銀座黒田陶苑さんの「藤吉憲典 個展」案内状が届きました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

銀座黒田陶苑さんの「藤吉憲典 個展」案内状が届きました。

久しぶりの黒田陶苑さんでの個展です。ダンナ・藤吉憲典は、まさに個展用の新作をどんどん作っている最中。「-なつ そめつけ-」と、タイトルに入れていただいておりました。7月の開催ですので、染付の涼やかな感じがちょうどよい季節です。もちろん、赤絵(色絵)の作品も、染錦の作品もご覧いただけます。

銀座黒田陶苑 藤吉憲典個展

銀座黒田陶苑 藤吉憲典個展

藤吉憲典 個展 -なつ そめつけ-
2022年7月16日(土)-7月21日(木)(※18(月)は定休日)
午前11時-午後7時
銀座黒田陶苑 アネックス
東京都中央区銀座6丁目12-14銀緑館2F
TEL03-3571-3223


DMご希望の方には、6月末からお届け予定です。どうぞお楽しみになさってくださいね!

再読書『美術館っておもしろい!』(河出書房新社)モラヴィア美術館

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

再読書『美術館っておもしろい!』(河出書房新社)モラヴィア美術館

フルタイトルは、『美術館っておもしろい! 展覧会のつくり方、働く人たち、美術館の歴史、裏も表もすべてわかる本』(河出書房新社)モラヴィア美術館阿部賢一・須藤輝彦 訳。約1年半前に図書館で発見し、読んで気に入って手に入れた本です。

「読んで(見て)面白い絵本」であるだけでなく、アートエデュケーターとして仕事をするときに、実際に役に立つ内容が多いため、ことあるごとに開いています。今回、思うところあり再読&まとめ。


  • 美術館を開いていく試み=入場料を無料にする、カフェを併設する、本を出すetc…
  • 芸術や教育には大きな力が秘められている=人と人との垣根を取り払い、相互理解をもたらすもの。
  • 来館者が求めているのは、美しさだけではありません。教養を深め、夢中にさせてくれる物語も展示品に求めているのです。
  • ドイツ帝国最後の皇帝ヴィルヘルム2世は、完全武装した軍隊よりも思想の方が力が強いのを知っていました。→教育や文化の支援にも大金を投じました。
  • ムセイオン(芸術の女神ムーセの神殿)→芸術と驚異の部屋→絵画陳列室→スタイル・ルーム→抽象の部屋→ホワイト・キューブ
  • 街に美術館があることは文化的成熟度を表し(中略)とはいえ、それは、巨大な建物の大美術館である必要はありません。
  • 身のまわりの物事に関心がある人、美しいものを求めている人、ふだんとは違う角度から世界を見ようとする人は、皆、美術館の鑑賞者です。
  • 美術館は創造的でユニークな人たちを引きつける磁石そのもの

『美術館っておもしろい! 展覧会のつくり方、働く人たち、美術館の歴史、裏も表もすべてわかる本』(河出書房新社)より


九州国立博物館特別展「北斎」観に行って参りました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

九州国立博物館特別展「北斎」観に行って参りました。

前回、九州国立博物館に足を運んだのは、3月春分の頃のこと。

それからふた月も経っていませんので、「九州国立博物館メンバーズプレミアムパス」をゲットしたのは、わたしにとって大成功だったということです。もちろん北斎を観たいのは大前提として、さらにプレミアムパスを無駄にしたくない気持ちが働いて、積極的に足を運ぶ予定が立ちました。

さて北斎展。今回の目玉とされていた「日新除魔図(にっしんじょまず)」が素晴らしかったです。2017年に九州国立博物館に寄贈されていたそうで、ここでしか見れないということでした。こういうスケッチにこそセンスが出るなぁ、としみじみ思える200枚超の連作。今回の北斎展は、この展示に尽きる!という感じがしました。

個人的に思いがけずヒットだったのは、日本の伝統美術である木版の技術保存・技術者育成をなさっているアダチ版画研究所さんによる木版画制作の解説資料が展示されていたこと。職人さんの「刷り」の様子を撮った動画もありました。昨年来アダチ版画さんの資料を集めていたところでしたので、あまりのタイミングの良さに思わず「おお!」と声を上げてしまいました。冷静に考えれば、北斎と版画は切り離せませんので、別に驚くことでは無いかもしれませんが、こんなところで出会えるとは!ラッキーです。

会場を出たすぐの特設ミュージアムグッズエリアには、アダチ版画さんのブースもあり、木版画の説明をきちんとしてくださるスタッフさんがおられました。北斎版画の復刻もあり、もしこの特別展の鑑賞記念としてミュージアムグッズを買うのなら、俄然おススメです。

さてもうひとつ、ラッキー♪がありました。それは、展示最後に漫画家しりあがり寿さんの、北斎パロディ画が展示されていたこと。雑誌などで何回も見たことがあり、そのたびに大笑いしていました。すごいセンスで、こういうの大好きです。ホンモノを観たのは初めてで、ここで観れるとは思っていなかったので、嬉しいサプライズでした。5月21日には、そのしりあがり寿氏のトークショーも九国で開催されるようですので、お好きな方はぜひ。

特別展「北斎」全体の印象としては、実は「あれ?これでおしまい?」でした。どこの美術館でも、たいていの特別展はお腹いっぱい胸いっぱいになって後にすることが多いのですが、なんだか物足りず…というのが正直な感想でした。途中で展示替えを行うということで、展示数を調整しているのかもしれませんが、少しがっかり。

その物足りなさを埋めるのは、いつもの4階常設展示「文化交流展示室」。前回からふた月ほどしか経っていませんでしたが、すでに展示替えされた部屋もあり(展示替えされていなくても、同じものを何度見ても良いものは良く)見どころたっぷりで大満足でした。期間限定展示の「きゅーはく女子考古部」による「かわいい考古学のススメ」も目の付け所が面白かったです。

佐賀鍋島家のお宝を守る徴古館。

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佐賀鍋島家のお宝を守る徴古館。

「文化遺産オンライン」が面白い。と書いていたのはつい一昨日のこと。ある調べ物をしていて辿り着いたのが文化遺産オンラインだったのですが、わたしの調べ物のお目当てが、佐賀鍋島家の伝来品を所蔵する「徴古館(ちょうこかん)」にたくさんあるとわかり、軽く驚いたところでした。徴古館なら、佐賀に住んでいたころに何度か足を運んだことがあります。灯台下暗しとはまさにこのこと。

鍋島報公会徴古館 https://www.nabeshima.or.jp/main/

佐賀県内で初めての博物館と謳われる雰囲気の良い洋風建築は、国の登録有形文化財です。徴古館を含む佐賀城内エリアには大きな神社もあり、お散歩がてらウロウロするのに程好い環境です。徴古館の展示スペースはそれほど広くはないものの、鍋島家のお宝の数々は目を楽しませてくれるものでありました。

さて今回の調べ物、佐賀にあるのならば、すぐに直接観に行ける!と喜んだのも束の間、現在展示替え休館中で、6月中旬まで開館を待たねばということで、とりあえずは断念です。でも、その資料の載った図録を手配していただけることになりました。昨日お電話でお話をしたところが、翌日の本日には手元に届きました。職員の方に心より感謝です。上の写真はその図録表紙。

やきものの資料探しなら、佐賀県を最初にあたりますが、今回はそうではなかったのに、実は佐賀県にあったというめぐり合わせ。やっぱりご縁があるのね♪やっぱりわたしたちがやるべき仕事なのね♪と、勝手に喜んでおります。

「文化遺産オンライン」が面白い。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「文化遺産オンライン」が面白い。

上の写真は「文化遺産オンライン」サイトのトップページ。

ここ数年で、美術館博物館の使いやすいサイト・情報量は各段に増えて、まったく使いこなすことが出来ていないほど。特に海外の著名美術館が提供する情報は、所蔵品の紹介はもちろん、研究文献などのテキスト情報、動画によるガイドツアー、各種教育普及プログラムなど、ほんとうにありがたい限りです。

日本国内の美術館博物館も、この2年でオンライン化が素晴らしく進み、調べ物をするのにも、個別の美術館サイトから情報を得ることが増えていました。そんななか、調べ物をしていてたまたま見つけたのが、この文化庁のサイト。文化庁が運営する我が国の文化遺産についての電子情報広場(ポータルサイト)です。

文化遺産オンライン https://bunka.nii.ac.jp/index.php

昨日現在での登録館数が1045館、そのうち作品公開をしてくださっているのはわずか195館で、作品公開数が269,959件。正直なところをいえば「このキーワードでこれだけしかヒットしない!?」という分野が少なからず、です。基本的には各館の任意の意思による登録がベースになっているのが、その理由でしょう。自館の収蔵品をたくさん登録してくださっている館もあれば、そうでないところもある、というところです。

使ってみた印象としては、地方の小さい館が頑張ってデータベース化してくださっているのが、とてもありがたいです。これまでまったく知らなかったモノや作者が出てくるのが面白い。「名も知らぬ館」が持っているお宝情報を、「時代」「分野」「文化財体系」のカテゴリー検索から引っ張り出すことができて、未知の世界を切り開く楽しさがあります。地方の小さな館にとっては、自分たちの研究分野・所蔵品・活動を広く知らせるチャンスにつながりますから、どんどん登録してくださるといいな、と思います。

文化庁が運営するデータベース。その存在をもっと知っていただくことで、これから中身がどんどん充実していくことが期待されます。

「2022九州産業大学国際シンポジウム」遅ればせながら視聴参加いたしました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「2022九州産業大学国際シンポジウム」遅ればせながら視聴参加いたしました。

毎年お世話になっている博物館学芸員技術研修会。その年度締めくくりとなる国際シンポジウムは、昨年に引き続き英国と米国をつなぎ、Zoomと同時通訳アプリを活用しての開催でした。わたしは開催日当日は急用が入ってしまい参加を断念しておりましたが、Zoom開催の録画を共有していただくことが出来ました。ありがたい限りです。

シンポジウムのテーマは、こちらも昨年に引き続き「博物館と医療・福祉のよりよい関係」で、「withコロナにおける高齢者プログラムの取り組みと課題」について、米国からの事例報告を聞きました。

以下、備忘。


  • コロナ禍以前から継続してきた、参加型ワークショップの電話・郵便を使ってのアプローチが、コロナ禍下でも生きた。
  • 特に電話=誰でも使える。
  • +ビデオチャット、メール、Zoom。
  • 図書館プログラムとの連携。
  • Google Arts and Cultureの活用。
  • バーチャルプログラムによるミュージアムツアー。
  • 他の博物館と提携してのミュージアムツアー(バーチャル訪問)。
  • 目が見えない人、見えにくい人に向けての、音声のみでも理解できるプログラムが、目の見える人にも有効であった。
  • オンラインに重点を置くことで、海外を含む「エリア外」からの参加が増えた。
  • バーチャル・対面、それぞれの強みと課題。→両方があって、選択できることの良さ。
  • Artful Conversations and Connections=鑑賞+(感想などの)語り合い。
  • Family Support(本人だけでなく、家族、介護者などを含めた)プログラム。
  • エンリッチプログラム=より、気持ちを豊かに。
  • New Collaborations with ○○
  • ○○=Independent artists、Small museums and Public gardens、Educator…
  • 自宅でできる「アートメイキング」プログラム。郵送での資料・材料送付。
  • 二人一組(例:認知症患者+介護者)での参加を想定したプログラム。
  • 1回参加すると、6割の参加者が2回以上参加する。
  • ミュージアムの教育担当者のコミュニティーでのつながり→サポートプログラム活用の広がり。
  • 「館の外側にある」連携組織。
  • 各種財団等からのサポート資金→プログラムの実施→有効性の認定→さらなる資金サポート→プログラムの充実→有効性の認定→…の循環。
  • プログラムの評価。評価方法とフィードバック。
  • バーチャル参加でも参加者同士がスクリーンで顔なじみになり、一緒に別のプログラムへの参加するようになる。
  • よりシンプルな質問の価値。例「何が見えますか?」
  • 支え手を支えるわたしたち自身が健康であることの大切さ。

以上、2022九州産業大学国際シンポジウム「博物館と医療・福祉のよりよい関係-withコロナにおける高齢者プログラムの取り組みと課題」より。


今回のシンポジウムでは、発表者の発表の後、グループに分かれてのディスカッションタイムが確保されていたのが目玉だったと思います。わたしはリアルタイムで参加できませんでしたので、ディスカッションに参加することはできませんでしたが、指定討論者の皆さんや各グループからの質問による質疑応答を拝聴することが出来ました。こういう時間があると、学びがより深まりますね。毎回さまざまな方法を工夫してくださる事務局の緒方先生に、心よりお礼申し上げます。

来年度もまた学芸員技術研修会に参加できること、とくに対面での講義が開催されることを楽しみにしています。

2022年藤吉憲典展覧会予定など。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

2022年藤吉憲典展覧会予定など。

少し遅くなりましたが、今年の藤吉憲典の展覧会日程がほぼ確定いたしましたので、ご紹介いたします。


2022年6月初旬 開窯25周年 花祭窯(福岡・津屋崎)

まるっと四半世紀です。これまで支えてきてくださった皆さまへの感謝を込めて、ささやかでもなにかできればと思っています。決まり次第、SNSなどでご案内いたします。

2022年7月16日(土)~7月21日(木)黒田陶苑(東京・銀座)藤吉憲典陶展

現在、黒田陶苑さんは店舗ビル建て替えのため銀座6丁目銀緑館2Fの仮店舗で営業中です。個展会場もこちらになります。今回の個展テーマは「書画陶芸」。藤吉憲典の新たな挑戦をぜひご覧ください。

2022年11月19日(土)~11月25日(金)百福(東京・南青山)藤吉憲典展

町田で長年営業してこられた百福さんが、昨年青山に移転なさってから藤吉憲典としては初めての個展となります。地下鉄で外苑前、青山1丁目両駅から徒歩5分とアクセス抜群です。どうぞお楽しみに。

2022年11月末~12月クリスマス Sladmore Gallery(UK・ロンドン)Animal Boxes of KENSUKE FUJIYOSHI 展

コロナ禍で延びたため3年ぶりとなります。Sladmoreでは、これまでのBruton PlaceのギャラリーからJermyn Streetのギャラリーへと場所を移しての開催となります。イメージ的には、隠れ家的エリアからちょっぴり大通りに出る感じです。


百福さん、Sladomore Gallery、銀座黒田陶苑さん、いずれも長年お付き合いのあるギャラリーさんでありながら、「新しい場所」での個展となります。ちょうどそれぞれのギャラリーさんの転換期に重なったということなのかもしれません。偶然の面白さにワクワクするとともに、そこに立ち会わせていただけることをとてもありがたく感じています。

そしてこれも三軒の共通点なのですが、いずれも展示スペースがこれまでよりもかなり広くなりそうです。それぞれの展覧会に何をどれだけ持っていくか、今まで以上に準備をしっかりしていきたいと思います。

詳細ご案内、DMなどはそれぞれ会期が近づきましたら、あらためてご案内いたします!今年はそれぞれの会場で皆さまにお会いできると嬉しいなぁ、と思いつつ。

九州国立博物館の特別展「最澄と天台宗のすべて」に行って参りました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

九州国立博物館の特別展「最澄と天台宗のすべて」に行って参りました。

コロナ禍を理由に足の遠のいていた九州国立博物館。振り返ってみれば前回観覧は「室町将軍 戦乱と美の足利十五代」で、なんと約3年ぶりでした。今年はもっと足を運びたいとの決意を込めて「九州国立博物館メンバーズプレミアムパス」をゲット。1年間の有効期間中は九国での特別展を4回まで、九州・東京・京都・奈良の国立博物館の平常展を何度でも観ることが出来る優れものです。

平日とはいえ会期終了まであと3日という時期でしたので、人が多いかもと少し心配しましたが、杞憂でした。入場者が極端に少なかったというわけではなく、会場内のいたるところに「空いているところから見てください」的な表示があり、うまい具合に人が分散。来場者がそれぞれ周りに目を配り気を配る結果ですね。運営側の意図がきちんと機能していると感じました。おかげさまで快適に観覧することが出来ました。順路に沿うように促す制約は、一見合理的なようでも、特定の場所に人が集まってしまったり流れが滞ってしまったりして、逆効果なことも多いのです。

展示内容のなかで特に目に止まったのは、最澄の筆による「天台法華宗年分縁起」(滋賀・延暦寺)をはじめ、般若心境などの書の数々。一文字一文字丁寧に書かれた気持ちの良い字が並んでいるのを観ると、そのまま読んで理解することは出来なくても、なんだか嬉しくなるから不思議です。なかでも金と銀で一行づつお経を書いた「紺紙金銀交書法華経」(滋賀・延暦寺)は目を引きました。

その他には、サイの角で作った工芸仏具の「犀角如意」(滋賀・聖衆来迎寺)の美しさ、見事な頭の形に立派な福耳を持った「性空上人座像」(兵庫・圓教寺)の強烈なインパクト、遊び心満載の「空也上人像」(愛媛・浄土寺)の面白さ、きらびやかな箱に繊細な彫りが仕込まれた「金銀鍍宝相華文経箱」(滋賀・延暦寺)が特に気に入りました。不動明王好きとしては、重文レベルの不動明王にたくさん会うことが出来たのも、大きな収穫。ぐるりと裏側まで、あるいは左右を空けて側面を観ることが出来るように配置している展示も多かったので、側面や裏側に入り込み、立体を大いに楽しみました。

特別展を堪能したあとは、4階の平常展「文化交流展」が毎回の楽しみです。3年ぶりとあって、前回訪問時から展示替えされている展示室も多く、見どころ満載でした。いつものことながら「田中丸コレクション」「坂本コレクション」で肥前磁器の名品をたくさん見ることが出来たのが嬉しかったです。やっぱり古い柿右衛門は良いのがあるなぁ…などと思いつつ。最後はお気に入りの第6室で仏像や彫像を拝見して、大満足で帰路につきました。

次は4月スタートの特別展「北斎」に合わせて行こうと思います。

電車で大宰府旅-天満宮と九州国立博物館を満喫。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

電車で大宰府旅-天満宮と九州国立博物館を満喫。

お友だちから「大宰府散策きっぷ」なる贈り物をいただきました。そういえば大宰府天満宮には長いことお参りしていないな、九国で開催中の「最澄と天台宗のすべて」ももうすぐ会期が終わっちゃうな、三連休は人が多いだろうから行くなら今日だな、ということで電車に乗りました。

九州国立博物館に行くときはいつも車なので、電車で大宰府に向かうのは初めてのことでした。滅多に無い機会にワクワク…ちょっとばかり「乗り鉄」要素があるのです(笑)。今回のルートは次の通り。

  • 福間→博多(JR鹿児島本線)
  • 博多→天神(福岡市営地下鉄)
  • 西鉄福岡(天神)→二日市(西鉄大牟田線)→大宰府(西鉄太宰府線)

西鉄電車に乗るのも久しぶりでした。太宰府線は初体験。花祭窯の最寄り駅・福間から到着まで、1時間半ほど。途中乗り換えは3回ありますが、いずれもスムーズでした。車内もさほど混まず、ちょうどよい感じの電車旅。

電車で大宰府旅-天満宮と九州国立博物館を満喫。

西鉄太宰府駅

太宰府天満宮の入り口には「合格おめでとうございます」の立て看板が。学業の神様・菅原道真公にあやかろうと、お正月からこちら、たくさんの受験生がお参りに来ていたことでしょう。大学受験の合否もおおよそ明らかになるこの季節に、お礼参りにいらっしゃる方々へのご挨拶かと思いますが、その大胆な看板に思わず笑み。

電車で大宰府旅-天満宮と九州国立博物館を満喫。

朝からの雨も上がり、幸いそれほど人も多くはなかったので、参拝の列に並んでお参りしてきました。大宰府といえば「梅」ですが、ほぼ散ってしまったあとで、少し早咲きの桜が迎えてくれました。

電車で大宰府旅-天満宮と九州国立博物館を満喫。

最後は、梅が枝餅のお店「笠の家」の喫茶室で、温かいコーヒーと梅が枝餅をいただいてほっこり。人気の「奥の茶房かさの家」は満席でしたので、お向かいにある「笠乃家」さんで、雨上がりの坪庭を眺めつつゆっくりしました。

電車で大宰府旅-天満宮と九州国立博物館を満喫。

そういえば若い頃は一人でぶらぶら電車旅をしていました。ここ20年ほどは、一人旅といえば仕事の出張ぐらい(笑)。今回はお友だちからの贈り物で、思いがけず贅沢な一日となりました♪長くなりましたので「最澄と天台宗のすべて」レポートは、また次回。

読書『博物館の世界』(誠文堂新光社)栗原祐司著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『博物館の世界』(誠文堂新光社)栗原祐司著

正式なタイトルは『教養として知っておきたい 博物館の世界』です。でも「教養として知っておきたい」は要らないかなぁ…と思いつつ。「教養」はこのところ出版の流行り文句のひとつですね。個人的には、一般的に教養知識として知っておくべき内容だとは思いませんでしたが、博物館業務に関連したところにいる人たち、そういう仕事につきたいと思っている人たち、博物館や美術館が大好きな人たちに、おススメしたい本です。

さておき、わたしにとっては面白い本でした。著者は京都国立博物館の副館長でいらして、文化庁出身者。そのうえ「博物館オタク」を自任しておられますから、それはもう、高度に専門的な視点をお持ちですし、いわば現場を知るプロ中のプロ。国内外1万館以上に実際に足を運んでおられるというのですから、フィールドワークの量も半端ではありません。そんな方の書くものですから、面白くないはずがありません。

学芸業務の末端では知りえない政治的な動きも含め、日本の文化行政がどのように動いてきたのかを垣間見ることもできました。政府の方針ひとつで文化芸術の先進国にも後進国にもなりうることがわかります。特にあらためて考えさせられたのが、文化財の所有と課税制度と保護とのいろいろ。わたしが学芸員資格を取得してから10年近くが経ちますが、当時京都で実習を受けていたときに、指導してくださる先生方がことごとくその問題点・難しさを語っておられたことを思い出しました。

巻末の第6章には「厳選!ニッポンの行くべき博物館20」が紹介されていますが、その視点もまたユニークです。巷にある博物館ガイドや美術館を紹介するムック本などではなかなかお目にかかれない顔ぶれがずらり。わたしが訪ねたいと思ったのは、角川武蔵野ミュージアム、福井県年縞博物館、ボーダレス・アート・ミュージアムNO-MA、河井寛次郎記念館、南阿蘇ルナ天文台。ルナ天文台は同じ九州内ですので、さっそく旅行計画を立てたいと思います。

『博物館の世界』(誠文堂新光社)栗原祐司著