博物館リンクワーカー人材養成講座 2023-その2。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

博物館リンクワーカー人材養成講座 2023-その2。

博物館リンクワーカー人材養成講座 2023、前回は甲賀市教育委員会事務局歴史文化財課の佐野正晴氏による『「歴史文化財課 佐野さんの民具図鑑」の作り方』でした。

今回は、山梨県にある「中村キース・へリング美術館」の学芸員さんによる「社会課題と向き合う美術館活動」のお話。キース・へリングのコレクションを持ち、キース・へリング財団から日本で唯一認証されている美術館ということで、個人的には今年度の連続講座のなかで一番興味を持っていた回です。上の写真は、中村キース・へリング美術館のサイトから。https://www.nakamura-haring.com/

31歳という早逝のキース・へリングですが、ニューヨークでブレイク後、日本では1983年の初来日以降なんども展覧会が開かれ、本人も来日しています。ダンナ・藤吉憲典は、高校卒業後に上京して東京で最初に観た展覧会が、キース・へリングだったとのこと。この時は、へリング本人も来日していました。そんなふうに、我々世代にとっては、とても親近感ある存在です。

以下、中村キース・へリング美術館「社会課題と向き合う美術館活動」のお話より、備忘。


  • キース・へリングが向かい合った(’80年代当時の)社会課題➜美術館としてその意思を継いで「今日的」な社会課題に向き合う。
  • キース・へリング=アーティストであり、アクティビスト(政治的・社会的活動家)。
  • 「展覧会活動」と「社会活動」の両軸。
  • リスペクト&インクルーシヴ。
  • 著作権から生じる利益➜財団➜社会活動資金:本人が没したのちも継続できる社会活動基盤の仕組みを作り上げた。
  • ↑↓キース・へリングの作品は、既に社会に溶け込んでいる
  • ↑例えば…各種ブランド等とのコラボ商品➜コピーライト商品によるのアートの拡散。
    パブリックアートの大量設置➜「見たことがある!」機会の大量提供。
  • Art is for Everybody.
  • アートを見るために足を運んでもらうのではなく、日常の中にアートを出していく。
  • 大切なのは、アートに興味のない人の「目に触れる」こと、「足を止める」こと。

↓中村キース・へリング美術館の取り組み↓

  • 美術分野の専門家だけでなく社会課題に携わる専門家へのインタビュー、共同プロジェクト。
  • 狭い分野の専門家から、個々の声を拾い上げ、発信する。
  • 作家年表・世界史年表・日本史年表(+美術館として起こしたアクション)を一覧➜作品が生まれる裏にあった社会の動きが見え、作品・作家への理解が深まる。

↓「語り場」から↓

  • 身近なところから取り組める社会活動がたくさんあり、そうと意識していないだけで、すでに取り組んでいる社会活動がたくさんある。
  • 各館の取り組みをもっとアピールしていく必要性。
  • 近年格段にやりやすくなってきている情報発信。継続的に取り組むには、まずは発信する側が楽しんでいるか。
  • 資料・情報をどう見せるか、どう伝えるか。
  • 社会課題と美術館をどうつなげていくか➜どの館にも必ず身近な社会課題との接点があり、それほど難しいことでは無い。

アートエデュケーターとしてだけでなく、現代にアーティストをプロデュースする立場としても、ものすごく考えさせられ、勉強になりました。山梨にある館に、足を運ぶ機会を必ず作りたいと思います。

コラージュ(切り貼り絵)講座@郷育カレッジ、今年も開催いたしました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

コラージュ(切り貼り絵)講座@郷育カレッジ、今年も開催いたしました。

もともとは数年前に、郷育カレッジに美術系の講座がほとんど無いよね…というところから、これではイカンと始まった講座のうちの一つです。美術の教育普及ワークショップメニューのひとつですが、「心の健康」へのアプローチを意図しています。コラージュ制作を通じて、自分の内側を可視化し、客観的に受け入れていくことで、心のリフレッシュを図る。わたしはこのワークショップを「Meet Me at コラージュ(=コラージュ制作を通じて自分に出会う)」と名付けています。

今回の講座では、コラージュ制作に時間をかけるだけでなく、グループワークの時間をたくさんとることが出来ました。毎年、ご参加の方々の特徴がそれぞれにあるのですが、今年はまずご参加の皆さんの集中力の高さに驚かされました。15分ほどのインストラクションを経て、「では実際に作ってみましょう」で作業をスタートしてすぐに、会場がシーンとなったのです。今までの経験からするとかなり珍しいことでした。作業時間が進むにつれて静かになっていくパターンは多いのですが。

皆さん黙々と手を動かしはじめて、すぐに制作の世界に没入されたので、予定時間通りにスムーズに進みました。あとから何人かの方にお話を伺うと、「自分が形にしたいもの」のイメージが既になんとなく自分のなかにあった、という方が少なからずおられました。もしかしたら、受講に合わせてイメージトレーニングをしてきてくださっていたのかもしれません。皆さまの意欲を感じました。

以下、受講者の皆さまからのご感想から。


  • たいへん楽しい講座でした。
  • 初めての体験でしたが、とても楽しかったです。自宅でもやってみようと思います。
  • 毎年参加しているが、自分を振り返る大事な時間になっています。
  • 切り貼り絵、参加してみて楽しかったです。またこのような機会があればと思います。
  • 初めての体験で、あっという間に時間が経ちました。ありがとうございました。
  • 初めてでしたが楽しかったです。自宅でもまた作ってみたいと思います。
  • 他の人の作品を見せてもらって、思いを話していただいたのが楽しかった。

初受講の方が楽しんでくださったこと、二回目以降の方が自分の振り返りの機会にしてくださっていることに、まずは講師としてはホッとしています。そして「自宅でもやってみる」と思ってくださった方が、何人もいらっしゃったのも、とても嬉しいことでした。そうなんです。簡単なので、ぜひ気が向いたときにやって欲しいのです。と言いつつ、自分自身そんなに定期的にできているわけではありませんが。

まずはコラージュ制作自体を「楽しい!」と思っていただけることが、一番大切です。その次の段階として、コラージュから読みとれる「自分」に関心を持って向き合うことの大切さを、じわじわと伝えていけたら良いな、と思います。美術的コラージュの良さを存分に生かしつつ、くつろいで対話を楽しめる場になるように、エデュケーターとして心がけて参ります。

読書『砂漠の林檎 イスラエル短編傑作選』(河出書房新社)サヴィヨン・リーブレヒト、ウーリー・オルレブほか著/母袋夏生編訳

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読書『砂漠の林檎 イスラエル短編傑作選』(河出書房新社)サヴィヨン・リーブレヒト、ウーリー・オルレブほか著/母袋夏生編訳

いつものカメリアステージ図書館新刊棚から。表紙の装丁の文様が気に入ったのと、やはり「イスラエル」が気にかかりました。これまでにイスラエルの作家が書いた小説を読んだことがあるかどうか、定かではありません。おそらく無いのでは、と思います。

古今のいろんな作家さんによる、短編・掌編サイズの物語の傑作選。一つ一つの作品の後に作家の略歴解説がついているのが、とても親切でした。どのお話をとっても、イスラエルという国の地理的な位置づけ、歴史的な位置づけを強く意識させられました。そのような周辺情報無しでもストーリーそのものを味わえますが、少しの知識を足すことで解釈が進み想像力が喚起される側面があるのも事実です。最初の一話を読んで、まずはイスラエルの位置を確認し直し。上の写真は、我が家の壁に貼ってある世界地図から。こういうときにすぐに確認できるので便利です。

前半に集められた、いわば現代の小説家の方々による短編が、とても興味深かったです。それぞれのストーリーに横たわる、それぞれに独特の世界観は、いずれも彼の地で生きる厳しさを考えさせるものでした。日本という国でぬくぬくと生きてきた自分には、生み出すことのできない世界観。あからさまな残酷さや、現実的な悲惨さというよりは、じっと動かずにある諦観と怒り、そのなかを生きる強さなどがないまぜになったパワーを感じました。

海外の書籍を翻訳したものを読むといつも思うのですが、翻訳して届けてくださった出版社や翻訳者の方に、今回も「感謝」の一言でした。世界に目を向けなければ、というときに、その方法の一つとして、その国に生きる人が書いた本を読むことは、とても有用だとわたしは思っています。もちろん新聞を読んだり、テレビやインターネットから流れてくるニュースを見たり聞いたりすることも、その一つかもしれませんが、政治によって簡単に情報が操作され、フェイクニュースがはびこるなかでは、創作された小説から読みとり推し量ることによって得られた印象の方が、事実に近いこともあるような気がしています。

本書の翻訳・編集者の方からは、並々ならぬイスラエルへの執着を感じました。こういう方がいらっしゃるからこそ、我々は、知らない世界を少しづつ垣間見ることが出来ます。これを機会にイスラエル作家の小説、気にかけていきたいと思います。

『砂漠の林檎 イスラエル短編傑作選』(河出書房新社)サヴィヨン・リーブレヒト、ウーリー・オルレブほか著/母袋夏生編訳

師走!でカレンダーめくったら、仙厓さんから肩透かしを食らわされた。

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師走!でカレンダーめくったら、仙厓さんから肩透かしを食らわされた。

ここ何年も、わたしの仕事場のカレンダーは出光さんの仙厓さんカレンダーです。朝から「いよいよ師走!」とカレンダーを勢いよくめくったら、出てきたのが、これ。

仙厓さんカレンダー

もうね、一気に脱力です(笑)

タイトルは「三福神虎渓三笑画賛」。「寿老人 大国夷子 虎渓の三笑ノ 狂言スル」とあります。カレンダーに記された解説によると、「虎渓三笑」は中国の故事で、笑い話のようです。それを三福神が特別の演目として演じ大笑いしている、という、福々しく笑顔あふれるおめでたい画。

おかげさまで好い具合に肩の力が抜けました。気忙しくなってくる十二月ですが、皆皆さまもどうぞごゆるりと参りましょう。

仙厓さん、大好きです♪

読書『英国女王が伝授する70歳からの品格』(KADOKAWA)多賀幹子著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『英国女王が伝授する70歳からの品格』(KADOKAWA)多賀幹子著

「英国王室ジャーナリスト」多賀幹子さんによる、エリザベス2世の写真集というか、名言集というか、という本です。世の中には「王室好き」とか「皇室好き」の方々がかなりの数いらっしゃって、そういう「追っかけ」の方々に向けて、けっこうな数の書籍や雑誌が発行されているということに気づいたのはここ数年のことです。

わたし個人は単純に英国の文化や歴史に興味があって、そのなかでエリザベス2世の生きざまに興味が出てきた、という感じです。が、ブログの過去記事をチェックしてみたら、思っていた以上に英国王室関係の本を何冊も読んでいました(笑)。そういえば写真展も観に行っていましたし、

映画も観に行っていました。今年の初めにはミュージカル『エリザベート』も観たし…と考えると、かなり英国王室を「追っかけ」ていますね。ただ、もちろん知っているのは、あくまでもメディアから垣間見えた姿でしかありません。だとしても、わたしはそのイメージの中のエリザベス二世が大好きなのだと思います。

さて『英国女王が伝授する70歳からの品格』。写真を見ているだけでも、気持ちがなんだか引き締まって明るくなります。英国王室の仕事は「君臨すれども統治せず」の言葉に代弁されるそうですが、それがどういうことなのか、わかりやすく伝わってくる本でした。エリザベス2世の言葉はもちろん、彼女について語った人たちの言葉もたくさん出てきます。それらを読みながら、またイメージが膨らんでいきます。なかでもトニー・ブレア元首相のことばは、本質をついているように思いました。

本書を読み終わって思ったことは、自分が住んでいる国(日本)の皇室についても、同じぐらいの熱心さで本を読んだり情報を集めたりしたら、もっと彼らがどのようなことを行い考えているのか、そしてこの国でどのような役割を果たしているのか、身近に感じられるのだろうな、ということでした。そういう意味では、わたしが一番興味があるのは、雅子妃です。皇室に入る前から、入ってこれまでに、雅子妃が何を考えどう行動しておられるのかが、とても気になります。ちょっと本を探して見ようかな。

『英国女王が伝授する70歳からの品格』(KADOKAWA)多賀幹子著

読書『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』(新潮社)坂本龍一著。

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読書『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』(新潮社)坂本龍一著。

本書が発売されていることは、もちろん知っていましたが、なんとなくこれまで避けておりました。が、いつものカメリア図書館新刊棚で、目の前にあったので、これはもう借りるしかないと手を伸ばしました。熱狂的ファンとは言えないけれど、YMOからスタートして小学生の頃から好きだった坂本龍一。音楽、ファッション、思想…無意識に受けた影響は少なからずでした。幸宏さんが亡くなり、後を追うように教授が亡くなり、漠とした喪失感がありました。

さて『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』。その前に、半生を振り返った『音楽は自由にする』が出ていて、それは読んでいませんので片手落ちかもしれませんが、早すぎる晩年を迎えた教授が、何をしてどんなことを考えていたのかが、赤裸々に伝わってくる本でした。読んでいてしんどくなるページも多々で、読み終えたときにはホッとしました。

何かのインタビューで、教授が「僕は本気で世界の戦争を止めることが出来るかもしれないと思っていた」と言うのを読んだことがあり、「思っていた」というのは「けれども、それは無理だった」とつながるのであり、「諦観」の文字が浮かんだことがありました。世界各地で「知っている日本人の名前を挙げ挙げて」と質問したら、上位で名前の挙がってくる「坂本龍一」でもそのように絶望するのなら、我々にできることなど…という感じです。

そういえば東京青山のワタリウム美術館で開催された「鈴木大拙展 Life=Zen=Art」を観たのは、昨年夏のことでした。上の写真はその展覧会の時のチラシ。

↑この報告ブログ↑には書いていませんでしたが、この「禅」の展覧会で、坂本龍一のインスタレーション展示をした部屋があったのでした。前情報を持たずに出かけていたので、思いがけず「坂本龍一」の名前を発見し、喜び勇んで展示室へ。ところがそのときは、そのインスタレーションが何を伝えようとしているのか、展示を観てもキャプションを読んでもさっぱり推し量ることが出来ず、残念な気持ちをもって会場を後にしたのでした。

本書を読み終わった今は、「鈴木大拙展 Life=Zen=Art」に展示されていた坂本龍一のインスタレーションが、何を言おうとしていたのか、自分なりに解釈を持つことが出来ます。現代アートが言葉を必要とする表現であることを、あらためて感じました。そしてまた、観たときにはさっぱり「???」な状態でも、自分のなかに引っかかりが残っていれば、今回のようにあらためて解釈を持つことが出来るのだということも。

個人的には、本書のなかでまったくあっこちゃん(矢野顕子)のことが出てこなかったのことに、違和感がありました。もしかしたら前作『音楽は自由にする』には書かれていたのかもしれませんね。読んでみないといけません。

『ぼくはあと何回、満月を見るだろう』(新潮社)坂本龍一

読書『堀江貴文のChat GPT大全』(幻冬舎)堀江貴文・荒木賢二郎著

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読書『堀江貴文のChat GPT大全』(幻冬舎)堀江貴文・荒木賢二郎著

タイトルの『堀江貴文の…』の前に赤字で「今やらないヤツはバカ!」と書いてあります。さすがホリエモン。煽り系の乱暴な語り口に、熱意と愛を感じます。メディア(本にしてもテレビにしてもインターネットにしても)を通して見るたびに、どうしてわざとこんな風な言い方にするのかなぁ、と思いますが、実はとても親切な方だと思います。あ、上の写真は、本文とは全く関係ありません。

さて『堀江貴文のChat GPT大全』、ホリエモンはじめ18名の「Chat GPTを自分の仕事(あるいは生活)にどう生かしているか?」が載っています。職業がそれぞれにバラバラな、いろんな方が、ご自身の言葉で「Chat GPTとは?」を書いています。ほんとうに事例がさまざまで、書き方も統一されていません。なのでむしろ、自分の感覚に近い方が見つかると思います。一方的な「こんなにすごい!こう使うべき!」論ではなく、とっつきやすいとわたしは感じました。

Chat GPTはご存じの通り生成AIのひとつなわけで、以前このブログで話題にしたのはちょうどひと月前のことで、「わたし自身はまだ手を出していません」と書いておりました。が、本書を読んでようやく「うん、まずは使ってみよう」と思えました。

ちなみに「あ、なるほど」とわたしが一番胎落ちしたのは、まぐまぐ創業者の大川弘一氏の章でした。具体的な方法論は一切書いておられません。本書のなかでこの部分だけ読んだら、訳が分からないかもしれません。が、「自分の仕事のなかでどう使えるか」が一番イメージしやすかったのが、大川氏の書いた部分でした。

わたし自身は、Chat GPTを含めた生成AIを、誰もがすぐにでも始めるべきだとは思いません。けれども、スマホ文化がそうであったように、好むと好まざるとにかかわらず、生成AIが当たり前に生活の中にあるという状況が、もうスタートしつつあるのだということが、よく分かりました。なので、気になっている方には、本書はおススメです。

『堀江貴文のChat GPT大全』(幻冬舎)堀江貴文・荒木賢二郎著

ところでローカルネタですが、じり貧(といわれている)の在福岡(北九州)ラジオ局 cross FMにホリエモンが入ったので、感謝するとともにとても期待しています。

映画『翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~』観てきました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

映画『翔んで埼玉~琵琶湖より愛をこめて~』観てきました。

2023年映画9本目。前回映画館で観たのが、ケネス・ブラナーの『名探偵ポアロ ベネチアの亡霊』で、そこから2か月ほど空いてしまいました。ブラックフライデーということで、週末は「TOHOシネマズデー」になっており、シネマイレージカード会員は、なんと映画鑑賞料が1000円でした。この夏にやっと作ったシネマイレージカードでしたが、おかげさまで恩恵をさっそく受けています。

さて『翔んで埼玉』。一作目はDVDで観ておりました。原作者の魔夜峰央先生といえば『パタリロ!』。わたしがパタリロにハマっていたのは…ググってみたら、1978年に『花とゆめ』で連載がスタートしていますので、10歳ごろからということになります。もう45年も前!という事実に愕然としますが、当時その漫画の世界観から英国やエジンバラに抱いた憧れは、実のところ自分のなかに今もほんのりと続いているわけです。そのギャグ満開の世界観がこのように実写映像で実現する日が来るとは…!しかも2作目が出来るほどに、受け入れられているとは、なかなか感慨深いものがあります。世の中の価値観が、ようやく魔夜峰央先生のセンスに追いついてきたとでも言いましょうか(笑)

さておき2作目も、まあ馬鹿馬鹿しくて、けばけばしくて、面白かったです。一作目から踏襲されたパターンの面白さに加え、今回目についたのは、いろいろなものからのパロディー。コメディ映画にはパロディーはつきものとはいえ、特に「チャーリーとチョコレート工場」からの大掛かりなパロディーには、声を殺して爆笑しました。そして豪華な出演者が短時間出演で無駄使いされているという、これもまたコメディ映画のパターンの一つではあるものの、その贅沢さに笑いました。これだけのために出てきたのね!的な。

第2作目が、滋賀県&関西エリアでしたので、どうしたって第3作目への期待が高まります。これはもう「佐賀県&九州エリア」で間違いないでしょう、と勝手に予想(期待)をしています。いやほんとうに、佐賀は「そのポジション」としてこれ以上最適な場所はないでしょう、という感じなので、大いに楽しみにしています。エンディングには、それをにおわすような演出もありましたし。

それにしても、魔夜峰央先生は1953年生まれということで、現在70歳。ってことは、わたしと20も離れていないのね、ということは、パタリロをスタートしたころは25歳だったということで、当時漫画家の方は10代から活躍なさる方が多かったとはいえ、すごいなぁとあらためて尊敬してしまいます。

博物館リンクワーカー人材養成講座 2023。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

博物館リンクワーカー人材養成講座 2023。

九州産業大学地域共創学部の緒方泉教授が音頭をとり、毎年開催してくださっている講座です。「博物館リンクワーカー人材」というキーワードがタイトルに入ったのは、2021年からですが、学芸員技術の向上と美術館博物館施設の地域社会への貢献を目指した数々のプログラムに、もう7年もお世話になっています。

今年度もオンラインでの開催です。そもそもはコロナ禍下で集合研修が出来ない!という状況からのZoom活用だったと記憶していますが、Zoomのおかげで、11月から12月にかけて毎週6回の連続講座に、九州のみならず全国から学芸員・関係者が参加するという、稀有な連続講座に育っています。これって、実はとてもすごいことだと思います。

冒頭30分間、担当講師によるテーマ発表があり、そののち3-5名のグループ「語り場」に分かれて意見交換情報共有。その後、各グループからの発表でフィードバックという次第です。第1回目は九州産業大学美術館の学芸室長・中込先生と、香椎丘リハビリテーション病院のソーシャルワーカー・藤さん。数年前からスタートしている、美術館とリハビリテーション病院両者の連携についての発表でした。わたしは残念ながら第1回は参加できませんでしたが、後日動画で共有してもらえるはずですので、発表を拝聴するのを楽しみにしているところです。

第2回は甲賀市教育委員会事務局歴史文化財課の佐野正晴氏による『「歴史文化財課 佐野さんの民具図鑑」の作り方』でした。上の写真は、花祭窯のある津屋崎で民具の集まる場所、登録有形重要文化財「藍の家」。

以下備忘。


  • 「美術(館)サービス提供者自身の健康」という視点。孤立を防ぐ。
  • 慢性的・全国的な課題「満タンの収蔵庫」「未整理民具の山」「人手不足」。
  • 民具➜地域回想法。
  • 市民向け映像コンテンツの制作➜「民具図鑑」。
  • 行政各部署、市民団体等との協力=役割分担・負担分担による「持続可能化」。
  • 民具+α:民俗学、歴史学、地域密着情報、最新の研究動向、現代社会の動き…。
  • 民具×○○のコラボ。
  • 「民具を守る仲間」を増やしていく。
  • 「緩やかな保存」の視点。民具を使いながら保護していく。
  • 「ひっかかり」を作ることにより、興味を引く=「民具図鑑」動画において「オチ」も大切な構成要素。
  • 民具図鑑を観る➜資料館に足を運ぶ、小中学校が教材として採用する、博物館浴・地域回想法のアウトリーチを伸ばす…
  • まずは学芸員自身が楽しんでできることが大切。
  • 学芸員が楽しんでいる➜一緒に働く仲間も楽しくなる➜観てくれる人・館に来る人も楽しい。
  • 増え続ける資料➜どう保存するか、どう活用するか。
  • デジタル画像・ポジフィルムでのアーカイブ、動画でのアーカイブ。
  • 地域全体で観たときの、資料保存の考え方。ランク付け、取捨選択。

甲賀市教育委員会事務局歴史文化財課の佐野正晴氏による『「歴史文化財課 佐野さんの民具図鑑」の作り方』と、「語り場」より


甲賀市教育委員会事務局歴史文化財課「歴史文化財課 佐野さんの民具図鑑(YouTubeチャンネル)

民具を巡る「慢性的・全国的な課題」は、ここ福津市でも同じことです。「民具図鑑」の制作は、もしかしたらここでもできることかもしれず、なんとか提案できるといいな、と思います。

「DEEP福津!リンリンなごみツアー」にモニター参加♪

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

「DEEP福津!リンリンなごみツアー」にモニター参加♪

最近めっきりお世話になっている、ご近所観光案内施設「津屋崎千軒なごみ」わたしの使い道としては「レンタルオフィス」利用が多いのですが、もともとは観光振興のために作られた施設であり、観光地域づくり法人「ひかりのみちDMO福津」が運営しています。

ディープなふくつを楽しむための方法として「自転車」を活用する企画のモニターツアーを開催すると聞き、そのコースを見て、「参加します!」と手を上げたのでした。

ざっくりとしたスケジュールは以下の通り。

朝10時過ぎ津屋崎千軒なごみ出発
➜世界遺産登録「新原・奴山古墳群」でガイドさんの説明を満喫
➜農産物直売所「あんずの里市」でおやつ(あんずパフェ)休憩
(折り返し)
➜海岸方面へ下り塩浜でランチ(ハンバーガー)休憩
➜江戸時代に津屋崎千軒が栄えた「塩田」跡を横目に疾走
➜津屋崎千軒なごみ14時過ぎ到着

参加者は一般参加6名に、スタッフ1名、ガイド1名、撮影隊1名。16km近くの距離を、あちらこちらに寄り道して名所の説明を聞きながら、4時間あまりで回りました。下の写真は、そのコースマップ。まさに「DEEP福津」でした。

DEEP福津!リンリンなごみツアー

なごみで借りた自転車は「ふつうのママチャリ」です。なごみのレンタサイクルには電気自転車もありますが、今回のモニターツアーでは、ママチャリ。折り返し地点あんずの里までは、断続的に上り坂が続きます。ここが一番きついかな、と予想していましたが、まだスタートして元気があるときでしたので、それほどたいへんではありませんでした。

体力的にしんどかったのは、出発前には「ここまでくれば楽勝だろう」と踏んでいた、ラストの平坦な道のりでした。思いがけずきつかった理由は「1.そこまでに疲労が溜まってきていた」「2.ランチのハンバーガーがボリュームたっぷりでお腹いっぱいになってしまった」「3.向かい風の海風がバンバン吹いてきた」の三つ。「もう少しでゴールだ!がんばろう!」という感じで、何を好んでこの修行かと面白かったです。

上の写真のように気持ちの良い青空で気温も20度ほど、風もなかったので(帰りの浜沿いの道だけは強風だったけど)、最高のサイクリング日和でした。ふだんから「あんずの里」には週に1-2回野菜の買い出しに出かけており、あたりまえのように車で行っていたのですが、天候が良ければ自転車で買い出しもアリかも…と思えました。寄り道せずに直行すれば、花祭窯から約6kmの往復12kmで、買い物時間を含めて1時間ちょっとで帰ってこれるかな、という感じ。そのうちチャレンジしてみようと思います。