焚き上がるまでのもやもやとした時間が無い。シンプルということでいえば、材料も紙と絵具(墨)だけですし、「書く/描く」のみですから、これもまさにシンプルそのものです。

出来上がった書画作品をみて、作家の制作作業と成果物としての作品とが、まっすぐにつながっている感じがしました。それはそのまま、磁器制作の工程の複雑さと、窯での焼成という他力をコントロールする難しさと面白さを再確認することにつながりました。いくつもの制作工程を経た最後の最後に窯に委ねるのですから、陶芸・磁器制作における不確実要素の大きさをあらためて感じます。

書画陶芸。作家本人に聞いてみても、それぞれに異なった面白さがあるようです。食器からアート作品へとフィールドを広げたときに感じた、一方の仕事がもう一方の仕事を伸ばす刺激的存在になる感覚が、今回もあります。銀座黒田陶苑さんでの個展まで約3ヵ月。ここからどういうものが出来上がってくるか、とっても楽しみです。

小さくて美しくて精巧で可愛らしいものは、コレクションしたくなる。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

小さくて美しくて精巧で可愛らしいものは、コレクションしたくなる。

例えば、藤吉憲典のつくる小皿豆皿。この顔ぶれを見るたびに、この作家は小さいものをつくり出すのが得意だし、なにより好きなのだなぁと、つくづく思います。

小さくて美しくて精巧で可愛らしいもの。やきものの世界になじみ深いところでは、香合(こうごう)もそうですね。上の写真は、錦野薔薇文香合(藤吉憲典 作)。その他思いつくところでは、香水瓶、嗅ぎ煙草を持ち運ぶ鼻煙壷(びえんこ)など。ここに並べたものはいずれも「香り・匂い」にまつわるものであり、「持ち運ぶ」が用途に含まれるものだと気づきました。「蓋付き」なのはその用途故ですね。

香合も香水瓶も鼻煙壷も、コレクター心をくすぐるもので、国内外問わずあちらこちらの美術館・博物館にコレクションがあります。鼻煙壷は日本ではあまりなじみが無いかもしれません。わたしが初めてその存在を知ったのは、大阪市東洋陶磁美術館でのこと。大阪市東洋美術館が所蔵する沖正一郎コレクションに鼻煙壺1,139件があり、常設展示コーナーでその一部を拝見することが出来ます。常設の専用棚に並んだ姿は壮観です。コレクションのなかから100個、入れ替えながら展示している様子。とにかく見ていて飽きません。(大阪市東洋陶磁美術館は、現在改修のため長期休館中です。)

そんな小さくて美しくて精巧で可愛らしいものに「ボンボニエール」がある!と気づいたのが、つい先月のこと。先日のブログ「佐賀鍋島家のお宝を守る徴古館。」で発見した探し物というのは、このボンボニエールのことでした。ボンボニエールもまた、「持ち運ぶ」用途があり「蓋付き」であり、コレクションされています。

ボンボニエールとは、砂糖菓子「ボンボン」を入れる小さな箱。大きさは手のひらにおさまるほどのサイズです。欧州でお祝い事の記念品としてボンボニエールを配る慣習を、明治時代中期以降日本でも倣い、皇族や華族の間で取り入れていました。慶事の宴席への出席者に、金平糖などの砂糖菓子を入れた小箱を引き出物として配るこの伝統は、現代でも皇室で受け継がれているといいます。

なにしろ皇室伝来のものですから、市中に出回り難いものでしょう、その数は決して多くないようです。徴古館にあるボンボニエール146点は、出どころも確かなまとまったコレクションとして、かなり貴重であることが伺えます。興味深かったのは、その材質が、銀か木かの二択であること。このなかに磁器が無かったのは残念なことでした。ただ、皇室に由来している物に限らなければ、ノリタケ、ロイヤルコペンハーゲンなどが、磁器製のボンボニエールをたくさん手掛けています。

ということで、磁器作家・藤吉憲典が次なるコレクションアイテムとして取り組むのは、ボンボニエール。同じようなサイズ・意匠でも、香合というと用途や使う人が限られてしまいがちですが、お菓子入れでしたら誰でもが楽しく使えます。どんなものが出来てくるのか、どうぞお楽しみに。

書画陶芸。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

書画陶芸。

「書画陶芸」とネットで検索したところ、出てきたのは、細川護熙氏のお名前。現代のお殿様の趣味というか、たしなみというか、いわゆる「文人趣味」のイメージですね。

もうずいぶん前ですが、その細川護熙氏が政治家を引退なさってから、初めての陶芸作品の個展をなさったのを拝見する機会がありました。氏が陶芸を本格的にはじめてから、まだそれほど時間が経っていなかった頃だったのだと思います。いくつも並んだお抹茶碗は、どれも手に持ったらとても重たくて使いにくいだろうと思える姿(失礼!)ながら、全体から醸し出される雰囲気の良さに感嘆。なるほど「良いもの」に囲まれて育ち、ふだんからそのような環境で生活している人には、そういうものが自然と身に付くのかもしれないな、と思わされた出来事でした。

さて「書画陶芸」。今年7月に開催される銀座黒田陶苑さんでの藤吉憲典の個展では、文字通り「書」と「画」と「陶芸」を御覧に入れる予定です。そもそも仕事として発表していなかっただけで、書も画も長年のキャリアを持つ藤吉憲典。その腕前に、「作品として出さないのですか?」という声はずっと頂いておりました。

実は、コロナ禍に入る前の2019年のロンドンSladmore Contemporaryでの個展や、

2019年から2020年にかけて黒田陶苑さんが主催した上海での陶芸展では、ファンサービスとして個展会場でスケッチや書画を描いて(書いて)差し上げる、ということをいたしました。その場でさらっと描いたのでしたが、これが大好評。

そのたしかな感触を得た後、コロナ禍下の2年間は作家が自分自身と向き合う時間となり、「自分にできる、自分がやりたい表現方法を全て出す」今回の意思決定につながりました。もちろん、書画についても、プロとしての質を担保した作品をご覧いただきます。

その最初の機会となるのが、銀座の黒田陶苑さん。黒田陶苑さんは、北大路魯山人の鑑定人としても有名です。北大路魯山人といえば、もちろん陶芸作品を多数残していますが、書画も残している、まさに文人的な作家。そんな所縁ある場所で、藤吉憲典の新たなチャレンジをさせていただけることとなり、とてもありがたくワクワクしています。

銀座黒田陶苑さんと北大路魯山人のつながりは、黒田さんの社史にまとめられています。https://kurodatouen.com/history

銀座の黒田陶苑さんでの個展は2020年の予定がコロナで延期になりましたので、久しぶりとなります。ご来場の皆さまに、これまで以上に大いに楽しんでいただけますように。わたしも今年あたりは会場入りしたいところです。