読書『豆小皿料理一〇一銭』(秀和システム)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『豆小皿料理一〇一銭』(秀和システム)酒と肴 まつ

小皿・豆皿を使った盛付写真がカラフルで楽しいレシピ本です。「豆小皿」という言い方があるのねと思ったら、これは、著者の造語だそうです。「豆小皿」可愛い響きです。

まずタイトルを見て、これは「小皿豆皿」を扱うものとしては読まなければ!と思い、中のページを開いて、そのビジュアルの楽しさにワクワクしました。骨董の器を数多くお使いです。手描きのものだけでなく、転写紙(シール)のものもあり、金継ぎでなおしたものも多く、よりどりみどり。いずれも道具に対する愛情を感じました。すべての料理について、レシピだけでなく器の出どころも書いてあるのが、嬉しいです。

メイン料理をドーンといただくのではなく、小さな器に多彩な料理を少しづつ盛っていただくことによって、自然とバランスの良い食事になり健康的でもあるというくだりには、なるほどと思いました。年齢を重ねるにつれて「ちょっとづつ、いろいろ食べたい!」と思うようになるのを感じていますが、それは身体がバランスの良い食事を欲しているからなのかもしれません。

レシピは、わたし個人的にはやや難易度が高く感じました。材料にしても、近所のお店でふだん使いの買い物では手に入りにくいものもあるかな、と。そこは、さすがプロのお料理屋さんのレシピということですね。この本を読んで自分で作るよりは、「酒と肴 まつ」さんにおじゃましてご馳走になりたいです^^

ということは、手に入りやすい普段の食材で、簡単な小皿豆皿料理をご紹介したら、それもまた喜んでもらえるかもしれませんね。わざわざ作るというわけではなく、ふだんの食卓で登場する小皿料理・豆皿料理をご紹介するだけでも、小皿豆皿の楽しさを知っていただくことができそうだと、この本からヒントをいただきました。

それにしても、秀和システムさんはIT系の実用書・ビジネス書に強いイメージでしたが、思いがけず料理本。本書を手に取ったとき、思わず出版社名を二度見して確認してしまいました(笑)

鶴竜関、日本国籍取得。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

鶴竜関、日本国籍取得。

写真(上下とも)は、2013年の九州場所・福岡国際センター。鶴竜関の日本国籍取得は、藤吉家にとって、とても嬉しいニュースです。

2013年九州場所

息子が「鶴竜ちゃんが好き!」と言い出したのは、3歳か4歳の頃でした。鶴竜関の取り組み時間になると、画面の前で緊張して見守り、勝てば上機嫌になり、負ければ悲しくて(悔しくてではなく)泣き、励ましのファンレターを書き。そんなに好きならばと、幼稚園年長さんの冬、九州場所に連れて行ったのでした。

長時間の観戦に5歳児の集中が続くものかしらと、午後から入場したものの、杞憂でした。午後からでも5-6時間にわたる取り組みを、飽くことなく楽しんだ息子。それからほぼ毎年、九州場所開催中の一日(開場の朝8時半から終了の18時まで)を福岡国際センターで過ごすのが、藤吉家の定例行事となりました。

息子が小学校一年生の時には、東京出張に伴い、当時鶴竜関の居た両国の「井筒部屋」へ、ダンナの作った「特製鶴竜湯飲み」を手土産に持っていきました。アポなし突撃訪問でしたが、部屋の前まできたときに偶然中から鶴竜関が出てきたのです。湯飲みを直接手渡すことができたうえ、鶴竜関から「一緒に写真撮る?」という優しい心遣い。その時撮った、やさしい顔の鶴竜関と、緊張しきった顔の息子の写真は、宝物です。

ここ1-2年は、鶴竜関の親方であり日本での親代わりでもあった元・井筒親方(元・逆鉾関)が急逝したり、ケガでの休場が続いたり、ファンとしてはとにかく「頑張って!いつも応援してるよ!」としか言えない状況が続いていました。そのなかで、今回の明るいニュース。誰よりも、亡くなった親方が喜んでくださっているのではないかと思いました。

年明けの初場所、鶴竜関は進退をかけた土俵となります。なんとか、元気に土俵に上がってくれることを祈っています。来年の九州場所のときには、もしかしたら鶴竜関は親方になっているかもしれません。それでも、会いに行くことができたらと、一年先の九州場所を楽しみにしている今日この頃です。

九州陶磁文化館「特別企画展 柴澤コレクション」。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

九州陶磁文化館「特別企画展 柴澤コレクション」

佐賀県立九州陶磁文化館(以下、九陶)は、肥前磁器に携わるすべての人の宝物です。特に常設展示室を持つ「柴田夫妻コレクション」は、師匠を持たない肥前磁器作家・藤吉憲典にとって「師」ともいえる存在。その九陶で「特別企画展 柴澤コレクション」が開催されるとあり、情報を追っていました。SNSにアップされるコレクション画像の顔ぶれに「これは…見たい!!」と思いつつ、わたしは足を運ぶことができなかったので、ダンナ・藤吉憲典に託しました。

素晴らしい展示だったようです。見終わったその場から、ダンナから興奮気味の電話がかかってきました。曰く「すごかった。自分はまだまだ、もっともっと勉強しないと…!」。作り手にこう思わせるコレクションを公開してくださった、コレクターの故・柴澤一仁さん、九陶の皆さんに心より感謝です。

興奮冷めやらぬダンナ、九陶の方に「柴田コレクションみたいに、ぜひ常設室を作って展示してください!」とお願いしてきたようです。柴田コレクションはコレクションルームがあって、定期的に展示替えをしながら、いつでも見ることができるようになっていて、それは学びたい者にとって、とてもありがたいことなのです。九陶のなかに「柴田コレクション」と並んで「柴澤コレクション」の常設展示室ができたら、こんなにありがたいことはありません。

お土産に買ってきたもらった図録を眺めるほどに、「現物を見たい!」の思いが募りました。作品に添えられている解説も、学芸員さんたちの熱意が伝わってくるもので、とても嬉しく読んでいます。また一冊「手元に常に置いておく本」が増えました。ただ、総目録の写真が小さいのが残念でした。一覧性が高いので資料としての使い勝手はとても良いのですが。願わくば、柴田コレクションの時のように、コレクション一つ一つを大きな写真で見ることのできる図録を、時代別の分冊でもよいので作って欲しいと思いました。

佐賀県立九州陶磁文化館 特別企画展 柴澤コレクション

「特別企画展 柴澤コレクション」は、今週末2020年12月13日までです。会期残りわずかですが、肥前磁器の作り手は、必ず見に行くべき展覧会だと思います。

津屋崎の冬の風物詩。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

津屋崎の冬の風物詩。

ソデイカです。アカイカとも呼ばれます。地元の人たちは、愛をこめて「バカイカ(バカでかいイカ)」とも呼びます。今年は11月から朝晩空気の冷え込む日がありましたので、「そろそろ来るんじゃないかなぁ」と、ダンナがそわそわしておりました。

今朝ゲットした、今年初のソデイカは、久しぶりの大物。どれくらい大きいかというと

ソデイカ

これぐらいです。

津屋崎の冬を大いに楽しんでおります^^

読書『「賛否両論」おせちの本 完全版』(KADOKAWA)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『「賛否両論」おせちの本 完全版』(KADOKAWA)賛否両論 笠原将弘 著

このところ、My図書館・カメリアステージ図書館の「新刊棚」と「特集棚」に誘惑されることが増えてきました。先日は、特集棚。「さあ、借りよう!」と貸出カウンターに並んだその時に、カウンター横にある小さな特集コーナーが目に入ってくるレイアウトになっています。ここで「あ、これも」と、ついで買いならぬ「ついで借り」でまた1冊追加。まるでスーパーのレジ横にあるお菓子コーナーです。

さて、タイトルを見て「賛否両論あるおせちって、どんなものだろう?」と思いましたが、「賛否両論」は著者のお店のお名前でした(笑)。マスター(店主)の笠原さんは、テレビや雑誌にもよく登場なさる料理人さんだそうですね。

本書中にはおせちの定番献立プラスアルファのつくり方と、おいしそうな写真が載っています。おせちの本はずっと使っているものがありますが、たまに別の本を見てみるのもいいですね。何年も固定化されていたメニューを見直す機会になりますし、同じメニューでも「もっと作りやすい方法」「もっとおいしくなる方法」を発見する機会になります。

献立もさることながら、本書の中でいちばん「お!」と思ったのは、お重への盛り込み方法と、皿盛り方法の例が、とてもわかりやすく載っていたこと。わたしは、おせちの中身は出来合いを買ってきて、盛り付けを自分流に整えるだけでも、立派なお正月準備だと思うのです。あちらこちらの名店から取り寄せたお料理を、お気に入りのお重や大皿に盛りなおす。お正月はゆっくり休みたい、でもおせち気分も味わいたいという方に、おすすめの方法です。一番上の写真は、そんなおせちの盛り付けに重宝する、藤吉憲典のつくる小皿豆皿の数々。

花祭窯の十一月の庭。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

花祭窯の十一月の庭。

ツワブキ

11月の庭で目を楽しませてくれたのは、ツワブキとサザンカです。

サザンカ

今年は梅雨の長雨に猛暑で、花にも野菜にも虫がたくさんついたと、ガーデナーのお友だちが教えてくれました。我が家のサザンカも例に違わず、8月下旬から9月にかけてチャドクガ(茶毒蛾)がついてしまいました。お茶の木によくつくことからこの名前がついているそうですが、椿やサザンカの害虫としても有名ですね。

チャドクガの駆除はしたものの、刺された時のことを考えると、ついつい「サザンカは毛虫がつくからなぁ…」と近寄りがたくなってしまうのも正直なところ。でも、季節が移って、こうして華やかな色を見ると、うちの庭にサザンカがあってよかった!と思うのですから、我ながら勝手なものです。

ツワブキの黄色も、サザンカのピンク色も、力を感じる鮮やかさ。日のあたる縁側でぼーっと眺める休日です。

御料理古川さん。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

御料理古川さん。

博多住吉にある懐石料理屋さん「御料理古川」さんにおじゃましてまいりました。

2018年7月のオープン。店主の古川さんが大阪の「味吉兆ぶんぶ庵」で修業をなさっていたころからのお付き合いです。修業中の当時から、藤吉憲典が大阪で個展をするたびに、独立したときのための器をお買い求めくださっていました。郷里の福岡県でお店をお持ちになるということで、オープンに向けての器をご用命いただいたのは、もう3年以上前になります。

ずっと気になりながら、やっと訪問。オープンから2年で福岡佐賀版のミシュランに載り、『家庭画報』をはじめとした雑誌掲載も多く、あっという間に「予約の取りにくいお店」になっていました。何度か問い合わせて予定が合わないことがありましたが、順調に発展なさっているご様子を嬉しく拝見していました。

カウンター6席に4名個室が二つ。訪問した平日のランチタイムは、100%女性客でした。カウンター・個室ともに皆さん常連さんのくつろいだ雰囲気で、とても楽しそうでした。お料理は、味がおいしいのはもちろん、どれもスッと体に染みわたりました。最後のお菓子とお抹茶まで、気持ちよく完食。食べ終わって気がつけば、実はお腹一杯になっていた、という感じでした。

お食事後、カウンター席のお客様は、それぞれ次のご予約を入れておられました。古川さんのお席が空いている日に合わせて、次の会食日を決める。お店がとても愛されていることがわかりました。お料理のおいしさ、接客の良さはもちろんのこと、店主古川さんと奥さまの明るく飾らないお人柄あってのことと、伝わってきました。

友人との久しぶりのランチに使わせていただきましたが、とてもよかったです。大満足でした。次は夜のお食事におじゃましたいと思います。

干支の置きもの-丑-

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

干支の置きもの-丑-

ここ数年、「そろそろ干支に取り掛かって欲しいなぁ」という年末が続いておりましたが、今年は早めに仕上がりました。町田ももふくさんでの個展を控え、ぜひ間に合わせようと、昨年よりひと月以上早く丑(牛)が出来上がり。

そもそもは、ご近所さんへの年末年始の挨拶回り用に、非売品でつくりはじめたのが「干支の盃」でした。盃が十二支を一周したので、次に作りはじめたのが「干支の箸置き」でした。このころから「販売して欲しい」というお声をいただくようになり、次第に箸置きというよりは「置きもの」に変化してきて今に至っています。

干支丑 青磁の牛 藤吉憲典

写真は、本窯からあがったばかりの牛の皆さん。つくりが素晴らしくできたので、まずは青磁のみで仕上げています。たしかに青磁で仕上げると、造形の美しさが際立ちます。が、欲張りなわたしとしては、白磁バージョンも見て観たいなぁ、と。ひそかに白い牛の登場を心待ちにしているところです。

干支のシリーズは、毎回そのお正月までに作った分の売りきりで、リピート制作はありません。2021年干支の丑の初お目見えは、ももふくさんの個展です。


ももふく
藤吉憲典展(磁)
2020.11.21(土)‐11.27(金)
12時-18時
町田市原町田2-10-14#101
TEL042-727-7607

立冬も晴れの好日。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

立冬も晴れの好日。

暦の上では冬に入りました。この週末は衣類を入れ替えたり、冬布団を出して干したり、ストーブを点検したり、居間のラグがくたびれていたので暖かそうなものに買い替えたり。このところ風のないカラリとした晴天が続いたので、季節の家事も快適に進みます。今年の秋は穏やかな日が多くて、久しぶりに、秋ってこんなふうだったなぁ、としみじみ感じました。

朝晩の冷え込みで、紅葉も進んでいますね。週末のSNSには、友人たちが登山をしていたり、紅葉狩りに出かけていたりと、美しい季節の風景が全国各地から届き、こちらまで嬉しくなりました。外に出て、季節を楽しみ、春から続いた閉塞感を少しでも吹き飛ばして、心も体もリフレッシュ!にぴったりの季節。

とはいえ、個人的には特段お出かけの予定も作らず、淡々と日々の家事・仕事をしています。そのなかで見つける「晩秋らしさ」もまた、ちょっとしたリフレッシュのタネ。ツワブキの黄色い花が咲いていたり、ダンナが山からムカゴを採ってきたり、ご近所さんから柿をいただいたり、朝市の魚市場に並ぶヤズ(ブリの幼名)に脂がのってきたり、早朝見上げる空の月が冴え冴えと美しかったり。

気持ちが安定する晴れの日は、行楽日和であるだけでなく、日々の仕事や家事にも最適なのだと実感する今日この頃です。

菊の見頃。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

菊の見頃。

シュウメイギク

花祭窯の庭では、シュウメイギクが見頃です。菊と言えば、九月九日重陽の節句=菊の節句ですが、日本国内で「菊シーズン」というと、今頃のイメージ。11月3日の文化の日前後で菊の展示会やお祭りをするところが多いですね。菊を「市の花」としている大阪枚方市の「ひらかた菊フェスティバル」(名前を変えつつ続いている菊祭^^)も、例年この時期で、今年は10月28日(水)から11月16日(月)となっています。

菊は、陶磁器に描かれる文様のなかでも、古くから人気のあるもの。カタチにおいても「菊型」の鉢やお皿は人気です。日本でいう「松竹梅」にあたるものとして、中国では「四君子」と呼ばれる草花が、高貴でおめでたいものとして愛されていますが、その四君子の顔ぶれが、竹・梅・蘭・菊。

日本では皇室の紋章に使われていることもあり、やはり文様としては高貴な印象。江戸の昔から桜についで人気のある文様であることは、肥前磁器の古い器に残る文様の顔ぶれを眺めると一目瞭然です。とにかく多種多様。

野菊

近所の産直市場で見つけ、思わず手に取った菊は、野菊の風情。豪華絢爛な鑑賞用の菊も良いですが、身近に飾るものとしては、こういうものが可愛らしくて好きです。野菊は強いのも魅力。切り花にして生けたときに、けっこう長く咲いてくれるのはありがたいことです。まだしばらく、菊シーズンを楽しめそうです。