「我々はどこから来たか?我々とは何か?我々はどこへ行くのか?」

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「我々はどこから来たか?我々とは何か?我々はどこへ行くのか?」

ゴーギャンの絵画のタイトルの邦題として有名なこのフレーズ。言い回し(日本語訳)は少しづつ異なることがありますが、ここでは集英社から出ている『ART GALLERY 現代世界の美術 4 ゴーギャン』に掲載のタイトルを使っています。1897年死を決意したゴーギャンが描いた大作だと言われています。久しぶりに画集を引っ張り出して見ています。

きっかけは数日前に花祭窯に遊びにいらっしゃったお客さま。建築・都市・デザイン専門の研究者でおられる氏は、ご近所の登録有形文化財・藍の家を文化財として申請する際の調査に関わった方であり、このたび建築120年を迎える藍の家の記念行事に講演を頼まれたとのことで、津屋崎千軒内を踏査しておられたのでした。そうして立ち寄った花祭窯が、その大きな一歩になったと喜んでくださいました。

津屋崎千軒の街並み・建築物を再評価するにあたって、その氏が使ったのが、この「我々はどこから来たか?我々とは何か?我々はどこへ行くのか?」。そのような心境で仮説を立て、歴史を紐解いていきたいとのこと。ここ福津・津屋崎には、地域の歴史を研究する地元の方々がたくさんおられ、勉強会も盛んで、すでにいろいろな形でまとめられてもいます。ですが「建築・都市・デザイン」という視点で見つめることで、また面白い考察が期待できるのは間違いありません。

今からとても楽しみな「藍の家120年記念イベント」日程は、下記の通り。歴史や街並みに興味のある方は、ぜひチェックしてみてくださいね。


1)藍の家120歳を祝って 2022年3月19日午後1時~「古くて新しい、藍の家再発見!」山田由香里氏(長崎総合科学大学工学部教授)

2)特別記念講演会 2022年4月23日(土)午後2時~「私たちはどこから来て、今どこにいて、これからどこへ行くのか」藤原惠洋氏(九州大学名誉教授)

詳細お問い合せは、藍の家(電話0940-52-0605)へ。

2021年度学芸員研修「美術館 de やさしい日本語」勉強してまいりました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

2021年度学芸員研修「美術館 de やさしい日本語」勉強してまいりました。

いつもたいへんお世話になっている博物館学芸員技術研修会。なかでも個人的に今年度一番楽しみにしていたカリキュラムが開催されました。コロナ禍で延び延びになっていましたが、難しい状況のなか、Zoomではなくリアル開催を決定してくださった事務局の九州産業大学緒方先生に心より感謝いたします。

久しぶりのリアル研修会は、休館日の福岡市美術館で。丸一日の研修会は、ふだん家でマイペースで仕事をしている我が身には長すぎるか!?と思いきや、一瞬も目を離せない内容で、あっという間の7時間でした。

「文化芸術事業における多文化共生・多言語アクセシビリティを考える」。今どきの言い方をするとこんな風になりますが、要は、美術館に来た人たちにいかに楽しんでいただくか。そのためのツールのひとつとしての「やさしい日本語」です。「やさしい日本語」は、在留外国人の方々への配慮として近年広がってきています。わたしは常日頃ラジオでLOVE FMを聴いているのですが、そのなかに「やさしい日本語」のコーナーがあります。実のところ日本語を母国語とするわたしたちにとっても「やさしい」ものになります。

講師をしてくださったのは、国内では最も取り組みの進む東京都で事業をけん引しておられる生活文化局都民生活部職員の村田陽次さんと、多文化共生プロジェクトに取り組みたくさんの実践事例を積み上げておられる多摩六都科学館研究・交流グループリーダーの高尾戸美さん。

以下、学び備忘。


  •  東京都では芸術文化施設における「やさしい日本語」への取り組みが進んでいる。
  •  文化事業における取り組みが重視されているのは、地域でリーダーシップをとる施設(都の場合は東京都美術館)の存在が大きい。
  •  文化事業と多文化共生(多言語アクセシビリティ)の目指すものは親和性が高い。
  •  正解はそれぞれ。まずやってみる。
  •  トライ・エラー・フィードバックの繰り返しが「やさしい日本語」の取り組みを進め・広げる推進力になる。
  •  「覚悟」を持って取り組む&一人でも多くの理解者を巻き込んでいくことが大切。
  •  「やさしい日本語」は方法のひとつ。
  •  根っこにあるのは「社会的包摂」の理念。
  •  言語以外のコミュニケーションの役割。図説・ピクトグラムやボディランゲージなど、いろいろな方法がある。
  •  いずれも根底にやさしい気持ちと「伝えたい」という熱意があってこそ。
  •  対象者の反応に応じて修正していく継続性が要。
  •  作品解説を「やさしい日本語」で作成する過程をとおして、言葉を選ぶことはその言葉の受け取り手をイメージして心を配ることだと理解。難しいながらも楽しい作業。
  •  自分が「やさしい日本語」だろうと考えているものと、ガイドラインの評価とでは、かなり食い違う恐れがある。
  •  だからこそ、チェッカーの存在は重要。
  •  専門用語は専門用語(固有名詞)として残すこと、見て分かるものは、そのイメージを表す言葉として理解してもらうことなど、方法は単純に「やさしい言葉遣いにする」だけではない。
  •  「やさしい日本語」による内容と目的を明示することによって、外国人向け、子ども向けというように対象を限定しなくても、それを必要とする人々が美術鑑賞に興味を持つきっかけを提供できる。

これはひとつでも多く実践していくことでしか、その技術を習得する道はありません。この講座をきっかけに、「やさしい日本語」での鑑賞ワークショップの可能性が見えてきました。

読書『美術展ぴあ2022』(ぴあMOOK)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『美術展ぴあ2022』(ぴあMOOK)

今年もスタートして既に2月半ばということで、少々出遅れ感はありますが、2022年の美術展チェック。毎年末、翌年の美術展の予定や見所を紹介する雑誌がいくつも発行されていますが、ここ数年は『日経おとなのOFF』から出る美術展本を手に取っていました。先日久しぶりにゆっくり歩いた本屋さんで、今年はまだチェックしていなかったことを思い出し、数冊を比較検討。今回は「ぴあMOOK」版をゲットしました。

ぴあMOOK版の何が気に入ったかというと、誌面の紙質です(笑)。「そこ!?」と言われそうですが、全ページカラーで美術作品の写真がいくつも載っているとなると、わたしにとって「紙質」はけっこう大切な要素。

それではさっそく『美術展ぴあ2022』から、わたしが個人的に「今年ぜひ観に行きたい!(足を運べるかどうかは別として)」と思っている美術展5つをご紹介。


1.フランソワ・ポンポン展

磁器彫刻家・藤吉憲典と「動物彫刻」という共通点があるポンポンの展覧会。よくぞ日本で開催されたと思います。既に二か所での展覧会が終了しており、残るチャンスは、千葉の佐倉市立美術館か山梨県立美術館。

2.特別展「ポンペイ」

ポンペイに行ってみたい!です。でもいつ行けるかわかりませんので、まずはポンペイ遺跡の至宝の数々を見ることのできる機会はありがたいです。なかでも楽しみなのはモザイクとカメオ・ガラス。幸い九州国立博物館に来てくれますので、足を運べそうです。

3.スコットランド国立美術館 THE GREATS 美の巨人たち

英国エディンバラにあるスコットランド国立美術館からマスターピースの数々が来日。秋に北九州市立美術館に巡回予定なので、これはぜひ足を運びたい。そして次回渡英の際は、エディンバラに足を延ばすことが出来たらいいなぁ、と。

4.日本画オールスター

足立美術館は、特別展に関わらず足を運びたい場所のひとつ。庭園散策と美術鑑賞だけを目的にゆっくり訪問したいところです。至福の旅行計画を立てたいですね。

5.森村泰昌:ワタシの迷宮劇場

京都市京セラ美術館の開館1周年記念展です。京セラ美術館もまた、特別展に関わらず足を運びたい場所のひとつ。わたしにとって森村泰昌氏の作品は「これぞ現代アート」です。面白さがあり、美しさもあり、そしてちょっぴりもの悲しさもあり。


このほかに、展覧会(特別展)に関わらず足を運びたいなぁと思っているのは、この2月にオープンした大阪中之島美術館。大阪に住んでいたころに大好きだった中之島界隈。レトロな建物の街並みが素敵なのはもちろん、図書館や東洋陶磁美術館も嬉しく。そこへまたまた素晴らしいスポットが誕生とあり、訪問するのがとっても楽しみです。大阪といえば、あべのハルカスの美術館にも行きたいです。

こうして「おススメ」していながら、振り返ってみたら、昨年はほとんど「展覧会」を観に行けていませんでした。今年はゆっくりじっくり観覧する時間をとりたいと思います。

以下は、どれにしようか物色した美術展ガイド3種。

ひょんなきっかけで「自分の好きなもの」に気づく。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ひょんなきっかけで「自分の好きなもの」に気づく。

藤吉憲典の器や作品を扱ってくださるギャラリーさんは、皆さん「もの」に対する己の審美眼と価値観をしっかりとお持ちで、お付き合いのなかでいつも学ぶ機会をいただいています。オーナーさんの嗜好や考え方は「わたし(わたしの価値観)は、こんなふうですよ」と、お店のありようや展示ににじみ出ます。それらに対して、自分はちゃんと「わたしはこんなふうです」を提示できているかしらと、問われているような気がします。

先日のこと、岡山のギャラリー栂さんが、ご自身が集めて来られたアンティークを展示するという企画展をなさっていました。フェイスブックを通じてその様子を拝見していましたが、そのなかでひとつのアクセサリーが目に留まってしまいました。

思わず速攻でお問い合せしたところ、どうやらアンティークとは言うものの、それほど古くなく、また思いがけなくお安い値段をつけておられることが判明。写真一枚の印象で買い物をすることはあり得ないわたしですが、即決で譲っていただくことに。それが、上の写真左側のブローチです。ふだんブローチなどつけることはまずありませんし、今までの人生のなかで自分で購入したことも記憶にありませんから、とても珍しいことでした。

手元に届いて実物をよく見ると、なぜ価格が安かったのかがわかりました。それがわかったうえでも、とにかく可愛くて嬉しくてウキウキです。そして、じーっと眺めるうちに、自分が惹かれた理由がちょっとづつ見えてきました。

まず、細工の楽しさ。そして、色。そういえば、同じ色のアクセサリーを一つ持っていたと思い出し、引っ張り出してきたのが上の写真右側のネックレス。ターコイズブルーです。このネックレスも、ひとめぼれで買ったのだったと記憶がよみがえってくると、二つのアクセサリーの共通点=わたしの好きなものが見えてきました。

ふだんほとんどアクセサリーをつけませんが、せっかくだから、たまにはつけないともったいないな、と思いました。好きなものを身に着けることは、「わたしはこんなふうです」を提示することにつながりますね。

2021年度学芸員研修「博物館リンクワーカー人材養成講座」第6回。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

2021年度学芸員研修「博物館リンクワーカー人材養成講座」第6回。

2021年度学芸員研修の6回連続講座の最終回でした。第1回目からの報告は下記の通り。

最終回は、福岡市美術館から「アート活動で高齢者と美術館をつなぐ」と題した発表があり、その後グループに分かれての意見交換。多様な立場の皆さんのお話を伺うことで、気づかされ、励まされました。

以下備忘。


  • 例えば「梅と桜」のように、わかりやすく普遍的なテーマ設定ができれば、いろいろな作品が鑑賞法(回想法を含む)の題材となりえる。
  • 肝はテーマ設定。「どの資料を使うか」よりも「何をテーマとするか」。
  • ギャラリートーク(解説・対話型など)→ブレイクタイム(お茶・おしゃべり)→簡単な制作→制作物を自分に届ける。
  • 制作物を後日(1日後、1週間後、1か月後、1年後など)自分に届ける=今やっていることを未来(の楽しみ)につなげる。
  • どこでも美術館=アウトリーチ。
  • 子ども(学校)向けだけでなく、高齢者(施設)向け、そのほかすべての「美術館に来にくい、来れない人」へ。
  • レプリカ、持ち出し用の(持ち出し可能な)ほんもの。
  • 認知症対応マナー研修。
  • 美術館・博物館→社会教育施設→生涯学習拠点。
  • 文化施設=いかにして社会的に頼られる存在になれるか、その使命。
  • 実物(ほんもの)+オンライン。
  • そのプログラムは、自分が参加して楽しいと思えるプログラムか。自分が作ったプログラムに、将来的に自分が参加することを想定して考える。

アートエデュケーターとしての取り組みに今後取り入れていきたいことが、具体的たくさん出てきた全6回の研修でした。すぐにできること、長期的に周りに働きかけるべきこと、来年度以降に取り入れていけるもの。九州産業大学の緒方先生が中心となって開催してくださる学芸員の研修事業は、学究的である以上に実践的であることが、毎回特徴的です。今年もとても勉強になりました。ありがとうございました!

観てきました:カメリアステージ図書館で『usao展』。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

観てきました:カメリアステージ図書館で『usao展』

つい先日、同じカメリアステージの歴史資料館で企画展『埴輪から見た津屋崎古墳群』を見てきたばかりでした。今回も、図書館に本を借りに来ての「ついで鑑賞」^^

usaoさん、存じませんでした。図書館エリアでの告知展示が可愛らしかったのと、多目的室を使ったスペースの雰囲気がとっても良かったので、引っ張られてじっくり観覧。イラスト+ことばで、漫画というか絵日記というか、を表現手段とする作家さんのようです。「夢はたくさんの人を幸せにすること」とありました。

正直なところを言えば、この手の緩い絵は、あまり好みではありません。が、図書館とのタイアップということで、その意味がしっかりと生きた素晴らしい展示になっていて、思わずしっかり見ました(読みました)。展示を担当した方の、作家さんと作品に対する愛情と敬意、一人でも多くの人に見に来て欲しいという気持ちが伝わってきました。

図書館での展示だからこそ、のひとつが、これ。

カメリアステージ図書館で『usao展』。

展示資料に関連する図書を一緒に紹介するというのは、オーソドックスな手法ではありながら、展示の仕方と本の選び方で印象が大きく変わるものでもあります。一つ一つじっくり読みたくなる展示になっていました。

カメリアステージ図書館での『usao展』は、12月26日(日)まで(※火曜休館)。お近くの方、図書館にお出かけの方は、ぜひ「ついで観覧」してみてくださいね♪

読書『ミュージアムグッズのチカラ』(国書刊行会)大澤夏美著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『ミュージアムグッズのチカラ』(国書刊行会)大澤夏美著

あちらこちらの美術館・博物館で、ミュージアムショップがどんどん魅力的になっています。正直なところ、わたしはミュージアムグッズをたくさん購入する方ではありませんが、展覧会や常設展示を見たあとに、ついつい立ち寄る場所でもあります。上の写真は、福岡市博物館のミュージアムショップで手に入れた絵葉書。

本書には、グッズの商品開発に関わる学芸員さんや研究員さんデザイナーさんなどへのインタビューが載っていて、そこが一番の読みどころだと思いました。どのような思い・使命感をもって取り組んでおられるのか、並々ならぬ熱量を感じました。本書を読み終わったとき、自分のなかでのミュージアムグッズの位置付けが大きく変わっていました。

ミュージアムショップはミュージアムの入り口であり出口である、ということが、本質的に理解できました。有料の展覧会であっても、ミュージアムショップに入るには入場料はふつう要りません。そういう意味では誰でも入りやすく、敷居の低い入り口です。そして展覧会を観覧した後に、その余韻を持ち帰るひとつの方法としてグッズが並んでいる場所ですから、ある意味展覧会の一番最後の展示スペースであり、出口。

「はじめに」にある一文が、とても響きました。いわく「ミュージアムショップはただの売店ではないですし、ミュージアムグッズはただの雑貨ではありません。博物館での思い出を持ち帰るための大切なツールであり、博物館の社会教育施設としての使命を伝える手段でもあります。」(『ミュージアムグッズのチカラ』大澤夏美)。

とくに「社会教育施設としての使命を伝える手段」であるというところに、ハッとしました。わたしはアートエデュケーターとして「美術の教育普及」を仕事にしていますが、その立場・役割の目線でミュージアムグッズを見たことが、これまでありませんでした。でも、思い返してみれば、たしかに教育普及として活用できる側面がものすごくあることは明らか。「アウトリーチ」の究極の形ともいえるかもしれません。ミュージアムグッズを見る目が、がらりと変わりました。

各館が力を込めた魅力的なミュージアムグッズが、写真と解説入りでたくさん載っています。「このグッズが欲しいからこの美術館に行ってみる」もありですね。それこそ美術館への入り口そのものです。

Sladmore Galleryの企画展 Into the Wildに藤吉憲典が参加しています。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

Sladmore Galleryの企画展 Into the Wildに藤吉憲典が参加しています。

藤吉憲典の2021年の展覧会を締めくくるのは、ロンドンのSladmore ContemporaryとSladmore Galleryの2か所で開催されている、クリスマス・ショウです。

Sladmore Gallery では「Into the Wild」のテーマで、近代彫刻の名作の数々とともに、コンテンポラリーの作家作品が並んでいます。時間軸を超えて同じ空間で作品をお客さまに紹介できるのは、Sladmore Galleryだからこそできること。同じ場所で真価を問われるのは、作家にとってチャレンジングで嬉しいことです。

現地に一緒に立つことができないのはほんとうに残念ですが、ロンドンもまたコロナ禍の厳しい状況のなか、いくつもの展覧会参加機会をいただき、作品だけでも送り出すことができたことに、心より感謝しています。2022年冬は、2019年以来の藤吉憲典ソロエキシビジョン(個展)をSladmore Contemporaryで予定しています。来年の今頃は、ロンドンの会場に立っていることをイメージしつつ。

「知識要らずの美術鑑賞」@郷育カレッジ講座、開催しました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「知識要らずの美術鑑賞」@郷育カレッジ講座、開催しました。

福津市民のための生涯学習システム「郷育カレッジ」で、「知識要らずの美術鑑賞」講座を開催してまいりました。

この美術鑑賞講座、最初に郷育カレッジのプログラムに入ったのは2年前でしたが、天候不良やコロナ禍で、中止が続いておりました。3年目にしてようやく初開催。当初は九州産業大学美術館を訪問しての講座を予定していましたが、コロナ禍のため研修室での開催となりました。上の写真はイメージ^^

方法として用いたのは、ビジュアルシンキングという呼ばれ方もする対話型鑑賞法。昨今では一般的な鑑賞法になりつつあります。「対話型」ではありますが、今回はコロナ対策として「参加者同士の対話」の形はとらず、「絵画と私との対話」というアプローチで進めました。

美術館に行くことができませんでしたので、研修室でスライドによる絵画鑑賞を通して、「見る」の確認と実践をしました。そのあと、研修室を出たホールの廊下に飾ってある、実物の絵画(おそらく、絵を描くことを趣味とする地元の方が描いて、市に寄贈したもの)を見ながら、絵画鑑賞の肝をおさらい。座学とワーク(記述作業)との組み合わせで、深めていくことができました。

以下、受講者の方々からのご感想抜粋&まとめ。


  • もっとお話を聞きたいと思いました。美術館での開催を希望します。
  • 絵画を見るポイントがわかったような気がする。
  • 自分の見た目での解釈が重要(近代は主流)であることが、勇気づけられた。
  • 美術展の見方のポイントが良かった。
  • 今後、美術館での見方が変わると思いました。
  • 次回美術展を見に行くときは、今日のお話を覚えておいて、自分の目(で見ること)を大切に、鑑賞を楽しみたいと思います。
  • わかりやすかった。次回はぜひ美術館的なところで講習があったら嬉しい。
  • 絵の鑑賞は、自分自身の目がスタートになるのだと学んだ。
  • コロナで美術館に行けない日が続いて寂しかったので、嬉しかった。美術館で講座を受けて、ディスカッションしたいと思った。
  • もう一度参加したいと思いました。
  • わたしは好きか嫌いで見ているので、これでいいのだとホッとしました。
  • 「見る」ことにいろいろな考え方があることがわかりました。
  • 今までいかにボーっと見ていたかに気づいた。

(2021年11月24日「知識要らずの美術鑑賞」@郷育カレッジ 参加者アンケートより)


スライドでの絵画がやや見難かったにもかかわらず、皆さん、熱心にワークに取り組んでくださり、静かながら熱気を感じる90分でした。また、あとから「実物の絵画」を前にしておさらいをしたことで、コピーやスライドよりも実物の画が持つ力を感じていただけたように思います。

受講者の皆さんのお話を伺って、やはりこの2年間、皆さん「美術館に行く」「絵を見る」ということから少し離れざるを得ず寂しかったのだなぁ、ということをあらためて思いました。今回の講座をきっかけに、また美術館訪問への意欲がわいてきた方々も多かったようで、とても嬉しく思いました。

ふじゆりのアートエデュケーターとしての活動「Meet Me at Art」の美術教育講座は、市民向け、学校向け(先生向け・生徒向け)など、柔軟なプログラム構築が可能です。興味のある方はお気軽にご相談ください。

「古伊万里の変遷と未来 古典からアートへ 磁器作家 藤吉憲典の挑戦」無事会期終了いたしました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「古伊万里の変遷と未来 古典からアートへ 磁器作家 藤吉憲典の挑戦」@福岡アジア美術館、無事会期終了いたしました。

福岡アジア美術館での展覧会は、無事会期が終了し、気がつけばもう1週間が経っています。おかげさまで、作家ともども学ぶところの多い展覧会となりました。これらを今後生かすべく展覧会のまとめなどをしていたら、あっという間に時間が過ぎていました。展覧会の開催は、本番(会期中)だけでなく、事前の準備と後の総括が重要だなぁ、としみじみ。

「アジ美で展覧会を自主開催しよう!」と思いついて1年半ほどでしょうか。途中、なんでこんな大変なこと思いついちゃったかなぁと自問することもありましたが(笑)、今は、思いついちゃった自分に「よくぞ思いついた!」と言ってあげたい気持ちです。もちろん反省点も多々ありつつではありますが。

作家にとっても「この展覧会があったからこそ生まれた」と言えるものが、5年後10年後、あるいはそれほど時間を待たずに形になる予感がしています。すでにアイデアベースで、ワクワクするものがちらほら。

そんな展覧会の顛末。これから、記録と分析をこちらのブログにも掲載してまいります。ちゃんと残しておかなければ、次の機会に生かせません…って、次があるのか!?は未定ですが。たまたま手に取った『婦人画報』12月号に、草笛光子さんと天海祐希さんの対談があって、そのなかで草笛さんが「今までで一番お金をつぎ込んだのは舞台」とおっしゃっているのを読み、規模は足元にも及びませんが、勝手に今回のチャレンジを肯定してもらえたような気持になっています。

ともあれまずは、今回の展覧会開催にあたり、ご助力くださった皆様に、心より感謝申し上げます。そして、会場に足を運んでくださった方々にも。ほんとうにありがとうございました。