カメリアステージ図書館

読書『クワトロ・フォルマッジ』(光文社)青柳碧人著

こんにちは。花祭窯おかみ/アートエデュケーターふじゆりです。

読書『クワトロ・フォルマッジ』(光文社)青柳碧人著

お盆休みはとっくに終わっておりますが、いつものカメリアステージ図書館から借りてきた「お盆読書」記録4冊目です。

美味しそうなタイトルと表紙です。そしてたしかに「クワトロフォルマッジ」は関係があるというか、そこにかこつけてはあるのですが、ストーリーの重要な位置を占めるものというよりは、アクセサリー的な要素に思えます。ジャンルは、ミステリーなのかもしれませんが、ミステリーっぽくありません。個人経営の小さなピッツエリアを舞台として、殺人事件が起こるのですが、殺人事件が起こっているという緊迫感はほとんどありません。

それぞれにちょっとクセがある登場人物の描写が面白く、そこが読みどころと感じました。ふつうに「ありそう」な設定と、「その辺にいそう」な人物たちでストーリーはスタートしますが、読み進めるうちに状況のおかしさというかズレが大きくなっていき、「いやいや、そんなわけないやん!」と、心のなかで突っ込む回数が増えていきます。

登場人物それぞれのセリフや行動を読んでいるうちに、わたしのなかで勝手に脳内キャスティングがはじまりました。この役は誰がやったらハマるだろうな、と、俳優さんの顔がすんなりと浮かんでくる面白さがありました。あの役は西島秀樹さん、この役は田口浩正さん、あの子は永野芽衣ちゃん…など、勝手にイメージが膨らみました。

サクッと読み終えることのできる娯楽小説でした。いろいろ考えずに読めます。青柳碧人さんの著書を読むのはたぶん初めてだったと思うのですが、この軽さは嫌いではありません。

『クワトロ・フォルマッジ』(光文社)青柳碧人著

ちなみに2023お盆読書記録、他の3冊は以下の通り。いずれも「あたり!」でした。

投稿者:

ふじゆり@花祭窯

花祭窯おかみ/Meet Me at Art アートエデュケーター ふじゆり のブログです。1997年に開窯した花祭窯は、肥前磁器作家である夫・藤吉憲典の工房です。その準備期から、マネジメント&ディレクション(=作品制作以外の諸々)担当として作家活動をサポートし、現在に至ります。工芸・美術の現場で仕事をするなかで、体系的な学びの必要性を感じ、40代で博物館学芸員資格課程に編入学・修了。2016年からは、教育普及を専門とする学芸員(アートエデュケーター)として、「Meet Me at Art(美術を通して、わたしに出会う)」をコンセプトに、フリーでの活動をスタートしました。美術を社会に開き、暮らしと美術をつなぐことをライフワークとして、コツコツと歩んでいます。