こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。
先日「学芸員研修に行ってきました」をアップしたばかりですが、
その続きです。
宮城県立美術館の教育担当学芸員・齋正弘先生の著書
『大きな羊のみつけ方- 「使える」美術の話』
が、手元に届きました。
本の帯にある
「美術を使おう。美術館を使おう。」
これこそが、わたしが学芸員研修に参加した、いちばん大きな理由でした。
美術はもっと普通に、いろんな人に開かれているはずのもの。
美術館も博物館も敷居の高いものではなく、
もっと当たり前にみんなの生活のなかに登場してしかるべき、という気持ち。
そして、そのきっかけにもなる美術館や博物館で行われる「ワークショップ」と呼ばれる参加型の催し。
この大半が「トーク」か「なにかを作ってみる作業」であることにずっと疑問がありました。
その根っこにあったのは、
「まずは『見る=鑑賞する』ことが先なのでは?」という思い。
「じゃあ、鑑賞ってどういうこと?」への自分自身の理解の曖昧さ。
「使える」美術の話は、その思いに答えてくれるものでした。
いわく
- 「描く、分かる、知る」だけが美術じゃない。
- 自己表現としての「鑑賞」。
- 美術は、すべての人間が、全部一人一人違うということを基盤に、
人間全体の世界観を拡大してゆくということが存在の意義(=仕事)。
などなどなど。
美術館での長年の美術教育の実践に裏付けられた齋先生の言葉は、
たいへん説得力に満ちていて、しかも哲学的で面白い!
読めば読むほど理解が深まり、ただいま3周目を読んでいます(笑)
美術教育を考える小学校や中学校の先生方にも、
ぜひ読んでほしい本です。