カエルにアジサイ陶箱 藤吉憲典

内側とか裏とか底とか。

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

内側とか裏とか底とか。

写真は、藤吉憲典のつくる陶箱シリーズのひとつ「染錦(そめにしき)蛙に紫陽花(かえるにあじさい)陶箱」。蓋の裏側にも、アジサイ。

12月のロンドン個展に向けて追い込み制作中のダンナ・藤吉憲典。ロンドンでのプロモーション用に作品の写真をいくつか送って欲しいという、Sladmore ContemporaryギャラリーオーナーGerryからのメールに、こんな一文がありました。

「ケンの作品写真、正面からだけじゃなくて、内側とか、裏とか、底とかの写真もよろしく!」

もちろん原文は英語でしたが、日本語訳すると、だいたいこんな感じ。

このメッセージを受けて、嬉しくてたまりませんでした。Gerryがほんとうに藤吉憲典の作品が大好きで、どこにその良さがあるのかをきっちりと理解してくれていることが、あらためて伝わってきたからです。

そもそも、将軍への献上品や大名諸氏への贈答品として、その技術・文化を発展させてきた肥前磁器の素晴らしさは、表面的な美しさだけでなく、形・絵付ともに、見えていないところにまで配慮し手を入れるデザインと、そのデザインを形にする技術力の高さにありました。

その美点をしっかり継承していくことは、磁器作家・藤吉憲典が己に課した使命でもあります。見えない細部にまでしっかり手を入れる仕事。それを見てくれている人、わかってくれている人がいるということは、作り手にとって、大きな喜びになります。

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。