ENGLISH JOURNAL4月号「ベルファスト」記事

映画『名探偵ポアロ ベネチアの亡霊』を観てきました。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

映画『名探偵ポアロ ベネチアの亡霊』を観てきました。

2023年映画8本目はポアロです。先月だったかな、遅ればせながらTOHOシネマズのシネマイレージカードを作りましたので、映画鑑賞へのモチベーションがさらに上がる(!?)かもしれません。何が嬉しいかといって、特別料金で観ることのできる曜日が増えること。シネマイレージカードは、今ならトム・クルーズのミッションインポッシブルのデザインが期間限定で選べると言われたので、映画は観ていないけれど、それにしました。

ケネス・ブラナーのポアロ三作目の舞台は、ベネチア。アガサクリスティ原作『ハロウィーン・パーティ』です。上の写真は、ケネス・ブラナー監督の前作『ベルファスト』のインタビュー記事から。

ケネス・ブラナーのポアロは今回も良かったです。そして、今回最もわたしの目を引いたのは、子役のジュード・ヒル。この子は『ベルファスト』で主役(9歳のケネス・ブラナー)を演じていて、その時も素晴らしかったのですが、本作ではまた雰囲気をガラッと変えて登場していました。ミシェル・ヨーはじめクセ強めの俳優陣のなかにあって、こどもながら「可愛い」とか「かしこい」とかだけではない複雑な存在感を、存分に発揮していました。

ところでポアロシリーズの前作『ナイル殺人事件』を観てから、まだ1年半しか経っていないということが判明。その間に『ベルファスト』がありましたから、年に1本以上のペースでケネス監督作品を観ていることになります。なかなかのペースですね。

さて『ベネチアの亡霊』。公式サイトにも書いてある通り「世界一の名探偵ポアロが超常現象の謎に挑む」ストーリーです。アガサクリスティの『ハロウィーン・パーティ』を読んだことがありませんので、内容をまったく知らず、予告編を何回か見て、正直なところ「オカルトっぽいのはいやだなぁ」と頭をよぎりもしました。が、「いやいや、ポアロの小説でそれはあり得ない」と自らを納得させて映画館へ。結論から申しますと、上映中に数回ビクッとするシーンはありましたが(ビビリなので)、最終的には合理的に説明がつきます。オカルトではありませんので、大丈夫です(笑)。

前作もそうだったのですが、従軍経験が遺す傷の深さや、感染症の広がりが遺した禍根など、現代にも通じる問題提起が、物語に通底しています。ほんとうに怖いのは亡霊ではなく、生きている人間。使い古された言い方かもしれませんが、そう考えさせられずにはいられないストーリーでした。

ベネチアの街並みの美しさを堪能できたのは、エンディングでした。街並みを上空から撮った画が、とても良かったです。観ながら思いがけず津和野(島根県)を思い出しました。津和野もまた、上から眺めたときに同じ色合いのトーンになるように、屋根瓦の色を統一していました。今もかな?わたしが学生時分よく遊びに行っていた時はそうでした。この峠を越えると津和野へ、というところで高いところから津和野の町を眺めると赤茶系の瓦屋根がずらっと見えて、美しかったのでした。

ともあれ、ケネス・ブラナーのポアロ次回作が待ち遠しくなりました。

映画『名探偵ポアロ ベネチアの亡霊

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。