『ART GALLERY 現代世界の美術 GOGHO』(集英社)より、ゴッホの「包帯をした自画像」

読書『たゆたえども沈まず』原田マハ(幻冬舎)

こんにちは。花祭窯・内儀(おかみ)ふじゆりです。

読書『たゆたえども沈まず』原田マハ(幻冬舎)

写真は『ART GALLERY 現代世界の美術 GOGHO』(集英社)より、ゴッホの「包帯をした自画像」と、佐藤虎清「風景の中の芸者」

昨秋出ていた原田マハさんの新刊を、やっと読みました。今回はゴッホ。


『―たゆたえども沈まず。
パリは、いかなる苦境に追い込まれようと、たゆたいこそすれ、決して沈まない。まるで、セーヌの中心に浮かんでいるシテ島のように。
どんなときであれ、何度でも。流れに逆らわず、激流に身を委ね、決して沈まず、やがて立ち上がる。』

『「考え込んでも、どうにもならないことだってあるさ。どんな嵐がやって来ても、やがて通り過ぎる。それが自然の摂理というものだ」
嵐が吹き荒れているときに、どうしたらいいのか。―小舟になればいい、(中略)
「強い風に身を任せて揺れていればいいのさ。そうすれば、決して沈まない。』

『たゆたえども沈まず』原田マハ(幻冬舎)より


タイトルに込められたメッセージが全編を貫いています。が、ゴッホとテオの物語は「沈まず」に終わったと言えるのだろうかと、わたし自身はすんなり受け入れることができませんでした。沈まなかったからこそ「世界中が認めている」現在の評価を勝ち取ったといえるのかもしれませんが、本人にとっては生きているうちに「評価された」という実感を得ることができなければ、「沈まなかった」ともいえないような気がするのです。

それにしても、今回も原田マハワールドに一気に引き込まれました。次作も楽しみです(^^)

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。