郷育カレッジ開講式2024―今年度も郷育カレッジがスタートしました!

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

郷育カレッジ開講式2024―今年度も郷育カレッジがスタートしました!

週末土曜日は、令和6年度郷育カレッジの開講式でした。

『郷育カレッジでは、福津の「ひと、もの、こと」を題材に、ふるさと、健康福祉、環境、生きがいなど、さまざまな分野の講座を開催しています。
令和6年度は、7月から令和7年3月までに100講座を開催予定です。
小学生以上で市内に在住、通勤、通学をしている人ならどなたでも入校できます。』

福津市公式サイトより)

今年のオープニングイベントは、神興小学校5年生による「へらそう!食品ロスプロジェクト~活動報告~」の発表と、おなじく神興小学校2年生による合唱でした。例年通り「名誉郷授」と「学位認定者」の表彰に続いて、オープニングイベント、その後第2部の公開講座となりました。

公開講座は今年も放送大学とのコラボレーション。放送大学客員教授・九州大学大学院農学研究員教授の佐藤匡央先生の「“One World, One Health”(一つの世界、一つの健康)における栄養学の役割」のお話がありました。わたしは運営委員として受付担当でしたので、残念ながら講座をお聴きすることが出来なかったのですが、ラッキーなことに、講座が始まる前の待ち時間に先生とおしゃべりできるタイミングがありました。とても視点が面白く、そのうえ今日の講座に合わせてでしょう、福津市とその近隣の市(宗像、古賀)について下調べをしてくださっていたようで、雑談の中でたくさんの示唆をいただくことが出来ました。役得です。

郷育カレッジの開講式は、毎回集客に課題が残ります。今回ももっとたくさんの人に聴いていただきたい内容だったのですが、力及ばずな感じで、先生には申し訳ありませんでした。講座を聴いた皆さんの帰りの様子から、満足度がとても高そうだったのが嬉しかったですが、そうであれば尚のこと、もっとたくさんの人に来ていただくようにしなければなりませんでした。もったいない。参加してくださった市議の方からも、同様のご意見をいただきました。来年に向けての最優先反省事項です。

ともあれ今年も郷育カレッジが無事スタート。これから三月末まで、100講座が皆さまをお待ちいたしております!

郷育カレッジ2024(令和6年度)講座一覧と申込はこちらから
※受講できるのは、福津市内にお住まいの方と福津市内に通勤通学の方のみです。

読書『ユニクロ』(日経BP)杉本貴司 著

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読書『ユニクロ』(日経BP)杉本貴司 著

週末読書は久しぶりにビジネス書。経営者お友だちの方々から「面白かった!」と声が上がっていた、ユニクロ柳井さんを追ったノンフィクションです。かれこれ30年ほど前、サラリーマンをしていた時に「山口の宇部にあるファーストリテイリングって知ってる?宇部空港からタクシーの運転手さんに聞いても知らないって言われちゃって、何にもないところにある会社なんだけど、すごく面白いんだよ」と西日本を管轄していた支社長から聞かれて、「知りません」と答えたことを思い出します。わたしは学生時代を山口で過ごしましたが、知りませんでした。ところが、その後あれよあれよという間に誰もが知る「ユニクロ」となり、世界企業になるのですから、なるほど感慨深いものがあります。

本書では、その第三者から見れば「あれよあれよという間」のように感じた企業の成長の「実際のところはどうだったのか」を読むことが出来ました。496ページ、分厚い一冊です。わたしが会社で「ファーストリテイリングって知ってる?」と聞かれたときは、古参の社員さんがほとんど辞めてしまったあとで、これからの会社の人材をどのように集め、どのように組織化していくか、というようなタイミングだったと記憶しています。でも既に社名は「ファーストリテイリング」でしたので、柳井正氏が継いでからある程度時間が経っていたということですね。わたし自身は担当していたわけではありませんでしたので、いろいろなことを先輩からの聞きかじっていました。なるほど内情はそんな感じだったのね、ということを、30年も経ってから本で読むことになるとは、面白いものです。

さて、ザ・ワンマン経営者のイメージのある柳井正氏の物語は、たくさんの失敗と、たくさん失敗したからこその成功の物語でした。怒涛のスクラップアンドビルドの繰り返しと、大きくなり続けることを止められない経営者の凄みが迫ってきます。本書内でも何度も出てくる「ユニクロとはなにか」の問いは、あらゆる経営者・事業者に求められる問いだと思いました。ことあるごとにこの根本的な問いに立ち返り、その答えを突き詰めていくことで何度も壁を突破していくさまには、読んでいてハッとさせられました。

本書を読みながら、圧倒的にすごいなと思いながらも、では、そこにあこがれるかと問われれば、個人的には決してそうではない経営者の姿がそこにはありました。「成功するまでやり続ければ、失敗は失敗にならない」という言葉そのままの姿。その基本的な姿勢には強く共感できるものが多々あるのだけれど、柳井さんはそれらが桁外れに極端なように見えました。その極端さと執念がどこから生まれてきたのか、本書を読めば、生い立ちだとか環境だとかに結び付けることも出来そうでもあるのですが、個人的には、生まれながらに持っている気質が強いのではないかと感じました。

日経BP社のサイトでの紹介には「この国に存在する名もなき企業や、そこで働く人たちにとって希望になるであろう物語である」とありましたが、実際にこれを希望として「自分にもできる!」と考えるに至るには、かなりの覚悟と根性が求められるだろうというのが、正直な感想です。ともあれ、学ぶこと多々。「ユニクロとはなにか」の根本的な問いは、そのまま自分達に置き換えて、これからの指針としていけるものだと思います。

『ユニクロ』(日経BP)杉本貴司 著

博多阪急さんでの藤吉憲典個展も、いよいよ来週7月17日(水)スタートです。

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博多阪急さんでの藤吉憲典個展も、いよいよ来週7月17日(水)スタートです。

黒田陶苑さんの個展準備がひと段落し、つづいては、博多阪急さんでの展覧会準備ラストスパートです。近いので自ら車で搬入できるというのが、ほかの個展との大きな違い。梱包・発送に伴う気遣いと手間がだいぶ省けますので、それはひとつ楽なところです^^

2022年にスタートした「ふくつのね」は、博多阪急さんを会場に「ライフスタイル提案」をテーマに、福津で地域に根付いたものづくりをする人・モノを紹介するイベントです。そのイベントの一環として、昨年・今年と藤吉憲典の個展を開催することとなりました。

3年目となる今年2024年の参加クリエイターは、8社(者)。「ふくつのね」の公式インスタグラムやnoteで、クリエイターの紹介をしてくださっています。

ふくつのね公式インスタグラム https://www.instagram.com/fukutsunone

メイン会場は博多阪急1階メディアステージ。花祭窯のみ、3階の特別室での展覧会となります。ぜひ1階も3階も楽しんでいただけると嬉しいです。

2024博多阪急 藤吉憲典個展

藤吉憲典 個展

場所:博多阪急 3階特別室 (福岡市博多区博多駅中央街1番1号)

会期:2024年7月17日(水)-7月23日(火)

時間:10時~20時(最終日のみ17時閉場)

映画『フェラーリ』を観てきました。

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映画『フェラーリ』を観てきました。

2024年4本目の映画鑑賞は『フェラーリ』。前回は邦画、しかも時代劇でしたので、次は洋画を観たいな、と思っていたところです。

『フェラーリ』。特に車好きというのではありませんが、映画観に行こう!と思ったときに上映中のラインナップから、あらすじを読んで、決定。フェラーリの創業者であるエンツォ・フェラーリの実話ということで、興味が湧きました。氏についての本などまったく読んだことはありませんでしたが、彼の信念として有名な「速く走れる車はカタチも美しい」すなわち「美しいものは機能的でもある」とのスタンスだけは、どこかで聞いたことがあって知っていました。また、これからイタリアに打って出ようとしているからには、少しでもかの国のことは知りたいし、オールイタリアロケですから、景観を楽しめるだろうという期待もありました。

というわけで、出演者も監督もチェックせずに映画館へ。映画がはじまってまず「あれ?」と思ったのは、イタリア語だと思い込んでいたのですが、言っていることがなんとなく聞き取れるぞ?ということ。英語でした。イタリア映画だと思い込んでいましたが、アメリカ・イギリス・イタリア・サウジアラビア合作でした。主役のエンツォ・フェラーリを演じたのは、アダム・ドライバーだったのですが、わたし的にはこれがツボでした。まあ、カッコいいこと。スーツ姿が最高で、色気があり、とても素敵でした。ただ、実は観ている間は「めちゃめちゃ素敵なんだけど、この人誰だったっけ?」という状態で、エンドロールで名前を確認しても「ああ!そういえば!前に何で観たんだっけ…?」という感じ。ファンの方に怒られそうですね。で、前回彼を観たのは約二年半ほど前のこと、『HOUSE OF GUCCI』でした。

『HOUSE OF GUCCI』のときも、ブログに「実は失礼ながら期待していなかったのにすごかったのが、アダム・ドライバー」と書いていたのですが、いやほんとうにすごい方だと今回あらためて思いました。まず、GUCCIの時の印象とまったく違います。単に役が違うというレベルを超えて、醸し出す雰囲気がまったく別物でした。例えばトム・クルーズは何を演じてもトム・クルーズですし、ロバート・デ・ニーロはロバート・デ・ニーロですが、アダム・ドライバーは「ほんとうに同じ人?」という印象。『フェラーリ』の宣伝でインタビューに答えている姿さえも、エンツォ・フェラーリのときとあまりも違い、驚愕しました。ちょっとこれから先、アダム・ドライバーに注目したいです。

期待していたイタリアの景色は、映画のハイライトであるロードレース「ミッレミリア」のシーンで、街中の景色も自然の景色も大画面で楽しむことが出来ました。そしてわたしが唯一知っていたエピソードは、映画のなかでは、車の設計図を息子に説明しながらのエンツォ・フェラーリ自身のセリフとして登場しました。曰く「良く機能するものはたいてい、見た目にも美しい」というようなこと。予告編では「勝利するものはすべて美しい」と字幕がついています。

ストーリーのなかで涙腺が緩んだのは、レースに臨む前のドライバーたちが、愛する人に向けて手紙を書くシーン。それまでのストーリーの中でも、さんざんレーサーは「死を覚悟してレースに出る」というニュアンスのセリフが出てくるのですが、どんなセリフよりも、愛する人への「もしかしたら最後になるかもしれない手紙」を書く姿が、その仕事の厳しさ、現実を物語っているように感じました。

もう一度機会があれば、また観たいと思った映画でした。二回観たいと思った映画は久しぶりでした。

映画『フェラーリ』公式サイト

肥前磁器作家・藤吉憲典の仕事―「向付十二種類制作」のチャレンジ。

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肥前磁器作家・藤吉憲典の仕事―「向付十二種類制作」のチャレンジ。

ダンナ・肥前磁器作家・藤吉憲典が向付12種類に挑戦しています、とご紹介したのは、4月のことでした。もうふた月以上が経っていますね。

向付とは、懐石料理に用いられる器のひとつで、お刺身など酒の肴(「お向こう」と呼ぶそうです)になるものを盛り付ける器です。お膳の向こう正面に置かれる、いわばメインの器。和食では季節ごと・料理ごとに器を変えますが、春夏秋冬の四季=4種類では足りなくて、12か月で使い分けたいし、1カ月に数種類あっても良いということを、長年藤吉の器を使ってくださっている料理人さんに伺ったのが、今回のチャレンジのきっかけとなりました。

藤吉憲典 染付向付

藤吉憲典 染付向付

藤吉憲典 染付向付

藤吉憲典 染付向付

藤吉憲典 染付向付

こんな感じで、続々と新作の向付が出来上がっています。窯から上がってくるたびに、ワクワクしました。これらの仕事をまず最初に観ることができるのは、役得♪

お披露目は7月13日(土)からスタートする、銀座黒田陶苑さんでの個展となります。どうぞご高覧下さいませ。


―夏は染付― 藤吉憲典個展

銀座黒田陶苑【新本店】にて

2024年7月13日(土)―7月18日(木)※15日(月)定休

午前11時―午後7時

銀座7-8-17-5F虎屋銀座ビル5階

TEL 03-3571-3223

津屋崎祇園山笠は7月21日(日)が追い山―津屋崎も盛り上がってきています。

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津屋崎祇園山笠は7月21日(日)が追い山―津屋崎も盛り上がってきています。

博多の街が山笠ムード一色だったというブログを書いたのは、これまたつい先日のことでした。

花祭窯のあるここ津屋崎も、7月に入ってからは毎週末ごとに、山笠の準備が進んでいます。あちらこちらからトントンカンカンと、飾り山を入れる屋根を組み立てる「小屋がけ」の音がしたり、「棒がらめ」と呼ばれる作業の「うんとこね~うんとこね~」という掛け声が聞えてきたり、窓の外から聞こえてくる音に山笠を感じます。

そして津屋崎千軒内にある「藍の家」「なごみ」では、津屋崎祇園山笠関連の展示が例年通り行われています。お雛様の展示などもそうなのですが、季節ごとにテーマ展示がこの二か所で開催されることが増え、津屋崎千軒内は文字通り「千軒全体が博物館」と言えるような状態が自然発生的に出来上がっています。

津屋崎千軒「藍の家」

津屋崎千軒なごみ

津屋崎祇園山笠復活50周年

見るだけでなく、ちょっとだけ体験的に楽しめるような仕掛けもあります。

津屋崎祇園山笠

古今の山笠の写真をご覧いただけます。

津屋崎祇園山笠

千軒内を歩けば、山笠シーズンならではのこのような景色も。

山笠当日はもちろん、それまでの期間も、山笠を盛り上げる仕掛けがたくさん。お近くにお越しの際は、ぜひなごみや藍の家にも足をお運びくださいね♪

銀座黒田陶苑さんでの藤吉憲典個展は、今週末7月13日(土)初日です。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

銀座黒田陶苑さんでの藤吉憲典個展は、今週末7月13日(土)初日です。

黒田陶苑さんでの個展の案内状が届きました!と書いていたのは、つい先日のことのようですが、今週末はもう初日を迎えます。

6月末~7月に入ってからはラストスパートで、ダンナはずっと窯を焚いています。お天気も味方をしてくれています。連日の快晴と猛暑で、暑い中窯を焚くのは、もちろんたいへんではあるのですが、お天気が安定して晴れてくれているのは、とてもありがたいのです。というのも、花祭窯で使用しているのは電気窯なので、落雷や風雨での停電が一番の心配の種。そのような心配をすることなく、おかげさまで無事予定通りに窯を入れることが出来ました。

窯が上がるたびに新作が顔を出し、皆さまにお披露目するより一足早く、器を愛でることができるのは、役得ですね。今まさに焼成中の赤絵窯が焚き上がれば、今回の黒田陶苑さんに向けての作品は一通り揃います。

わたしはと言えば、今週は梱包・発送作業ウィーク。桐箱の発注や作品リストの制作もそれらの仕事に含まれます。桐箱はいつもお世話になっている株式会社増田桐箱店さん。器のサイズに合わせての発注になりますので、毎回会期前ギリギリの発注となり、桐箱が仕上がるのは会期後になることもよくあるのですが、急ぎのオーダーも可能な範囲で調整してくださり、ほんとうにありがたい限りです。

新しくなった黒田陶苑さんは、内装が黒づくめで、「美術館みたい!」とおっしゃる方もありました。そのような場所に並べて見応えのあるモノ、出来上がっていると思います。あとは無事先方に届くよう、しっかり梱包して発送するのみ。会場に並んだ姿を見るのが楽しみです。

お時間のある方、ぜひご来場くださいませ。



―夏は染付― 藤吉憲典個展

銀座黒田陶苑【新本店】にて

2024年7月13日(土)―7月18日(木)※15日(月)定休

午前11時―午後7時

銀座7-8-17-5F虎屋銀座ビル5階

TEL 03-3571-3223

読書『小学生でもわかる世界史』(朝日新聞出版)ぴよぴーよ速報 著―選書ツアー本が上がってきました!

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読書『小学生でもわかる世界史』(朝日新聞出版)ぴよぴーよ速報 著―選書ツアー本が上がってきました!

毎年恒例、福津市カメリアステージ図書館の選書ツアーの選書本が納品されました。ツアー参加者=素人の選者がそれぞれに選んだ10数冊の本から、司書さんが専門家の視点で一人当たり2~3冊を選び、図書館の蔵書として納入していただくことが出来ます。今回わたしの選書から選ばれた本は、2冊。『図解でよくわかる菌ちゃん農法』『小学生でもわかる世界史』でした。

『図解でよくわかる菌ちゃん農法』はこちら↓

さて『小学生でもわかる世界史』。出版元・朝日新聞出版さんのサイトでの紹介文がとても分かりやすかったです。いわく、

登録者数91万人・総再生数1.4億回の教養系YouTuberによる、史上最高に面白くて誰もが世界史を好きになるパラダイスみてえな教科書。“全ての国民が理解できる”超シンプルな解説と700点以上の地図&図版(後略)(朝日新聞出版のサイトより

です。

そもそもはYouTubeチャンネルのコンテンツなのですね。教養系ユーチューバーの方々が提供するコンテンツに優れものがたくさんあるという話はよく聞いてはいましたが、実のところわたしはあまり使ったことがなく、この手の動画を見たことがありませんでしたので、ぴーよぴよ速報さんのチャンネルを探してみることに。

ぴーよぴよ速報 YouTube

まずはコンテンツがたくさんあることにびっくり。なにかひとつ見てみようと物色していて、小学生に向けてのコンテンツは、それぞれがほぼ10分以内程度にまとめられていることがわかりました。サクッと観ることが出来る長さですね。「第一次世界大戦」を見たところ、わかりやすく、年表上の点だったものが、面となって理解できたような気がしました。アニメーションの作り方、映像だけでなく音声も、かなり考えられているのだと思いました。

さて本書、いやほんとうに、カラフルで絵や図がたくさんあって、文章がとってもくだけていて、楽しかったです。なにより、読んでいて飽きません。YouTubeと異なり音声はありませんが、簡潔なテキストの解説が秀逸です。動画に慣れている方には、ややまどろっこしい感じがあるかもしれませんが、本の方が便利だと感じる世代(わたしのことです)には、じゅうぶんにスピード感のある構成です。動画のテンポを損ねないように考えて作られたのでしょうね。現実的に考えれば、小学生はYouTubeで見るでしょうから、本書は『小学生でも』とタイトルに付いてはいますが、大人向けだと思います。

それにしても、これだけ簡潔に要点を押さえてまとめるには、よほど学びこんで、世界史が自分のものになっていないと難しいだろうなと思いました。そしてそれを裏付けるように、巻末についた参照文献の数がすごいです。脱帽の一冊です。

『小学生でもわかる世界史』(朝日新聞出版)ぴよぴーよ速報 著

読書『図解でよくわかる菌ちゃん農法』(家の光協会)吉田俊道著―選書ツアー本が上がってきました!

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『図解でよくわかる菌ちゃん農法』(家の光協会)吉田俊道著―選書ツアー本が上がってきました!

2024年度の選書ツアー報告をしたのは、ふた月ほど前のことでした。

いつものカメリアステージ図書館から「選書ツアーから購入する本が決定しました」とご連絡をいただきましたので、さっそく受け取りに行ってきました。というのも、選書ツアーで選んだ本には、「選者」として責任を持って、本の紹介ポップを書くのが、選書ツアー参加のルールなのです。ポップが出来上がったら、晴れて図書館の本棚に選書が並びます。ポップを書く=一番最初に読むことができる、ということでもあり、嬉しい特典。

選書ツアーで素人の選者がそれぞれに選んだ10数冊の本から、司書さんが専門家の視点で一人当たり2~3冊を選ぶのが、毎回の手順です。今回わたしの選書から選ばれた本は、2冊。『図解でよくわかる菌ちゃん農法』『小学生でもわかる世界史』でした。

まずは『図解でよくわかる菌ちゃん農法』。著者の「菌ちゃん先生」こと吉田俊道さんは、長崎県佐世保市で自ら農業を実践しながら、この菌ちゃん農法の伝道師として全国を飛び回っている方です。わたしは2017年に、菌ちゃん先生のお話を直接聞くことが出来ました。当時九州大学で教鞭をとり「自炊塾」を提唱していた比良松道一先生の活動に、ダンナと息子が参加していたご縁でした。

その時のお話がとても面白く、しかも腑に落ちるものでしたので、ひそかに菌ちゃん先生を応援していました。7年以上が経ち、俳優の山田孝之さんや柴咲コウさんが佐世保の菌ちゃん先生のところに、その農法を習いに行ったことなどが話題にもなり、ジワジワと全国的に知られるようになってきたように思います。

さて『図解でよくわかる菌ちゃん農法』。表紙に載っている文言=タイトル?を全て並べると『微生物の力だけで奇跡の野菜づくり 図解でよくわかる 菌ちゃん農法 農薬なし、防虫ネットなしでも虫がつかない』です。長いですね。これが本書の概略です。中身は、カラー写真がたっぷり、図解がたっぷりで、ものすごくわかりやすいです。農業に携わる方、家庭菜園をしている方に、ぜひ読んで欲しいと、個人的に思っています。ただ、これをちゃんとやろうとすると、けっこう大変だろうな、ということもわかります。なので、まずはこのような方法があるのだということを知って、少しづつでもそこに近づけていけたら良いのかな、と。

かくいうわたしは今年久しぶりに「プランタで野菜を育てる」をはじめたところですが、まだ菌ちゃん農法でやっているわけではありません。“まずは1品でもいいから、自分で野菜をつくる”からスタートし、次の段階として、菌ちゃん農法でなにか作ってみようとたくらんでいます。そう、本書ではプランタや肥料袋を使ったミニ栽培での菌ちゃん農法も、ちゃんと紹介してくださっているので。レッツ・チャレンジ!です^^

『図解でよくわかる菌ちゃん農法』(家の光協会)吉田俊道著

次回は『小学生でもわかる世界史』をご紹介いたします。

読書『異常(アノマリー)』(早川書房)エルヴェ・ル・テリエ著/加藤かおり訳

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読書『異常(アノマリー)』(早川書房)エルヴェ・ル・テリエ著/加藤かおり訳

早川書房の公式サイトのほかに、早川書房の書籍&雑誌コンテンツを紹介するHayakawa Books &Magazines(β)というサイトがあり、そこでも本書が紹介されています。

その記事タイトルが

「文学界の未確認飛行物体(UFO)」こと『異常【アノマリー】』の魅力を営業担当が語る

で、この営業担当者さんの記事を読んだだけでも、本書の「なんだこれ!?」感が伝わってきます。「文学界の未確認飛行物体(UFO)」って、すごいですよね。2020年にフランス最高峰の文学賞「ゴンクール賞」を受賞し、40の言語で翻訳が進められ、日本では2022年の刊行です。

わたし自身が本書を見つけたのは、定期購読している雑誌『TRANSIT』の記事でした。(『TRANSIT』ユーフォリアファクトリーの公式サイトTRANSIT Webはこちら)『TRANSIT』No.64の特集が「フランス」で、数々のマニアックな情報のなか、目を引いたのが、現代のフランス文学を紹介するページ。この中に先日読んだ『シェフ』のタイトルを発見し、ほかの本も俄然気になったというわけです。

さて『異常』。すごいことを考えついたものだなぁ、と、まず思いました。それをまたこんなふうに小説に仕上げるなんて!と驚嘆しつつ読みました。突拍子もないことだけれど、もしかしたら既に現実に起こっていることなのかもしれないと感じさせる怖さがありました。もし自分がその当事者になったら、どんなふうに折り合いをつけるのだろうと考えつつ、でもこれは実際にそうなったときでないと、真に切羽詰まって考えることが出来ないだろうなとも思いつつ。

わたしにとっては、どんどん読み進めて一気読み!という類のものではなく、小説の中で起こっている状況を把握するのに時間をかけつつ読んだ一冊となりました。時間をかけつつも「目を離せない」感がずっとまとわりついていました。

先日の『シェフ』に、今回の『異常』で、「フランス文学」へのイメージががらりと変わりました。TRANSITで紹介されている本、読破を目指します^^

『異常(アノマリー)』(早川書房)エルヴェ・ル・テリエ著/加藤かおり訳