映画『バービー』を観て参りました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

映画『バービー』を観て参りました。

2023年の映画6本目は『バービー』。上の写真は、映画の公式サイトトップページの一角。マーゴット・ロビー主演と聞いて、これは観に行かねば!と決めていた作品でした。映画『アムステルダム』でその美しさに惚れ惚れし、その後『バビロン』があったものの、あまりの上映時間の長さにパスしてしまったので、今回は必ず見たいと思っていました。

さて『バービー』、映画館から帰ってきてからダンナに「どんな映画?」と問われ、はて、と考えました。ちょっと一言で説明するのは難しい映画です。公式サイトでは「ドリームファンタジー」となっていますが、わたしはむしろ「ブラックユーモアコメディ」と受け取りました。かなりの社会批判が込められた映画で、コメディ仕立てに仕上げたもの。考えさせられるキーワードが次々飛び出す一方で、吹き出しそうになり笑いをかみ殺す場面も多々ありました。

そして、やはりマーゴット・ロビーはとっても美しかったです。「完璧」なバービー人形の世界観を地でいく美しさ。眼福の2時間でした。あと、音楽もかなり良かったです。ただ、絶対に映画館のスクリーンサイズで見るべき映画かと問われると、そこは少々「?」かもしれません。それを思うと、むしろ『バビロン』こそ映画館で観ておくべきだったのかもしれません。

前回の映画ブログで「今年上半期は、最寄りの映画館で「これ観たい!」と思える映画が少なく」と書いておりましたが、下半期はこの『バービー』を皮切りに、観たい候補が続きます。まずは今月下旬公開の映画『エリザベート1878』。楽しみです♪

そして、8月15日は盆踊り本番でした。

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そして、8月15日は盆踊り本番でした。

盆踊りの練習をしました!と書いたのは、つい数日前のことでした。

で、当日。初盆を迎えた方々の法要がひと段落した夜8時から、盆踊りスタートです。小さな櫓(やぐら)を見上げれば、三味線、笛、太鼓の面々が勢ぞろい。今年も生唄生演奏の、とっても贅沢な盆踊りでした。

初めは「今年はちょっと少ないかな」と思えた踊り手の数も、演奏が始まるとそろそろと増えだしました。例年顔を見るベテランさんを探しては、その後ろから踊ります。久しぶりに顔を合わせる知人友人も多数。お盆で帰省中の方々の顔を見るけることも出来ました。素晴らしいと思ったのは、初めてご参加と思われる親子連れが何組もたくさんいたこと。子どもが見様見真似で踊る姿はなんとも可愛らしく、嬉しくなります。踊りの輪の少し脇には、車いすで踊っているおばあちゃんもあり、まさに世代を超えたお祭りです。

数日前に練習はしていましたが、そのときは録音の音楽でしたので、やはり生演奏での盆踊りは格別です。唄のテンポが唄い手さんのペースで、早くなったりゆっくりになったり、変わるのもご愛敬。津屋崎の盆踊りの曲はとても長く、エンドレスに思えるかのような繰り返しで踊り続けます。軽いトランス状態(笑)。でも、あの世から帰ってきていた方々をお見送りするための踊りですから、そういうものかもしれませんね。

今回もうひとつ素晴らしいな、と思ったのは、唄のメンバーに高校生ぐらいと見える若いメンバーが何人かいたこと。ベテランから若手へ、受け継ぎながら続いているのですね。ああ、こうやって受けつがれていくのね、と、こちらも嬉しくなりました。盆踊りの踊り自体が難しく、なかなか指導者が育成できずに困っているという話も聞きましたが、なんとなく、大丈夫のような気がしました。

津屋崎に越してきて12年、この地にお墓を持っているわけでもありませんが、まるでジモティのように盆踊りに参加しています。

また来年♪

読書『絵師金蔵赤色浄土』(祥伝社)藤原緋沙子著

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読書『絵師金蔵赤色浄土』(祥伝社)藤原緋沙子

お盆休みをガッツリとっているわけではないのですが、なんとなくお休みモードでゆっくりしていることもあり、読書が進んでいます。

いつものカメリアステージ図書館新刊棚で、真っ赤な表紙に白抜き文字の「絵金」が目に入り、あれ?これは四国の…と、ぼんやりと記憶が反応。年初めにチェックした、2023年絶対見逃せない美術展のなかに絵金さんの展覧会があり、「これは観たい!」と思ってリストアップしていたのでした。

展覧会「幕末土佐の天才絵師 絵金(あべのハルカス美術館)」。足を運べないまま、すでに会期は終了していますが、それだけに、本書に出会えたことはラッキー!でした。幕末動乱期の四国。地方の藩においてもあらゆる身分の人たちが時代に翻弄され、そのなかで「絵師」という身分がどのように扱われたのかが伺える小説でした。

当時のいわゆる正統派である「狩野派」のお墨付きを得た主人公・金蔵が、次第に歌舞伎や人形浄瑠璃といった市井の風俗に惹かれ、それらを題材とした作品を描かずにいられなくなっていく様子には、絵描きという人種の持つ衝動の激しさを感じました。

本書を読み終えて、あらためて、絵金さんの展覧会を観たかったなぁ、と。ならば、高知県香南市にある絵金蔵に行くのが良いかもしれませんね。現地で見るのが一番ですから、ちょっと真剣に検討したいと思います。

『絵師金蔵赤色浄土』(祥伝社)藤原緋沙子

読書『畦地梅太郎版画集「山男」』(山と渓谷社)

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読書『畦地梅太郎版画集「山男」』(山と渓谷社)

畦地梅太郎氏の木版画シリーズを福岡市美術館で初めて見たのは、つい先日のことでした。「山好きな画家たち」のテーマでコレクション展示室にあったのを見つけ、ひょうきんな人物描写とポップな色使いに「こんな版画家がいたんだ!」とびっくりしたのでした。

それから10日も経たないうちに、その畦地梅太郎さんの版画集を、カメリアステージ図書館で見つけたのですから、なんとまあ、偶然って面白いものです。あるいは、図書館司書さんのなかに、福岡市美術館での展示をご覧になっていた方があったのかもしれません。ともあれ、即借りて参りました。

出版社が美術書を出すようなところではなく「山と渓谷社」であるところが、ミソです。「山」「山男」の版画といえば…と、版画家としての立ち位置を決めて制作に励んだことが伺え、それがちゃんと奏功しているなぁ、と思いました。上の写真は、本書に掲載されている版画の一覧。

全ページカラーで76作品が載っています。カラフルで武骨な感じのする版画は、風景画と人物(山男)画があり、それぞれにかなり趣が異なり、好みも分かれるかもしれません。わたしは個人的には、山の風景を描いた版画がとても気に入りました。きっと畦地梅太郎さんといえば「山男」の版画なのだろうな、とは思いつつ。

こうなると、福岡市美術館にはほかにも所蔵作品があるのではないかと期待が膨らみます。また常設展示される機会に観ることが出来たら嬉しいな、と。畦地梅太郎作品の常設展示は、東京町田にある畦地梅太郎ギャラリー「あとりえ・う」愛媛宇和島には「畦地梅太郎記念美術館」もあるとのことです。町田にある町田市立国際版画美術館にも、収蔵されているとのこと。版画は複数枚することが前提ですから、これが可能なのですね。機会があれば足を運びたいと思います。

何年ぶり?の津屋崎の盆踊り。の、練習。

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何年ぶり?の津屋崎の盆踊り。の、練習。

山笠の通常開催が4年ぶりでしたので、たぶん、盆踊りも4年ぶりなのだと思います。お盆の法要は毎年開催されていたと思いますが、法要後の盆踊りは中止になっていました。

そんなわけで、張り切って「盆踊りの練習」に参加して参りました。津屋崎の盆踊りはちょっと複雑で覚えにくいのです。ただでさえ年に一度で、覚えたと思ったらまた来年!となっていたものが、一年どころでは無いブランク。もう、まったく覚えていません(笑)。

そんな状態で、盆踊り練習場所「なごみ前」に足を向けました。いつも皆に踊りを指導してくださるお姐さんを輪の中心に見つけ、ほっと一安心。そして参加者の皆さんのなかに、盆踊りのベテランのお母さんを見つけ、その後ろにポジション取りしました。盆踊りを覚えていなくても楽しむには、上手な人の後ろについて、真似をしながら踊るのが一番です。

音楽が鳴り始め、なんとなく動いてみるものの、なかなか踊りが思い出せません。指導してくれるお姐さんや、ベテランお母さんの動きをなぞりながら、「ああ、そうだった」とだんだんと思い出し、輪を一周する頃には、なんとなく体がスムーズに動くように。約2時間の練習の最後には、頭で考えなくてもなんとなく踊れるような感じまで取り戻しました。

途中休憩と練習終了後には、お楽しみの「ジュースとアイスクリーム」が自治会からふるまわれ、子どもたちに混ざってジュースをゲット。これを目当てに、練習会場には子どもたちの姿が思ったよりたくさん見られ、理由はどうあれ盆踊りに参加するのは良いことだと、思わずほおが緩みました。

さて盆踊り本番は8月15日。知人友人と「じゃあ、15日にね」とあいさつして、練習は終了。和楽器の生演奏で盆踊りを堪能できる日が戻ってきます。とっても楽しみです。

読書:「奥田英朗をより深読みするには」その2、その3。

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読書:「奥田英朗をより深読みするには」その2、その3。

お友だちから頂いた「奥田英朗をより深読みするには」リスト。

  1. 『最悪』『無理』『邪魔』
  2. 『延長戦に入りました』『泳いで帰れ』『用もないのに』
  3. 『イン・ザ・プール』『空中ブランコ』『町長選挙』

その第一弾を読み終わったのは、ちょうど約一か月前のことでした。

その後、グループ2.と3.から数冊づつに加え、上記リストに入っていないものまで数冊読み終わったところです。どれもが面白く、一気に読んでしまいました。

1.グループで感じた「社会に対する絶望や救いの無さ」を飛び越えて、向かったのは、お気楽でユーモアあふれるエッセー。わたしはあまりエッセーは好んでは読まないのですが、いや、面白かったです。そしてドクター・伊良部シリーズに代表されるコメディ小説は、思わず声を出して笑うレベル。その前に読んでいた家族小説シリーズといい、いやほんとうに、著者の引き出しの多さには脱帽いたしました。

というわけで、一冊一冊おススメ、というよりは「奥田英朗」を読む!というのがおススメです。伊良部シリーズはこの5月に最新刊が出ています。こちらも読むのが楽しみです。

文春・直木賞受賞の〈伊良部シリーズ〉

肥前磁器作家・藤吉憲典の2023下半期予定。

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肥前磁器作家・藤吉憲典の2023下半期予定。

『美の壺』再放送の影響だと思いますが、

このところお問い合わせが増えて参りましたので、ダンナ・藤吉憲典の下半期予定ご紹介いたします。

6月西麻布桃居さん7月博多阪急さんと、ふた月続けての個展がありましたが、おかげさまで無事完了。現在は、お待たせしているご注文分の制作と、秋以降の展覧会に向けての制作に取り組んでいるところです。

下半期の予定は、10月下旬からの大阪阿倍野・暮らし用品さんでの初個展がございます。またロンドンSladmoreギャラリーでは、今年も11月から12月に開催されるクリスマス・ショウに、作品参加をいたします。


  • 10月28日(土)~11月7日(火)暮らし用品(大阪阿倍野) 藤吉憲典 展

関西方面の皆さま、たいへんたいへんお待たせいたしました。何年ぶりになるでしょうか、大阪での個展開催です。阿倍野にある暮らし用品さんでは初の個展となります。今からとてもワクワクしています。

暮らし用品さんのお客さまには「はじめまして」の方も多いと思いますので、ふだん使いの器を中心にしながら、藤吉作品のいろいろな顔をご覧いただけるよう、お届けしたいと考えております。

http://www.kurashi-yohin.com/

  • 11月~12月 SLADMORE(ロンドン) クリスマス・ショウ

ロンドンでは、SLADMOREでの11月~12月恒例のクリスマス・ショウに参加いたします。Animal Boxesシリーズを中心に10点前後のアート作品をお届けする予定で、鋭意制作中です。複数の所属作家が参加する企画展ですので、個展ほどの作品数ではありませんが、藤吉憲典のアート作品をまとめてご覧いただくことのできる機会ではあります。

もし秋冬のタイミングで英国旅行をご検討の方がありましたら、お立ち寄り先のひとつにいかがでしょうか。Sladomoreでは、近現代の英国作家を中心とした彫刻のマスターピースをご覧いただくことが出来ます。ロンドンで50年以上続く老舗ギャラリーであり、そのコレクションは素晴らしいものがあります。

クリスマス・ショウの会期詳細は、判明次第あらためて告知いたします。毎年そうなのですが、ロンドン市内のアートギャラリーが共同で開催するアートフェアイベントに合わせて開催期間を設定することが多いので、ギャラリーのはしごをするのも楽しいと思います。

https://sladmore.com/


そんなわけで、作家はこの8月~9月とガッツリ制作モード。頑張っております^^

美の壺「青と白の粋 染付の器」-2023年8月再放送のお知らせ。

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美の壺「青と白の粋 染付の器」-2023年8月再放送のお知らせ。

8月に入ったらお知らせしますね!とご案内しながら、すっかり失念しておりました。今年も、美の壺「青と白の粋 染付の器」制作チームからご連絡があり、7月にも再放送をされておりましたが、この8月も4回の再放送がございます。といっても、すでに今朝の回で2回の放送が終わり、残りあと2回ではありますが。

実は今朝、8時過ぎごろから急に藤吉憲典インスタグラムのフォロワー数が伸びはじめ、「あれ?なんかあったかしら?」と思っていたのでした。

藤吉憲典公式インスタグラムhttps://www.instagram.com/ceramicartist_kensukefujiyoshi/

そうこうしているうちに、8時半を過ぎて、長いお付き合いのお客さまから「見ましたよ~!」のご連絡をいただき、「美の壺だ!」と思い出したのでした。

藤吉憲典がほぼ丸二日間の撮影協力し、2021年7月に初回の放映であったNHK BSプレミアム 美の壺「青と白の粋 染付の器」。収録にいらっしゃったときは、15分程度の登場シーンに丸二日間かけるってすごいなぁ、と単純に関心していたものですが、人気コンテンツになると、こうして何度も繰り返し放映されるのですね。夏=染付の器、定番になりつつあることを感じます。


美の壺 File543 『青と白の粋 染付の器』
2023年8月再放送分日程

  • 8月7日(月)午後14:00-14:29 NHK BS4K 
  • 8月9日(水)午前8:00-8:29 NHK BSプレミアム、NHK BS4K
  • 8月12日(土)午前6:45-7:14 NHK BSプレミアム、NHK BS4K
  • 8月16日(水)午後15:10-15:39 NHK 総合、NHKプラス配信

今回も、BSだけでなく地上波のNHK総合や、インターネットでのNHKプラス配信がございます。お時間と環境が許しましたら、ぜひご覧くださいませ。

今年も参加して参りました-選書ツアー2023-

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

今年も参加して参りました-選書ツアー2023-

年に一度のお楽しみ。カメリアステージ図書館の「選書ツアー」に、今年も参加して参りました!大学図書館ではずいぶん前から一般的らしいのですが、一般の公的図書館での開催はまだまだ珍しい選書ツアー。「図書館に所蔵して、長く読んで欲しいと思う本を選ぶ!」とっても魅力的なイベントです。もちろん、選んだ本すべてが蔵書となるわけではありませんが、司書さんのチェックを経て、毎年2冊程度は入れていただいています。

選書場所は、昨年に引き続き「丸善 博多店」、JR博多駅直結でアクセス至便です。アクセス至便とは言いつつも、やはり電車で出かけるというのがネックになるのか、あるいは夏休みの平日お昼時というのが厳しいのか、今年も参加者募集には少々苦戦したようです。5名の定員に対して4名の参加者で選書してまいりました。

選書用時に使うISBNコードリーダーの機械がちょっと進化している!などと細かい発見も楽しみつつ、1時間で10冊程度の候補本を選びました。選書ツアーは「自分が読みたい本」以上に「図書館に来る人に読んで欲しい本」を基準に選ぶので、ふだん自分用に本を探すときにはなかなか立ち寄らないようなコーナーもチェックします。これがまた楽しい。本棚や平積みの顔ぶれは、時事を反映していることも多く、ふだんあまり見ない分野の棚を回っていると、心のなかで「へぇ~!」の連続です。

今回参加の4名は、それぞれに得意分野がばらばらだったようで、選書中に同じコーナーで鉢合わせることもなく、1時間が経過。選書を終えた後の皆さんのお顔を拝見すると、満足感の高さを感じました。いろいろな人が選書に参加して、多様な本が選ばれることが、このツアーの一番の良さだと思います。だからこそ、定員割れはとても残念。開催の日にちや時間帯、あるいは告知方法など、工夫をしながら継続して行っていただきたいイベントだと、つくづく思います。

ともあれ個人的には、今年も大満足の選書ツアーでした。本を選ぶのってなんでこんなに楽しいのでしょうね。お世話になったカメリアステージ図書館のスタッフの皆さまに、心より感謝です。ありがとうございました!

読書『表装…』のタイトルいろいろ。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『表装…』のタイトルいろいろ。

額縁の次は掛軸、という話題をアップしたのは、つい数日前のことでした。

新しいことをスタートするときの常として、わたしの行動パターンの第一歩は「本を読む」です。そしてその時に強い味方になってくれるのが、いつものカメリアステージ図書館。ネットで蔵書検索をすれば、市内の二つの図書館の蔵書から候補を上げてくれます。予約を入れて受け取りを最寄りのカメリアステージ図書館に指定すれば、まとめて受け取ることが出来ます。

今回も「表装」「掛軸」のキーワードでヒットした本のなかから、直感で5冊を選択。上の写真の通りの顔ぶれ、『掛軸』『表装生活』『表装ものがたり』『my made 表装』『表装を楽しむ』のタイトルに目を通しました。

なかでも今回、初心者のわたしにとって参考になったのは、次の2冊。

麻殖生素子さんはどうやらこの業界では有名人のようです。『表装生活』でも監修をなさっていました。『表装を楽しむ 掛軸、屏風をつくる』は、非常に実用的な内容で、半分以上のページは自分で表装を制作するための手順書になっていました。自分で手を動かすわけではないわたしとしては、手順をじっくり読みこむことはありませんでしたが、どのような手順を踏んで表装が出来上がるのかをざっくりとでも理解しておくことは、業者さんに相談し発注する際にも、大切なことです。「裂の話」「和紙の話」「取り合わせレッスン」などの項目が、簡潔にわかりやすくまとめられていたのが、ありがたかったです。

対する『表装ものがたり』は、実用書というよりは教養書とでも言いましょうか。著者が「おわりに」に書いておられる「「表装」という美術作品の裏方、名脇役ともいうべき存在を通じて、日本美術の面白さ、奥深さに迫ることを試みたものです」というのが、まさにぴったりくる内容でした。わたしにとっては本書は保存版だと感じましたので、さっそく購入することに。2023年6月初版になっていましたので、このタイミングはまさにわたしのため!?というくらいのめぐり合わせを感じました。濱村繭衣子さんは、日本近世絵画史を専門として京都芸大でも教鞭をとっておられるという方。なるほど「絵画」「美術」という視点でまとめられた表装の物語は、とても親しみを感じるものでした。

初心者にとって、本はいつもその世界への入り口になってくれます。表装の世界もまた奥が深そうで、ますます楽しみになって参りました。