久しぶりに版画を買いました。

こんにちは!ふじゆりです。

春分明けの日曜日、銅版画展を観にいってきました。
北九州は小倉にある「ギャラリーやすこうち」さん。
http://www.ysantique.com/event-kokura.html

銅版画って「メゾチント」というのですね。
日本のメゾチントの第一人者である生田宏司さんの版画展。

とても繊細でやわらかい質感の版画で
じつは案内状で初めて見たときは、版画だとわかりませんでした。

ギャラリーやすこうち小倉

フクロウのモチーフが代名詞のようになっている生田さんですが
花や野鳥もほんとうに美しく
独特の色合いと羽の描写の柔らかさ、表情にひかれて
メジロを描いた版画をひとついただくことにしました。

いろいろな分野の個展に伺う機会がありますが、
ほんとうに気に入って、自分のところで使う、飾るイメージが湧くものしか買いません。
よく考えたら、版画を手に入れたのは、結婚以来初めてです。
とても嬉しい出会いでした。

 

ご本人のおられるときにおじゃましたので、
いろいろとお話を伺うことができました。

もともとは教員をしながらの制作だったのが
それで食っているのでは版画作家とはいえないと
教員を辞め、版画の世界にもある日本的なアカデミズムとも決別したそうです。
アカデミズムのなかで制作を続けてきた方にとっては
かなり勇気のいることだったのではないかと思いました。

というのも、実は日本で芸術家と称している人は、つくることだけで生活している人はとても少ないのです。
陶芸家もまたしかりですが、絵画・版画の世界も同様だそうで
作家を名乗る有名な方でも、どこかで教鞭をとることで生活を維持している人がとても多く
なんらかの学閥や○○協会、○○会などの「所属会派」があり
その仕組みのなかで地位を築いている方が大多数なんですね。

しがらみなく自由に、自分の力で、自分の創るモノそのもので勝負していくのは
少数派なのだということを、あらためて思いました。

ギャラリーやすこうち小倉の店長さんから、藤吉の話を聞いていたという
生田さんが「とても仕事のやり方が似ていると思いました」とおっしゃってくださいました。

そして
「信念を持って良いものをつくり、発信していけば
自分の思いも寄らないところから、いろんな力がはたらいて
思いがけなく引き上げてもらえるものですよ」と。

とても嬉しい春の一日となりました。

ギャラリーやすこうち小倉、「生田宏司 銅版画(メゾチント)展」は3月27日(金)までです。
http://www.ysantique.com/event-kokura.html

会期が終了したら、版画が届くのが楽しみです(^^)

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。