九州農政局による、地域の和食文化ネットワーク九州。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

九州農政局による、地域の和食文化ネットワーク九州。

福岡県商工会連合会から、九州農政局が「地域の和食文化ネットワーク九州」を発足し、「和食文化」に関わる個人・団体の会員を募集しているとのご案内をいただきました。花祭窯はもともと和食器からスタートしていますから、和食の料理人さんとのつながりも多く、がっつり「和食文化」に関わっています。

最近、九州農政局が攻めている!という噂をよく目にしていました。近頃の「ウワサ」は耳にするものではなく、目にするものが多いですね。その一つが、農水省官僚による動画の発信、BUZZ MAFF(タガヤセキュウシュウ)。農水省の公式ユーチューブチャンネルです。九州の農産物を盛り上げていこうという取り組み趣旨の素晴らしさはもちろん、「農水省の官僚」が一気に身近に感じられてくる動画の数々がアップされています。

このユーチューブで九州農政局の好感度が上がりつつあったところに届いたご案内でしたので、「地域の和食文化ネットワーク九州」に参加してみることにしました。登録完了すると、メールマガジンで各種情報が送られてきます。文化庁による和食関連のシンポジウム情報一般社団法人和食文化国民会議の活動報告、そしてBUZZ MAFF(タガヤセキュウシュウ)の最新動画情報などが載っています。

内容を拝見しながら、自分たちの仕事や活動に生かしていけるといいな、と思っています。九州で和食文化に関わる仕事をなさっている方々と出会う機会にもつながるかもしれませんね。興味のある方はぜひ、九州農政局のサイトをご覧になってみてください。

「一人肥前磁器博覧会(仮タイトル)」プロジェクトスタート。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「一人肥前磁器博覧会(仮タイトル)」プロジェクトスタート。

「博覧会」をWeblio辞書で検索したら「産業・貿易・学術・技芸などの振興・促進のために、種々の産物・文化財などを集めて展示し、広く一般に公開する催し。」と出ました。肥前磁器の歴史と文化を、一人の作り手の仕事を通して紹介していこうというのが、今回のプロジェクトの趣旨です。結果として、肥前磁器への関心が高まるといいな、と。

藤吉憲典が肥前磁器作家として独立し花祭窯を開窯して、来年は25年目に入ります。創業から四半世紀を前に、ここからさらに肥前磁器を深め、作家としてジャンプしていくための「おさらい」として、このプロジェクトに取り組むことにしました。藤吉憲典のミッション「伝統の継承を、生きた個性で形にする」ためにも、ガッツリ取り組むべき主題であり、彼にしかできない展覧会になります。

2020年10月、自然に出てきたアイデアでした。このアイデアを現実の展覧会にしていくために、具体案と概要を書き出しまとめてきました。年が明けて、2021年度の福岡アジア美術館の貸し館でギャラリーを1週間押さえることができたので、いよいよ動き出します。会期は11月、あと約半年で準備を進めて行くことになります。

藤吉憲典の展覧会(個展・テーマ展)は通常、主催してくださるコマーシャルギャラリーさんによる、販売を前提とした展示であり、ギャラリーのオーナーさんがすべてを取り仕切ってくださいます。今回のプロジェクトは自分たち自身が主催し、非営利(現地販売無し)で行います。趣旨も方法もまったく異なり、わたしたちにとっては、大きなチャレンジです。

これから、進捗状況なども時々こちらでご紹介していきたいと思います。

念願の、新しい急須が、我が家の食卓にやってきました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

念願の、新しい急須が、我が家の食卓にやってきました。

仕事柄、食器だけは贅沢に使っている藤吉家ではありますが、どうしても「お客様への納品用が先、我が家用は後回し」になってしまう一面もあります。写真は、やっとこさ出来上がった、我が家用の急須。

緑茶、ほうじ茶、紅茶、中国茶、お抹茶…お茶をよく飲みます。特に食事の前後は緑茶かほうじ茶なので、「急須」は朝晩出番が多い器のひとつ。長年使っている急須がありましたが、ダンナが急須を試しに作り始めたころのもので、お世辞にも使いやすいとは言えないものでした。使うたびに「次はここをこうして欲しい」と要望を出したくなる急須(笑)。

そのおかげで(!?)今回の急須は、合格点です!

  • 茶漉しがちゃんと機能していること
  • 注ぎ口の切れが良いこと
  • ハンドルが持ちやすいこと
  • 蓋に不安が無いこと
  • 持った時に重く感じないこと

見た目に美しいのは、藤吉憲典の磁器作品には当然のこと。それに加えて、上に並べたのが、急須に求めた要素です。急須の機能として、当たり前の内容ではあります。が、実はこれらがすべて満たされている急須って、それほど多くないんですね。かたちがきれいだと思って手に取ると、ずっしりと重かったり…。

手に持って使うのが大前提ですから、まず持ちやすいかどうか。お茶を注いだ時の切れの良さや、茶漉しの詰まりにくさなど。そして、見落としがちですが蓋のつくりの良さ。蓋を取り外しやすいかどうか、つまみの大きさや形も、実は重要な要素。急須づくりには、細かい心配りと、その心配りを形にする技術が必要です。

新しい急須のおかげで「お茶を淹れる」が、いっそう楽しい今日この頃です。わたしはこういうときに道具の持つ力を感じます。道具ひとつで、同じ動作・同じ時間が楽しくなる。日頃よく扱うもの、身近にあるものこそ、好いものを選びたいなぁ、と思います。

三月スタート、ちょっぴりホッ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

三月スタート、ちょっぴりホッ。

三月三日桃の節句。先日、ご近所の「藍の家」のお雛様をご紹介したところでしたが、花祭窯にも毎年恒例のお雛様が登場しています。そういえば去年の今頃は、学校が突然の休校になり、我が家の息子も長ーい春休みを謳歌していたのでした。

さて花祭窯のお雛様。あいにく桃の花は身近にありませんでしたが、椿がまだきれいでしたので、牡丹唐草の花器を屏風に見立てて配置してみました。干支の丑(牛)も一緒に。大きな雛飾りでは、たくさんのミニチュアの道具類も魅力のひとつで、道具を運ぶ牛車や牛が含まれているものもあります。いつもはお内裏様とお雛様だけの我が家のお雛様も、牛が入って、ちょっと豪華な感じになりました。

雛人形 藤吉憲典

三月になってわたしがちょっぴりホッとできるか否かは、それまでに決算と確定申告を無事完了できたかどうかにかかります。確定申告の期間は例年2月15日から3月15日あたりですが、三月を「ホッ」と迎えるために、2月末までに申告を済ませることを毎年目標に掲げています。目標に掲げる、なんて書くと、ずいぶんたいそうな感じがしますね(笑)…花祭窯おかみの大切な仕事のひとつです。今年も無事終わり、ホッとして、お雛様。春を迎える準備を一つ一つ楽しむ季節です。

雛人形 藤吉憲典

恒例行事が嬉しい―今年もまたお雛様の季節。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

恒例行事が嬉しい―今年もまたお雛様の季節。

花祭窯のあるここ津屋崎千軒では、毎年三月になると、登録有形文化財の古民家・藍の家でのお雛様展示が恒例行事です。このブログでも、毎年のようにご紹介しています。

今年もそろそろかなと藍の家を覗いてみたら、まさに展示準備の真っ最中!

藍の家雛祭り

上の写真は、今年の展示から初登場となるお雛様。毎年、ご近所から古いお雛様が寄贈されていますが、そのなかでもかなり古いものになりそうです。藍の家を運営しているボランティアスタッフの皆さんが忙しく手を動かしておられるなかお邪魔し、「道具が可愛い!」と大騒ぎして写真を撮らせていただきました。

お人形もお道具も古いものですから、丁寧に扱わないと破損につながります。ひとつひとつ展示していくのも大変そうですが、片付けの方が数倍も大変なのよ!と。そうですよね。それでも見に来てくださる方があるからと、毎年展示してくださるスタッフの皆さん。わたしも毎年楽しみにしている者の一人。心より感謝しています。

以下は、2020年-2018年の藍の家のお雛様レポート。

読書『眺める禅』(小学館)増野俊明 著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『眺める禅』(小学館)枡野俊明 著

週末、タイトルに『禅』のついた本を物色しておりました。そのなかで、最もわかりやすく読んだ(あるいは、眺めた)のが本書です。

著者の枡野俊明さんは、曹洞宗徳雄山建功寺のご住職であり、庭園デザイナー。本書は、庭園デザイナーとして著者が設計した禅庭のミニ写真集とでもいったところでしょうか。ただそこはさすがご住職、それぞれの写真に添えられたタイトルや文章が、禅のことば・教えを伝えています。

著者は「寝る前に30分、本書を開きませんか?」と誘います。静かに座って禅の庭を無心に眺めることで、就寝前に不安や雑念を払い、静かな気持ちで眠りにつくことができますよ、と。これが習慣化することで心の安寧が得られると説いています。

園芸療法的視点で考えても、実際に庭(禅庭に限らず)の自然を眺めることが心身に良い影響を与えるのは間違いありません。現代社会において、ふだんの生活のなかで就寝前に30分庭(自然)を眺めることができる環境にある人は、多くは無いかもしれないことを考えると、本書で提唱する「写真で禅庭を眺める」ことは、その代わりとして誰でもが取り組みやすい方法といえるかもしれません。

28か所の禅庭の写真が載っています。「禅の庭」とひとことに言っても、そのデザインは多種多様。気に入った庭の写真を眺めていたら、30分はあっという間に過ぎそうです。「30分瞑想しなさい」と言われたら難しそうですが、禅の庭を眺めることならば容易にできそうだと気づいたとき、著者であるご住職の、「現代生活を送るふつうの人たち」への心遣いを感じました。

コンパクトな写真集本です。願わくば、写真がもっと大きかったらよかったなぁと思いましたが、「就寝前に開く」という用途を考えたときに、このサイズになったのだだろうと合点。この本の考え方から派生して、好きな禅庭や庭園の写真を寝室に飾るという方法もありそうです。

肥前磁器の美:藤吉憲典の器「色絵磁器人形(いろえ じき にんぎょう)“お茶を飲む婦人”」

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

肥前磁器の美:藤吉憲典の器「色絵磁器人形(いろえ じき にんぎょう)“お茶を飲む婦人”」

磁器作家・藤吉憲典がつくる肥前磁器の美しさを伝えるシリーズ。「美しさ」には「用途の美」を含みます。使い勝手の良さも含めて「美しい」と言えるもの。そこにこそ、江戸時代から400年続く肥前磁器の価値があると思っています。

「肥前磁器(ひぜんじき)」という呼び方は、まだあまり一般的ではなく、「有田焼」とか「古伊万里」といった方が、イメージできると思います。肥前磁器とは、有田焼、伊万里、鍋島などと呼ばれる、北部九州地方(肥前地域)で作られてきた磁器の総称です。地域的には現在の佐賀県・長崎県あたり。

今回は「用途」からちょっと離れて、磁器人形をご紹介いたします。磁器人形(porcelain doll / figurine)というと、スペインのリヤドロや、ドイツのマイセンといったヨーロッパの磁器メーカーの名前が思い浮かぶ方も多いかもしれませんね。

それらヨーロッパ磁器のお手本となっていた江戸時代の肥前磁器にも、磁器人形を作る文化はありました。有名なところでは、柿右衛門窯の色絵磁器による人形。たとえばサントリー美術館には、1670年代~1690年代に作られた柿右衛門の手によるとされる色絵女人形があります。

下の写真は、藤吉憲典による色絵磁器人形「お茶を飲む婦人」。藤吉憲典の所属するロンドンのギャラリーでは、藤吉は「ceramicist(陶芸家)」と呼ばれたり「ceramic sculptor(磁器彫刻家)」と呼ばれたりしています。それはまさに、このようなポーセリンドール(porcelain doll)(フィギュリン figurineとも呼ばれます)を制作するから。磁器を素材とする彫刻家ということです。

色絵磁器人形 藤吉憲典
藤吉憲典の器「色絵磁器人形(いろえ じき にんぎょう)“お茶を飲む婦人”
藤吉憲典の器「色絵磁器人形(いろえ じき にんぎょう)“お茶を飲む婦人”

現代の肥前磁器の産地で、このように丁寧に美しい人形を作る技量を持った職人さんは、もうほとんどおられないかもしれません。「肥前磁器=食器」だけではないことを、形で残していくのも、藤吉憲典の現代肥前磁器作家としての大切な使命です。

花祭窯の二月(如月)の庭。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

花祭窯の二月(如月)の庭。

極寒だった1月が過ぎて、ちょっぴりホッとしています。2月に入ってから暖かい日が何日かあったため、いろいろな花が咲きはじめました。気持ちが華やぐ今日この頃です。

花祭窯の二月の庭水仙

水仙が咲きはじめました。

花祭窯の二月の庭水仙

こちらはお向かいの畑のスイセン。毎年この季節、気分を明るくしてくれる景色です。

花祭窯の二月の庭沈丁花

沈丁花(ジンチョウゲ)もそろそろ開きそうです。

花祭窯の二月の庭沈丁花

ひとつ咲いていました。咲くとすぐにわかる、香りの幸せです。

いちごの花

昨年末にお友だちからいただいて育てていたイチゴの苗に花。ひとつでもイチゴが収穫できることを祈りつつ。

花祭窯の二月の庭

こちらもいただいたパンジー。いただいた時点で花はひとつでしたが、数日後には二つめが咲きました。

花祭窯の二月の庭

先日お友だちからいただいた寒緋桜(かんひざくら)も元気です。

こうして写真を眺めていると、なんとも春っぽい景色です。ただ今週後半には天気予報に雪マークもあり、季節はまさに三寒四温。季節の変わり目、どなたさまも心と体に休息と栄養をとってご自愛なさってくださいね。

読書『「日本の伝統」の正体』(新潮文庫)藤井青銅 著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『「日本の伝統」の正体』(新潮文庫)藤井青銅 著

なんとも痛快な一冊を見つけました。あとがきに『「これが日本の伝統」に乗っかるのは、楽チンだ』と書いてある通り、実に皮肉に満ちていて、面白おかしく読みました。著者の肩書に「作家・脚本家・放送作家」とありますが、「放送作家」としての経験や視点が色濃く反映されているのでしょう。伝統とビジネス、伝統とメディアの関係性が、さらっと暴かれています。上手に持ち上げられ、作り上げられ、利用されている「伝統」を、目の前に突き付けてくれる本です。

とはいえ著者が『「伝統」そのものを否定しているわけではありません』というのは、読めばよくわかります。多様な「伝統の例」を斬ることを通して、読者自身に何が問題かを気づかせてくれます。深刻な問題提起というよりは、4コマ漫画的な批判精神とユーモアあふれる切り口。ズバッとやられます。

それぞれの事例の伝統度合いを「○○から○○年」というように数値化しているのが秀逸です。「土下座は謝罪なのか?」として『土下座が謝罪の意味を持ち始めて、約90年。国語辞典にそれが載り始めて、約50年。ドラマ「半沢直樹」の土下座から、約7年。』(『「日本の伝統」の正体』(新潮文庫)藤井青銅 著より)とあったのには笑いました。

あとがきに、本書の意図がしっかり述べられています。『「伝統」という看板を掲げてはいるけれど、その実態は「権益、権威の維持と保護」にすぎないケースもあります―ミもフタもない言い方ではありますが。』(『「日本の伝統」の正体』(新潮文庫)藤井青銅 著)の言葉に、大いにうなずきました。伝統工芸の世界「あるある」なのです(笑)

仕事柄わたしも、「伝統」「伝統文化」「伝統工芸」などなど「伝統」を含む言葉をよく使います。無意識に「この言葉を使っておけばとりあえずOK」になっていないか、気を付けなければならないと自省しました。「権威」「ブランド」「伝統」に頼るようになったらお終いですね。

寒緋桜(かんひざくら)が届いたら、一気に春っぽくなりました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

寒緋桜(かんひざくら)が届いたら、一気に春っぽくなりました。

お友だちが、寒緋桜の大きな枝を1本持ってきてくれました。旧正月の頃に咲きだす、早咲きの桜です。まあ立派!わたしの力量では1本そのままで生けることが難しかったので、いくつかに分けて甕に投げ込んでみました。「いくつかに分け」るのも、ハサミでは文字通り歯が立たずノコギリ出動。花とつぼみがたくさんついていましたので、落とさないように気を付けながらの花仕事でした。

花祭窯 寒緋桜

暦の上では春とはいえ、この日は風が冷たく、寒い寒いと騒ぎながらの外作業。大胆に投げ込んだだけでもなんとかなる(なっていないかもしれませんが^^;)のが、枝ものの力ですね。「さくら」の音の響きと、華やかな桃色で、玄関先が一気に春っぽくなりました。

花祭窯のある津屋崎周辺では、「光の道」で一躍有名になった宮地嶽神社で寒緋桜(その名も「開運桜」!)を見ることができます。