花祭窯の九月の庭。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

花祭窯の九月の庭。

9月も中旬になり、花祭窯の露地には彼岸花が咲きはじめました。例年この季節になると、スーッと茎が伸びてきて、つぼみが膨らんできます。ちょうどお彼岸に入る頃に咲き始めるので、偉いなぁ、といつも感心していました。今年は珍しく一週間ほど早いようです。

彼岸花

ヤブランの紫色は、緑のなかで目を引きます。

ヤブラン

ミズヒキソウも紅白で伸びてきました。可憐で可愛らしい雰囲気が、写真ではなかなか上手に撮れません。

ムラサキシキブは、昨年の台風から潮風で葉っぱが痛んでいましたが、復活してくれました。

紫式部

そして今回は番外的にちょうど頂きもののお花がありました。

夏の間は「緑」一辺倒だった花祭窯の露地ですが、九月に入って色数が増えてきた今日この頃です。

ふすまの貼り換えをしたら、白い面が美しく。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

ふすまの貼り換えをしたら、白い面が美しく。

夏の終わりに思い立って、ふすまの貼り換えをいたしました。もちろん、実際にやってくださったのは、ふすまやさんです。頼るべきはその道のプロですね。4枚のふすまを両面、二日で美しく仕上げてくださいました。

花祭窯の建物は、昭和元年に建てられたものを使わせていただいており、設えはできるだけ当時のままにと心がけています。建具も当時のものをできるだけ使っています。ふすまのサイズが部屋により様々だったり、現在の標準サイズとは異なっていたりします。今回請け負ってくださった職人さんによると、ふすま自体の内側のつくりも、昔ながらのつくりだったということでした。

今回、襖紙は無地に近いものを選びました。設置していただくと、淡いクリーム色に控えめな地文はありながら、ほぼ白い面が広々とした感じになりました。すっきりとなり、何も描かれていない、無の状態の美しさを楽しんでいたものの、しばらくすると、何か絵画的なものをプラスしたくなってきています。

季節的に、今はまだほとんど襖を開け放っていますが、これから先、襖をきっちりと占めたときに何か楽しい絵が現れると面白いだろうな、と。4枚のふすま両面で8面…どんどんイメージが膨らみます。襖絵を描かせた古の人々も、こんな気持ちだったのかしら、と思いつつ。

今すぐにどう、ということではありませんが、そのうちに「襖がこんな風になりました」とブログをしたためる日が来るかもしれません。

花が無いときは、葉っぱで。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

花が無いときは、葉っぱで。

真夏らしいお天気が続いています。朝から蝉の声、青い空青い海に、ぴかぴかの陽射し。花祭窯の小さな露地では、百合の花も終わり、力強い緑色に覆われてきています。ちょっと花でも活けておこうと思ったときに、パッととってこれる花が無い!という状態。

そんなときは、まず近所のお魚センターうみがめに足を運びます。でも、やはりこの猛暑続き故でしょうか、切り花があまり出ていません。活けたいと思える花がないならば、無理はせず、頭を切り替えます。そう、我が家の庭に緑はたっぷりあるのですから、それらを生けよう!ということで。

濃い緑に白が目を引く、斑入りの葉蘭がありましたので、葉っぱの大きさと斑の景色で3枚選んできました。

同じ「緑」でも、こちらはやわらかい黄緑色。茎の赤茶色とのコントラストがきれいです。花が無くても、葉っぱでOK。緑が室内にあることで空間が潤いますね。

7月25日は波折神社で夏越祭でした。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

7月25日は波折神社で夏越祭でした。

ここ津屋崎波折神社の夏越祭は、毎年7月に行われます。6月末に正月から半年の禊払いを行う神社も多いですが、ひと月遅れ。毎年楽しみな行事のひとつです。

今年も感染症対策の観点から、皆でぞろぞろと歩く「茅の輪くぐり」は出来ず、午後の時間帯に随時それぞれ出かけて輪くぐりをする方法となりました。出かけていくと氏子総代の方が輪のそばにいらして、「くぐり方」を指導してくださいます。輪に向かって左側、右側と8の字を描いてくぐります。

茅の輪くぐりが終わったら、境内にお参りして紅白のお饅頭をいただき、茅を数本頂いて帰ります。我が家の玄関内側に飾る輪っかを編むのは、ダンナの仕事。ともあれ今年も、無事家族皆が元気に茅の輪くぐりに参加できることへの感謝と、半年の反省を込めてのお参りができました。

波折神社の茅の輪と、霰天神社の厄除粽。

つい先日、思いがけず、お客さまから霰天神山の厄除粽と護符をいただきました。霰天神山は「火除天神山」ともいわれ、京都祇園祭の宵山には、火伏・雷除の護符「火乃要慎」が授与されるのだそうです。我が家は窯元で火を扱いますから、お客さまのお気持ちを、とてもありがたくいただいたところでした。

さっそく火乃要鎮の護符は窯のところに、厄除粽は波折さんの茅の輪と一緒に玄関内側にかけて柏手。良い日曜日となりました。

夏が来た。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

夏が来た。

写真は、昨日の空。梅雨が明けた途端に連日30度越え、青い空に入道雲の景色が広がっています。外ではもちろん、セミの大合唱。

子どもの頃から「天気図」を見るのが好きで、毎朝新聞の1面に載っている天気予報と天気図をチェックするのが習慣です。九州では例年梅雨明け前に、梅雨前線が太平洋側からの高気圧と日本海側の低気圧との間で押し合い、行ったり来たりします。その結果、太平洋高気圧の勢力が弱い間は鹿児島あたりで雨が降り、力加減が拮抗してくると熊本あたりに停滞して雨が降り、そこからじわじわと前線を押し上げて長崎佐賀福岡あたりに雨をもたらし、ついには梅雨前線を日本海から朝鮮半島方面へと追いやって梅雨明けする、という図式です。

この押し合いで「行ったり来たり」が長引くほど、大雨の心配が増えます。なので梅雨末期にはいつも、一日も早く前線が日本海側に抜けてしまうよう「太平洋高気圧、頑張れ!」と応援しているのでした。今年はこの「九州内での梅雨前線の押し合い」がさほど見られず、前線が東側(本州側)に移動するのが早かったように思います。天気図で見ると、下から上への動きではなく、左から右への動き。意外にあっさり梅雨明けするのかもしれないなぁ、と思っていましたら、北部九州梅雨明け宣言。

そして夏と言えば、百合の花。我が家の露地には、オニユリとカノコユリが咲きます。そして、植えた覚えはないもののどこからか飛んできたのであろう白い百合も。先陣を切って、まずオニユリが咲きました。オレンジ色に黒のビビッドカラーを目にすると元気が出ます。ヒョウ柄のような花弁の文様も秀逸。

オニユリ 染付唐草文一輪挿し 藤吉憲典

ご近所では百日紅(サルスベリ)も咲きはじめました。我が家の百日紅は例年晩夏なので、もうしばらく先になりそうですが。ともあれ夏の花の楽しみスタートです。

七月、山笠シーズン。津屋崎祇園山笠は来年夏まで延期になりました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

七月、山笠シーズン。津屋崎祇園山笠は来年夏まで延期になりました。

今日から七月。七月といえば山笠!ということで、花祭窯の土間の飾り棚には、毎年恒例山笠の飾り皿を出しました。残念ながら山笠は来年まで延期となりましたが、雰囲気だけでも楽しみたいものです。

昨年、津屋崎に越してきて以来初めての「山笠の無い夏」を経験しました。週末ごとに駆り出され、大汗を書きながら大人数の食事を作る「ごりょんさん仕事」が無い夏は、実に寂しいものでした。来年こそ!と楽しみにしていましたが、今年も延期。「密」を避けての山笠などイメージできないので、致し方ありませんね。2022年の夏には、遠慮なく山笠を盛り上げることができる世の中になっていますように。

津屋崎祇園山笠

津屋崎千軒内では「津屋崎千軒民俗館 藍の家」「津屋崎千軒なごみ」で、「津屋崎祇園山笠今昔展」がはじまっています。会期中7月19日までの週末(土・日)には、津屋崎千軒の散策を楽しめる「山笠スタンプラリー」も開催されます。スタンプラリー参加店舗のゲストハウスみんなの縁側・王丸屋には、ラムネなど冷たい飲料も売っていますので、熱中症対策をしながら、津屋崎千軒をお楽しみください。

NHK BSプレミアム『美の壺 File543 「青と白の粋 染付の器」』撮影協力しました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

NHK BSプレミアム『美の壺 File543 「青と白の粋 染付の器」』撮影協力しました。

ひと月ほど前に「たま~にメディア取材。」のタイトルでブログを書いていましたが、ようやく情報解禁となりました。NHK BSプレミアム『美の壺 File543 「青と白の粋 染付の器」』に、藤吉憲典がちょっぴり登場いたします。

テーマはずばり「染付の器」。三段構成(一の壺、二の壺、三の壺)の「三の壺」で「文様」をクローズアップすることになっているということで、そのなかで登場する予定です。時間にして5-6分と聞いています。撮影はほぼ一日半かかりましたが、それがどんなふうにまとまっているのかは、わかりません(笑)。ともあれ肥前磁器の魅力、染付の魅力が伝わるといいな、と思いつつ。


美の壺 File543 「青と白の粋 染付の器」

< BSプレミアム/BS4K>
本放送: 7月 2日(金)19:30~20:00
再放送: 7月10日(土) 6:45〜 7:15
再々放送:7月16日(金)12:30~13:00

<ワールドプレミアム>
国際放送:7月 3日(土)日本時間 3:30〜 4:00


ただひとつ気がかりは、我が家では映らないので、リアルタイムで放送が見れないということ(笑)。放送後に録画データを提供していただけるということでしたので、楽しみにしています。

お時間のある方、放送が映る方、ぜひご覧くださいませ。

あらためて文様について調べるきっかけ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

あらためて文様について調べるきっかけ。

肥前磁器、なかでも特に蕎麦猪口の文様の多様さ面白さに惹かれて『蕎麦猪口の文様小話』なる小冊子をつくり自費発刊したのは、2004年のことでした。こんなマニアックな小冊子、欲しいと言ってくれる人がいるのだろうかと思いながら、当時発行していたメールマガジン「蕎麦猪口蒐集」の読者の方々に喜んでいただけたら、と作ったのでした。

そんな、わたしにとってのライフワークのひとつでもある「文様」について、久しぶりにたくさん質問を受ける機会がありました。理解していること、覚えていること、きちんと説明できることがある一方で、「あれってどうだったかしら?」ということも少なからずあり、あらためて調べ直すきっかけとなりました。「他者に伝える」のは、自分にとって最高の学びになりますね。専門家としていい加減なことは言えませんので、ひとつひとつ資料にあたることになります。

資料を開けば「ああ、そうだった!」ということや「あれ、今まで気が付かなかった!」というものがどんどん出てきます。そういえば17年前もさまざまな資料にあたりました。やきものや肥前磁器の古い文献資料・研究書・学術書はもちろん、着物など他の伝統工芸における文様の資料、はては歳時記や植物図鑑、江戸時代の風俗文化に関する本まで。

今は、手元に持っている資料も、どこに行けば関連資料を手にできるかという知識量も、当時より増えていますので、さらに調べ甲斐があります。文様について調べ直しまとめ直して形にすれば、単純に文様の知識として便利だというだけでなく、陶片ミュージアムを解説する資料としても価値が生まれそうです。

ということで、17年ぶりに「文様小話」を作り直すことに決定。タイトルは変わると思いますが。そして、単に知識を調べて集めるだけではなく、諸説に対するより深い考察をして、自分なりの解釈を展開することができるのではないかとも思います。年内に完成するといいな、と思いつつ。きっかけとなる「たくさんの質問」を投げかけてくださったKさんに、心より感謝です。

味噌も仕込みます。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

味噌も仕込みます。

昨日の梅仕事に続き、本日は味噌仕事。味噌を自分で作るようになってすぐの頃は、仕込む時期は大豆の収穫が終わり麹が出来上がる頃、2月~4月に一年分をいっぺんに仕込むイメージを持っていました。でもいっぺんに作るのって、体力的にもかなりたいへんなんですよね。常に材料を用意してくださる麹やさんのおかげで、ここ1-2年は必要に応じて年中仕込んでいます。ちなみに前回仕込んだのは1月でした。

隣町の麹やさんから「蔵出しセール」の案内が届いたタイミングで電話注文。樽ひとつ分が10キロなので、玄関先まで届けてくださるのが助かります。今食べている樽の味噌は残り三分の一ほどで、別に熟成中(もう食べごろ)の樽がひとつ。そして今日の仕込みが、三つ目の樽。ほぼ毎日味噌汁をつくる我が家。味噌消費量は多い方だと思います。

三つの樽をローテーションしながら、常に味噌が仕込まれている状態がこの1-2年できてきました。仕込んでから食べれるようになるまで、季節にもよりますが、夏場は熟成が早く進みますので3ヵ月ほど。食べ始めてからも日々熟していくので、最初は麹臭さが残っていた味噌も、樽が空になる頃には醤油っぽくなっていたりします。

味噌はそもそも長期保存食ですから、非常食にもなり。これって今流行りのローリングストックと言えるのではないか!?と勝手に嬉しくなっています。日本に限らず、発酵食品や乾物などの保存食文化はいろいろとありますが、非常時にも役立つものですね。

梅の収穫に行ってきました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

梅の収穫に行ってきました。

毎年恒例の梅仕事。梅雨の合間の晴れの日、今年も佐賀花祭の創業地へ梅の収穫をしに行って参りました。昨年の梅仕事のブログを確認してみたら、なんと2020年6月8日付でぴったり一年前。写真を見比べてみると、今年は梅が少し熟していますので、梅が実るのも例年より少し早かったようです。

草も木もどんどん伸びる季節です。草刈りする人、梅摘む人に分かれて作業開始。今年も近所のお友だちが手伝ってくれて、心強い限りでした。昨年は不作だった「一番大きい梅」がつく梅の木に、今年はたくさんの梅がついていました。妙齢の大人が、梅を目指し嬉々として木に登る姿は、見守る側としてはハラハラしつつも、面白いものです。

いつも「あれがあったら!」と道具の反省があるのに、一年経つと忘れてしまって教訓が生かせないことが多々。そんななか今年は、高枝切りバサミの先にノコギリを取り付けた道具が大活躍しました。一方で「普通のノコギリも必要だったね…」という反省も。いつもノコギリは持ってきていたはずなのに、うっかりです。

梅農家さんの梅林を見ていると、ちゃんと採りやすいように低く枝が剪定されています。あのように美しく維持できないのは仕方がないにしても、毎年かなり思い切って枝を落としているつもりなのですが、それでも上へ上へと延びる梅の枝。どんどん手の届かないところに梅が生ります。そのうえ手に届かない位置にあるものほど大きく立派に見えるのですから、不思議と言いましょうか歯がゆいと言いましょうか。

ともあれ半日、梅のことだけを考えて山仕事。野鳥のさえずりが美しく響く中で、森林浴を満喫しました。天気が良く、風は心地よい程度に吹き、幸せな梅摘み日和でした。

一夜明けて今朝からは梅仕事です。梅を仕込むビンを洗い、外に干して日光消毒中。午後からは梅シロップ用のお砂糖と、梅干用の塩を買ってきます。梅に余裕があれば、梅味噌もつけようかな。梅酒はせっかく作っても減りが鈍いことに気づいたので、ここ数年つくっていません。と、「今年は何を仕込むか」考えるのも楽しみです。

自然の恵みに感謝です。