「ニッチ」って何?

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「ニッチ」って何?

先日、お友だちとおしゃべりをしていて出てきた言葉「ニッチ」。よく使う隙間という意味でのニッチではなく(綴りは一緒ですが)、建築用語でした。昨今はインテリア用語として一般的に使われることもあるようですね。

「 【niche】① 西洋建築で,壁面を半円または方形にくぼめた部分。彫刻などを飾ったり噴水を設けたりする。壁龕(へきがん)。」 (Weblio 三省堂大辞林 より)とありました。

壁龕(へきがん) というのがまた難しいですね。へきがんは「 西洋建築で、壁・柱の垂直面につくったくぼみ。彫刻などを飾る。ニッチ。 」(コトバンク大辞林第三版より)とありました。

話の発端は友人とのおしゃべり。藤吉憲典の作品群が「もう少し大きくしたら、ニッチにちょうどいいよね」と言われ、「ニッチって何?」と質問したのでした。 説明を聞いてみると、それ知ってる!存在は知っているけれど名前を知らなかった、というやつです。

日本の住宅には床の間があり、欧米の住宅にはニッチがある。床の間・ニッチともに、いわば個人博物館としての最小単位の展示スペースだとわたしは思っています。住宅にある博物館。残念ながら昨今の日本の住宅建築からは床の間は失われつつありますが、ヨーロッパにはニッチと、それに伴う文化がちゃんと引き継がれているとの友人の言葉は、とても心強いものでした。

ニッチという空間にこそ、磁器彫刻家としての藤吉憲典作品がピッタリはまるのではないか、というお友だちの話に、なるほど納得。 ヨーロッパ各地で住宅建築をたくさん見てきている友人の言葉だけに、説得力も絶大です。 そのような具体的スペースを想定しての制作を今までしたことが無かったと、ダンナともども気づかされたのでした。

いざ気づいてみれば、そして調べるほどに、まさにニッチこそ藤吉憲典作品のためのスペースなのではないかと思いが募ってくるから不思議なものですね。12月のロンドン個展(Kensuke Fujiyoshi solo Exhibition)に向けて、「ニッチ」は重要キーワードになりそうです。

なにげないおしゃべりのなかで、たくさんのヒントを投げかけてくれるお友だちに心より感謝。いつもありがとうございます。

様式を生み出す。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

様式を生み出す。

昨日は尊敬する建築家ご夫妻が、花祭窯に遊びに来てくださいました。ちょうど西麻布桃居さんでの藤吉憲典陶展に向けて準備している作品が揃いつつあるところで、一足早くご覧いただくことができました。

そのなかで飛び出したのが「藤吉さんの作品を観ていると、新しい時代の様式が生まれるという確信が感じられるよね」という言葉。つくり手であるダンナにとって、これ以上ない激励をいただきました。

そういえば、「骨董の名品のように、代々受け継がれ何百年先にも愛でられるものをつくる」ということを常々考えてはいても、「様式を生み出し、遺す」という発想はありませんでした。新しい様式を遺すという観点があった!と、大きな発見をした気分でした。

やきもの、なかでも肥前磁器の世界で様式といってまず思い浮かぶのは「柿右衛門様式」であったり「鍋島様式」であったりします。様式という観点で、これまでに藤吉憲典が作ってきているものを思い返してみると、確かに 「藤吉様式」とでも呼べるものが確実に生まれ、育ちつつあると言えそうです。

「藤吉様式」ではなんだか硬いから、新しい様式としてどんな名前を付けたらカッコよくしっくりくるかしら、などと楽しく妄想中です。

藤吉憲典の陶箱。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

藤吉憲典の陶箱。

初日まであと2週間となった西麻布桃居さんでの「藤吉憲典陶展」は、今年初めて「箱、蓋もの」をテーマにご覧いただく個展になります。

思い返せば陶箱は、藤吉憲典が作家として独立した当初から、ぽつりぽつりと作ってはいたのでした。箱のてっぺんに小鳥がのったり、恐竜がのったり。我が家でも梅干し入れになったり、キャンディポットになったり、ずっと使っています。

洋の東西を問わず、美しい箱は昔から人気があります。特にヨーロッパでは、用途はとりあえず、箱自体が愛でられるようになっていると感じます。「その箱になにをいれるの?」という問いは、箱を手に入れた自分自身に向けられる、最高に贅沢な問いかけのよう。

これまで藤吉憲典は、日本国内のギャラリーさん向けに和食器を中心とした用途あるもの、海外のギャラリーさん向けに磁器彫刻家としてアート的なものを発表してまいりました。2019年桃居さんの個展では、その二つの流れのひとつの融合点を示すことができそうです。

国内のお客さまには、陶箱をまとまった数ご覧いただくことのできる、初めての機会となります。楽しい展示になるだろうと、今からワクワクしています。お時間が許しましたら、ぜひ足をお運びくださいませ。

藤吉憲典陶展 at 桃居

藤吉憲典陶展
2019年5月31日(金)→6月4日(火)
AM11:00→PM7:00(最終日PM5:00)
会期中無休
桃居
港区西麻布2-25-13
TEL03-3797-4494
藤吉憲典陶展 at 桃居

個展案内ハガキの宛名は手書き。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

個展案内ハガキの宛名は手書き。

いつからかそう決めています。藤吉憲典が個展をするようになって最初のころは、宛名をラベルで印刷していましたが、手書きに変えて15年以上経つと思います。

おかげさまで個展案内状の送付をご希望のお客さまの数も年々増え、毎回宛名書きは一仕事です。わたしは字が上手ではないので「せめて丁寧に」を心がけつつも、百枚を超えてくると途中で集中が切れることも少なからず。集中力がなくなると途端に書き損じるので、ハガキが無駄にならないよう気分転換も必要です。

わたしにとって年に数回の宛名書きは、支えてくださるお客さまの存在を強く感じる機会でもあります。各地での個展の際に芳名帳にお名前を書いてくださったり、ネットショップ蕎麦猪口倶楽部で買い物をして下さったりしたお客さまのお一人お一人のお名前に向かい合う時間です。

実際にお顔を合わせてご挨拶できる機会は限られているし、お客さまのお名前を憶えているわけでもありません。でも何度も書いたことのあるお名前はやはり頭のどこかに残っているようで、たまたま個展会場に在廊しているタイミングでご挨拶できることもあります。そんな時は、やっぱり手書きにしていて良かった!とあらためて思います。

今まさに、来月末からの西麻布桃居さんでの藤吉憲典陶展案内状を宛名書き中です。

藤吉憲典陶展 at 桃居

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

藤吉憲典陶展 at 桃居

西麻布の桃居さんから個展DMが届きました。今年は連休が長いので、と、ひと月以上前に完成してくださいました。今回もインパクトのある案内状が届き、これを見てまた作り手のモチベーションがあがるのです。いつもありがとうございます!

藤吉憲典陶展 at 桃居
藤吉憲典陶展
2019年5月31日(金)→6月4日(火)
AM11:00→PM7:00(最終日PM5:00)
会期中無休
桃居
港区西麻布2-25-13
TEL03-3797-4494

桃居さんで1年おきに開催していただいている「藤吉憲典陶展」も今回が8回目。今年は初めてテーマを「蓋もの・箱もの」と作り手自ら設けて、せっせと作っています。楽しくて仕方が無いようです。

個展案内状ご希望のお客さまへは、連休明けに発送予定です。どうぞお楽しみに!

Happy sculpting to Ken !

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

Happy sculpting to Ken !

今年12月に予定しているSladmore Contemporary(ロンドン)での個展に向けて、プロモーションの準備を少しづつはじめています。写真は前回2017年Sladmore Contemporaryでの初個展(solo exhibition)の時に撮った一枚。

「Happy sculpting to Ken!」は、ギャラリーオーナーGerryからのメールにあった1文。Gerryからのメールはいつも、アーティスト・藤吉憲典と、彼のつくる作品への愛情でいっぱいです。

ロンドンでは藤吉憲典は陶芸家という呼び方ではなく、Ceramic Sculptorすなわち造形作家(または彫刻家)とされています。Happy sculpting とはまさに、彼の仕事そのもの。

藤吉憲典のつくるものがロンドンのコレクターに喜んでいただけるのは、彼がとても楽しんでつくっているから、というのが大きな理由の一つだと思います。つくるのが嬉しくて仕方がないから、ひとつの作品への手間のかけよう、細部への神経の配りようがすごいのです。作品を手に取ってくださった方に、そういうものが伝わるのだろうな、と。

ダンナ・藤吉憲典に「GerryがHappy sculpting to Ken!って」と伝えたところ、「そう!それなんだよね!自分が楽しく作ってるから、手に入れてくれた人もハッピーな気分になってくれるんじゃないかな。そうだと嬉しいな、と思うんだよね」と。

いい仕事をさせてもらえているなとつくづく思います。

海散歩。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

海散歩。

ロンドン個展に先立ち「ケンの創作の源になる日常風景写真を撮って!」というSladmore ContemporaryオーナーGerryのご要望にお応えして、ダンナの海散歩につきあうことに。

強風の後だからいろいろ浜に上がっているんじゃないかな!という希望を持って、バケツも持って、そしてわたしはカメラを持って。

我が家から1分足らずで津屋崎浜に続く砂浜に届きますが、今日の散歩先は、ちょっと外海側に出た恋の浦へ。

津屋崎の海(恋の浦側)

立派な貝殻や陶片が上がっているのではないかという大きな期待に対して、思ったほどの収穫が無かった海散歩。とはいえ、小さいけれどピカピカの宝貝や、うちあがった活きサザエなど、面白いものもいろいろ。 むしろ予想通りに行かないからこそ、面白い。

たとえ目に見える収穫物が無くても、海風に吹かれて砂浜や岩場を歩くのは、それだけでも楽しい非日常的体験…ダンナの場合は日常ですが(笑)。日常でありながら、決して毎日同じではなく、予測も簡単ではないからこそ、毎日ワクワクと海に行くのだなぁ、とあらためて。

2019年藤吉憲典個展予定など。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

2019年藤吉憲典個展予定など。

今朝、桃居(とうきょ)さんから個展案内状用の作品送付予定などについてのご連絡をいただき、いよいよ!と気分が盛り上がってまいりました。と同時に、そういえば今年の予定をこのブログでご紹介しそびれていたことに今頃気がつき…(汗)。

2019年も素晴らしい機会をいただいております。
主催してくださる皆さまに、心より感謝申し上げます。ありがとうございます!

2019年3月現在の予定は次の通りです。


5月31日(金)~6月4日(火)
桃居(東京・西麻布)藤吉憲典陶展

桃居さんでの8回目(あしかけ15年!)になる個展です。ずっと温かく見守り続けてくださっているオーナーの広瀬さん、ほんとうにありがとうございます。

桃居さんでの個展は、毎回「最新の藤吉憲典」をご覧いただくチャレンジの場です。今年は明確に「蓋もの」というテーマをもって取り組みます。重箱、香合、筆箱、飾り箱…あらためて取り組んでみると、「蓋もの」って意外といろいろあることに気づきます。どうぞお楽しみに。

10月下旬
未在味在空間(上海)藤吉憲典個展

昨年に引き続き、上海の未在味在空間(Mizai-Ajizai Gallery)さんでの個展です。初めての個展はわたしたちにとってもチャレンジでしたが、思いのほかたくさんのお客さまがいらしてくださり、とてもありがたい機会でした。今回も引き続き関わってくださる方々に心より感謝しています。

今回も前回同様、食の器からオブジェまで、ジャンルにとらわれない「藤吉憲典作品」を、自由な発想で楽しんでいただけたらと思っています。会場では呈茶も予定しています。

12月4日(水)~12月24日(木)
Sladmore Contemporary(ロンドン)
KENSUKE FUJIYOSHI EXHIBITION

大好きなロンドンでの個展です。前回人気だった動物シリーズ、箱シリーズ。その最新作をお持ちいたします。壁面を飾ることのできる半立体の作品も、増えるのではないかと思います。

今回はクリスマスシーズン。コレクター心に響くものはもちろん、ギフトにも喜んでいただけるようなものも、ご覧いただけるといいなと思っています。どうぞご期待ください♪


もうひとつ、12月中旬に上海での企画展に参加予定です。こちらも詳細が決定次第、あらためてご案内いたします。

それぞれ会期が近づいてまいりましたら、その都度ご案内をいたします。あらたに個展案内状をご希望の方は、花祭窯・蕎麦猪口倶楽部のページからお申込みくださいませ。ご案内状の送付は無料ですが、枚数の都合上、開催地に近いご住所の方からお送りしております。

春はそわそわ。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

春はそわそわ。

3月に入り、なんとなく「変化」の兆しを見たり聞いたりする機会が増えてきました。梅が散り、早咲きの桜がちらほらとお目見え。お天気も晴れたり雨が降ったりくるくると変わります。春ですね。

年度末から年度初めに向かう季節なので、学校や会社など、4月からを新年度とする枠組みのなかで動いている人たちに変化が現れるのはあたりまえですね。そして、そういう人々の人口構成に占める割合が多いからこそ、そうでない人にとってもなんとなく「変化」や「進化」の時期になるんだろうな、という気がします。

このところ我が家に公私さまざま嬉しいお客さまが立て続けにいらっしゃるのも、春だからかしら、と思ったり。季節に後押しされて新しい一歩を踏み出すことができるなら、その波に乗るのもひとつの方法ですね♪

さて写真は、この季節人気の「桜」の蕎麦猪口。ご近所、宮地嶽神社では、寒緋桜が満開です(^^)

国宝より家宝。

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

国宝より家宝。

創業以来ずっと続く、花祭窯の志(ビジョン)です。

藤吉憲典曰く「評論家に評価されガラスケースの向こうに飾られるものではなく、実際に使う人が身近に置いて大切な人に受け継いでいきたいと思えるものを作りたい」と。器しかりアートしかり、です。

先日、お客さまからとても嬉しいお便りをいただきました。「以前母から贈られた器をずっと使っています。このたび家族が増えるので、同じものを注文しました」と。

つくり手冥利につきるとは、まさにこのようなことだと思います。このようにおっしゃってくださるお客さまの声が聞こえてくると、ダンナともども最高のご褒美をいただいた気持ちになります。

ありがとうございます(^^)