こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。
ルノワール
上の写真は、先日九州国立博物館で観てきた「印象派展」のチラシ。
ART GALLERY『現代世界の美術』(集英社)全21巻が我が家にあります。ダンナのお父さんの遺してくれたもののひとつで、古いものですが、西洋美術史や画家についてなど、ちょっと気になることがあるときに、さっと探せるのでとても便利です。
芸術家としてどうありたいかを考えたときに、藤吉憲典にとっては誰がモデルというかライバルになるだろうとダンナと話していたら、「シャガールと、ルノワール」と名前が挙がったので、さっそく『現代世界の美術』をめくってみました。シャガールは第16巻、ルノワールは第2巻。
以下、第2巻ルノワール からのまとめ。
- 自然に対する感受性が強く、自然への賛歌が貫かれ、自然を師とした。
- 人間への愛情と関心が強い。
- わいわいとにぎやかなのが好き。社交好き。
- 産業革命と技術文明の発展を信じた時代(19世紀)を生きた。
- 装飾工芸全体が機械化によって危機に瀕している事実に心を痛めていた。
- あえて人間と社会の肯定的な面を作品テーマとした。
- 描くこと自体に対する疑問は生じ得なかった。
- なにより自分自身が描くことを楽しんでいた。
- 生きる歓びの感情を造形化するための努力を惜しまない。
こうして見てみると共通点の多いことに驚きました。ルノワールが磁器の絵付職人として修業をしたことが、のちに画家としての作品に影響を与えているというのは、実際あるだろうなと思います。でも、そういうことを外して見ても、描く(つくる)ことに対する姿勢や、何から影響を受けているのかなど、ものを生み出す人として共通している部分がたくさん。裏を返せば、作品の背景にある共通点に無意識に引き寄せられて、モデルでありライバルであると感じるのかもしれません。
そして、ルノワールが遺したある手紙の文言が、とても考えさせられました。
「わたしがなぜサロンに作品を送るのか(中略)サロンを通さずに絵画と結びつくことのできる美術愛好家はパリに15人とはいない。サロンに入選しない画家の作品を1点も買おうとしない人は8万人はいる。(中略)さらに、展示場所によって作品の良し悪しを考える誤りにおちいりたくないのだ。そういう印象すら与えたくない。(後略)」
ART GALLERY『現代世界の美術』(集英社)第2巻ルノワール より
「描いた絵を売る必要がある」のは、近代以降、つねに画家たちの前に立ちはだかる問題なのですね。でも、その事実に対してきちんと向き合い、逃げずに行動できる人は、彼の時代も今も、実はそう多くはないと感じています。
ルノワールの絵の表面からは感じ取りにくい、リアリストな(写実主義という意味ではなく)一面を垣間見ることができました。