こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。
作家のキャリアを象徴する5つの作品。
花祭窯の「創る以外なんでも係」であるわたしの仕事のなかで、最も時間を使っているのは「肥前磁器作家・藤吉憲典のプロモーション」です。たぶん。時間を計ったことはありませんが。
作家を紹介する方法・資料として、「バイオグラフィ(履歴書)」「陶芸家・アーティストとしての略歴」「主要展覧会歴・受賞歴・コレクション」「アーティストステイトメント」「ポートフォリオ(作品紹介)」などがあります。それぞれ、どのような内容が求められるのかは、場面や目的により異なります。ひな型となる資料はありますが、これらの資料を出す必要が発生するたびに、毎回見直して微修正するので、内容は常に更新しています。
今回ポートフォリオとして、「作家のキャリアを象徴する5つの作品」を提出するように求められました。藤吉憲典の独立以来25年のキャリアのなかから5つ。「キャリアを象徴する作品」ということで、作家本人とも相談して、制作活動の転機になったものをピックアップしてみました。
1.栄螺型香炉(さざえがたこうろ)
2.金襴手角瓶(きんらんでかくびん)
3.3.11 Natural Disaster
4.龍の子(Dragon Boy)
5.貝尽くし陶箱(別名:津屋崎箱)
キャリア初期のものから順に並べています。1.から3.までは、佐賀時代につくったもの。4.と5.は津屋崎に移転した後のものになります。意外とすんなり出そろったのは、やはりそれぞれの作品ができたタイミングとその背景が共有できていたから。どれも、暑苦しいほどのストーリーを語ることのできる作品ばかりです。
こういう形でポートフォリオを提出したのは初めてでしたが、こうして並べるだけで制作の変遷がくっきりと見えてくることがわかり、求められた資料の意図に感心したところでした。「どんな作家なのかを知りたい」という気持ちが伝わってきます。文字によるキャリア紹介ではなく、作品によるキャリア紹介は、恣意の入る余地が無くていいな、と思いました。