黄色でウキウキ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

黄色でウキウキ。

今朝は満月の明るさに目が覚めました。真ん丸で黄色のお月さまを見ると、嬉しくなるから不思議です。そして日中ふと外を見れば、そこには水仙の黄色がキラキラと。

そういえば、やきものの文様について文章をまとめていた時に、日本の伝統色が及ぼす心理的影響について考えた時期があったのを思い出しました。専門的に色の効果を学んだことがなくても、日々のなかで感じ取るものは人それぞれにありましょう。

我が家の近所に群生する黄色パワーのおすそ分け。

水仙

生活のなかで、なにげなく目にする色の力を感じる一日です。

着々と納品中。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

着々と納品中。

ダンナ・藤吉憲典が今年の書き初めで 「目の前のことを丁寧に一つずつ」 と書いたとおり、昨年からお待たせしていたご注文品の制作・納品が、ひとつづつ進んでいます。この上半期は特に、そこにしっかり注力してまいります。

お客様に器や作品をお届けできるのは、やっぱり嬉しいです。お届け前に「お待たせいたしました」と発送のご連絡をすると、皆さん喜んでくださいます。つくり手を信頼してお待ちくださっていることが伝わってきて、ありがたいなぁと、つくづく思います。

特に和食器は、季節にタイミングよくお使いいただけるよう順番を意識したり、お店のオープンに合わせてお送りできるようにしたり、出来るだけ心配りしたいと考えています。一人でつくる=限られたキャパシティのなかで、どう割り振りするか。

「待った甲斐があった!」とおっしゃっていただけると、「よかった!」と安堵します。器もアートも、旧作も新作も、ご期待以上のものを作ってお届けしたいと、全力で取り組んでいるつくり手の姿を見ているので。

ご注文をくださっている皆さま、ぜひ楽しみにお待ちいただけると幸いです。

読書『デヴィッド・ボウイ インタビューズ』(シンコーミュージック・エンタテイメント)

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『デヴィッド・ボウイ インタビューズ』(シンコーミュージック・エンタテイメント)

日常的に、仕事上の資料探しに図書館を使っています。書籍タイトルがはっきりしているものでなく、「こんな感じの内容」とジャンルで探すときは、やっぱりネットではなく本屋さんなり図書館なりで、書架の前をウロウロ探すのが性に合っています。なにより、楽しい。

我が家から近い順に、カメリア図書館、福津市図書館、未来屋書店。その先は博多に出て大型書店。徒歩・自転車圏内のカメリア図書館は、わたしにとって「まず、ここに行ってみる」場所です。

今回探していたのは、実は歌舞伎関係の本でした。「芸能関係」というとってもざっくりした分類の棚を眺めていたところ、目に留まったのが本書『デヴィッド・ボウイ インタビューズ』。思いがけず見つけてしまいました。

デヴィッド・ボウイの音楽に出会ったのは、中学2年生の時。80年代の「レッツ・ダンス」から、70年代、デビュー期へとさかのぼってレコードを聴いたのを思い出します。ラジオと深夜のMTVで追いかけ、ロンドンに行ったときにはマダム・タッソーで蝋人形のデヴィッドと一緒に写真を撮り(笑)

その音楽とパフォーマンスのカッコ良さに惹かれていたものの、「文字で彼を知る」機会は、これまであまりありませんでした。特に亡くなった後にたくさんの本が出ていることは知っていましたが、今回初めて手に取りました。

読み応えがあります。写真一切無しで650ページに及ぶ、折々の言葉。文字を目で追いつつ、音とビジュアルを脳内再生しつつ、楽しみました。

美しい英文。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

美しい英文。

何年か前に『英語のお手本 そのままマネしたい「敬語」集』という本を手に入れて、いつも手元に置いています。同じ意味でも、より丁寧で品のある言い回しや表現ができるといいな、という思いです。瞬発力の求められる会話の場面では難しくても、せめて少々時間をかけることのできるメールでは、少しでも丁寧な英語を使えるようになりたいと思いつつ。

ところが実際には、なんとか伝えるので精いっぱい。「より丁寧で品のある言い回し」への道のりははるか遠く。そんなわたしにとって、一番身近なお手本は、ロンドンのギャラリーからくるメールの文面や、彼らが作ってくれる、藤吉憲典の紹介文など。「そっか、こんなふうに言ったらいいんだ!」と発見ばかりです。

昨年12月のロンドン個展の際に彼らが作ってくれたカタログが先日手元に届き、あらためて英文表現の妙に嘆息。わたしも英文でも作ってみていたのですが、日本語原文は同じなのに、英文表現がまったく違っていました。

以下、藤吉憲典のアーティストステートメントをご紹介。ロンドンのハイエンドギャラリーが英訳すると、このような表現になる!のです。


Kensuke Fujiyoshi artist statement

For me, making art is about filling in the gap between the world of reality that you see before your eyes and the world of fantasy inside your head.

I create because I want to create. I don’t create anything I don’t desire to. These desires come to me one after another. I think that the reason I exist is to create.

I’m always thinking about how I can make works that I find satisfying. Day by day, I constantly make small improvements; I imagine that I’ll never be able to create something that is perfect to me. This makes me want to keep creating all the more.

My creativity finds its source both in the familiar beauty of nature experienced in everyday life, and in the beauty possessed by traditional objects. To see, and feel, shape and colour. The primary experience of one’s own senses is everything.

For someone simply to tell me that they like my works is my greatest happiness. As for the message I’d like to convey through them. I leave that for each person receiving it to interpret. The message of each work is simply the feelings of the people who experience it.

If however, I do have one particular obsession, it is this; to use traditional techniques to express something new. There is meaning in continuing to create through the work of your own hands. Without excessive concern for originality, I use the techniques I have inherited to build my own form of expression.

Pottery is something fragile. But if handled carefully it can be last hundreds of years. My aim is to make things that will be loved a thousand years from now.


日本語での言い回しの意図を汲んで、このように英文化してくださるギャラリースタッフに、心より感謝です。

2020南方流初釜。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

2020南方流初釜。

初釜に出かけると「今年も始まった」という気持ちになります。毎年初釜は、和尚さまが亭主として、入門者を迎えてくださいます。和尚様の美しいお点前を間近に観ることのできる貴重な機会です。

今年の初釜は六席。一日に六席の亭主を務めるというのは、並大抵のことではないと思います。それでも毎年続けてくださるありがたさ。せめてわたしたちにできることと言えば、前日準備のお掃除と、当日のお茶席の水屋やお食事の台所仕事を手伝うこと。

当日朝は小雨がぱらついていましたが、お茶席に入るころには上がり、露路からの席入りができました。お正月らしい軸やお花、華美でなく品のあるお道具。お茶をいただきながら拝聴する和尚様のお話。礼を守りながらも寛いだ席で、とても幸せな気持ちになる初釜でした。

毎年初釜でいただく色紙には、今年は「相逢相不識 共語不知名(相逢うて相識らず 共に語りて名を知らず)」とありました。出会った相手を大切にすることを説いた、一期一会に通じる教えです。

今年も一年、禅茶道に精進いたします。

形あるものの強さ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

形あるものの強さ。

「強さ」という表現が合っているのかどうか、ちょっと言葉が見当たらないのですが。仕事はじめに「形あるものを作るからこその喜び」を垣間見る出来事がありました。

数年前、長い海外生活から日本に戻っていらしたばかりというお客さまとの出会いがありました。藤吉憲典のつくる造形作品を特に気に入ってくださり、お付き合いが続いています。つい先日のこと、そのお客さまから「これ、藤吉先生の作品ですよね?」と届いた写真。拝見したところ、窯を開いて初期のころよく作っていた片口でした。

聞けば、お姉さまからお引越しの際に「特に気に入っているもの」として、譲り受けたなかにあったということでした。片口に一目ぼれしたお客さまが、さっそくこれを使おうと洗っていた時に「憲」の銘が目に入り、びっくりして問い合わせてくださったのでした。

そのお客さまのなかでは、藤吉が食器作家でもあることはご存じであったものの、どちらかといえば芸術家のイメージ。一方、お姉さまは「ずいぶん前に器のギャラリーでとても気に入って買った」とおっしゃるだけで、その片口の作家名もご存じなかったのでした。

思いがけず大切なお姉さまから譲り受けた器に「憲」を見つけ、とても驚いたし感慨深かったと、縁の不思議を喜んでくださったお客さま。わたしたちもまた、ありがたい出来事のお知らせに嬉しい気持ちでいっぱいになりました。

藤吉憲典は、その作陶の志として「国宝より家宝」をずっと掲げています。その意図そのままに、「人から人に大切に受け継がれるもの」となっているワンシーンを見せていただいた出来事でした。

仕事はじめ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

仕事はじめ。

写真は、あまりにも縦にまっすぐだったので、嬉しくなって1本活けてみた、松。

近所の小中学生の冬休みもお終い。二日の書き初めと新年会でお正月をすっかり満喫し、三日午後からぼちぼちと仕事を始めました。年末から3日間パソコンを開かないだけで、ずいぶんと休憩したような気がします。物理的に仕事から離れる時間も大切ですね。その間に考えたこともいろいろあり、頭の中を整理整頓しながら、ウォーミングアップ。

昨日は今年の納品第一号を発送完了しました。納品の時はいつでもホッとしますし、嬉しいです。楽しみに待っていてくださる方々の存在は、仕事をするうえで大きな力です。同時に、お客さまのところまで運んでくださる運送業の皆さまに感謝。こうして地方でスムーズに仕事ができるのは、運んでくださる方あってこそです。

花祭窯は個人事業主なので、1月は会計年度のスタート月でもあります。今年の経営指針書もおおよそ出来上がりました。短期・中期・長期の行動計画は、実際に動き出すと修正しながらの毎日になります。年末に「最初のイメージからどう変わったか」を見るのも、実は楽しみのひとつです。

そして新年度が始まるということは、前年度の決算をするということであり、そろそろ確定申告の準備です。

2020子年。本年もよろしくお願いいたします!

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

2020子年。本年もよろしくお願いいたします!

写真は車窓からの初日の出。九州北部地方、よく晴れた元旦でした。

昨年末ぎりぎりに干支のネズミができあがりました。ご近所へのご挨拶まわりに間に合って一安心。年が明けてから年賀状を書きはじめるのは、ここ数年お馴染みの景色になってきました。恒例の二日の書き初めは、新年早々にもかかわらず、たくさんの方がご参加くださいました。

花祭窯書き初め2020

上の写真は、陶芸家・藤吉憲典の書き初め。「目の前のことを丁寧に一つずつ」まずはお待たせしているご注文品の制作・お届けからスタートです。

「楽しみに待ってはいますが、急かしてはいません。良いものを作ってくださいね」とおっしゃってくださったのは、いつも造形作品をご注文してくださるお客さま。つくり手にとってはなによりありがたい言葉で、お客さまのご理解に支えられていることを、つくづくと感じます。

今年も、器に、アート作品にと、藤吉憲典の発表の機会を、国内外でいただいております。ありがとうございます。日程など詳細はこれから詰めていくものも。近々、2020年のおおよその予定をご紹介いたしますね!

一方で、アートエデュケーションの仕事・活動も、地道にコツコツと積み重ねてまいります。今年は地元地域での講座だけでなく、少しづつ広げていくことができたら嬉しいな、と思っています。

藤吉憲典の個展の際には、わたくしも出来るだけ会場に足を運ぶようにしています。今年も各地で皆さまにお会いできるのを、楽しみにしております♪

こんな人になりたい。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

こんな人になりたい。

クリスマス。今年のところどころで気にかかりながら先延ばしにしてしまっていたことを、年内にきちんとしなければ!と、一念発起した昨日でした。

2019年はここ数年のなかでも、陶芸術家・藤吉憲典にとって、ひとつ勝負の年でありました。「器」と「アート」。どちらも大好きで、どちらも大切。本人曰く「ガチャンガチャンと」思考回路を切り替えながら、作陶に取り組んでいます。つくるのにどちらがラクということは無く、細部まで丁寧に、「すべてが自分の代表作」というスタンスはまったく同じ。

器=役に立つもの、アート=意味のあるもの。同じ「磁器作品」であっても、求めるお客さまの志向は異なるため、市場は同じではありません。「器のギャラリー」と「アートギャラリー」のあいだに距離があるのは、アートピースに取り組み始めたときからわかっていたことではありました。

作り手・藤吉憲典にとっては、両輪があることで、それぞれの分野の進化・深化があります。が、それを本心から理解できる人は、日本においてはクリエイティブな業界にあっても(あるいは、だからこそ)多くはないことを、ことあるごとに感じていました。

それでも、こうして「好きなもの、作りたいものだけを作る」姿勢を一貫して来れているのは、ひとえに、作家とその作品を愛し、理解しようとし、尊重し、その進化・深化を一緒になって楽しみ、受け入れ、世に発表してくださるギャラリーさんがあるからこそです。これは、国内でも国外でも同じ。

さて冒頭の「気にかかりながら先延ばししていたこと」のひとつについて、お世話になっているギャラリーさんにご連絡をしたところ、作家が「こう言ってもらうのが一番うれしい」というお返事そのものをいただきました。

20年近いお付き合いのなかで、これまでもずっと「この人のようになれたら素晴らしいな」と思っていた方。その懐の大きさに、また頭が下がりました。涙が出るほどありがたい言葉に、作家ともども大きく勇気づけられたクリスマスでした。

「任せる」と「責任を持つ」。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「任せる」と「責任を持つ」。

写真は、ぼーっと考え事をするのに最適な、穏やかな浜。このところ、ふたつ続けて「もっとしっかり事前に打ち合わせをするべきだった」と反省する事案が、仕事上でありました。

「人に任せる」のが不得手なわたしは、ここ十年以上「信頼して任せる」がテーマのひとつ。こちらから事前に説明しすぎたり、先方がやろうとしていることを確認しすぎたりするのは、「任せる」に逆行するのではないかと、いまだに「適切な加減」をつかむのは簡単ではなく。

任せる一方で、当然その結果の責任はすべて負います。実はその「責任を持つ」には、お任せする相手に対して、きちんと理解してもらえるよう説明したり、先方がどのように考えるかを聞かせてもらったり、という事前のことも含まれるのだと、つくづく。

「信頼して任せる」の言葉を隠れ蓑に、必要な会話のやりとりを省いてしまっていたように思いました。しつこく話を聞いたり、聞いてもらったりするのってエネルギーのいることで、でも、やっぱりやらなきゃ!ですね。